異世界人類を現代知識チートで導け!

相田 彩太

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エピローグ 俺の中の理想郷

その3 理想は遥か彼方に、そして、俺の旅は続く

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 「うーん、おっぱい……おっぱい……はっ!」

 目が覚めた俺が見たのは、親父の姿だった。

 「なんだ、父さんか」
 「何だじゃないだろ。心配したんだぞ、痛む所はないか?」
 「そういえば、痛み止めが切れてきたかな?」

 俺の脚から鈍い痛みがし始めた。
 そういえば! あっちの世界に行った時、チート能力で脚を治せばよかった。
 おっぱいに夢中で忘れていた。

 「そうか、軽く何か食べるか。そして、薬を飲むといい」

 父さんが、グラノーラバーとリンゴを差し出す。
 少し不思議な気分で、俺はそれを食べる。

 「ほら、着替えとお前のバッグだ」

 親父が俺に渡したのは、家から持ってきた着替えと、俺のいつものあのバッグだった。

 「ありがと、父さん」
 「それと、忠告だが、そのバッグの中身は母さんたちには見せない方がいい」

 えっ!?
 俺はバッグを開けて中を見る。
 そこには、女神の胸像、ルーの木彫り像、シリーの青銅像、モモ―の綿人形、ヤーのポンコツ女神胸像……
 そして、は、そこにあった。
 俺が教えていない科学、彼女たちが自分で見つけた叡智、銀板写真。
 それが、そこには入っていた。

 「おっパブでも行ったのか? お前は18だから父さんは何も言わんが、母さんは怒ると思うぞ」

 それは、最後の、みんながおっぱい丸出しで俺を囲んでいる記念写真が写っていた。
 バス―達でだけではない、そこに居ないはずのルー、シリー、モモ―、その時代で会った人たち。
 女神の気まぐれか、それともお礼なのか、俺のチートの結果なのかは分からない。
 だけど、そこには、俺の、俺と同じ時を過ごした人たちの瞬間が閉じ込められていた。

 「いいのさ! これが俺の誇りと努力の結晶なのさ!」
 
 俺は極上の笑顔で言った。

◇◇◇◇

 「よう! 朱鷺雄! 災難だったな!」

 季節は冬になり、リハビリ中の俺は、松葉杖を突いて何とか歩けるまでには回復していた。
 俺に声を掛けて来たのは、俺と同じく芸術を愛する男、江戸川だ。
 俺は全方位学園の門をくぐり、教室の椅子に座る。

 「それよりも、あれを見せてくれよ」
 「あれ?」
 「芽ヶ野さんの像さ。夏の裸婦芸術祭で大賞を取ったんだってな!」
 「ああ、これか」
 
 俺はバッグの中から、女神の像を取り出す。
 結局、これは彼女の手元に行かなかった。

 「そうそう、これこれ! すげぇ完成度だよな! 彼女は転校してしまったけど、これを見れば彼女の姿が眼前にあるような感じがするぜ!」
 「よかったら、やるよ」
 「いいのか!? お前の傑作だろう!?」

 驚きの表情を浮かべながらも嬉しそうに江戸川が言う。
 だが、俺は知っている、知ってしまった。
 この作品は俺の理想のおっぱいではない!!
 
 「おっぱいは柔らかい物なんだよ! あったかい物なんだよ! これは俺の求める理想とは、ほど遠い! シリコンだ! いや、低反発ウレタンか!? とにかく! 俺は新たな理想を目指す事に決めた!」
 「そ、そうか……ありがとな」

 クラスの女の子は若干、いや、大幅に引いていたが気にしない。
 所詮は真の芸術を知らぬ者たちだ。

 俺の、おっぱいの、理想を求める旅は、これからも続く。

---------------------------------------------------------

 了
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