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あれから4年と少しの時間がたった。
教授は研究室に戻り、またいつものように忙しい日々を送っている。私は教授の元で週に3日ほど研究員として働き、ラニーはそれを快く許してくれた。
ビスマー病の薬はまだ高額で、まだ罹患した人達が気軽に飲める薬ではない。かといって、いつまでも格安の価格で薬を手配することもできない。私は義父から譲りうけた高級洋菓子店の利益の内、私個人に入る分の利益を使いビスマー病に対する支援を目的とした団体を設立し、薬の手配だけではなく私のように両親を失った子ども達へ住居や就学など様々なしえを行えるようにした。もちろん私が動かせるだけのお金では到底足りるものではなく、計画にはだいぶ無理があったのだけれども、ラニーだけでなく義父様までが支援を申し出てくれた。
「今日は可愛いらしい義娘よ。かわいいかわいいシェリーちゃんは何処かな?」
「いらっしゃいませ、義父様」
「今日の体調はどうかね」
「はい、今日は調子がいいんです」
訪ねてきた義父を庭先の、あらかじめ用意されていたテーブルに案内をする。芝で覆われた地面は小さなボールが放置されていて、義父はそれを見ると被っていた帽子をテーブルに置きキョロキョロと辺りを見回した。
「シェーリーちゃ~ん」
植え込みからひょっこりと顔を出す小さな娘を見つけると義父は貫禄のある表情を崩しながら両手を広げて飛び込んできた娘を抱き上げた。
「じ~ぃ」
「シェリーちゃん上手ですね~」
可愛い可愛いと頬擦りをする義父に、娘はあからさまに嫌そうな顔でその頬を叩くが、義父はそれすらも嬉しそうに受け止めるのだ。
「娘が嫌がっています。大概にしてください」
娘の後ろからサクサクと芝を踏みながらやってきたラニーはそう言って2人の横を素通りし私の元へやってきた。
「ラニー、シェリーを見てくれてありがとう」
「ここからは人相の悪い保育士とチェンジだ。さあ、座って」
「大丈夫かしら」
「大丈夫だよ」
義父を見ればもう既に芝生に座り込み、娘から投げられる小さなボールを受けながら、楽しそうに遊んでいる。
ラニーは私を座らせると、そのすぐ隣に膝をつき、膨らんだお腹をゆっくりと撫でる。
「もう明日には戻らないといけない。お母様を頼むよ」
「ラニー、なぜ生まれてもいない子供に私のことを頼むの、逆じゃない」
「ハハハ、そうかもしれないね」
二年前長女のシェリーを出産し、今お腹には2人目の子が宿っている。
1人目の妊娠が分かった時、何故か不安で堪らなくなり酷く塞ぎ込んだ時期があった。そんな私を見てラニーはすぐに私をティンバーに連れていってくれた。
以前、私が住んでいた家はラニーが周辺の空き家と共にエリーさんから借り上げ、土だった庭は綺麗な芝生が植えられ、古かった策は新しく作り替えられ、綺麗な白いペンキが塗られていた。
もしかしたら捨てられてしまうのかもしれないと不安に思ったこともあるけれど、ラニーは私もここに暮らそうかと言ってくれた。
もちろんそんなわけにはいかず、本邸との行き来を繰り返してはいるけれども。
出産を終えてからも1年の半分はここで過ごし、そして2人目。ここティンバーで出産を迎えるため滞在をしている。
「まあまあ、アンダーソンさんいらっしゃい」
ゆっくりと杖をくエリーさんが義父様に挨拶にやってきて、義父様は直ぐにシェリーを抱き上げエリーさんに挨拶をした。
「お久しぶりですブルック夫人。体調はいかがですかな」
「かわいいシェリーちゃんのおかげで元気ですのよ。そうそう、最近シェリー画伯の画集を作りましたの、ご覧になります?」
「おお、それは是非拝見させていただきたい。この小さな手から、どんな作品が生まれているのか、楽しみですな」
そんな話をしながら2人は娘を連れてゆっくりとエリーさんの自宅へと向かって行った。
「ラニー、気のせいじゃないと思うんだけれども、最近忙しい、のね?」
ラニーが仕事上どうしても戻らなくてはならず、私を心配し義父様が代わりに来てくれたのだけど、それぞれ仕事を持っているから、お父様も忙しいはずなのに気のせいか最近頻繁に顔を出している。そして、それに反しラニーの忙しさは増している気がする。
「……幾つか、事業を引き継いだ。人に任せる部分も多いが、どうしても直接確認の必要なものも多くて」
どうにも歯切れの悪いラニーになんとなく隠し事があるような気がした。
「事業?」
「……ああ」
「ラニー?」
ずっとその瞳を覗き込めば、観念したかのように大きく息を吐いた。
「……レイに負担をかけたくなくて、出産後まで黙っていようと思ったんだ。1人目の出産祝いにシェリー名義で去年、レストランを一軒、少し早いが2人目の出産祝いに土地を。これはまだ生まれてないから名義はまだ父だが管理は私がしていて、借地として運用を始めている」
「……」
相変わらずの義父様に言葉はなかった。
「大丈夫、父が何か寄越すのは家族が増えた時だけだ」
「何が大丈夫なのか分からないけど」
「……父の資産の7割は私たちと義弟に名義が変わっている。義弟が譲り受けたのは土地と工場だけだがよほどのことがない限りは一生安定した収入がある。まぁ、抱える従業員が多いから今までのように好き勝手はできないかもしれないけれどね」
レニアスが移り住んだ土地は、華やかな都会とは程遠い場所。彼は今何を思っているんだろう。
「最近その土地に、研究室を立ち上げたそうだ」
「またサンド商会と?」
「いや、別のものだ」
彼がサンド商会と作った薬はとても質のいいものだった。ずるいことをして作った薬かもしれないけれども、それでも本気で作ったものであることは分かるほどだった。
出会った頃の彼は薬学に対し、とても熱意のある青年だった。
それが何故ああなってしまったのか、私にはわからないけれども、彼が後悔するような人生を歩まないよう、祈りたいと思う。
「……私はレイにした事を、謝らなかった身勝手なアイツを許したくない。そう思う気持ちは今もある。だが、変わって欲しいと思っていたしその変化を嬉しくも思ってる」
「確かに酷かったと思うけど、もう過ぎたことだから。それに、だからラニーと今があると思っているから悪いことばかりではないと思ってる」
「……レイに、会って直接謝罪をしたいと連絡がきた」
「すぐにはちょっと無理ね」
「もちろんわかってる、君の気持ちが一番大事だから」
「そうじゃないの」
確かにはい、どうぞと言えるような気持ちではないけれども、ある程度の期間離れていたからか、1時期すっぽりと記憶を失っていたからか、その後遺症なのかは分からないけれども、彼に対して恋情は勿論、悲しみや憎しみなんて感情も湧かない。直接になったらどう感じるかはないけれど。
「2人目が産まれて少し落ち着いてからじゃないと」
「無理に会う必要はない」
「でも、会っても大丈夫だと思ったから、教えてくれたんでしょ?」
じゃなければ、彼から連絡があったことを私に伝えるとは思えない。
雨季になる度に起こっていた耳鳴りや頭痛は2年程前からは起こっていない。
それをラニーも知っているけれど、きっとすぐには予定を立てない。なんだかんだと先延ばしにし、しばらくの間は先延ばしにするんじゃないかと思う。
「……」
重苦しい沈黙。ラニーは言わなきゃ良かったとでもいうように眉間にしわを寄せ、グッと押し黙る。
「でも、そうね、やっぱりもう少し待ってくれる?」
「ああ、勿論だ」
放っておいてもいいかもしれない。だけど、私が私の中に区切りをつけるためにも、もう一度会わなきゃいけないと思っている。
それを相手のタイミングに合わせて急ぐ必要はない。
「あ、動いた」
「えっ?!」
慌ててラニーがそっとお腹に手を乗せる。すると途端にボコボコと力強いキックを返してくれた。
「おお、元気だな。レイ、痛くないか?」
「大丈夫よ」
別れ、出会い、裏切り、大変なことはたくさんあった。その分新しい出会いがあり、関係が広がった。
「まだこれだけ動くんだからしばらくはお腹にいそうね」
「急いでキリのいい所まで仕上げてくるからそれまで出てきちゃダメだぞ」
「ふふっ、それは聞いてくれたらうれしいわね」
今笑顔がある。安心できる居場所がある。それはとても幸せで、これからもそれが消えることがないのなら、きっと私もしっかりと前へ進むことができる。
教授は研究室に戻り、またいつものように忙しい日々を送っている。私は教授の元で週に3日ほど研究員として働き、ラニーはそれを快く許してくれた。
ビスマー病の薬はまだ高額で、まだ罹患した人達が気軽に飲める薬ではない。かといって、いつまでも格安の価格で薬を手配することもできない。私は義父から譲りうけた高級洋菓子店の利益の内、私個人に入る分の利益を使いビスマー病に対する支援を目的とした団体を設立し、薬の手配だけではなく私のように両親を失った子ども達へ住居や就学など様々なしえを行えるようにした。もちろん私が動かせるだけのお金では到底足りるものではなく、計画にはだいぶ無理があったのだけれども、ラニーだけでなく義父様までが支援を申し出てくれた。
「今日は可愛いらしい義娘よ。かわいいかわいいシェリーちゃんは何処かな?」
「いらっしゃいませ、義父様」
「今日の体調はどうかね」
「はい、今日は調子がいいんです」
訪ねてきた義父を庭先の、あらかじめ用意されていたテーブルに案内をする。芝で覆われた地面は小さなボールが放置されていて、義父はそれを見ると被っていた帽子をテーブルに置きキョロキョロと辺りを見回した。
「シェーリーちゃ~ん」
植え込みからひょっこりと顔を出す小さな娘を見つけると義父は貫禄のある表情を崩しながら両手を広げて飛び込んできた娘を抱き上げた。
「じ~ぃ」
「シェリーちゃん上手ですね~」
可愛い可愛いと頬擦りをする義父に、娘はあからさまに嫌そうな顔でその頬を叩くが、義父はそれすらも嬉しそうに受け止めるのだ。
「娘が嫌がっています。大概にしてください」
娘の後ろからサクサクと芝を踏みながらやってきたラニーはそう言って2人の横を素通りし私の元へやってきた。
「ラニー、シェリーを見てくれてありがとう」
「ここからは人相の悪い保育士とチェンジだ。さあ、座って」
「大丈夫かしら」
「大丈夫だよ」
義父を見ればもう既に芝生に座り込み、娘から投げられる小さなボールを受けながら、楽しそうに遊んでいる。
ラニーは私を座らせると、そのすぐ隣に膝をつき、膨らんだお腹をゆっくりと撫でる。
「もう明日には戻らないといけない。お母様を頼むよ」
「ラニー、なぜ生まれてもいない子供に私のことを頼むの、逆じゃない」
「ハハハ、そうかもしれないね」
二年前長女のシェリーを出産し、今お腹には2人目の子が宿っている。
1人目の妊娠が分かった時、何故か不安で堪らなくなり酷く塞ぎ込んだ時期があった。そんな私を見てラニーはすぐに私をティンバーに連れていってくれた。
以前、私が住んでいた家はラニーが周辺の空き家と共にエリーさんから借り上げ、土だった庭は綺麗な芝生が植えられ、古かった策は新しく作り替えられ、綺麗な白いペンキが塗られていた。
もしかしたら捨てられてしまうのかもしれないと不安に思ったこともあるけれど、ラニーは私もここに暮らそうかと言ってくれた。
もちろんそんなわけにはいかず、本邸との行き来を繰り返してはいるけれども。
出産を終えてからも1年の半分はここで過ごし、そして2人目。ここティンバーで出産を迎えるため滞在をしている。
「まあまあ、アンダーソンさんいらっしゃい」
ゆっくりと杖をくエリーさんが義父様に挨拶にやってきて、義父様は直ぐにシェリーを抱き上げエリーさんに挨拶をした。
「お久しぶりですブルック夫人。体調はいかがですかな」
「かわいいシェリーちゃんのおかげで元気ですのよ。そうそう、最近シェリー画伯の画集を作りましたの、ご覧になります?」
「おお、それは是非拝見させていただきたい。この小さな手から、どんな作品が生まれているのか、楽しみですな」
そんな話をしながら2人は娘を連れてゆっくりとエリーさんの自宅へと向かって行った。
「ラニー、気のせいじゃないと思うんだけれども、最近忙しい、のね?」
ラニーが仕事上どうしても戻らなくてはならず、私を心配し義父様が代わりに来てくれたのだけど、それぞれ仕事を持っているから、お父様も忙しいはずなのに気のせいか最近頻繁に顔を出している。そして、それに反しラニーの忙しさは増している気がする。
「……幾つか、事業を引き継いだ。人に任せる部分も多いが、どうしても直接確認の必要なものも多くて」
どうにも歯切れの悪いラニーになんとなく隠し事があるような気がした。
「事業?」
「……ああ」
「ラニー?」
ずっとその瞳を覗き込めば、観念したかのように大きく息を吐いた。
「……レイに負担をかけたくなくて、出産後まで黙っていようと思ったんだ。1人目の出産祝いにシェリー名義で去年、レストランを一軒、少し早いが2人目の出産祝いに土地を。これはまだ生まれてないから名義はまだ父だが管理は私がしていて、借地として運用を始めている」
「……」
相変わらずの義父様に言葉はなかった。
「大丈夫、父が何か寄越すのは家族が増えた時だけだ」
「何が大丈夫なのか分からないけど」
「……父の資産の7割は私たちと義弟に名義が変わっている。義弟が譲り受けたのは土地と工場だけだがよほどのことがない限りは一生安定した収入がある。まぁ、抱える従業員が多いから今までのように好き勝手はできないかもしれないけれどね」
レニアスが移り住んだ土地は、華やかな都会とは程遠い場所。彼は今何を思っているんだろう。
「最近その土地に、研究室を立ち上げたそうだ」
「またサンド商会と?」
「いや、別のものだ」
彼がサンド商会と作った薬はとても質のいいものだった。ずるいことをして作った薬かもしれないけれども、それでも本気で作ったものであることは分かるほどだった。
出会った頃の彼は薬学に対し、とても熱意のある青年だった。
それが何故ああなってしまったのか、私にはわからないけれども、彼が後悔するような人生を歩まないよう、祈りたいと思う。
「……私はレイにした事を、謝らなかった身勝手なアイツを許したくない。そう思う気持ちは今もある。だが、変わって欲しいと思っていたしその変化を嬉しくも思ってる」
「確かに酷かったと思うけど、もう過ぎたことだから。それに、だからラニーと今があると思っているから悪いことばかりではないと思ってる」
「……レイに、会って直接謝罪をしたいと連絡がきた」
「すぐにはちょっと無理ね」
「もちろんわかってる、君の気持ちが一番大事だから」
「そうじゃないの」
確かにはい、どうぞと言えるような気持ちではないけれども、ある程度の期間離れていたからか、1時期すっぽりと記憶を失っていたからか、その後遺症なのかは分からないけれども、彼に対して恋情は勿論、悲しみや憎しみなんて感情も湧かない。直接になったらどう感じるかはないけれど。
「2人目が産まれて少し落ち着いてからじゃないと」
「無理に会う必要はない」
「でも、会っても大丈夫だと思ったから、教えてくれたんでしょ?」
じゃなければ、彼から連絡があったことを私に伝えるとは思えない。
雨季になる度に起こっていた耳鳴りや頭痛は2年程前からは起こっていない。
それをラニーも知っているけれど、きっとすぐには予定を立てない。なんだかんだと先延ばしにし、しばらくの間は先延ばしにするんじゃないかと思う。
「……」
重苦しい沈黙。ラニーは言わなきゃ良かったとでもいうように眉間にしわを寄せ、グッと押し黙る。
「でも、そうね、やっぱりもう少し待ってくれる?」
「ああ、勿論だ」
放っておいてもいいかもしれない。だけど、私が私の中に区切りをつけるためにも、もう一度会わなきゃいけないと思っている。
それを相手のタイミングに合わせて急ぐ必要はない。
「あ、動いた」
「えっ?!」
慌ててラニーがそっとお腹に手を乗せる。すると途端にボコボコと力強いキックを返してくれた。
「おお、元気だな。レイ、痛くないか?」
「大丈夫よ」
別れ、出会い、裏切り、大変なことはたくさんあった。その分新しい出会いがあり、関係が広がった。
「まだこれだけ動くんだからしばらくはお腹にいそうね」
「急いでキリのいい所まで仕上げてくるからそれまで出てきちゃダメだぞ」
「ふふっ、それは聞いてくれたらうれしいわね」
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