異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

文字の大きさ
33 / 54
最終章 ここから始まる理想郷

その5 俺と終わりなき最終決戦

しおりを挟む
 さて、では、おっぱいスキンケアのための化粧水と石鹸を授けるとするか。
 俺はバス―とメルーとともに超すごい石の家に向かった。
 モモ―の時代より遥かに大きくなり、ちょっとした工場区画になっていた。

 「さて、これからお前たちに重要な物を授ける。肌の汚れを取り除く石鹸と、肌の保湿を助ける化粧水だ」
 「はい!」
 「まずは、確認だ。お前たちは風呂で体をどう洗う?」
 「太陽の下で温まった湯につかり、竹のヘラで垢をこそぎます」
 「巫女や長はそれに加え、香油を塗ります」 

 うーん、古代ローマっぽい。
 それでは衛生はかろうじて保てるかもしれないが、スキンケアには足りないな。
 でも香油? 
 俺の知る限り、こいつらの油といえば、ナツメヤシから採れるヤシ油、綿の実から採れる綿実油、そして動物の脂肪だ。
 樟脳の作り方を教えたので、別の素材、花とかを使って作ったのかな。
 くんくん。
 俺はバス―の首筋の匂いをかいだ。

 「ひっ、ひゃん!」

 ああ、これバラの香りだ。

 「はい、巫女は『神の棘の花の油』をまといます」

 あーそういえば、前回の転移で老婆からもらった花束にバラがあったな。
 植えておけと命じたのが功を奏したのか。
 だったら、こっちは。
 くんくん。

 「あら、神様、お戯れを」

 ほのかな、食欲をそそるナッツの香り。
 これはひまわり油だな。
 これも花束にあった物だ。

 「わたくしは『神の光の花の油』を使っています」

 うん、これはこれでよいぞ。
 油も多種に十分あるようだし、石鹸や化粧水作りは楽勝だな。
 問題は次にあるが。

 「よろしい、それでは、まず石鹸の作り方から教えよう。あわあわするやつだ」

 俺は草木灰の上澄みを取り、消石灰と混ぜて、水酸化カリウムの液を作る。

 「これ、ぬるぬるしますね」
 「強アルカリだからな、危ないから素手でさわっちゃダメだ。水で早く洗え」
 「はっ! はい!」

 それとヤシ油を鍋に入れて、火にかけてかき混ぜれて放置すれば完成だ。
 カリウム石鹸ってやつだな。
 放置すれば、液体せっけん成分とグリセリンが比重で分離する。

 「これ、あわあわします」
 「うむ、これが石鹸だ。そして下のぬるぬる成分がグリセリンだ。蒸留して不純物を除き、5%程度に水で薄めたのが化粧水だな」
 「このぬるぬるは少しエロいですね」

 うん、教えないけどエロい用途によく使われるぞ。

 「さて、次が本番だ」
 「なるほど、今のはメー様が記された前戯ってやつでしたか」

 あいつ、よけいな事を残しているな。

 「次はナトリウム石鹸を作るぞ。塩とアンモニアを持てい!」

 塩とアンモニアが俺の前に並べられた。

 「そして、次に必要なのが乙女の息吹だ」
 「はいはい! あたし乙女です!」
 「僭越ながら、わたしくも」

 間違いない、メーは『恋のハウツービギナーズ』の写本を作ったな。

 「そ、そうか、この竹筒で食塩水とアンモニアの混合液に息を吹き込むのだ」
 「はい! 御心のままに!」
 「了解致しました」

 ふぅー
 ふうぅー

 「あっ、神様! 何か白いものが出来ましたよ!」
 「炭酸水素ナトリウムだな。それを紙でして、乾燥させた物を密閉窯で空気を入れずに焼けば、炭酸ナトリウムの完成だ!」
 「結構、手間がかかりますね」
 「うむ、あと少しだ」

 この過程で出た炭酸水素ナトリウム(重曹)は別の用途にも使えるので、取り分けておこう。

 「さて、この炭酸ナトリウムと消石灰を混ぜれば、水酸化ナトリウムの完成だ! あとはさっきと同じく、油と混ぜて釜で煮れば石鹸とグリセリンが出来るぞ」
 「今度は固まってますね」
 「そうだな、この方が輸送には向いているな」
 「神様! バス―は毎日、石鹸で体を清め、化粧水で肌を守ります」
 「うむ、スキンケアは毎日の継続が重要だ。ゆめゆめ怠るな」

 出来たばかりの化粧水でおっぱいをピチピチ叩きながら、バス―は喜びの顔を見せた。
 うん、恥じらいって重要だよね。

 一方のメルーはおっぱいを持ち上げ、体をくの字に曲げながら化粧水をつけている。
 ほほう、持ち上げなくてはならないおっぱいとは、まったくけしからん!

 「これは、いいものですが……」
 「ん、何だ?」
 「みなに分け与えるには生産量が足りませんね」

 さすがインテリおっぱいメガネっ娘は痛い所を突く。

 「神様におっぱいを捧げる選ばれし者にだけ、配布すれば良いのです」
 「ですが、かつて神様はおっしゃいました『おっぱいはみな素晴らしい!』と、選ばれしおっぱいではなく、おっぱいはみな平等であると!」

 あー、なんか貧乳を気にしていたモモ―に、そんな事を言ったような気がする。

 「安心せよ、足りないのは草木灰かアンモニアであろう」

 俺は神殿の窓から見て分かっている。
 この時代は、資源が枯渇し始めている。
 木は減り、サバンナの一部は砂漠化の兆候が見られる。
 人口が増え、木や草を伐採しすぎたのだ。
 おそらく、このままでは10年は持たない。
 
 「安心せよ、この俺に任せるがいい」

 俺は筆と大きな紙を取り出し、書き始める。
 書くのは、今までこいつらに教えてきた様々な物の作り方、化学反応式だ。
 それは5つの式とひとつの答えで書かれている。

---------------------------------------------------------------------------------------------------
①炭酸カルシウム 酸化カルシウム 二酸化炭素
 CaCO3 → CaO + CO2

②酸化カルシウム 水 水酸化カルシウム
 CaO + H2O → Ca(OH)2

③塩化ナトリウム 水    アンモニア 二酸化炭素 塩化アンモニウム 炭酸水素ナトリウム
 NaCl  + H2O + NH3 + CO2 →NH4Cl +  NaHCO3

④炭酸水素ナトリウム 炭酸ナトリウム  水     二酸化炭素
 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 

⑤水酸化カルシウム  塩化アンモニウム 塩化カルシウム  水     アンモニア
 Ca(OH)2 + 2NH4Cl → CaCl2 + 2H2O + 2NH3

塩化ナトリウム 炭酸カルシウム 塩化カルシウム 炭酸ナトリウム
2NaCl + CaCO3 → CaCl2 + Na2CO3
---------------------------------------------------------------------------------------------------

 「さて、と、この意味がわかるかな?」
 化学式の基礎はメーに教えておいた。
 それを理解していれば、この式の意味する所が分かるはず。
 そして、こいつらに教えた事が無いのは⑤の式だけだ。
 
 「えっ、ちょっと、これは!? これってもしかして!?」
 「えっ、メルー、何? あたしは訳がわからないよ!」

 メルーは気づいたようだな。

 「神様! あなたこそ真の奇跡の体現者です! これで、みなに石鹸と化粧水を届けられます!」

 メルーが俺に抱きつき、顔を俺の胸板にすりすりしてくる。
 うむ、F98の威力は素晴らしいぞ!

 「何がすごいかわからないわ。ねえ、メルー、教えてよ」
 「これ、循環しているのよ! 循環! 特にアンモニアが無駄なく使えるのが素晴らしいわ!」

 反応式が書かれた紙を持って小躍りしながら、メルーが叫ぶ。
 そう、この反応は途中にアンモニアを挟む工程はあれども、そのアンモニアは別の反応で出てくる。
 使いまわせるのだ。
 結果、潤沢にある塩化ナトリウム(食塩)と炭酸カルシウム(石灰)から炭酸ナトリウムが出来る。
 炭酸ナトリウムは、これまた潤沢にある炭酸カルシウムから作られる消石灰と反応して、水酸化ナトリウムを作り、それは油と混ぜる事で、石鹸とグリセリンになるのだ。
 その正体はソルベー法。
 エルネスト・ソルベーという化学者が発見した、炭酸ナトリウムを大量に作る方法だ。

 産めよ増やせよ、おっぱいよ地に満ちよ。
 だが、おっぱいが地に満ちた時、それをケアする消耗品も地に満ちなくてはならない。
 俺のおっぱいを守る戦いは、今日も、明日も、そして未来へも続く。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

処理中です...