魔王降臨!勇者を討伐に行ってきます!

韋駄天

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魔王のやらかし

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アランが砂龍の口腔から脱出し、件の魔物が砂丘の上を滑走してくる。
その醜い獣の処理を正当に押し付けられ、アランは今、走り回ってる。

「自業自得なのは辛うじて甘んじて受け入れよう!だけどな、罰としてこんな格上一人で相手取れっつわれても無理だろ現実的に!!!どわっとー!?」

アランが一人猛獣の脅威に狙われ足場の悪い砂漠の中を駆け回る。
そんな弱腰で情けなく逃走し、食らいつかれそうな所を皮一枚で避ける阿保一人を邪悪な笑みを浮かべ眺めながら、ウオマが悲鳴の発生源へと返答を返す。

「お前なら楽々倒せんだろが!早くやれ!一番簡単な方法を使えなくしたのは作戦を崩壊させたお前だろうが!」
「んな事言われても龍じゃねぇか!平々凡々な中堅冒険者の俺にゃ荷が重いわ!」
「恨むなら過去の自分を恨め!全部自己責任な!」
「そうですよアランさん往生際が悪いです」
「生命の危機に瀕しているのにお前らには配慮ってもんねぇのかよ!?」

この珍事態の元凶の元聖騎士が助力を求めて叫んでも魔王はあくまで本人の尻拭いをするつもりはない模様。
悲痛な絶叫にウオマとアランはドライな答えを返す。
相変わらず逃げ回りながらアランが軽口を叩き続ける。
その様子をしばらく暇そうに傍観していた魔王が、近くで仲間の少女リーナの建築している砂の城が一段落ついたところを見届け、立ち上がる。
そして、大きく深呼吸をすると、ウオマが声を張り上げる。

「馬鹿アラン!さっさとしねぇとお前だけこの異空間に置いてくかんな!こっちはいつでもお前抜きで元の世界に戻れるんだ!」
「何故に最初からそれで帰らなかったか聞いてもいいか!?」
「お前を生贄にしてみたかった!それだけ!」
「最悪の理由だな!?」

魔王がアランを脅すと、アランが純粋に帰る手段をなぜ今まで隠してたかを大声で尋ねる。
単刀直入な外道の答えを聞き、曲がりなりにも聖騎士であったアランが非情すぎる理由に半泣きになりながらも覚悟を決めた顔つきで振り返る。
その決断に感心した顔を見せると、隣からクレイが質問する。

「ウオマさん、どうやってこの異界から出られるんですか?」
「ああ、それはだな、断剣。。。名前忘れたけどなんでも断つ事が出来る魔剣持ってるからそれで二秒で出られる。本来ならそうしているところだが、アランの無様な様を見たくてちょっと長居することにした」
「そうですか」

アランが訝しげな目でウオマ達の会話の様子を盗み見ていたが、流石に二人の会話の内容までは分かるまい。
二人は短い会話をそこで切り上げると、アランの方を一瞥する。
その視線を感じ取ったのか、アランが再度こっちの方角をチラ見し、二人の意図を悟る。

「うおらあぁぁぁ!!!浄化閃!!!」
「ほう」

アランが大剣を空高く持ち上げると、剣が白い清らかな閃光を放つ。
その光を纏った剣が勢い良く振り下ろされると、白光の一閃が衝撃波のように飛ぶ。
純白の光閃が轟音を轟かせ、雄叫びを上げながら襲い来る砂龍の巨体を正中線上に斬り通す。
その美麗な太刀筋を眼球に写しウオマが微かな称賛の声を上げるが、それを聞き届ける者は一人もいない。
強大な一太刀を受けた砂龍の巨体が最後に鋭い奇声を放つと、真ん中で割れる。
その一撃を見舞った張本人は呆然と口を開いているが、それに構わず大きな鱗を纏う鯨のように見えた龍種の残骸の両方が重低音の激突音を響かせ、そして、徐々に溶けていく。
砂龍が完全に砂となり溶けると、魔王が手柄を為した配下の下へ歩いていく。

「やりゃあ出来るじゃんか!何が荷が重いだ!」
「一撃で倒せたのなら何故最初からそうしなかったんですか?」
「あ、アランさんカッコよかったよ!」
「「「???」」」

二人の仲間がアランを労うと、突然乱入した褒め言葉とここに居るはずのない声に三人が一斉に飛び上がる。

「り、リーナちゃん?数秒前まであっちの砂の城作ってたよね?あんな遠くにあるのにどうやってここまで来たのかな?」

ウオマが率先して疑問の答えを求めると、

「ふ、踏み込みました!」

異常な答えが返ってきた。
少女は踏み込みでここから歩いて数分の距離を移動したと言うのだ。
確かに、百歩譲って闘神の技量ならそれぐらい出来てもおかしくない。
但し、それをまだ幼い獣人の女の子が出来ては余りに常識を逸脱している。

「闘神の霊魂写すの、やっぱ良くなかったかな。。。」

魔王が静かに呟くと、

「絶対世の中に解き放っちゃダメな奴だろ!」
「いい加減自重してください!」

と、常識を弁えた人間達が魔王に文句を言い放った。

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