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第二章 一回戦
その4 光栄に思うがいい!
しおりを挟む俺の後片付けが終了し、俺と師匠がすっかりと見学モードの入った頃、お互いのチームの歌合戦が終わった。
「へぇ、やるじゃない」
息を切らせながら部長が言う。
「ユーたちもデース。わたくしも実力を魅せる事にしようか……実力をな」
フリージア様たちも部長に向き合う。
さすがはアイドル、炎天下でも汗ひとつかいていない。
「私もよ、本気でやりましょう……」
部長は、まだやる気らしい。
彼女は素の能力で運動部員に勝つくらいスポーツ万能だからな、スタミナも十分だ。
「えー、なでちゃん、もうつかれたよ~」
肩で息を切ると、蘭子のおっぱいが揺れる
勝てる! このおっぱいなら!
「かんちがいしているようネ! いま、みせたのが本気だとおもったのですか!?」
なに!?
「よし! 先に期待感をあたえておいてやろう……、どうしようもない期待感をな……」
まさか……
「このフリージアは服を脱ぐたびにエロさがはるかに増す……、その服をあと2枚もわたくしは残している……、その意味がわかるな?」
「な……なんだと……!?」
観客から歓声が上がる。
「な、なんだって!? フリージア様は、なんていったんですか!!」
俺のテンションもMAXになり、思わず師匠に問いかけてしまう。
「フ…フリージア様は、ま…まだ2回も、へ…変態する…」
会場の視線が集まり、唾を飲み込み音が聞こえる。
「みせてやろう!! 光栄におもうがいい!! 生まれたままの姿を、全世界に公共の電波で、光通信網でみせるのは、わたくしが初めてだ!!!」
会場のボルテージが最高潮に達し、誰もがフリージア様の一挙手一投足に瞳を囚われた。
スパーン! スパパーン!
ハリセンを持った座本さんと百々目鬼さんのツッコミが入った!
まあ、そうなるわな。
「ちょっと何よ! フレンドリーファイア!? ホワイ!」
「いいかげんにしなさい! 二度と表を歩けなくなるぞ!」
「そういうのもいいかも!」
あーだめな人だ。
「それに、ガイダンスであったでしょ、法律違反は即失格! って」
あー、そんなんのもあったな。
「それに、あなたが痴女になるのはいいが、放送局の皆様に迷惑がかかるでしょうが!? この企画をおじゃんにする気!?」
ごもっともですな。
「そうです! このままでは失格ですよ! というか、プロデューサーの首が飛ぶので止めてください!!」
司会の人も必死に訴える。
「しょうがないデース、今日はこのくらいにしといてあげるわ!」
「それは、こっちのセリフよ!」
腰をかがめたポーズでフリージア様と部長がにらみ合う。
うむ、エロくて良いぞ。
でも、そろそろ本筋にもどろうな、なっ!
◇◇◇
「タイムアッープ! 時間が終了しました、調理を止めてください! といっても既に両チームとも止めていますね」
互いの作業台には人数分の弁当が並べられている。
「では、審査に入りましょう! 先攻のB・B・Bからどうぞ!」
審査員の前に弁当箱が運ばれる。
「では、これがわたくたちの『愛情欲情肉団子弁当』です!」
ほう、肉団子か、愛しのガキども用によく世話になったな。
「あなたたちもどうぞ」
座本さんが俺たちの分も持ってくる。
そういえば、昨年のチャンピオンの魚鱗鮨も同じ事をやっていたな。
まあ、俺たちも用意しているのだが。
弁当箱は炎天下という事もあって、まだ温かい。
蓋を開けると、黒ゴマが振られた白米の上に、桜エビでハートが描かれていた。
そして、その横には肉団子とサラダとリンゴだ。
肉団子には、シナモンやココナッツパウダー、松の実がまぶされ、オレンジソースがかけられている。
サラダは人参と、これなんだ?
鮮やかな橙色の人参に混ざって赤茶色の細切りが入っている。
「では、いただきます」
審査員と俺たちは手を合わせ箸を取る。
最初は気になるサラダからだ。
サラダを口に入れると、甘さを感じる、ドレッシングはオリーブオイルと酢と香辛料だと思われるが、この甘さは何だ?
でも、この甘さは良いな。
「これ、デーツね!」
部長は正体に気付いたようだ。
「そうです。人参とデーツのサラダよ」
座本さんが解説してくれる。
そうか、デーツか、意外と合うな。
「なますに干し柿を入れるようなものね。おいし~」
「意外と本格的な料理だ―!」
司会の人が失礼だが俺と同じ感想を叫ぶ。
「この肉団子もいけるぞ! 表面は甘めだが、中身はジューシーだ!」
ほほう、肉団子も良いのか、シナモンやココナッツパウダーはドーナツなら鉄板だが、肉団子にも合うのかな?
俺は肉団子を箸で取り口に運ぶ。
ほのかに甘い口当たり、だが、噛みしめると肉の塩気と肉汁が交じり合う。
「美味い」
正直な感想が口から出る。
ゴマが振りかけられたご飯や、桜エビとよく合う。
桜でんぶではなく、乾燥桜エビをそのまま使ったのは、塩気と食感を向上させるためか。
「ねえ、気づいてる?」
部長が肘で小突き、小声で話しかけて来た。
「いや、何かこの弁当に秘密でもあるのか」
「そう、気づいてないのね。だったら私の出番ね」
特別審査員も一般審査員も美味しそうに弁当を食べている。
「評価は上々だー! でも、これ普通の美味しい弁当ですよね? どこが『愛情欲情弁当』なのですか?」
フリージア様にマイクが向けられる。
「フフフ、それはですね」
「ちょっと待ったー! それは私が説明するわ!」
部長が席から飛び出し、マイクを分捕る。
「へえ、気づいたのですか。流石と言っておきましょうか」
「ええ、秘密は材料にあるわ!」
「材料!? 特に変な物は無かったと思いますが」
「変な物はなかったわ。でも規則性はあった。決め手は肉団子の中に入ってたナツメグとクローブよ!」
「正解デース! よく気づきましたね! お姉さん褒めちゃうぞ(はぁと)」
「ナツメグとクローブ? それが何か? 肉団子やハンバーグに入れるのは普通だと思いますが?」
司会の人が言う通り、普通だ。
部長は一体、何に気付いたんだ?
「普通よ、でも、ナツメグ、クローブ、シナモン、松の実、ココナッツパウダー、デーツ、それにオレンジソース……これらは全て! かつて媚薬の原料とされていた物よ!」
審査員の箸が止まった。
「それだけではありませーん! ゴマは若さを取り戻す秘薬としても使われましたし、桜エビにはミネラルが多数含まれています! 具体的には亜鉛とか!」
亜鉛、それは精液の栄養になると言われているミネラル!
「こ、これはー! まさしく『愛情欲情肉団子弁当』だー!」
会場が歓声に包まれる。
主に男性陣のテンションが盛り上がった!
◇◇◇
「で、では一般審査員の方々の声を聞いてみましょう」
司会の人がステージを離れ、一般審査員のエリアにインタビューに向かう。
「こんな弁当初めてです!」
俺も初めてです。
「フリージア様の姿を見ただけで、元気が出ました!」
俺は別の所が元気になりました。
「B・B・Bの弁当に彼女に告白する勇気をもらいました!」
がんばれー!
「一般審査員の方々も好評です!」
「ふふふ、わたくしたちが赤マムシやオットセイの性器を使って料理するとでも思いましたか!?」と座本さんが言う。
すみません、正直思っていました。
「愛情は日常の中で育む物さ。あまりに明らかなセックスアピールは男心を引かせちまうぜ!」
百々目鬼! お前らがそれを言うのか!
「だから、ひそやかに情熱というかリピドーというか、生命の本能を奮い立たせる! それが『愛情欲情肉団子弁当』! そう、わたしがおっぱいだ!」
フリージア様が胸を張り、その爆乳を揺らす。
「「「わたしたちが! B・B・Bよ!!!」」」
そして三人は決めポーズを取る。
言っている意味はよくわからんが、とにかくスゴイおっぱいだ!
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