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別荘を買おう2
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「ようこそ白の都へ」
門の奥へ進もうとしたら、城壁の壁の部分にある扉から強そうなおじさんが登場した。うながされて扉の奥の部屋に入ると、おじさんと部下が片膝を着いて正式な挨拶をする。
「王太子妃様にお目にかかれて光栄です。この白の都の領主をしております」
事前に予習したから、領主がもと国王軍の将軍の一人で愛妻家で子供が一人いることも知ってる。愛妻家と言っても相手は男の人で魔法使い。魔法で性転換をして子供を産んだらしい。
「初めまして。ミサキと言います。滞在中はいろいろとご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします」
「迷惑など。王太子妃様のお役にたてるなら本望というものです。何なりとご用命ください」
「ありがとう」
「ミサキ様は噂に違わず謙虚で礼儀正しいお方でございますな。身分が高いのですから私どもに丁寧に話す必要はないのですぞ」
「ああ、気にしないでください。癖なので……」
この敬語を使ってしまう癖が抜けなくて、フィオネさんにはたびたび注意されてる。でも、このおじさんはもと兵士で領主だけあって貫禄がある。しかも自分よりずっと年上だから、自然と敬語になってしまうんだよな。
ついでにアークさんやロベルトさん、フィオネさんたちにも使ってしまっていつも恐縮されてる。
「威張り散らしている貴族たちに見習わせたいですな」
領主のおじさんは豪快に笑うと、部下に命じて小さな宝箱を持って来させた。
「ミサキ様、こちらを。別荘の鍵が入っております。一つは高台にある絶景の楽しめる豪邸の鍵。もう一つはルーシェン王子に頼まれて選んだ庶民の家の鍵となっております。もちろんどちらも好きに使っていただいてかまいません」
二つ?
ルーシェンが、泊まるところは領主に頼んで探させたと言っていたけど、まさか二つも用意していたなんて思わなかった。
「それでは馬車へどうぞ。ご案内いたしましょう」
***
白の都は山の斜面につくられているからか坂道が多く道はばも細い。そんな理由もあってか馬車は山の中腹の広場で停車した。広場には見たことのない王様の銅像が建てられている。明君と慕われたルーシェンのおじいちゃんらしい。
広場では白の都の人々が散歩したり子供を遊ばせたりしている。屋台のようなお店もあるし、後でいろいろ食べてみたい。全体的に治安が良さそうな街だ。人々の服装は上品で淡い色が多くて、白い建物とよく合ってる。領主の一団を見つけて頭を下げる人々も多い。領主のおじさんは恐れられつつ慕われてそうだな。
「ミサキ様、ここからは馬車が通れませんので石板での移動になります」
「石板?」
「浮かびませんから大丈夫ですぞ」
浮島や王宮にあるものと違って、白の都の動く石板はエスカレーターのように移動するタイプだった。思い出したくないけど、グリモフ邸みたいなあれだ。
石版自体は大きくて、俺や領主のおじさん、ポリムや譲二さんが乗ってもまだ余裕がある。
動く石板に乗って山の中腹を目指す。上に行くほど大きな家が多い。領主の住んでいる邸宅もこのあたりにあるそうだ。
到着したのは巨大な門がそびえる大邸宅の前。白の都の入り口の門まで全部見渡せる。お金持ちが景色のいい場所に住むのってどこの世界でも当然なんだな。
邸宅の門をくぐると庭があって、使用人がずらりと並んで待ち構えていた。護衛兵らしき武器を持った兵士も揃っていて、俺たちをみて一斉に膝をつく。
「王太子妃様、それに護衛の皆様、ようこそ白の都へ」
「こ、こんにちは」
これは本気の別荘だな。俺が想像していたよりずっと豪邸だ。
「ミサキ様がよろしければ夕食はぜひルーシェン王子と私の屋敷へいらしてください。この日のために一流の料理人を呼んで白の都の名物料理を作らせております」
「は、はい。ルーシェンと合流したら伺います」
「では夕刻に迎えに参りますので」
領主のおじさんはそう言うと、部下たちと去っていった。
お忍び旅行じゃなかったっけ? すでに仕事っぽくなってるぞ。
門の奥へ進もうとしたら、城壁の壁の部分にある扉から強そうなおじさんが登場した。うながされて扉の奥の部屋に入ると、おじさんと部下が片膝を着いて正式な挨拶をする。
「王太子妃様にお目にかかれて光栄です。この白の都の領主をしております」
事前に予習したから、領主がもと国王軍の将軍の一人で愛妻家で子供が一人いることも知ってる。愛妻家と言っても相手は男の人で魔法使い。魔法で性転換をして子供を産んだらしい。
「初めまして。ミサキと言います。滞在中はいろいろとご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします」
「迷惑など。王太子妃様のお役にたてるなら本望というものです。何なりとご用命ください」
「ありがとう」
「ミサキ様は噂に違わず謙虚で礼儀正しいお方でございますな。身分が高いのですから私どもに丁寧に話す必要はないのですぞ」
「ああ、気にしないでください。癖なので……」
この敬語を使ってしまう癖が抜けなくて、フィオネさんにはたびたび注意されてる。でも、このおじさんはもと兵士で領主だけあって貫禄がある。しかも自分よりずっと年上だから、自然と敬語になってしまうんだよな。
ついでにアークさんやロベルトさん、フィオネさんたちにも使ってしまっていつも恐縮されてる。
「威張り散らしている貴族たちに見習わせたいですな」
領主のおじさんは豪快に笑うと、部下に命じて小さな宝箱を持って来させた。
「ミサキ様、こちらを。別荘の鍵が入っております。一つは高台にある絶景の楽しめる豪邸の鍵。もう一つはルーシェン王子に頼まれて選んだ庶民の家の鍵となっております。もちろんどちらも好きに使っていただいてかまいません」
二つ?
ルーシェンが、泊まるところは領主に頼んで探させたと言っていたけど、まさか二つも用意していたなんて思わなかった。
「それでは馬車へどうぞ。ご案内いたしましょう」
***
白の都は山の斜面につくられているからか坂道が多く道はばも細い。そんな理由もあってか馬車は山の中腹の広場で停車した。広場には見たことのない王様の銅像が建てられている。明君と慕われたルーシェンのおじいちゃんらしい。
広場では白の都の人々が散歩したり子供を遊ばせたりしている。屋台のようなお店もあるし、後でいろいろ食べてみたい。全体的に治安が良さそうな街だ。人々の服装は上品で淡い色が多くて、白い建物とよく合ってる。領主の一団を見つけて頭を下げる人々も多い。領主のおじさんは恐れられつつ慕われてそうだな。
「ミサキ様、ここからは馬車が通れませんので石板での移動になります」
「石板?」
「浮かびませんから大丈夫ですぞ」
浮島や王宮にあるものと違って、白の都の動く石板はエスカレーターのように移動するタイプだった。思い出したくないけど、グリモフ邸みたいなあれだ。
石版自体は大きくて、俺や領主のおじさん、ポリムや譲二さんが乗ってもまだ余裕がある。
動く石板に乗って山の中腹を目指す。上に行くほど大きな家が多い。領主の住んでいる邸宅もこのあたりにあるそうだ。
到着したのは巨大な門がそびえる大邸宅の前。白の都の入り口の門まで全部見渡せる。お金持ちが景色のいい場所に住むのってどこの世界でも当然なんだな。
邸宅の門をくぐると庭があって、使用人がずらりと並んで待ち構えていた。護衛兵らしき武器を持った兵士も揃っていて、俺たちをみて一斉に膝をつく。
「王太子妃様、それに護衛の皆様、ようこそ白の都へ」
「こ、こんにちは」
これは本気の別荘だな。俺が想像していたよりずっと豪邸だ。
「ミサキ様がよろしければ夕食はぜひルーシェン王子と私の屋敷へいらしてください。この日のために一流の料理人を呼んで白の都の名物料理を作らせております」
「は、はい。ルーシェンと合流したら伺います」
「では夕刻に迎えに参りますので」
領主のおじさんはそう言うと、部下たちと去っていった。
お忍び旅行じゃなかったっけ? すでに仕事っぽくなってるぞ。
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