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第一章 大会前
その11 その名はうざ子!
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鶯宮 柘榴子……、姓と名の単独で見れば高貴さを感じられるのに、合体させると、なんでこんなにグダグダになるのだろう。
もう、彼女の事はうざ子としか思えない。
部長の知り合いだと思うが、ここは関わりにならない方が賢明だな。
俺はそろーっとキッチンステージから抜け出そうとする。
「あら、あなたは撫子さんのチームメイトですわね。確か花屋敷さんでしたか」
やべえ、声をかけられた。
「こ、こんにちは、初めまして花屋敷 陸です」
「初めまして、花屋敷さん。わたくし、鶯宮 柘榴子と申します。この大会の参加者のひとりですの」
うざ子がスカートの端を持って、華麗にお辞儀する。
整った端正な顔立ちだ、雰囲気が部長に似ている。
ひょっとしたら部長の親族かもしれない。
栗色の髪はステージのライトを浴びて朱とも取れる色に輝いている。
サイドと後ろの縦ロールも美しい。
全方位縦ロールとでも言うべきか。
「そうよ、彼が頼もしい私の右手よ」
おお! 部長の中で俺が評価されてる!
「あら、彼が右手なのですね。さしずめ右手が恋人って事かしら、それで妾は左手なの?」
ブフゥ!
ブベボバァ!
部長と俺が同時に噴き出す。
こいつ絶対、心に桃闇を飼っている!
「な、なんて事を言うのよ! このうざ子!」
「あら、顔を真っ赤にするなんて、やっぱり彼に懸想でもしてらっしゃるのかしら?」
「そ、そんな事ないわよ! 陸の事なんて、な、なんとも思っていないんだからね」
「あらそう、じゃあ、わたくしがつまみ食いしてしまおうかしら」
うざ子が指を俺の胸に当てて、しなを作る。
くっ、やめろ! 美人に上目遣いで見られると、心の桃闇が叫んでしまう! 『このまま流されろ』と轟き叫ぶ!
「ねーみて、りっくん」
キッチンをチェックしていた蘭子が声を掛けてきた……重低音で。
「ここ、いろんな包丁があるよ。これとか腸裂きって言うんだよ。腸を刈り取る形をしてるでしょ?」
止めてください蘭子さん! そんな光の灯ってない目で見ないで!
「ひっ!」
ほら、うざ子もチームメイトの裏に隠れてしまったではないですか。
あれ、あのチームメイト、どっかで見たことがあるような……。
「チーフ、そろそろ説明会が始まります」
「えっ、そうね。じゃあ、撫子さん、次は大会で会いましょう。覚えておいて、大会に優勝して大盛ポイントをもらうのは、わたくしですわ」
そう言って、うざ子は去っていった。
「捨て台詞まで、うざかったわね」
「あの人、なんかにがてー」
「珍しいな、蘭子が苦手な人は」
蘭子は基本的に善人だ。だから意味もなく誰かを苦手とすることは少ない。
「あの人、なんだか、たのしそうじゃないの~」
「まあ、私たちもミーティングルームに行きましょう。そろそろ時間よ」
そして、部長に促され、俺たちも部屋に向かった。
◇◇◇
部屋は意外に空いていた。
三人掛けの椅子がチーム分並べられているのだが、三人全員で座っているチームは少ない。
おそらく代表のみが来ているのだろう。
あれは、前回の優勝チームのリーダだ。
師匠から聞いた話だと確か寿師翁。
席にはルールが記載された小冊子と紙が用意されている。
紙には大会用のP.Nと得意料理を書く欄が印刷されている。
これは問題ないな。それよりもルール詳細を確認しないと。
部長もそれが分かっているのだろう、早速読み込んでいる。
「はいはーい! みなさんお待ちかねぇ! これから司会のラウンダァが説明会を開催いたしますよ! でも、このしゃべり方は疲れるから、本番までおあずけねっ!」
再び登場したラウンダが説明を始めた。
うん、俺も普通のしゃべり方の方がいいと思うぞ。
「本日の概要は、大会の流れのご説明と、トーナメントの組み合わせです。ちなみにトーナメント表の内容は秘密事項なので、本日の18時の公開まで口外は厳禁です」
へー、トーナメント決めまでやるのか、そりゃそうだな、仕込みとかが必要になるからな。
「では、説明を始めます。質問があれば説明の最後に受け付けます」
「まず、大会の概要です。開催は8月8日から8月15日までの一週間に開催されます。
会場は大盛大和運動場です。観客は5000名、決勝のみ1万名を予定しております。
なお、雨天決行です。その場合、雨天用の室内に移動します。
優勝賞金は1000万円です。みなさん頑張って下さいね」
1000万円という言葉に参加者から、おおーっと声が上がる。
俺も金が欲しい!
「さて、勝負の流れですが、前回とほぼ同様です。
まず、じゃんけんやコイントスで先攻後攻を決めます。
そして、先攻から「料理」「食材」「テーマ」からひとつを選びます。
次に後攻も残った2つの中からひとつ選びます。
その後、先攻はそれに沿ってお題を紙にを書いて公開せずに審判に渡します。
例えば「料理:スパゲティ」とかですね。
次に後攻も同様にお題を紙に書いて渡します。
例として「食材:トマト」としましょうか。
審判がそれらを公開し、お題の決定となります。
そして2つのお題によって審査員が決まります。
審査員には『特別審査員』と『一般審査員』がいます。
『特別審査員』は本企画で選抜された料理評論家、料理研究家、各種知識人等です。
『一般審査員』は会場に来場された方々です。
審査員には事前にアンケートを取ってあります。
本人の好みやプロフィールですね。
先ほどの例だと、イタリア料理やスパゲティやトマトが好きなプロフィールを持つ人が審査員に選ばれる事になります。
これはコンピューターで半ば作為的に選出されますが、一般審査員の方々全員に審査の機会を与えるため、既に審査員として選抜された事がある方は選抜対象から除外されます」
一般審査員は一度選ばれたら二度目は無いって事か。
「審査員が決定しましたら勝負が始まります。
時間は基本2時間ですが、お題によっては増減します。
増やしたい場合は宣言してください。進行に無理のない時間であれば延長可能です。
そして、先攻から審査員に料理を出し、続けて後攻も出し、点数を出します。
審査員は10人の特別審査員と50人の一般審査員です。
特別審査員は5点満点で評点します。合計50点満点ですね。
一般審査員は片方のチームのみに1点を入れるか、両方に1点を入れるか、それともどちらにも点をいれないか、いずれかで評点します。これも50点満点ですね。
採点の基準は味だけでは決まりません、審査員には事前に2つのお題を満たしているかと、味と見た目といった料理の完成度で評点するように伝えています。もちろん一般審査員にもです」
そう、この★超絶! 悶絶! 料理バトル!★は味だけでは勝負は決まらない、いかに2つのお題を満たすかが重要なのだ。
「当然ですが、得点の高い方が勝ちです。
同点の場合は、決勝戦を除き最高審査員が判断します。
最高審査員は試合によって変わります。
誰になるかは、小冊子を参照ください。
これが、おおまかな流れですが、前回大会と変更点が2点ございます。
それは『談合可能』となった事。
そして、前回は準決勝と決勝が3セットマッチ、その他は1セットマッチでしたが、今回は準々決勝以降から3セットマッチになりました!」
えっ、何気にスゴイ重要な事、言ってない?
もう、彼女の事はうざ子としか思えない。
部長の知り合いだと思うが、ここは関わりにならない方が賢明だな。
俺はそろーっとキッチンステージから抜け出そうとする。
「あら、あなたは撫子さんのチームメイトですわね。確か花屋敷さんでしたか」
やべえ、声をかけられた。
「こ、こんにちは、初めまして花屋敷 陸です」
「初めまして、花屋敷さん。わたくし、鶯宮 柘榴子と申します。この大会の参加者のひとりですの」
うざ子がスカートの端を持って、華麗にお辞儀する。
整った端正な顔立ちだ、雰囲気が部長に似ている。
ひょっとしたら部長の親族かもしれない。
栗色の髪はステージのライトを浴びて朱とも取れる色に輝いている。
サイドと後ろの縦ロールも美しい。
全方位縦ロールとでも言うべきか。
「そうよ、彼が頼もしい私の右手よ」
おお! 部長の中で俺が評価されてる!
「あら、彼が右手なのですね。さしずめ右手が恋人って事かしら、それで妾は左手なの?」
ブフゥ!
ブベボバァ!
部長と俺が同時に噴き出す。
こいつ絶対、心に桃闇を飼っている!
「な、なんて事を言うのよ! このうざ子!」
「あら、顔を真っ赤にするなんて、やっぱり彼に懸想でもしてらっしゃるのかしら?」
「そ、そんな事ないわよ! 陸の事なんて、な、なんとも思っていないんだからね」
「あらそう、じゃあ、わたくしがつまみ食いしてしまおうかしら」
うざ子が指を俺の胸に当てて、しなを作る。
くっ、やめろ! 美人に上目遣いで見られると、心の桃闇が叫んでしまう! 『このまま流されろ』と轟き叫ぶ!
「ねーみて、りっくん」
キッチンをチェックしていた蘭子が声を掛けてきた……重低音で。
「ここ、いろんな包丁があるよ。これとか腸裂きって言うんだよ。腸を刈り取る形をしてるでしょ?」
止めてください蘭子さん! そんな光の灯ってない目で見ないで!
「ひっ!」
ほら、うざ子もチームメイトの裏に隠れてしまったではないですか。
あれ、あのチームメイト、どっかで見たことがあるような……。
「チーフ、そろそろ説明会が始まります」
「えっ、そうね。じゃあ、撫子さん、次は大会で会いましょう。覚えておいて、大会に優勝して大盛ポイントをもらうのは、わたくしですわ」
そう言って、うざ子は去っていった。
「捨て台詞まで、うざかったわね」
「あの人、なんかにがてー」
「珍しいな、蘭子が苦手な人は」
蘭子は基本的に善人だ。だから意味もなく誰かを苦手とすることは少ない。
「あの人、なんだか、たのしそうじゃないの~」
「まあ、私たちもミーティングルームに行きましょう。そろそろ時間よ」
そして、部長に促され、俺たちも部屋に向かった。
◇◇◇
部屋は意外に空いていた。
三人掛けの椅子がチーム分並べられているのだが、三人全員で座っているチームは少ない。
おそらく代表のみが来ているのだろう。
あれは、前回の優勝チームのリーダだ。
師匠から聞いた話だと確か寿師翁。
席にはルールが記載された小冊子と紙が用意されている。
紙には大会用のP.Nと得意料理を書く欄が印刷されている。
これは問題ないな。それよりもルール詳細を確認しないと。
部長もそれが分かっているのだろう、早速読み込んでいる。
「はいはーい! みなさんお待ちかねぇ! これから司会のラウンダァが説明会を開催いたしますよ! でも、このしゃべり方は疲れるから、本番までおあずけねっ!」
再び登場したラウンダが説明を始めた。
うん、俺も普通のしゃべり方の方がいいと思うぞ。
「本日の概要は、大会の流れのご説明と、トーナメントの組み合わせです。ちなみにトーナメント表の内容は秘密事項なので、本日の18時の公開まで口外は厳禁です」
へー、トーナメント決めまでやるのか、そりゃそうだな、仕込みとかが必要になるからな。
「では、説明を始めます。質問があれば説明の最後に受け付けます」
「まず、大会の概要です。開催は8月8日から8月15日までの一週間に開催されます。
会場は大盛大和運動場です。観客は5000名、決勝のみ1万名を予定しております。
なお、雨天決行です。その場合、雨天用の室内に移動します。
優勝賞金は1000万円です。みなさん頑張って下さいね」
1000万円という言葉に参加者から、おおーっと声が上がる。
俺も金が欲しい!
「さて、勝負の流れですが、前回とほぼ同様です。
まず、じゃんけんやコイントスで先攻後攻を決めます。
そして、先攻から「料理」「食材」「テーマ」からひとつを選びます。
次に後攻も残った2つの中からひとつ選びます。
その後、先攻はそれに沿ってお題を紙にを書いて公開せずに審判に渡します。
例えば「料理:スパゲティ」とかですね。
次に後攻も同様にお題を紙に書いて渡します。
例として「食材:トマト」としましょうか。
審判がそれらを公開し、お題の決定となります。
そして2つのお題によって審査員が決まります。
審査員には『特別審査員』と『一般審査員』がいます。
『特別審査員』は本企画で選抜された料理評論家、料理研究家、各種知識人等です。
『一般審査員』は会場に来場された方々です。
審査員には事前にアンケートを取ってあります。
本人の好みやプロフィールですね。
先ほどの例だと、イタリア料理やスパゲティやトマトが好きなプロフィールを持つ人が審査員に選ばれる事になります。
これはコンピューターで半ば作為的に選出されますが、一般審査員の方々全員に審査の機会を与えるため、既に審査員として選抜された事がある方は選抜対象から除外されます」
一般審査員は一度選ばれたら二度目は無いって事か。
「審査員が決定しましたら勝負が始まります。
時間は基本2時間ですが、お題によっては増減します。
増やしたい場合は宣言してください。進行に無理のない時間であれば延長可能です。
そして、先攻から審査員に料理を出し、続けて後攻も出し、点数を出します。
審査員は10人の特別審査員と50人の一般審査員です。
特別審査員は5点満点で評点します。合計50点満点ですね。
一般審査員は片方のチームのみに1点を入れるか、両方に1点を入れるか、それともどちらにも点をいれないか、いずれかで評点します。これも50点満点ですね。
採点の基準は味だけでは決まりません、審査員には事前に2つのお題を満たしているかと、味と見た目といった料理の完成度で評点するように伝えています。もちろん一般審査員にもです」
そう、この★超絶! 悶絶! 料理バトル!★は味だけでは勝負は決まらない、いかに2つのお題を満たすかが重要なのだ。
「当然ですが、得点の高い方が勝ちです。
同点の場合は、決勝戦を除き最高審査員が判断します。
最高審査員は試合によって変わります。
誰になるかは、小冊子を参照ください。
これが、おおまかな流れですが、前回大会と変更点が2点ございます。
それは『談合可能』となった事。
そして、前回は準決勝と決勝が3セットマッチ、その他は1セットマッチでしたが、今回は準々決勝以降から3セットマッチになりました!」
えっ、何気にスゴイ重要な事、言ってない?
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