異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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第三章 ここは彼方の理想郷

その1 これは! 侵略だ!

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 おまわりさんが来た。
 幸い、老婆にも俺にも怪我はなく、俺はすぐに開放された。
 運転手は説教を受けている。
 老婆はお礼に花束と鉢植えをくれた。
 退院祝いにもらったらしいが、重たくて難儀していたらしい。
 丁寧に断ったが、押しに負けた。
 
 再び俺はデートの待ち合わせ場所に向かう。
 多少のトラブルはあったものの、時間は十分にある。
 だが、俺は知っている。
 二度あることは三度ある。
 ここは、事前に手を打っておくべきだ。
 俺は彼女に『ごめん、交通トラブルでちょっと遅れるかもしれない』とスマホでメッセージを送った。
 もちろん立ち止まってである。
 歩きスマホでもしていたら危険だからな。
 ほら、あんなスマホ持ちたてで夢中になっている女子中学生のように。
 えっ!?
 案の定、女子中学生は赤信号の横断歩道に突入した。

 俺はおっぱいが好きだ。
 そして人は希望を求めるものである。
 おっぱいは希望だ。
 だから俺は駆ける。
 俺の渾身のタックルが女子中学生を歩道へ押し戻す。
 タイミングはばっちりだ。
 ダンプカーの突っ込んでくるタイミングが……
 花束がちゅうに舞った。

 ◇◇◇◇◇

 「このままでは、負けます。みこよ、ここは負けを受け入れるべきです!」
 「神様が来ます。神様がられれば、ヒトは負けません!」

 固い石の感触、どうやら俺は盛り上げられた祭壇の上に居るらしい。
 ああ、再び俺は異世界に来たらしい。

 「そう言われて、何度も神様に捧げものをしたではないですか。もはや神様は死んだのです」
 
 えっ!? 俺が死んだ事になっている!?

 「次こそは必ず! 必ず神様が降られます!」
 「その次までの時間がないと言っているのです!」

 あー、何かトラブルっぽいな。
 
 「その必要はない。心配の必要もない。安心せよ、俺が来た!」
 「かみ……さま!?」
 
 祭壇の下から二人が俺を見上げる。
 白い布のゆったりしたワンピースの女の子と、白い腰巻を着た男だ。

 「神様! 神様が降られたぞー!」
 「なぜ……」

 俺はゆっくりと祭壇を降りる。

 「説明せよ」

 俺の言葉に男が口を開いた。
 うーん、できれば女の子に説明して欲しかったのだが、まあいいか。
 ん、その女の子の姿に俺は違和感を覚える。
 おっぱいが小さいのだ。

 「神様、今、ヒトは戦争中であります。ヒトは負け続け、もはや負けを認めるしかないかと……」

 ん、戦争中!? しかも状況は劣勢!?

 バァーン

 会話中に扉が開き、何者かが侵入して来た。

 「ここ、おれたちのもの、ひと、しもべになれ!」
 「使者殿、今、神様を説得中でして……」

 どうやら、あれが人類の敵らしい。
 うん、二足歩行するトカゲだな。
 もう、驚かないよ、ここはファンタジー世界だ。
 
 「ひと、しもべにならないとこうなる」

 そう言って爬虫人類レプティリアンは剣を抜く。
 剣!? 俺があえて教えなかった道具だ!
 狩りの道具でもなく、ヒトがヒトと戦うために生まれた武器、それが剣。
 狩りなら槍でいい、伐採なら斧の方がいい、解体や調理ならナイフだ。

 ヒュ!

 投げやがった!
 投擲の先は俺の隣の女の子である。
 ふざけんな!
 貧乳だろうがおっぱいは守らなくてはならない。
 俺はその剣を中空でパッと掴む。
 ありがとう父さん! 
 『男なら女の子を守れる強さを身に着けねばならない』
 その言葉の意味がやっと分かったよ!

 「ふん」

 俺は気だるそうにその剣を眺める。

 「そら、返すぞ」

 俺は刀身の部分を持ち、柄を相手に向け、歩み寄る。
 投げ返してもよかったのだが、相手に余裕を見せたい。
 あれ? これ鉄だな。
 鉄鉱石とその製法を見つけれたのかな?

 「あ、ああ」

 爬虫人類レプティリアンはそれを受け取る。

 「かみ、ばか」

 そう言って、爬虫人類レプティリアンは切りかかる。
 だが、俺に言わせれば、愚かなのは爬虫人類レプティリアンの方である。
 いや、この程度ならトカゲ人だな。
 俺が殺気に気付かないとでも思っているらしい。
 半歩下がり、俺はその斬撃の間合いから外れる。

 「話し合う気はないようだな」

 トカゲ人は3人、まあ何とかなるかな。

 「こい、神の武芸をみせてやる」

 俺は数歩さがり、そして手招きをする。

 「おれ、ちょろーで、いちばんつよい! かみ、たおす!」

 そう叫んでトカゲ人は俺に切りかかる、ひとりで。
 よかった、これなら手加減が出来そうだ。

 トカゲ人が剣を振り回す。
 力任せの単純な剣筋だ。
 フェイントも視線も単純で、至極読みやすい。

 『剣道三倍段』という言葉がある。
 剣の間合いを見切るのに一段。
 伸びきった剣と腕の隙に懐に入る歩法で二段。
 そして、それを実践する勇気で三段だ。
 俺は懐ではなく、側面に入り込み後方に回り込む。

 「かみ、やっぱり、ばか!」

 バカはお前だ。
 尻尾を警戒しないはずがないだろう。
 俺は動き出そうとした尻尾のを掌で止め、脇に挟む。
 悪辣漢あくらつかんの尻尾を掴んだ時、救世主の採るべき行動はなんであろうか。
 やはり、ドロップキックだ。

 ドゲンッ!

 俺の垂直跳躍式ドロップキックがトカゲ人の背中に炸裂する。
 
 ぶちっ!

 あっ……
 尻尾取れちゃった……

 「ぎやー!!」

 トカゲ人の悲鳴が神殿内に響き渡る。
 俺はすまなそうに尻尾を返す。

 「おれ、の、ほこり、しっぽ……」

 トカゲ人はうるうると涙を流して泣いた。

 「おれ、かみ、ゆるさない! ちょろーのみんなで、ひと、たおす!」

 そう言いながら、トカゲ人たちは逃げていった。

 「さすがです! 神様!」
 
 女の子が俺を褒め称える。
 
 「うむ、もっと褒めるが良いぞ」

 おっと、調子に乗る前に確認しないとな。
 俺は手の甲を見る。
 左手の数字は”365”、いつもと同じだ。
 右手の数字は”ー285”……
 へ!? マイナス!?
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