冷血王子の性癖にどハマりした合法LK令嬢、だが。

新田つくえ

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花嫁候補

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「…というわけなのです」

ハリーは、領主ドオモの屋敷で濡れた衣服を着替え、
暖かいお茶とお菓子をいただきながら事の経緯を説明しました。

ドオモとその妻マルガリッタはフムフムと聞き入っています。
5人の息子たちとモモナ、侍女カルディアも興味深々で聞いていました。

「確かに、王都よりの文書で、セオ王子の花嫁募集のお話は知っております。
しかしながら我が家には花嫁に立候補出来る者はおらず…」

そうなのよねー、とばかりに頷くマルガリッタの横で、
ハリーとカルディアはジッとモモナを見ました。

「いるじゃん…」2人はそう思います、なんならこれ以上ないほど適齢期のご令嬢です。

5人の兄たちもさすがにハッと気が付きました。

しかし、モモナです。

顔は可愛い、とてもとても可愛い、性格も素朴(すぎる)で可愛い、乳はでかい、
一部のマニアには絶大な人気が出そうな妹さんですが、
王子の花嫁=王妃になれるとか言われても、ちょっと…。向いてないというか…

「セオ王子は、現王ガリオン王を凌ぐ冷血王子と言われているではありせんか。
ウチのモモナには、とてもとても」

と長男がつぶやきました。

「だよねー」な空気感

モモナは、やっと事態が少し飲み込めたようでした。

「えーと、あの、ハリーさん。
つまりそのテオ王子の花嫁候補として王都に行くだけで、
金貨を200枚いただける、ということですよね?」

モモナのくせに核心に迫っています。

「は、はい」

「お父様、わたし花嫁候補として王都に参ります。
お兄様たちの研究費用が足りないと聞いてますし、わたしも王都に行ってみたかったですし、
win winですね!」

「反対でーす!」
侍女カルディアだけが大きな声を出してモモナを止めようとしました。

「王都なんてチャラいピープルの集まりです!
わたしの超可愛いモモナ様にとっては危険な悪魔の街です!」

「そう言えばカルディアは、王都近くの街の出身だったねぇ」

「はい。騎士の街トゥーナで生まれました。」

「おお、カルディアさんはトゥーナのご出身でしたか!」

ハリーは嬉しそうです。
それもそのはず、トゥーナは騎士の憧れの街。

戦などで武勲を挙げた者とその一族だけが住むことを許される街として有名だからです。

「じゃあ安心だね!カルディアと一緒だったら、なにもこわくないから!
一緒に王都で遊ぼ?」

モモナは死ぬほど可愛らしい笑顔でカルディアを見ました。

「遊ぶ…モモナ様と…くうっ」
楽しそうな予感の誘惑に勝てないカルディア。

両親も兄たちも、「損はなさそうだしもらえるものならもらっとけばいっか」みたいな空気感を出し始めました。

「まーうん、なんだなぁ。
勉強…そう、モモナにとっても王都見学はよい勉強の機会になるであろう!
なぁ、我が妻マルガリッタ!」

「ええ!」

「カルディアが一緒ならば危険はあるまい。
モモナ、行ってみるか?」

「はーい!」

そんなわけで、モモナはハリー、カルディアと共に王都ホーズに行くことになりました。

花嫁候補として。



「具体的に花嫁候補って、何をするんですか?」

道中の馬車の中、モモナはハリーに尋ねました。

「王宮で一月程暮らしていただいて、その間にセオ王子のお目にとまれば有力候補になります。
…まあ、今まで有力候補に選ばれたご令嬢はいらっしゃらないのですが…」

「お目にとまる、とは、まさか御寝所に呼ばれるということではありせんかね?」

カルディアが強目に聞きました。

「御寝所に呼ばれる?一緒に寝るの?」
モモナはキョトンとしています。

カルディアがそーゆーことから一切遠ざけて育てたせいで、
モモナはメチャクチャウブな18歳なのでした。

ゴホンゴホンとハリーは気まずそうに咳をした後、
「…まあそういうことかもしれないのですが、
モモナ様は…多分…大丈夫かな~と」

なにせ、城には花嫁候補として絶世の美女令嬢がたくさん住み着いているのです。

「あ、いざとなりましたら良い手を考えておりますので、どうかご安心を」

「良い手?」
カルディアは訝しがっていたが、ハリーはニコッと笑ってウィンクして見せました。



辺境アルハカを出発して2日目の夕方、馬車の中にパンが焼けるいい匂いが漂ってきた頃、
3人は王都ホーズに着きました。



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