1 / 3
黒い瞳
転校生
しおりを挟む
九月の初め。
夏休みが終わり、新学期最初の登校日になった。まだしばらく続きそうな厳しい暑さで、歩く度に汗が吹き出してくる。
教室に寄る前にトイレに寄り、登校するだけで大量にかいてしまった汗をハンカチで拭いてから私は教室に入った。
新学期初日のせいかざわざわといつもより少し騒がしい教室、いつもと変わらないクラスメイト。私は自分の席に向かい、誰かに話しかけるわけでもなく黙々と教科書と課題を机の中に入れ替え始める。
「葵ー!おはよ!」
すぐ前の席に座っていた彼女が私の存在に気付いたらしく、いつものように声をかけてきた。
「おはよう、相変わらず元気だね」
彼女の名前は相川奏。
彼女は私とクラスで1番仲良くしているクラスメイトだ。
夏休み明けのくせに真っ白な肌、大きくて切れ長な目、血色のいい唇、整った顔立ちを持つ奏は男子達に結構ファンがいる。
少し長めの綺麗な髪をかきあげながら、何やら嬉しそうにニコニコしながら彼女はこちらを見ている。
「ねぇ、聞いてる?」
「え?なんだっけ」
「葵やっぱり聞いてなかった!転校生が来るらしいよ?」
それは初耳。
転校生か、夏休み明けだもんな。
私たちの学校は、この辺の地域では珍しく転入生を受け入れている公立高校。私立では転入生を受け入れている学校がいくつかあるらしいが、学費が高かったり制服などがいちいち高い。だから家の事情とかで転校が必要になった人とかは結構この学校にくる。
そのせいでこの学校で転校生というのはそこまで珍しいことではない、だけど私たちの代に入ってくる転校生はこれが初めてだった気がする。
あぁ、どうりで……。
「だからちょっとクラスが騒がしいのね」
「そりゃうちらの学年に転校生が来るのは初めてだもん!このクラスのトレンドだよ!」
私は奏のはしゃぎっぷりに呆れながら笑みを浮かべた。
奏は高校一年生の時に同じクラスになって、今は二年生だから二年目の付き合いになる。
奏は容姿がいいのはもちろん、成績もかなり良い。学内試験ではいつも1位、全国模試でもトップ争いをするほどの秀才ぶりだ。
しかし典型的な優等生やガリ勉なのかと聞かれればそうではない。一年生の時からクラスの話題とか流行によく食いつくところが少しミーハーで、こういうところを見ると普通の同い年の人間なんだと思うと共に相変わらずだなと思う。
「はい、みんな席についてー!」
気づけば教壇には担任が立っていた。みんなまだ話し足りなそうにしながら席に戻っていく。
いつも騒がしい新学期初日。
しかし今日は既にクラスのほぼ全員が知っている重大なニュースを控えているので、静かになるのにそう時間はかからなかった。
「今日はなんと転校生を紹介しま……」
「どんな子だろ~」「男?女?」「イケメンだといいなぁ」
「こら!聞きなさーい!」
「めぐみちゃんそんなに怒ってるとシワ増えるよ~?」
「もう、橋元先生でしょ?」
担任の橋元めぐみ先生、まだ教師になって三四年目の若い女の先生だ。
歳がまだそこまで離れていないのもあり親しみやすく、生徒から人気がありよく下の名前で呼ばれている。
でも教頭とかは頭が固いらしいから、噂を聞いて怒ってるみたいだけどね。教師としてどうなんだって。
「もうっ!じゃあ月白さん入って」
めぐみちゃんにそう呼ばれて、教室の前のドアが開いた。
転校生を見た時。
私は……いや、恐らくクラス全員が失礼かもしれないが驚いた。
教壇の横に立つ女の子は、少なくとも私は見た事のない目をしていた。
「月白若葉です、よろしくお願いします」
とても綺麗な笑顔を浮かべる彼女の顔立ちはとても綺麗で、その分みんなは自分たちとは違うところに目がいった。
「月白さんの目は、生まれつき白目の部分が真っ黒です。日常生活には全く支障がないようなので……」
遠くで先生が説明している声が聞こえる。
月白さんの目は怖いくらいに綺麗で目が離せなくなった。
夏休みが終わり、新学期最初の登校日になった。まだしばらく続きそうな厳しい暑さで、歩く度に汗が吹き出してくる。
教室に寄る前にトイレに寄り、登校するだけで大量にかいてしまった汗をハンカチで拭いてから私は教室に入った。
新学期初日のせいかざわざわといつもより少し騒がしい教室、いつもと変わらないクラスメイト。私は自分の席に向かい、誰かに話しかけるわけでもなく黙々と教科書と課題を机の中に入れ替え始める。
「葵ー!おはよ!」
すぐ前の席に座っていた彼女が私の存在に気付いたらしく、いつものように声をかけてきた。
「おはよう、相変わらず元気だね」
彼女の名前は相川奏。
彼女は私とクラスで1番仲良くしているクラスメイトだ。
夏休み明けのくせに真っ白な肌、大きくて切れ長な目、血色のいい唇、整った顔立ちを持つ奏は男子達に結構ファンがいる。
少し長めの綺麗な髪をかきあげながら、何やら嬉しそうにニコニコしながら彼女はこちらを見ている。
「ねぇ、聞いてる?」
「え?なんだっけ」
「葵やっぱり聞いてなかった!転校生が来るらしいよ?」
それは初耳。
転校生か、夏休み明けだもんな。
私たちの学校は、この辺の地域では珍しく転入生を受け入れている公立高校。私立では転入生を受け入れている学校がいくつかあるらしいが、学費が高かったり制服などがいちいち高い。だから家の事情とかで転校が必要になった人とかは結構この学校にくる。
そのせいでこの学校で転校生というのはそこまで珍しいことではない、だけど私たちの代に入ってくる転校生はこれが初めてだった気がする。
あぁ、どうりで……。
「だからちょっとクラスが騒がしいのね」
「そりゃうちらの学年に転校生が来るのは初めてだもん!このクラスのトレンドだよ!」
私は奏のはしゃぎっぷりに呆れながら笑みを浮かべた。
奏は高校一年生の時に同じクラスになって、今は二年生だから二年目の付き合いになる。
奏は容姿がいいのはもちろん、成績もかなり良い。学内試験ではいつも1位、全国模試でもトップ争いをするほどの秀才ぶりだ。
しかし典型的な優等生やガリ勉なのかと聞かれればそうではない。一年生の時からクラスの話題とか流行によく食いつくところが少しミーハーで、こういうところを見ると普通の同い年の人間なんだと思うと共に相変わらずだなと思う。
「はい、みんな席についてー!」
気づけば教壇には担任が立っていた。みんなまだ話し足りなそうにしながら席に戻っていく。
いつも騒がしい新学期初日。
しかし今日は既にクラスのほぼ全員が知っている重大なニュースを控えているので、静かになるのにそう時間はかからなかった。
「今日はなんと転校生を紹介しま……」
「どんな子だろ~」「男?女?」「イケメンだといいなぁ」
「こら!聞きなさーい!」
「めぐみちゃんそんなに怒ってるとシワ増えるよ~?」
「もう、橋元先生でしょ?」
担任の橋元めぐみ先生、まだ教師になって三四年目の若い女の先生だ。
歳がまだそこまで離れていないのもあり親しみやすく、生徒から人気がありよく下の名前で呼ばれている。
でも教頭とかは頭が固いらしいから、噂を聞いて怒ってるみたいだけどね。教師としてどうなんだって。
「もうっ!じゃあ月白さん入って」
めぐみちゃんにそう呼ばれて、教室の前のドアが開いた。
転校生を見た時。
私は……いや、恐らくクラス全員が失礼かもしれないが驚いた。
教壇の横に立つ女の子は、少なくとも私は見た事のない目をしていた。
「月白若葉です、よろしくお願いします」
とても綺麗な笑顔を浮かべる彼女の顔立ちはとても綺麗で、その分みんなは自分たちとは違うところに目がいった。
「月白さんの目は、生まれつき白目の部分が真っ黒です。日常生活には全く支障がないようなので……」
遠くで先生が説明している声が聞こえる。
月白さんの目は怖いくらいに綺麗で目が離せなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
近づいてはならぬ、敬して去るべし
句ノ休(くのやすめ)
ホラー
山中、もしあなたがそれに出会ったら……
近づいてはいけない。
敬して去るべし。
山を降りろ。
六年勤めた会社を辞めた。お荷物だとはわかっていたし、むしろ清々しくもあった。
28歳のコウイチには、仕事より大切なものがあった。
田舎歩きだ。そこ大事なのが学生のときにかじった民俗学だ。廃集落、古い祠、忘れられた神々——それを訪ねることは、彼のたった一つの愉しみだった。
大学時代、民俗学の講義で准教授はこう言った。「神々は神ではない」。人が畏れ、従い、忖度したものがかみになる。その言葉がコウイチを変えた。
会社の営業で関東のあちこちを歩きまわった。コウイチは仕事よりも土地の古老の話に耳を傾けることに熱中した。
ふと見つけた資料にコウイチは目を奪われた。
「名付け得ぬ神」。
東京の西、檜原村の奥深く、コボレザワという場所にその祭祀を担った一族がいたという。山奥には祠があるらしい。だがもう六十年も前に無人になってしまっているようだ。
コウイチは訪ねることにする。
道中、奇妙な老人に出会う。一人目は気のいい古書店主。二人目は何かを知りながら口を閉ざす資料館の老人。そして三人目は——
雪深い山の中でコウイチはついに祠を見つけた。巨大な岩を背にした祠は古び、壊れていたが、まだ人が来ている痕跡があった。
不穏な気配にコウイチは振り向くが、なにもない。
あれ? 鳥の声が、まったくない。
しずめ
山程ある
ホラー
六つの森に守られていた村が、森を失ったとき――怪異が始まった。
フォトグラファー・那須隼人は、中学時代を過ごしたN県の六森谷町を、タウン誌の撮影依頼で再訪する。
だがそこは、かつての面影を失った“別の町”だった。
森は削られ、住宅街へと変わり、同時に不可解な失踪事件が続いている。
「谷には六つのモリサマがある。
モリサマに入ってはならない。枝の一本も切ってはならない」
古くからの戒め。
シズメの森の神に捧げられる供物〝しずめめ〟の因習。
そして写真に写り込んだ――存在しないはずの森。
三年前、この町で隼人の恋人・藤原美月は姿を消した。
森の禁忌が解かれたとき、過去と現在が交錯し、隼人は“連れ去られた理由”と向き合うことになる。
因習と人の闇が絡み合う、民俗ホラーミステリー。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる