One week 番外編

カム

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部下たちのお話1

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 ①如月隼人

 枕元の時計が爽やかなメロディを奏で始める。この美しい曲は彼が初めて異世界に降り立った時、偶然耳にして感動したものだ。朝というタイトルに相応しく、いつも素晴らしい気持ちで目覚めを演出してくれる。

 今日は久々の休日。
 昨夜遅くまで仕事をしていた彼は、まだベッドの中にいた。時刻は異世界の時間でいうなら午前六時。目覚まし時計を止めて眠ろうかしばらく考え、結局起きることにした。

 カーテンを開ければ王都の明るい日差しが部屋に差し込んでくる。異世界と違って高層ビルもなければアスファルトの道路も車もない。代わりに飛竜が風をきって王宮の横を飛ぶ光景や、庭園に咲く桃色の花、王宮を包む魔法の結界の淡い金の光が見える。どちらも如月の好きな風景だ。
 田舎で生まれ育った彼は、物心ついたころから魔法の天才だ、神童だと褒め称えられて育ってきたが、そんな自分でもこの歳で王宮の七階に広い住居を借りられるとは思ってもいなかった。

 シャワーを浴びてから軽く身支度を整えると、お湯を沸かしてお茶を入れる。ほんのり甘いこの世界のお茶は疲労を回復してくれる。
 お茶を飲みながら昨夜書いていた報告書を眺めた。隣国の妖花の花粉飛散の報告書だ。魔物の侵攻はほぼ収まったが、魔物の死体にさらに別の魔物が群がって問題になっている。王太子妃を狙った暗殺未遂事件が終了したので、如月も昨日までそちらの応援に行っていた。
 現場の指揮をとっていたのは飛行部隊のロベルト隊長で(彼はある理由から降格されて二番隊の隊長をしている)恐ろしい勢いで結果を出しているらしい。如月も少し話をしたが、ホレスとエルヴィンの罪を暴いたことを知られていて、こちらが恐縮するほど感謝されてしまった。
 しばらく王都に帰れていないが、何年帰れなくても王子と王太子妃の為なら平気だと言っていた。忠誠心の塊のような男だ。心配しなくてももちろんすぐに王子が呼び戻すだろう。

 如月は紅茶を飲み終わると、報告書を眺めるのをやめて朝食を食べに行くことにした。サラリーマンのようにシャツとスラックス、その上に魔法関連部のローブを羽織り、魔力を抑制する眼鏡をかけて部屋を出る。

 朝食に利用しているのは王宮十階にある軽食の店だ。滝のある庭園と隣接していて眺めもいい。そこでパンと卵料理を注文して席に座る。店は昼間ほどではないが、王宮で働く人々で賑わっていた。

「ハルバート、久しぶりだな」

 顔を上げると同期の男がトレーを持って立っていた。防御魔法が得意で格闘の心得もある設計課の魔法使いだ。高いところが苦手なため、飛行部隊には入れなかった。

「お久しぶりです。今日はお休みですか?」
「相変わらず堅苦しいやつだ。お前、ものすごく出世したのに変わらないな」
「こういう性格なもので」

 男は笑って如月の隣に座った。

 

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