異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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最終章 ここから始まる理想郷

その11 俺と準備の最終決戦

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 俺はダチョウ人の背に乗り、南の山脈を登る。
 今までは登山ルートが見つからなかったが、西の端から斜めに登るルートをダチョウ人が教えてくれた。
 それでも、人類の足では困難なルートだったが、ダチョウ人の背に乗れば、快適な山の旅になった。

 「やっほー」

 俺は叫んだ。
 山からの景色は絶景で、西の果てには海も見えた。
 山を登る途中に滝も見つけた。
 大河の源流と思われる湖から流れ落ちる雄大な滝だ。
 ここは良い水力発電の場所になりそうだ。

 「メルー、ばさーと協力して、ここへの道を整えてくれ」
 「はい、ここを発電所にするのですね」
 「うむ、頼んだぞ」

 電気があれば出来る事は大幅に増える。
 電気分解や電気炉などだ。
 よしよし、俺の思った通りに良い地形があったぞ。

 「ここがドトーの旧天地」
 
 湖の上には白と緑の台地が広がっていた。
 緑は草原や森で、白は……ん!?

 「おい、ドトー! あの白いのは……」

 俺はその白い塊を持ち上げる。
 軽石のような感じだ。

 「それ! 古いバサーのうんち!」

 やっぱり!

 「神様になんてものを触らせるのです! 滅却しましょう!」
 
 バス―が叫ぶが俺はそれを上に掲げる。

 「滅却なんてとんでもない! これだけあれば、食料問題は100年は安泰だ!」

 この白い物はグアノ。
 鳥の糞や卵の殻が堆積たいせきして化石になったものだ。
 成分はリンが多く、化学肥料の素になる。
 よしよし、思わず良い物を手に入れたぞ。

 「さて、肝心の竜族だが……」
 「いないねー」
 
 あのサイズの生物がいれば見落とすはずがない。
 それに、聞いた話では、家を作るような習慣もないそうだ。
 パトー12世の話では竜の女王だけは、火山島の洞窟に住んでいるらしいが、その他の竜族は火山島のあちこちで気ままに暮らしているらしい。

 「あれが、火山島」

 山脈の上の台地に到着して、3日目にそれは見えてきた。
 かなり大きい。
 富士山くらいある。
 島の大きさは山梨県くらいだろうか。
 この大きさなら、島の生態系の頂点にドラゴンが君臨しててもおかしくないな。
 でも……

 「どうやって行くんだ?」
 「そりゃあ、バサーって飛んで!」
 「飛べるか―!」

 どうやら、ダチョウ人は空は飛べないが、滑空するくらいは出来るらしい。
 その丈夫な足腰は着地の衝撃にも耐えられる。
 だが、人は無理だ。
 うん、山から行くのは諦めよう。
 
◇◇◇◇

 「ただいま! ビールおいしい!」
 「おかえり! ビールここに!」

 パトー12世が帰ってきた。
 貢物を持たせ、竜族の住まう火山島の様子を見に行かせていたのだ。

 「で、どうだった!?」

 ぷはー!
 
 喉をごきゅごきゅと鳴らしながら、パトー12世が一息つく。

 「うん! だめだった! 交渉の余地なし!」
 「そうか、ご苦労だったな」
 「でも、こうさんは認めるって、ヒトの縄張りの半分と、肉の貢物と、ブラジャーの禁止で!」

 はい!?

 「ふざけんあ! そんな横暴が通るかー!」

 竜族の意図は全くわからないが、そんな事は許せない!
 これが、先日のニトログリセリンとダイナマイトの製造禁止だったら、考えたかもしれない。
 だが、ブラジャー禁止は認める訳にはいかない。
 おっぱいを守るため! 俺は神にでも、悪魔にでもなる!
 これは戦争だ! 人類の黒の叡智を以って竜族を倒す!

◇◇◇◇

 「おい! メルー! 電気の次のステップに進むぞ!」
 「はい! 電信ですね! 試作型はこの通り!」

 俺はメルーに電信の仕組みを教えていた。
 電線と電磁石の組み合わせで、スイッチを入れて、電流が流れると、コイルを巻いた鉄芯が電磁石となり、カチッっと音がする。
 スイッチをリズミカルに入れる事で、離れた場所でも同じようなリズムを刻む。
 そのリズムにルールを用いる事で、文字を表現するのだ。
 モールス信号ってやつだな。
 だが、これだけでは不足だ。
 いつ、どっちから来るか分からない状態では、電線の敷設が間に合わない。
 主要都市だけを電線で結ぶくらいしかできない。
 なら、その他はどうするか……

 「よし! メルー、新な科学を授けよう! 無線だ!」
 「無線?」
 「それは! 何もない虚空を電気が! 電磁波が伝わる事だ!」
 「はぁ? どんな魔法ですか!? それは!?」

 うん、魔法だと思う。
 俺がメルーの立場だったらそう思う。

 「では、電池と電線と金属版を持て! 試作品を作るぞ!」
 「はい!」

 作り方はさほど難しくない。
 金属板をオイルを染みこませた紙を交互にミルフィーユ状にすれば、コンデンサになる。
 ゴムを塗った鉄心に電線を巻いて、もうひとつ巻いて誘導コイルを作る。
 これで、鉛蓄電池程度でも高電圧が作れる。
 そして、高電圧側の回路の先に丸い金属球を近づけておけば、ヘルツ実験装置の半分が完成。
 残り半分はもっと楽だ。
 金属の輪を一部を切り取って、視力検査のような形にして、その隙間に金属球を触れ合うわなようにすればいいのだ。

 「よし、スイッチをいれろ」
 「はい!」

 バチッ!

 電池側の装置に火花が散る。
 高電圧が金属球の間に火花として流れたのだ。

 「あっ、小さい雷が出ました!」
 「うむ、だが見るべきは、あっちだ」

 俺は部屋の反対側にある、もう半分、視力検査のような金属の輪の方を指差した。
 
 「へっ? あれは、何も起きないのでは」

 そう、それはただ部屋の端に鎮座してあるだけで、電池とも繋がっていない。

 「よく見てろ」

 バチチッ!
 
 「あれ? あっちが光ったような……」

 バチチッ!

 「光りました! 神様! 光りましたよ!」
 「これが電磁波だ!」
 「すごい! これを応用すれば、わざわざ線を引かなくても、信号が送れます!」
 
 そう、これで資源と工事の手間を大幅に減らせる。
 この拙い技術では伝えられる情報は少ないが『正常』『敵襲来』程度を伝える事が出来る。
 竜族は飛行可能だ。
 それの襲来に備えはするが、毎日身構える訳にはいかない。
 襲来の合図があったら、陣地を構築できるようにしておくのが現実的だ。

 「よし、その他にも封印すべき黒い叡智を教えてやる。その鍵を握るのは電気だ!」
 「はい!」
 
 ……

 「神様……何だ? これは表に出していいものでしょうか?」
 「そう思うお前だから、この技術を伝えたのだ」
 「えげつない技術ですね。わかりました、このメルー! この武器、いいえ兵器の事は、この胸に収めます!」

 ぽよん、と胸を張り、メルーは宣言した。
 うむ、その兵器級のF98おっぱいには夢と希望と秘密が詰まっているんだな!

◇◇◇◇

 「神様、バス―にも何か出来る事はありませんか?」

 うーん、正直、行政を円滑に回してくれているだけで、ありがたいのだが。
 巫女の仕事は行政全般と芸術関連だ。
 俺もおっぱい成分が足りていないのが分かる。
 うーん、しかし、彼女たちのおっぱいに必要な物は全て……
 いや! まだあった! 足りない物が!

 「よし! 新たな科学を授けよう!」
 「えっ、それはメルーの方が得意なのでは……」
 「いや、メルーには別の任務を任せている。それに……これはお前でないと出来ないのだ」

 そうだ、ドラゴンとの戦いとの後、俺がこの地に残すのに必要な物がまだある。
 そして、それには芸術の力が必要なのだ!

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