異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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エピローグ 俺の中の理想郷

その2 理想郷はこの手の中に

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 手術に入った時点で俺の意識は途切れた。
 手術は2時間にも及んだらしい。
 家族が呼ばれ、俺の隣でお医者さんから説明を受けている。

 「右の脛骨と俳骨が折れてますね。左は俳骨だけです。ボルトを入れて固定しましたので、最低1か月は絶対安静です。ギブスが取れてリハビリ開始が出来るのが1.5~2か月後くらいからでしょうか。全治半年です」
 「は、はい。その他に気を付ける事はありますでしょうか」

 この声は母さんの声だ。

 「化膿止めと炎症止めに抗生物質を出しておきますので、それを毎日3回食後に飲ませて下さい。痛み止めと解熱剤も出しますので、本人が熱や痛みを訴えた場合はそれを分量通りに与えて下さい」
 「はい、ありがとうございます」
 「いえ、しばらくしたら麻酔が切れて、目覚めると思いますので」
 「起きてますよ」

 俺は視線をお医者さんと母さんに向ける。

 「ああ! 朱鷺雄! この子は心配かけて」
 「私の言っている事が分かるかね? 意識や耳や目に異常は感じないかい?」
 「ええ、お医者さんですよね。さっきの会話も分かりました。足が折れているみたいですね」
 「ああ、だから動かしちゃだめだ」
 「それよりも! 一緒に居た瞳さんという女性は大丈夫ですか!?」
 「安心したまえ。彼女は軽傷だ。割れたガラスでの軽い裂傷で済んでいる」
 「なんてことだ! もしかして、彼女の極上おっぱい!に切り傷でも起きていたら! 人類の! いえ! 世界の一大事ですよ!!」

 ぼくっ

 母さんが俺の頭を叩いた音だ。

 「このおっぱいバカ息子! 頭に異常はないようね! 元々異常の通りだわ!」
 「母さん、痛い! 俺、怪我人! けが人!」 
 「この! バカ息子! 母さんにとっては、そんな女の子よりお前の安全の方が大事なのに……」
 「だから、母さん、泣くのは反則だって」

 俺は女性の涙に弱い。
 それが、俺を愛してくれる者の涙ならばなおさらだ。

 「あ、ご婦人、そこまでにしてあげて下さい。彼には休養が必要なので……それに、その女性の怪我は手の切り傷と聞いています。息子さんの心配している事態にはなっていないでしょう」
 「えっ、失礼しました。少し取り乱してしまいまして」
 「それではおだいじに、何かありましたらナースコールをして下さい」

 お医者さんが席を立つ。

 「よう! トッキー! 尿瓶をもって来てやったぞ!」
 「カルシウムとビタミンもあるで」
 「姉ちゃんに看病はまかせんしゃい」
 「痛みで眠れないなら子守歌を歌ってやるけんね」
 「よしよし、痛いの痛いの、事象の地平へとんでけー」

 入れ替わりに姉ちゃんズが入ってきた。

 「あんたたち、ここは病院だから静かにしなさい」

 家でも繰り返される日常が目の前にあった。

 「なあ、父さんは?」
 「警察よ。色々手続き中、あとでこっちにも来るわ」
 「そうか……」
 「保険の手続きとか、ファミレスとの打ち合わせとか……朱鷺雄?」

 俺の意識は再び深淵の下に潜り込む。
 彼女の怪我が軽くて良かった。
 いや、女神だったら、そんな怪我は何ともないかな。
 バス―とメルーと仲良くやれるかな。
 俺を4年レンタルしたって言うけど……ん?
 
◇◇◇◇

 「神様ー! 神様が再臨なされたぞー!」

 これは、夢なのか?
 いや、俺の足にギブスが付いているって事は夢じゃない。
 
 「神様! お会いしたかったです!」
 「バス―か!?」
 「はい! 3年ぶりですね、神様!」

 俺が一瞬見違えたのも無理はない、彼女の姿は少女のあどけなさが残っていた姿から、洗練された大人の女性になっていたからだ。

 「E90」
 「お久しぶりです。神様」
 「G100」
 「アノカタ! アノカタ!『真実の目(おっぱい限定)』」

 九官鳥の声も聞こえる。

 「また会ったわね」
 「伊勢さん。B78」
 「へぇ、『真実の目(おっぱい限定)』があるからって、それを口にして良い訳じゃないのよ」

 目尻をぴくぴくさせながら伊勢さんが言う。

 「久しぶり、と言っても、貴方にとっては1日も経っていないかもしれないけれど」
 「瞳さん!? C87」
 
 あの時、俺がおっぱいを揉んだ彼女がそこに居た。

 「どうしてここに!?」
 「このポンコツ女神が悪さしていたのに気づいてね。戻ってきたの」
 「あたしは、お仕置きバイト中だ!」

 その小ぶりな胸を張りポンコツ女神はいう。

 「それよりも、どうして、こっちに来れたの? わたしはもうレンタル代なんて払ってないわよ」
 「簡単なことさ、私の父なる神Oh! My Godに『うるう日をお忘れではありませんか?』と心で呟いたのさ」
 「ああ!」

 俺の左手には1の文字が、右手には2504823の文字が浮かんでいた。

◇◇◇◇

 「さあ! 本当にこれが最後です! 神様におっぱいを捧げるのです!」
 「これが! あたしたちの! おっぱいまつり! です!」

 俺の足は動かないが、椅子に座るくらいは出来る。
 それに、バス―たちが奉仕してくれるので、動けなくても大丈夫だ。

 「はい、お酒ですよー!」
 「始まりのデーツですよ!」

 このデーツも何度も食べたが、それでも食べ飽きない。

 「神様全席でーす」

 神様全席とは、俺が伝えた料理を全て盛ったコース料理だ。
 当然、俺の好物を多く伝えたので、俺の好物ばかりだ。
 満漢全席の俺版って事だな。
 ハンバーガーや芋のフライ、ドリンクがDr.P〇pperなので、ジャンクさがあるけどね。
 もちろん、普通の肉や魚料理もあるぞ。
 
 「さて! おっぱいダンスのフルコースです!」

 おっぱいのフルコースとな!

 「最初は、最初のともだち、ぎょーのおっぱいダンスです!」

 ぬらぬら。

 「あ、ああ……」

 うん、雄の魚人のダンスは、水しぶきの舞う良いダンスだったよ、うん。
 しかし、ヒトの血が入った、競泳水着のような女の子のダンスは良いぞ!

 「続いて、がるーです!」

 獣人は、良い。
 ケモミミ娘たちのダンス、その軽快な身体能力を活かしたアクションは、目を楽しませてくれる。

 「ちょろーです!」

 うーん、少し鱗鱗うろこうろこしているかな。
 ヒトの血が入った顔も、少しギョロギョロしていて、チロチロとした舌は、人を選ぶだろう。

 「ドトーだよ! 神様! あたしたちのダンスに見惚れなさい!」

 ドトーとダチョウ人のダンスは見ものだった。
 胸を突き出して、羽をバサバサさせるポーズのダンスは美しい。
 ダチョウの羽は俺の世界でもダンス衣装として採用されている。
 パリのダンスシアターを思わせる、良いダンスだ。
 つるぺただけど。

 「続いて、竜人女王ドラゴニュート・クイーンです!」
 「ふふっ、ヒトには真似できない妾のダンスをお見せするえ」

 そう言って、女王はその上半身を服の抑圧から解き放つ!

 ブルブルぶるん!

 おおっ!
 それは、確かに圧巻だった。
 Hカップというサイズもさるものながら、翼を使った飛行、激しい動き、そして揺れるおっぱい!

 「ははっ! 脆弱なクーパー靭帯しか持たぬヒトでは、妾のような動きは真似できまい!」
 「くっ! ここは、一生に一度しか出来ない、あの禁断の踊りを……」
 「いやバス―、そんな事はしなくていいから」

 「さあ、ついにヒトの登場です」

 バス―たちが登場した。
 そういえば、このダンスを見るのも4度目だな。
 思えば俺も頑張ったものだ。
 十分な栄養も、柔らかい布の服も、ブラジャーも、化粧水も苦労したものだ。

 「かみしゃまー! ヒトのかみさまー! むてきのかみさまー!」
 「でんきも! くすりも! けしょうすいも! ひかりを! せかいにみたし! おっぱいをもたらしたー!」
 「いだいなかみさま! おっぱい! おっぱい!」
 「こまったときには、ドロップキック! てきをなぎたおす!」
 「ピンチのときには、かがくのちから! てきをふっとばす!」
 「だけど、そんなのかんけいないさ! おっぱい! だいすき!」
 「あいは、すべておっぱいへ! おっぱいはすべてへ! おっぱいがすべて!! おっぱいこそすべて!!!」

 うむうむ、素晴らしい。
 人間が他の種族と違うのは、鍛錬を行える事だ。
 そして、何よりも、肩の関節の可動域が広い事にある。
 股関節は獣人の方が勝るが、肩は人間の方が上だ。
 そして、それは、おっぱい! を強調するポーズにとって非常に重要なのだ!

 「さらに! スペシャルゲストの登場です! こんかいは女神二人に登場して頂きます」

 なんと!

 「世界の女神、瞳でーす!」
 「世界の簒奪さんだつ失敗者の伊勢でーす!」

 「異界の人間、おっぱい! だいすき!」
 「チートなオリジナル! パットを見破る!」
 「破壊も、再生も、支配も、全て、実はできるけど」
 「そんことより、おっぱい! 求めた!」
 「道は全て! おっぱいに通じ! 道は全て幸せ求める!」
 「人よ! 偉大で尊大な人よ! それは、神から愛された、愛しい人よ!」
 「「愛と勇気はおっぱいのために! すてきを集めた! ありがとう、人よ!」」
 「「ごほうび、ささげよー! 感謝をささげよう!」」

 プルン

 そう言って、バス―たちは、女神たちは服を脱ぎ捨てる。
 もはや、伝統という言葉ではくくれない。
 これは、文化を超えて、世界となった。 
 世界はおっぱいで満たされた!
 おっぱいが世界なのだ!

 「「「みんなだいすき! かみさまーだいすきー!!」」」

 そして、みなが俺に駆け寄る。
 俺はおっぱいを揉む。

 もみもみ。

 ああ、柔らかい、温かい……
 これが……これがおっぱい! 俺の生きる意味! 
 
 「最後に記念撮影です」
 「記念撮影!?」
 
 メルーの声に俺が驚く。

 「はい、あの時、神様はおっしゃいました『瞬間よ止まれ!』と、そしておっぱいを魅力的にするには自己研鑽が必要だと。だから、メルーは考えました、科学で、過去を絵に閉じ込める方法を! そして、銀にヨウ素蒸気を浴びせた板に光を当て、その後、水銀蒸気を浴びせると絵が浮き出る事を発見したのです。そして温めた食塩水で洗えば、その後も変色しないんですよ!」

 そう言って、メルーは一枚の板を俺に差し出した。
 そこには、メルーのおっぱいが写っていた。
 
 「F98!」
 「そうです! これは、2年前のメルーのおっぱいです!」
 「銀板写真だぞ! これ!」

 銀板写真、別名タゲレオタイプ、19世紀のフランスでルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが発明した写真技術だ。
 白黒写真ではあるが、現代でも、芸術の世界では銀板写真はその味のある画像で一定のジャンルを築いている。
 銀板写真は1枚の銀板で1回しか撮影できず、フィルム写真やデジタル写真のように増やせない。
 世界で一枚の写真、その一期一会いちごいちえさが良いのだ。

 「自己研鑽には、過去の私と見比べる必要がありますから! 私は、自らの成長を、その瞬間をこの板に閉じ込めます。そして、それを世界のみんなにもたらします!」
 「すごいぞ! メルー! お前こそ、俺の意志を継ぐ者だ!」

 おっぱいは素晴らしい。
 それを守るために、育てるために、愛でるために、俺は人の叡智を伝えた。
 そこには、争いの技術もあった、不幸を呼ぶ知識もあった。
 だが、それを知りつつも、ここには、人をおっぱいを幸せにしようとする意志がある。
 俺は、間違えていなかった!

 「それでは、いきますよー!」
 「ナイスおっぱい!」

 おっぱいは魔法! 世界の合言葉!

 「「「みんな! かみさま、だいすきー! おっぱい! だいすきー!」」」
 『『『かみさまー! だいすきー!』』』
 『『『おっぱい! だいすきー!』』』

 彼女たちの、俺たちの声の他に、の力ある言葉が聞こえたような気がした。
 おっぱい! の素晴らしさは万国共通どころか、神界共通らしい。
 これからも、この世界の”すてき!”ポイントは増えていくだろう。

 そして、俺の意識は幸せの中に沈んでいった。
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