あっぱれ!我が青春!

ネズミトリ

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転校生は、なんか面白い奴(ミヤビside)

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 人生は、ただただ何事もなく過ぎ去っていく。

 こんな片田舎の男子高に通っていれば、面白い事を探す気力さえもない。
 家からチャリ走らせて、学校で授業を受けて、自作の茶色い弁当食って。そして、また授業を受けてから、チャリで家に帰る。

 隣町にある大型ショッピングモールには車を使わないといけないし、チャリだと1時間かかる。
 まぁ、ショッピングモール行きのバスは、あるにはあるけど、良くて1時間に2本のみ。

 とにかく、この町は不便で仕方がない。だから、今日転校生が来たとしても、面白くない一日が始まるんだろうなって事しか思わない。
 …それなのに…。

「えっと、牧方雄志です!小学生まで台湾で育って、中学の頃は東京都内に。そして先週、親の転勤でここに引っ越してきました!中国語は少し喋れるぐらいで、あと、中学までサッカーやってました!ぜひクラスの皆と仲良くなりたいです!よろしくお願いします!」

 なっ、なんだこの転校生!体育会系かっ!
 さっぱりとした短髪の黒髪に、精悍な顔立ちをした長身の転校生は、俺から見たら『面白いぞ』オーラを出した変な奴だった。

 しかも、あの牧方って奴、『台湾で育った』って言った!?中国語話せんの!?しかも都会育ちって、数年前の俺と同じかぁ…!

 あ、そうそう。言い忘れてたわ。俺、中学生の時にこっちに越してきたから、こう見えて元東京都民なんだよ。
 これは、元東京都民として仲良く出来んじゃね?

 俺は、座っている席から少し身を乗り出して、期待を込めながら牧方を見る。
 すると、牧方は目を大きく開けたかと思うと、次の瞬間真っ先に俺に向かって歩き始めた。
 そして、彼は俺に手を差し伸べたかと思うと、こんな衝撃的な告白をしたのだった。

「磯村くん、初めまして!牧方雄志です!君に一目惚れしました!俺と付き合ってください!」
「……え?」

 …は!?…マジか。嘘だろ…?
 俺、初めて男に告白されたわ。しかも一目惚れって…。
 俺の兄ちゃん(ゲイ)もよく男女問わず告白されてたけど、マジかぁ…。俺、まさかのモテ期突入?

 …うーん…まぁ、俺も恋愛対象が男のゲイだけど、いきなり告白は驚くんだよなぁ…。
 でも、こんなにも顔を赤くして「今のはあの、間違いで…えっとぉ…」って弁明している牧方を見ていると、可愛くて面白いなって、ちょっとからかいたい思ってしまうのも事実で。

 とにかく、どんな形でも牧方と仲良くなるチャンスだし、返事を返さないと。

「あー…別にいいよ。俺もゲイだし、告白されたの初めてだし、お前面白そうだから。友達からにする?恋人からにする?」
「!?」

 …ふはっ!牧方の顔がさらに赤くなって、ゆでダコになってる!なんか面白れぇ!
 こんなに面白い奴が俺の側にいると、きっと人生退屈じゃなくなりそうだな。

「あっ!じゃあ、恋人からお願いしますっ!」
「ふはっ!…本当は『友達から~』とか言うのが王道だけど、まぁいっか。あと、俺の名前は磯村雅って言うんだ。よろしくね、ユウシ」
「はいっ!よろしく、ミヤビ!」

 こうして、俺は転校生が来た日に、面白い男(恋人)を手に入れたのであった。
 ふっ、これからコイツをどうからかって遊ぼうかなぁ…。楽しみだ。
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