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とある冒険者の旅の一幕: 三人称
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数多の世界がこの世には存在する。
科学文明の上に成り立つ世界、剣と魔法で日々害獣を駆逐する世界、宇宙の理にすら干渉する超科学的な世界、「死」という概念が存在しない世界、そしてそれを超える遥か多くの文明社会が散らばるという世が、創世によって齎されたのだ。
創造される世界、破滅に向かう星々、豊かな星で繁栄する生物の楽園、それらが犇めき合う現世で、ある世界は一際生命の誕生と終息が繰り返されていた。
とある時代、とある宇宙、とある銀河の片隅の、小さな惑星だった。
数ある文明の中、最も世界の根幹に関わると言われつつ、発展には最長の道をかけ世の理の深奥に辿り着いた者はまだいない魔法文明がある。
そんな実はありふれ、多く存在する魔法の文明を持つ星を駆ける一人の科学文明の世界から転生した男、そして彼の仲間達の極小の短い物語をここに記す。
*****
「お前何やらかしてんだ!もうちょっと頭使うこと覚えろよ!魔法の練習と称して魔物の巣の中に火の玉ブッパとか脳細胞全滅でもしてんの!?」
「あ~もううるっさいな!暇なら向こう行って魔法の威力調整の練習でもしてろって言ったのリーダーじゃん!」
「その練習台に魔物の巣窟を使えとは一言も言ってませんが!」
「魔物の巣窟に魔法ぶち込むなと注意しなかったリーダーの監督責任!」
「そこは常識使えよ!」
「まあまあ二人共落ち着いて下さい」
「「この状況で落ち着くなんて出来る訳ないだろ!」」
責任転嫁し合う二人を余所に傍の冷静さを伺わせる淑女が両者を嗜める。
勿論、魔法の出力調整と言われながら全力の爆炎を魔物が蔓延る洞窟の中に炸裂させ、事態を狂わせた少女の方が悪いのだが、リーダーが未熟な後輩を一人で森に放ったのもまた事実。
少なくとも、一行は桃髪の少女を監視無しに野放しにしたら数多の災害が顕現し、終末の伝承が現実と化し、疫病が蔓延する人類滅亡待ったなしの世界が具現化する事を悟っただろう。
それだけでも収穫と言えるかどうかは......今後の事を考えれば楽観的に見ていい方なのかもしれない。
現在三人は絶賛逃走中である。
某サングラスと黒スーツの男達からではなく、大熊の大群からだが。
一行は脅威的な圧倒的物量を見せつける軍勢から全力で街道、即ち人気のある方向へと奔走している。
濃密な森の中、応戦しようもない狭い空間から広い平原に誘導すればなんとか抵抗できるかもしれない。
戦闘しにくい森の中で為す術なく惨殺されるよりかは自分達のフィールドへ持ち込めば多少は抗いようがある。
無論、この状況がかなり面倒なのは事実なので、苛ついた青髪のリーダーが怒りの鉄槌を鮮やかな桃色の髪を振り乱す少女の頭頂へと見舞う。
「痛い!何してんのリーダー!?」
「ローズさん、自業自得です」
「だから何で!?」
問題の元凶、隊長格の男にピンク頭と罵られる少女、ローズがいきなりの激痛に顔をしかめ悲鳴を上げると、青髪の長身が期待通りの反応とばかりに満足げな表情を見せる。
経緯を察した知的な雰囲気を纏った女性がローズを諭すが、そもそも言葉で怒られる理由がわかるだけの知性があったら元々この事態を招いたりしないだろう。
「そもそも熊が群れてるなんて知らなかったんだけど!普通ああいう大型の魔物は単体で生息してるんじゃないの!?」
「知らねぇよ!とにかくさっさと走れ!平原出たら迎え撃つぞ!」
「今度ローズには勉強が必要ですね」
「うっ・・・・・・!」
ザマァ!と言いたげな感情を満面の笑みで表現する大男が一瞬同情すべきなのかと逡巡する。
しかし、これもやはり必要な犠牲というか喜んで捧げるべき生け贄だと思うと、その日は何の予定を入れとこうかと熊の群勢から疾走中なのに上の空になっている様子から男の性格は分かりやすいと言うべきだろう。
そして暫くの逃走劇の末、三人組の視界が唐突に爽やかな薄緑に染まり、広大な草原が一行を包囲する。
それは透き通るような青い空と漂う真綿の白い雲の下、気持ちいい太陽の光が降り注ぐ心休まる安らぎの草原にもなれたであろう。
ーーー全力疾走中の三人組の背後から地響きと無数の咆哮が大地を揺るがしながら刻一刻と距離を詰めていなければ。
現実の再確認を一瞬で後悔する。
「ねえリーダー!?どうすんの!?」
事態の元凶が完全に人任せで指示を仰ぐと、それに堪えかねた男が狂乱しそうに憤怒の表情で恐るべき鬼気を放出する。
それを全精神を賭し憤激を抑止するリーダーを見かね、一行の冷静さを請け負う淑やかな女性、ネリアが口を挟む。
「リーダー、気持ちは分かりますが指示をお願いします」
全くの正論に答えが出せず、男が舌打ちする。
そして思考を切り替えたのか、即座に指令を出す。
「わあ"ったよ!取り敢えず迎撃体勢!ローズは大地の防壁、ネリアは弓矢で援護頼む!俺は極雷を叩き込む!行くぞ!」
ローズが大熊の軍勢を取り囲むように高い土の壁を展開し、ネリアが軽業でその壁の上へと登り、弓矢を構え、次々と魔物の急所を狙い撃つ。
そして当のリーダー、青髪の男、ソウはと言うとーーー
「リーダーさっさと登って!?私の腕が持たないから!ていうかリーダーなんで一人で登れないのよこんな低い壁!」
「俺はな、自慢じゃないが、筋肉あるように見えて、実は自分の体重支える事すら不可能なハリボテ筋力しかないんだよ!」
ローズに担いで貰って土壁を登ろうとしている。
無論、壁の向こう側に魔法を撃ったとしても撃ち漏らしが出るのは確実なので、きちんと狙いを定められる壁の上が一番の立地なのだが、如何せんこの体たらくである。
男が今更になって指示を後悔しているが、時すでに遅しだ。
なんとかギリギリローズに担ぎ上げて貰い、肩で息しながらやっとの思いで壁の上に乗るとーーー
「終わりましたよリーダー」
「俺の出番なかったな!?ていうか優秀過ぎるわネリアさん!」
「お世辞が上手くなりましたねリーダー?」
「いや本気でガチのマジで!」
余談ではあるが、このソウという男、実は地球の日本から転生した異世界人である。
この世界の住民のネリアがソウが壁を登る数十秒の間に少なくとも二桁は軽く越えていた数の熊の軍勢を全て仕留めた。
今その神業への称賛が男の脳内で溢れ、敵勢全てを一撃で急所への射撃で絶命させたとすると一頭数秒もないという計算になると暗算する。
地球のマシンガンとかなら納得できるが、弓矢でそれだと最早世界の頂点に君臨する最強の弓使い、それも流石異世界ファンタジーという域に迫る凄技だ。
「・・・・・・」
「でどうすんのリーダー?」
後ろからローズが駆け寄って来て軽々と土壁へと飛び乗る。
「そうやってさりげなく俺の精神的ダメージ増える事やめろよな・・・・・・」
「リーダーなんか言った?」
「何でもない!」
魔物の迎撃も終わった事だし、魔物の素材を剥ぐのをちゃちゃっとやってしまおうと、ソウが動き出すと、
「それじゃこの群れの解体とかを……待てよ?ちょっとお前らに任せた」
「え?なんでリーダーだけ……あ、そういう事ねいってらっしゃい」
「リーダーなるべく早く戻ってきて下さい。ローズさん、勉強会が賑やかになりますね!」
「うぅっ……」
男が怒りと呆れの混在する表情をして立ち上がると、二人が見送る。
二人の視線を浴びながら、ソウは浮遊魔法で地面から少し浮かび、風魔法で熊から逃げてきた方向、街道の方へと飛翔する。
因みに先程壁を登るのに使わなかったのはただ単純に忘れていたからである。
最も、人には言えないが、ソウの風魔法の威力調整はローズと同レベルなので、使っても一方向へ向かって全力飛行するだけなので結果的には思い出していても使い物にはならなかっただろう。
街道付近に着陸し、熱源感知を発動する。
近隣には特に魔物も人間の気配も無い……と思いきや街道の反対側、小さな林から人間の反応を探知する。
男がその方向に向かって走って行くと、丁度その熱源反応が一本の木の裏から歩み出る。
「あ、ソウ!そろそろ危険は去って……どぐぅ!?」
「せめて俺らにも危険の事教えてけよ!何一人で戦場離脱してんだ!」
「いきなりの爆走から膝蹴りは無くない!?しかもあそこは戦場じゃなかった……戦場予定地だっ……おぶぅ!?」
「論点そこじゃねぇ!」
この男、ローズが魔法の練習に森の奥へと行った後、リーダーの命令で様子を見に行ったのだが、色々と未来予知した結果、一人で全力で爆走して逃走し、その少し後にローズが魔物の大群を引き連れて来たのである。
思わず二度蹴ってしまったのも無理はない。
「ソウ~、結局どうなってんの?」
涙目で頭頂部を繊細な動きでさすりながら男ーーレイが尋ねる。
「熊の群勢は倒した。お前はネリアの勉強会にローズとの参加だ。頑張れよ」
「ゲ~死ぬ奴じゃん」
「お前の仕出かした事考えりゃ妥当だろ?潔く勉強会と名ばかりの拷問地獄に落ちてこい」
「終わった……」
そうして二人は女子組の方へと解体の手伝いをしに戻っていったのであった。
*****
とある地球という科学の元に発展した星、そこから転生し、魔法の世界へと迷い込み、日々を魔物討伐という名の害獣駆除に費やす男、ソウの日常、その一幕。
科学文明の上に成り立つ世界、剣と魔法で日々害獣を駆逐する世界、宇宙の理にすら干渉する超科学的な世界、「死」という概念が存在しない世界、そしてそれを超える遥か多くの文明社会が散らばるという世が、創世によって齎されたのだ。
創造される世界、破滅に向かう星々、豊かな星で繁栄する生物の楽園、それらが犇めき合う現世で、ある世界は一際生命の誕生と終息が繰り返されていた。
とある時代、とある宇宙、とある銀河の片隅の、小さな惑星だった。
数ある文明の中、最も世界の根幹に関わると言われつつ、発展には最長の道をかけ世の理の深奥に辿り着いた者はまだいない魔法文明がある。
そんな実はありふれ、多く存在する魔法の文明を持つ星を駆ける一人の科学文明の世界から転生した男、そして彼の仲間達の極小の短い物語をここに記す。
*****
「お前何やらかしてんだ!もうちょっと頭使うこと覚えろよ!魔法の練習と称して魔物の巣の中に火の玉ブッパとか脳細胞全滅でもしてんの!?」
「あ~もううるっさいな!暇なら向こう行って魔法の威力調整の練習でもしてろって言ったのリーダーじゃん!」
「その練習台に魔物の巣窟を使えとは一言も言ってませんが!」
「魔物の巣窟に魔法ぶち込むなと注意しなかったリーダーの監督責任!」
「そこは常識使えよ!」
「まあまあ二人共落ち着いて下さい」
「「この状況で落ち着くなんて出来る訳ないだろ!」」
責任転嫁し合う二人を余所に傍の冷静さを伺わせる淑女が両者を嗜める。
勿論、魔法の出力調整と言われながら全力の爆炎を魔物が蔓延る洞窟の中に炸裂させ、事態を狂わせた少女の方が悪いのだが、リーダーが未熟な後輩を一人で森に放ったのもまた事実。
少なくとも、一行は桃髪の少女を監視無しに野放しにしたら数多の災害が顕現し、終末の伝承が現実と化し、疫病が蔓延する人類滅亡待ったなしの世界が具現化する事を悟っただろう。
それだけでも収穫と言えるかどうかは......今後の事を考えれば楽観的に見ていい方なのかもしれない。
現在三人は絶賛逃走中である。
某サングラスと黒スーツの男達からではなく、大熊の大群からだが。
一行は脅威的な圧倒的物量を見せつける軍勢から全力で街道、即ち人気のある方向へと奔走している。
濃密な森の中、応戦しようもない狭い空間から広い平原に誘導すればなんとか抵抗できるかもしれない。
戦闘しにくい森の中で為す術なく惨殺されるよりかは自分達のフィールドへ持ち込めば多少は抗いようがある。
無論、この状況がかなり面倒なのは事実なので、苛ついた青髪のリーダーが怒りの鉄槌を鮮やかな桃色の髪を振り乱す少女の頭頂へと見舞う。
「痛い!何してんのリーダー!?」
「ローズさん、自業自得です」
「だから何で!?」
問題の元凶、隊長格の男にピンク頭と罵られる少女、ローズがいきなりの激痛に顔をしかめ悲鳴を上げると、青髪の長身が期待通りの反応とばかりに満足げな表情を見せる。
経緯を察した知的な雰囲気を纏った女性がローズを諭すが、そもそも言葉で怒られる理由がわかるだけの知性があったら元々この事態を招いたりしないだろう。
「そもそも熊が群れてるなんて知らなかったんだけど!普通ああいう大型の魔物は単体で生息してるんじゃないの!?」
「知らねぇよ!とにかくさっさと走れ!平原出たら迎え撃つぞ!」
「今度ローズには勉強が必要ですね」
「うっ・・・・・・!」
ザマァ!と言いたげな感情を満面の笑みで表現する大男が一瞬同情すべきなのかと逡巡する。
しかし、これもやはり必要な犠牲というか喜んで捧げるべき生け贄だと思うと、その日は何の予定を入れとこうかと熊の群勢から疾走中なのに上の空になっている様子から男の性格は分かりやすいと言うべきだろう。
そして暫くの逃走劇の末、三人組の視界が唐突に爽やかな薄緑に染まり、広大な草原が一行を包囲する。
それは透き通るような青い空と漂う真綿の白い雲の下、気持ちいい太陽の光が降り注ぐ心休まる安らぎの草原にもなれたであろう。
ーーー全力疾走中の三人組の背後から地響きと無数の咆哮が大地を揺るがしながら刻一刻と距離を詰めていなければ。
現実の再確認を一瞬で後悔する。
「ねえリーダー!?どうすんの!?」
事態の元凶が完全に人任せで指示を仰ぐと、それに堪えかねた男が狂乱しそうに憤怒の表情で恐るべき鬼気を放出する。
それを全精神を賭し憤激を抑止するリーダーを見かね、一行の冷静さを請け負う淑やかな女性、ネリアが口を挟む。
「リーダー、気持ちは分かりますが指示をお願いします」
全くの正論に答えが出せず、男が舌打ちする。
そして思考を切り替えたのか、即座に指令を出す。
「わあ"ったよ!取り敢えず迎撃体勢!ローズは大地の防壁、ネリアは弓矢で援護頼む!俺は極雷を叩き込む!行くぞ!」
ローズが大熊の軍勢を取り囲むように高い土の壁を展開し、ネリアが軽業でその壁の上へと登り、弓矢を構え、次々と魔物の急所を狙い撃つ。
そして当のリーダー、青髪の男、ソウはと言うとーーー
「リーダーさっさと登って!?私の腕が持たないから!ていうかリーダーなんで一人で登れないのよこんな低い壁!」
「俺はな、自慢じゃないが、筋肉あるように見えて、実は自分の体重支える事すら不可能なハリボテ筋力しかないんだよ!」
ローズに担いで貰って土壁を登ろうとしている。
無論、壁の向こう側に魔法を撃ったとしても撃ち漏らしが出るのは確実なので、きちんと狙いを定められる壁の上が一番の立地なのだが、如何せんこの体たらくである。
男が今更になって指示を後悔しているが、時すでに遅しだ。
なんとかギリギリローズに担ぎ上げて貰い、肩で息しながらやっとの思いで壁の上に乗るとーーー
「終わりましたよリーダー」
「俺の出番なかったな!?ていうか優秀過ぎるわネリアさん!」
「お世辞が上手くなりましたねリーダー?」
「いや本気でガチのマジで!」
余談ではあるが、このソウという男、実は地球の日本から転生した異世界人である。
この世界の住民のネリアがソウが壁を登る数十秒の間に少なくとも二桁は軽く越えていた数の熊の軍勢を全て仕留めた。
今その神業への称賛が男の脳内で溢れ、敵勢全てを一撃で急所への射撃で絶命させたとすると一頭数秒もないという計算になると暗算する。
地球のマシンガンとかなら納得できるが、弓矢でそれだと最早世界の頂点に君臨する最強の弓使い、それも流石異世界ファンタジーという域に迫る凄技だ。
「・・・・・・」
「でどうすんのリーダー?」
後ろからローズが駆け寄って来て軽々と土壁へと飛び乗る。
「そうやってさりげなく俺の精神的ダメージ増える事やめろよな・・・・・・」
「リーダーなんか言った?」
「何でもない!」
魔物の迎撃も終わった事だし、魔物の素材を剥ぐのをちゃちゃっとやってしまおうと、ソウが動き出すと、
「それじゃこの群れの解体とかを……待てよ?ちょっとお前らに任せた」
「え?なんでリーダーだけ……あ、そういう事ねいってらっしゃい」
「リーダーなるべく早く戻ってきて下さい。ローズさん、勉強会が賑やかになりますね!」
「うぅっ……」
男が怒りと呆れの混在する表情をして立ち上がると、二人が見送る。
二人の視線を浴びながら、ソウは浮遊魔法で地面から少し浮かび、風魔法で熊から逃げてきた方向、街道の方へと飛翔する。
因みに先程壁を登るのに使わなかったのはただ単純に忘れていたからである。
最も、人には言えないが、ソウの風魔法の威力調整はローズと同レベルなので、使っても一方向へ向かって全力飛行するだけなので結果的には思い出していても使い物にはならなかっただろう。
街道付近に着陸し、熱源感知を発動する。
近隣には特に魔物も人間の気配も無い……と思いきや街道の反対側、小さな林から人間の反応を探知する。
男がその方向に向かって走って行くと、丁度その熱源反応が一本の木の裏から歩み出る。
「あ、ソウ!そろそろ危険は去って……どぐぅ!?」
「せめて俺らにも危険の事教えてけよ!何一人で戦場離脱してんだ!」
「いきなりの爆走から膝蹴りは無くない!?しかもあそこは戦場じゃなかった……戦場予定地だっ……おぶぅ!?」
「論点そこじゃねぇ!」
この男、ローズが魔法の練習に森の奥へと行った後、リーダーの命令で様子を見に行ったのだが、色々と未来予知した結果、一人で全力で爆走して逃走し、その少し後にローズが魔物の大群を引き連れて来たのである。
思わず二度蹴ってしまったのも無理はない。
「ソウ~、結局どうなってんの?」
涙目で頭頂部を繊細な動きでさすりながら男ーーレイが尋ねる。
「熊の群勢は倒した。お前はネリアの勉強会にローズとの参加だ。頑張れよ」
「ゲ~死ぬ奴じゃん」
「お前の仕出かした事考えりゃ妥当だろ?潔く勉強会と名ばかりの拷問地獄に落ちてこい」
「終わった……」
そうして二人は女子組の方へと解体の手伝いをしに戻っていったのであった。
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とある地球という科学の元に発展した星、そこから転生し、魔法の世界へと迷い込み、日々を魔物討伐という名の害獣駆除に費やす男、ソウの日常、その一幕。
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