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最終章 ここから始まる理想郷
その16 俺と宝の最終決戦
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紙一重だった。
ほんのわずかの差で俺は女王の芯に届いた。
「そんな……、認めぬ! まだ、妾は負けてはおらぬ!」
肘を立て、起き上がろうとする女王だが、その腕の力は自重すら持ち上げるのにままならない。
「やめておけ、芯を打たれたのだ、しばらくは動かない方がいい。いや動けないはずだ」
芯、手ごたえとも言う、それを打たれると、しばらくは動けない。
経験的に、俺はそれがわかっていた。
「だめじゃ……、支配者たる竜人が下等人類などに負けるなど……、基準価値が違うのじゃ……」
「そうか……」
俺は女王に近づき、そして手を伸ばす。
「ひっ!?」
女王は一瞬その体を硬直させ、よろよろとその手が防御の構えを取る。
「では、引き分けにしよう」
そう言って、俺は女王の手を握った。
「えっ!?」
俺は握ったその手を引き上げ、それにつられて女王はゆっくりと立ち上がった。
「なぜじゃ……、あそこでトドメを刺せば、お主の勝利は確実じゃったろうに……」
「決まっている、いい女と極上のおっぱいを相手に戦闘するなんて馬鹿げている。そんな事より芸術や文化で競いあおうぜ!」
俺はくるりと握ったその手を伸ばし、引き寄せ、その勢いで体を独楽のように回す。
ダンスは基礎しか知らないが、そんな俺でも簡単なステップは刻める。
「それにな、俺も体はボロボロでな、これ以上は正直戦いたくない」
嘘じゃない、ホントに体は限界だった。
「ふふっ、そうじゃな、ここは痛み分けとしよう。勝負は戦いではない何かで第二ランドじゃ!」
「おうよ!」
そして、俺は振り向き、バス―たちに向き合う。
「というわけだ、すまぬな! だが安心しろ! 次のラウンドでは必ずお前たちに勝利をもたらしてみせる!」
「ええ! 信じております!」
「竜人女王はご存知ないようですね。神様は戦いより、そっちの方がスゴイのですのよ」
メルー、ちょっと言い方には気をつけようか。
◇◇◇◇
俺たちはどんぶらこと海を渡る。
目指すは竜人たちの本拠地、火山島だ。
ドラゴンたちは飛べるので、船に乗っているのは、俺とバス―、メルー、ドトーと竜人女王だ。
パトー12世と魚人たちが船を引っ張ってくれている。
「ふふふ、それでは第二ラウンドと行こうかえ。まずは妾の住処に案内しよう」
火山島の一角にある洞窟に俺たちは案内された。
やっぱ、ドラゴンといったら洞窟住まいだよな。
洞窟に進むと、奥が明るくなってきた。
おそらく外の光が入っているのだろう。
「うわっ……すごい……」
バス―のつぶやきが聞こえる。
「ああ、すごいな」
そこには山があった。
宝の山だ。
「これはな、妾が数千年間、こいつらの祖先に捧げさせたキラキラじゃ!」
そう言って竜人女王はパトー12世とドトーを指差す。
「えっへん! バトーたちは海の宝を捧げた!」
大粒の真珠の山、珊瑚が山の一角を占めている。
「ドトーたちは陸の宝を奉じた!」
天然金塊、ルビーやエメラルドの原石、人の背ほどの水晶、その存在感は圧倒的な光を俺たちの目に注ぐ。
「そして、これらが人間の町から奪った宝物たちじゃ!」
「うばったの、主にドトーたち!」
金細工や磨かれた宝石が埋め込まれた王冠、剣、鞘、それらは見事な物だった。
「ちょっと! ばさーはともかく、ぎょーも竜人のしもべだったのですか!?」
「ちがうー、なわばりをまもるのと、色々な石とこうかんー」
ああ、そういえばシリーの時に銅や鉄の鉱石を魚人たちには持ってきてもらってたな。
最初のサンプルはここからやって来ていたのか。
「なるほど、太古より美しい宝石は鳥に奪われるという言い伝えがあります。それは、ばさーのせいだったのですね」
「えっへん!」
ドトーが平たい胸を張っていう。
「威張って言う事じゃありませんのよ!」
「あいたたたた、じこうーじこうー、むかしのはなしー」
バス―がドトーのこめかみを左右からゴリゴリしている。
「さて、神とやら、この宝の山をどう思う?」
「素晴らしい物だと思います」
「そうじゃろう、そうじゃろう、これほどの宝は、ここにしかなかろう」
「でも、俺は貴方が今まで見たことがなく、ここの宝の山より素晴らしく美しい物を知っていますよ」
俺は宝の山を指差して言う。
「ほう!? 妾が見た事のない宝とな!?」
「ええ、五日ほど待って下さい。ここに貴方が一度も見た事がない、どの宝よりも素晴らしい物をお持ちしますよ」
「その言葉に二言はないか!?」
「残念ながら、美女に言う嘘は持ち合わせておりません」
おどけたように俺は言う。
「よかろう! ならば、それを第二ラウンドとしよう! そちの持ってきた宝が妾が一度も見た事のない素晴らしい物であれば、妾は負けを認めよう。じゃが、それを妾が気に入らなければ……」
「ええ、その時は俺の負けという事になりますね」
「神様! それはあまりにも不利……」
「よいのだ、メルー、俺にまかせておけ」
メルーの心配も理解出来る。
何せ、判断は相手に委ねているのだ。
極端な話、その宝がこの世で一番の物であったとしても『この程度の宝など過去に何度も見たわ』と言ってしまえば良いのだ。
「それでは五日後を楽しみに待っておるぞ」
「ええ、期待に胸を震わせておいて下さい」
「おうよ! ぼいんぼいんじゃ」
そう言って竜人女王はHカップをブルンブルンと揺らす。
うーん、恥じらいとか、淑やかさとかは捧げられないのだろうか。
まあ、こういうのも良い物だけどね!
ほんのわずかの差で俺は女王の芯に届いた。
「そんな……、認めぬ! まだ、妾は負けてはおらぬ!」
肘を立て、起き上がろうとする女王だが、その腕の力は自重すら持ち上げるのにままならない。
「やめておけ、芯を打たれたのだ、しばらくは動かない方がいい。いや動けないはずだ」
芯、手ごたえとも言う、それを打たれると、しばらくは動けない。
経験的に、俺はそれがわかっていた。
「だめじゃ……、支配者たる竜人が下等人類などに負けるなど……、基準価値が違うのじゃ……」
「そうか……」
俺は女王に近づき、そして手を伸ばす。
「ひっ!?」
女王は一瞬その体を硬直させ、よろよろとその手が防御の構えを取る。
「では、引き分けにしよう」
そう言って、俺は女王の手を握った。
「えっ!?」
俺は握ったその手を引き上げ、それにつられて女王はゆっくりと立ち上がった。
「なぜじゃ……、あそこでトドメを刺せば、お主の勝利は確実じゃったろうに……」
「決まっている、いい女と極上のおっぱいを相手に戦闘するなんて馬鹿げている。そんな事より芸術や文化で競いあおうぜ!」
俺はくるりと握ったその手を伸ばし、引き寄せ、その勢いで体を独楽のように回す。
ダンスは基礎しか知らないが、そんな俺でも簡単なステップは刻める。
「それにな、俺も体はボロボロでな、これ以上は正直戦いたくない」
嘘じゃない、ホントに体は限界だった。
「ふふっ、そうじゃな、ここは痛み分けとしよう。勝負は戦いではない何かで第二ランドじゃ!」
「おうよ!」
そして、俺は振り向き、バス―たちに向き合う。
「というわけだ、すまぬな! だが安心しろ! 次のラウンドでは必ずお前たちに勝利をもたらしてみせる!」
「ええ! 信じております!」
「竜人女王はご存知ないようですね。神様は戦いより、そっちの方がスゴイのですのよ」
メルー、ちょっと言い方には気をつけようか。
◇◇◇◇
俺たちはどんぶらこと海を渡る。
目指すは竜人たちの本拠地、火山島だ。
ドラゴンたちは飛べるので、船に乗っているのは、俺とバス―、メルー、ドトーと竜人女王だ。
パトー12世と魚人たちが船を引っ張ってくれている。
「ふふふ、それでは第二ラウンドと行こうかえ。まずは妾の住処に案内しよう」
火山島の一角にある洞窟に俺たちは案内された。
やっぱ、ドラゴンといったら洞窟住まいだよな。
洞窟に進むと、奥が明るくなってきた。
おそらく外の光が入っているのだろう。
「うわっ……すごい……」
バス―のつぶやきが聞こえる。
「ああ、すごいな」
そこには山があった。
宝の山だ。
「これはな、妾が数千年間、こいつらの祖先に捧げさせたキラキラじゃ!」
そう言って竜人女王はパトー12世とドトーを指差す。
「えっへん! バトーたちは海の宝を捧げた!」
大粒の真珠の山、珊瑚が山の一角を占めている。
「ドトーたちは陸の宝を奉じた!」
天然金塊、ルビーやエメラルドの原石、人の背ほどの水晶、その存在感は圧倒的な光を俺たちの目に注ぐ。
「そして、これらが人間の町から奪った宝物たちじゃ!」
「うばったの、主にドトーたち!」
金細工や磨かれた宝石が埋め込まれた王冠、剣、鞘、それらは見事な物だった。
「ちょっと! ばさーはともかく、ぎょーも竜人のしもべだったのですか!?」
「ちがうー、なわばりをまもるのと、色々な石とこうかんー」
ああ、そういえばシリーの時に銅や鉄の鉱石を魚人たちには持ってきてもらってたな。
最初のサンプルはここからやって来ていたのか。
「なるほど、太古より美しい宝石は鳥に奪われるという言い伝えがあります。それは、ばさーのせいだったのですね」
「えっへん!」
ドトーが平たい胸を張っていう。
「威張って言う事じゃありませんのよ!」
「あいたたたた、じこうーじこうー、むかしのはなしー」
バス―がドトーのこめかみを左右からゴリゴリしている。
「さて、神とやら、この宝の山をどう思う?」
「素晴らしい物だと思います」
「そうじゃろう、そうじゃろう、これほどの宝は、ここにしかなかろう」
「でも、俺は貴方が今まで見たことがなく、ここの宝の山より素晴らしく美しい物を知っていますよ」
俺は宝の山を指差して言う。
「ほう!? 妾が見た事のない宝とな!?」
「ええ、五日ほど待って下さい。ここに貴方が一度も見た事がない、どの宝よりも素晴らしい物をお持ちしますよ」
「その言葉に二言はないか!?」
「残念ながら、美女に言う嘘は持ち合わせておりません」
おどけたように俺は言う。
「よかろう! ならば、それを第二ラウンドとしよう! そちの持ってきた宝が妾が一度も見た事のない素晴らしい物であれば、妾は負けを認めよう。じゃが、それを妾が気に入らなければ……」
「ええ、その時は俺の負けという事になりますね」
「神様! それはあまりにも不利……」
「よいのだ、メルー、俺にまかせておけ」
メルーの心配も理解出来る。
何せ、判断は相手に委ねているのだ。
極端な話、その宝がこの世で一番の物であったとしても『この程度の宝など過去に何度も見たわ』と言ってしまえば良いのだ。
「それでは五日後を楽しみに待っておるぞ」
「ええ、期待に胸を震わせておいて下さい」
「おうよ! ぼいんぼいんじゃ」
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まあ、こういうのも良い物だけどね!
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