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ロザリア宛の手紙 1
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ダブルデートから一夜明けた朝。執事に戻ったアンディは、ベッドの上で起き上がり、大きく伸びをした。
(…ふぅ。今日からアンディに戻って仕事再開か。執事服に戻れるのは嬉しいし、仕事も楽しいけど…)
不意にアンディの視線が、机の上に置かれている薔薇のコサージュに向き、耳が熱くなった。
もうアナベルに戻る必要がなくなったのに、そのコサージュを見ると、またアナベルになってオズワルドの側にいたい気持ちが、ムクムクと湧き上がりそうになる。
けれど、オズワルドへの恋心を封印すると決めた手前、アナベルに戻る訳にはいかない。
ベッドから起き上がって、机の前に向かい、アンディは薔薇のコサージュを手にした。
(確かこのコサージュは、ランチを摂った後に渡されたんだっけ。あのカフェのハンバーグは本当に美味しかったなぁ。結構好みだったし。…でも、もうアナベルには戻らないって決めたんだ。これは空の箱に入れてクローゼットの中に仕舞おう)
思いったったらすぐさま、アンディはコサージュを持ってクローゼットまで歩いて行き、その中にある空の木箱にそのコサージュを入れて蓋を閉じる。
まるで、本当に恋心までもを入れて閉じ込めたかのような感覚もして、少し寂しいけれど、それも気のせいだと首を横にブンブンと振った。
(さて、執事服に着替えて準備するか。確かまだリュドウィック殿下から『この日に来る』という連絡は来ていなかったようだけど…)
クローゼットの中から執事服を取り出して着ながら、とりあえず今後の予定を頭の中で考える。
そして、完璧な執事に身を包んだあとすぐに、突然屋敷のベルが鳴り、アンディは慌てて玄関へと足を運んだ。
どうやら屋敷の外で待っていたのは、王室御用達の郵便配達員。
彼は笑顔を浮かべたまま、鞄から一通の封筒を取り出して、アンディに渡した。
「すみません。こちらは、エンブレスト伯爵邸で間違いありませんよね?」
「あ、はい。そうですが…」
「ああ!それは良かったです!こちら、第一王女のリディア様からロザリア・エンブレスト様へのお手紙でございます」
「ええっ!?リュドウィック殿下からではなく!?」
「?はい。どうやら、リュドウィック殿下と仲がいいロザリア様と、ぜひお茶会を開きたいとの事でして。…ああ、そういえばリディア様はご存じでしょうか?」
「は、はい…まぁ…」
急に郵便配達員からリディアの話を振られて、アンディは曖昧な返事をした。
リディアの事は噂でしか聞いた事がないが、あまり社交界に姿を現さない高嶺の花らしい。
しかも、いつも離宮に引き篭もっているイメージしかないため、なぜお茶会を開こうとロザリアを誘ったのか、少し疑問に思った。
(うーん。もしやリディア様、ロザリア様にリュドウィック殿下の事を根掘り葉掘り聞くんじゃ…。でも、一体どういう人なんだろう…)
そもそもアンディはリディアに会った事すらないので、どういう会話が繰り広げられるのか分からず、頭を悩ませる。
けれど、リディアは女性のため、きっとロザリアは嬉々としてこの手紙を受け入れて、お茶会に参加するだろう。
とりあえずアンディは、渡された封筒を持って「ありがとうございます」と郵便配達員にお礼を言ったあと、玄関の扉を閉めてロザリアの所に向かった。
(…ふぅ。今日からアンディに戻って仕事再開か。執事服に戻れるのは嬉しいし、仕事も楽しいけど…)
不意にアンディの視線が、机の上に置かれている薔薇のコサージュに向き、耳が熱くなった。
もうアナベルに戻る必要がなくなったのに、そのコサージュを見ると、またアナベルになってオズワルドの側にいたい気持ちが、ムクムクと湧き上がりそうになる。
けれど、オズワルドへの恋心を封印すると決めた手前、アナベルに戻る訳にはいかない。
ベッドから起き上がって、机の前に向かい、アンディは薔薇のコサージュを手にした。
(確かこのコサージュは、ランチを摂った後に渡されたんだっけ。あのカフェのハンバーグは本当に美味しかったなぁ。結構好みだったし。…でも、もうアナベルには戻らないって決めたんだ。これは空の箱に入れてクローゼットの中に仕舞おう)
思いったったらすぐさま、アンディはコサージュを持ってクローゼットまで歩いて行き、その中にある空の木箱にそのコサージュを入れて蓋を閉じる。
まるで、本当に恋心までもを入れて閉じ込めたかのような感覚もして、少し寂しいけれど、それも気のせいだと首を横にブンブンと振った。
(さて、執事服に着替えて準備するか。確かまだリュドウィック殿下から『この日に来る』という連絡は来ていなかったようだけど…)
クローゼットの中から執事服を取り出して着ながら、とりあえず今後の予定を頭の中で考える。
そして、完璧な執事に身を包んだあとすぐに、突然屋敷のベルが鳴り、アンディは慌てて玄関へと足を運んだ。
どうやら屋敷の外で待っていたのは、王室御用達の郵便配達員。
彼は笑顔を浮かべたまま、鞄から一通の封筒を取り出して、アンディに渡した。
「すみません。こちらは、エンブレスト伯爵邸で間違いありませんよね?」
「あ、はい。そうですが…」
「ああ!それは良かったです!こちら、第一王女のリディア様からロザリア・エンブレスト様へのお手紙でございます」
「ええっ!?リュドウィック殿下からではなく!?」
「?はい。どうやら、リュドウィック殿下と仲がいいロザリア様と、ぜひお茶会を開きたいとの事でして。…ああ、そういえばリディア様はご存じでしょうか?」
「は、はい…まぁ…」
急に郵便配達員からリディアの話を振られて、アンディは曖昧な返事をした。
リディアの事は噂でしか聞いた事がないが、あまり社交界に姿を現さない高嶺の花らしい。
しかも、いつも離宮に引き篭もっているイメージしかないため、なぜお茶会を開こうとロザリアを誘ったのか、少し疑問に思った。
(うーん。もしやリディア様、ロザリア様にリュドウィック殿下の事を根掘り葉掘り聞くんじゃ…。でも、一体どういう人なんだろう…)
そもそもアンディはリディアに会った事すらないので、どういう会話が繰り広げられるのか分からず、頭を悩ませる。
けれど、リディアは女性のため、きっとロザリアは嬉々としてこの手紙を受け入れて、お茶会に参加するだろう。
とりあえずアンディは、渡された封筒を持って「ありがとうございます」と郵便配達員にお礼を言ったあと、玄関の扉を閉めてロザリアの所に向かった。
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