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黒い瞳
よく話す転校生
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とても綺麗な黒い瞳は、目を離すことを忘れてしまいそうな程だった。
不気味だと思うかもしれない、というより普通こんな瞳を持つ人はいないし聞いたことも無い。ざわついていた教室が月白さんを見た瞬間に音をなくし、誰もが目を離せなくなっていたと思う。
その沈黙を破ったのは先生だった。
「じゃあ席は~……井上葵さんの隣が空いてるわね!」
名前を呼ばれてどきりとした。
でもなんでフルネームで呼んだんだろう……。
このクラスに私と同じ苗字なんていない、わざわざ下の名前まで言わなくても伝わるじゃないか。
「月白さんが覚えやすいように今日は1日フルネームで呼んでいきます!」
はぁ……。
当の本人はというと大して興味がないようで、特に何も言わずに私の隣の席に歩き始めていた。
私の隣の席に月城さんは荷物をおく、そして私の方を見てにこりと笑った。
「よろしくね」
「よろしく」
「女の子みたいな名前だよね、井上くん」
私の学ランを見て彼女はそう言った。昔からそんなことは言われ慣れている、でも私はこの名前は嫌いじゃない。
そして名前のせいかみんなが女の子みたいとからかうせいかわからないけれど、私は女の子みたいな振る舞いの方が自然なのだ。
「顔も中性的だし髪もサラサラ、女の子みたい!」
「よく言われる」
朝のホームルームを続けるめぐみちゃんを他所に、私達は小声で話し続けていた。
真っ黒な瞳を持つ彼女は私とある程度話した後に満足そうに前を向いた。
既に一限は始まっていて目の前にいるのはめぐみちゃんではない、転校初日からホームルームも授業も無視してぶっ通しで話しかけ続けるあたり相当話好きなんだろう。
これならクラスに馴染むのはすぐだろうな……。
彼女の綺麗な瞳、そしてお喋りが好きで男の私にも構わず話したいだけ話しかけてくる。友達にはおそらく困らないだろう。
しかし昼休みになっても放課後になっても月白さんに話しかける人はおろか、近付く人もいなかった。
私は不思議になり、前の席の奏に帰り際に聞いてみた。
「ねぇ、話しかけないの?」
「え?何が?」
「転校生、あんなに楽しみにしてたじゃん」
転校生のことを口にした途端、奏の表情は曇った。
「だって話しかけても話さないから」
不気味だと思うかもしれない、というより普通こんな瞳を持つ人はいないし聞いたことも無い。ざわついていた教室が月白さんを見た瞬間に音をなくし、誰もが目を離せなくなっていたと思う。
その沈黙を破ったのは先生だった。
「じゃあ席は~……井上葵さんの隣が空いてるわね!」
名前を呼ばれてどきりとした。
でもなんでフルネームで呼んだんだろう……。
このクラスに私と同じ苗字なんていない、わざわざ下の名前まで言わなくても伝わるじゃないか。
「月白さんが覚えやすいように今日は1日フルネームで呼んでいきます!」
はぁ……。
当の本人はというと大して興味がないようで、特に何も言わずに私の隣の席に歩き始めていた。
私の隣の席に月城さんは荷物をおく、そして私の方を見てにこりと笑った。
「よろしくね」
「よろしく」
「女の子みたいな名前だよね、井上くん」
私の学ランを見て彼女はそう言った。昔からそんなことは言われ慣れている、でも私はこの名前は嫌いじゃない。
そして名前のせいかみんなが女の子みたいとからかうせいかわからないけれど、私は女の子みたいな振る舞いの方が自然なのだ。
「顔も中性的だし髪もサラサラ、女の子みたい!」
「よく言われる」
朝のホームルームを続けるめぐみちゃんを他所に、私達は小声で話し続けていた。
真っ黒な瞳を持つ彼女は私とある程度話した後に満足そうに前を向いた。
既に一限は始まっていて目の前にいるのはめぐみちゃんではない、転校初日からホームルームも授業も無視してぶっ通しで話しかけ続けるあたり相当話好きなんだろう。
これならクラスに馴染むのはすぐだろうな……。
彼女の綺麗な瞳、そしてお喋りが好きで男の私にも構わず話したいだけ話しかけてくる。友達にはおそらく困らないだろう。
しかし昼休みになっても放課後になっても月白さんに話しかける人はおろか、近付く人もいなかった。
私は不思議になり、前の席の奏に帰り際に聞いてみた。
「ねぇ、話しかけないの?」
「え?何が?」
「転校生、あんなに楽しみにしてたじゃん」
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「だって話しかけても話さないから」
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