あっぱれ!我が青春!

ネズミトリ

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恋人らしいこと、出来てる!…けど…?(ユウシside)

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 どうもどうも~。ただいま恋人とイチャイチャ真っ最中の、牧方雄志でっす!うはは~!
 と言っても、バイトが終わった後に、ミヤビと手を繋いでショッピングモールを歩いてるんだけどなっ!

 なんか…なんかっ!これってデートだよな!?デート!ミヤビと初デート!!
 どうしよう!浮かれすぎて、顔がニヤけるううううう!!

「ふはっ!ユウシ、笑顔通り越して、顔がすごくブサイクだぞ?」
「ふぁっ!?」

 うわあああああ!愛しのミヤビに笑いながら指摘されたあああああああ!!
 嬉しい!嬉しいけど、顔がっ!顔が元に戻らないぞ!?

 なんとか自分の顔を元に戻そうと、俺はミヤビと繋いでいない方の手で顔を押さえる。
 けれど、表情筋が戻らない!なんてこったっ!

「…う、うぐぅぅ…。はぁ、はぁ…。も、戻らない…。戻らないよ、ミヤビ!」
「ん?顔、戻ってるけど?」
「へあっ!?マジ!?」
「あ。元のブサイクに戻った。ふっ、あはははははは!」
「のっのおおおおおおお!!」

 だ、ダメだ…。なんとかして顔を元に戻そうとしても、一瞬しか戻せない…。
 しかも、ミヤビったら、俺の顔見て腹抱えて笑ってるし!すごく可愛いけども!
 ど、どうすればいいんだ!このままミヤビを見続けてしまったら、『ブサイクユウシくん』のままになって、カッコいいって言われなくなるっ!!

「ふはっ!ま~た心の声が口に出てるぞ、ユウシ。言っておくけど、別に顔はどうでもいいし、むしろブサイク顔すごく面白くて俺は好きだし。けど、中身はもっと面白くてカッコいいユウシのままだろ?」
「はうっ!!」

 うおわあああああああ!!愛しのミヤビに『カッコいい』って言われたあああああ!!
 しかも中身をっ!中身を言われたぞ!?顔じゃなくて!
 っは~!やっぱり俺、ミヤビが好きだ!
 俺をからかってる感は否めないけど、それでも素直に俺自身を好いてる感じすごくする!

 ああもう、抱きしめたい!その場でギュッとミヤビを抱きしめたい!!
 …けれど、ここで抱きしめるのもなんだし、人目があるから我慢しよう。

 俺はミヤビの言葉で少し悶えたあと、深呼吸をして冷静になった。

 よくよーく考えたら、俺たちは今、恋人らしい事してるんだよな?
 手を繋いで、ショッピングモール歩いてデートして、たわいもない話で笑い合って。
 でも…何かが足りない気がする。…何が足りないんだ?
 とりあえず、一旦ミヤビに聞いてみるとするか。

「なぁ、ミヤビ。俺たちって今、恋人らしいことしてるよな?」
「ん?あー…確かに。…ちょっと、照れるけどな」
「でも、何かが足りない気がするんだよ。何が足りないんだろうなぁ」
「あぁ、そのこと?なら知ってるけど」
「えっマジ!?本当!?」

 ミヤビが足りないものを知ってると分かり、俺は前のめりになって、ミヤビに顔を近付ける。
 すると、ミヤビは顔を少し赤くしながら、ハッキリとこう言ったのだった。

「だって…俺たち、まだキスしてないだろ?あと…せ、セックスも…」
「セッ!?そ、それってあのっ、あのっ!AVでよくある!?」
「うわっ!声うるさっ!まぁ…ここでは詳しく言えないけど…裸でアンアンするやつな」
「グッフゥ!!」

 ミヤビから『裸でアンアンするやつ』という言葉を聞き、ミヤビの裸を想像した俺は、気が付いたら鼻血を出してその場に倒れ込んでいた。

 や、ヤバいヤバいヤバいヤバい!!ミヤビの言う『裸』の破壊力ヤバい!まだ実際にミヤビの裸は見てないけど!!
 この状態で鼻血出すとか、俺ヤバいヤツじゃん…。もし本当にセックスするってなったら、生きていられるかな、俺…。

 こうして、見事にぶっ倒れた俺は、俺の事を心配して慌てたミヤビにおんぶされたまま、ショッピングモールの医務室に運ばれたのだった…。
 …ごめんよぉ、ミヤビィ…。次はちゃんと埋め合わせするからな!!
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