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第三章 二回戦
その3 唐辛子を食べる
しおりを挟む「タイムアーップ!」
会場にビィーという音が鳴り響き、調理は終了した。
「さあ、先攻の料理愛好倶楽部の料理が並べられて来た! ほほう、審査員は中華テーブルに座っていますね。そこに料理が並べられていきます」
中華テーブルの中央の回る円卓に俺たちの料理が並べられていく。
それは種類別に皿に分けられた大量の唐辛子だ。
そして、その唐辛子の半分は蘭子が作ったトルティーヤとライスペーパとガレットの皮、そして薄餅で巻かれている。
残りは審査員が自分で適量を巻くスタイルだ。
「そう、これは万華鏡の! 万国博欄の! 激辛祝祭料理よ! テーブルには辛さ順に時計回りに並んでいるわ!」
「お好みで手元のマヨネーズディップスタイルで食べてね~、包む時にキュウリの千切りを入れると辛さが和らぎますよ~。一番辛いハバネロとジョロキアは糸状にスライスしてありますから、一本か二本包むとちょうどいいですよ~」
「フハハハハ! これが俺たちの激辛唐辛子料理! その名も『伏魔殿・万魔殿・パンデツツーム』だ! 魔界の辛さに酔いしれるがよい!」
うわぁ、こっぱずかしい。
ネーミングした部長が自分で言えよ。
「さあ! それでは審査に入りましょう!」
◇◇◇
「へぇ、ただの唐辛子そのものじゃなく生の物や、揚げてたり、焼いてたり、ピクルスになってたり、ちゃんと仕事がしてあるんだ」
「で、辛さはと……、まあ辛いな。普通に辛い」
「ハラペーニョのピクルスが辛味と酸味のバランスが良いね」
「うわっ! この弥平唐辛子は思ったより辛いぞ!」
「お前、情けないな。これくらい余裕余裕」
「この揚げたやつ、サクサクでいいぞ!」
「さすがにハバネロとジョロキアは辛いな。辛さを中和するのにキュウリが要るな」
「このマヨネーズフォンデュスタイルも辛みを緩和してくれるね」
「この包むやつって、唐辛子の原産国に関連してあるんだ」
気づいてくれた審査員が居て良かった。
そう、中南米産のハバネロやハラペーニョはトルティーヤで、ハンガリー産のビーバーダムやハンガリアン・ブラックはガレットの皮で、アジアや日本産のベトナム・オレンジや赤唐辛子、青唐辛子、弥平唐辛子の類はライスペーパーと薄餅で包むのだ。
「しかも手がかぶれなくて良いわ」
うむ、ハバネロは素手で触ると炎症を起こすからな。
包むスタイルの影の効果だ。
「これは、審査員にも上々の評価だ―!」
うんうん、いい感じだぞ。
「生温いわ!」
「ヒーハー! この程度で俺の胃袋はサティスファクションしねぇぜ!」
「くっ、こ、この程度で、あ、あたしが、く、くっするとでも!」
俺たちの料理を食べていた激辛辣火の面々からダメ出しの声が聞こえる。
「へぇ、あたしたちの料理にケチをつけるとは良い度胸ね! あなたたちの料理はそんなに素晴らしいのかしら?」
部長が挑発に乗った!
「おめぇの料理じゃ満足できねぇって言っているんだよぉ! その貧弱な体と同じでなぁ!」
部長と敵の視線が火花を散らす。
「それでは次の審査に入りましょう! 激辛辣火の料理は、ゴホッ! ゴホホゥ!」
司会の人が咳き込んだ。
「なにこれ!? ゴホッ、ゴホッ」
喉に刺激を感じ、俺たちも咳き込む。
そして鼻腔をくすぐる、明らかに辛い匂い。
「うぬらには刺激が強すぎたかのぅ?」
「ヒャッホホーウ、これだよこれ! このヒートな刺激が俺のハートをエレクトさせるぜぇ!」
「ま、まだまだ、も、ものたりないくらいですよ」
刺激の正体は分かっている。
激辛辣火が火鍋の蓋を取り、激しい唐辛子の匂いが会場に流れて来たのだ。
「こ、これは、ゴホッ、匂いからもその辛さが伝わってきます。というより痛い! この激辛料理に審査員は耐えられるのかー!」
「おっ、これこれ」
「そうね、少し物足りないと思ってたのよ」
「いい感じに胃が温まってきたからな。前菜としては十分だ」
げっ、あいつらこの匂いの中で平然としてやがるぞ。
審査員の中には俺たちと同じく咳き込んでいる人もいるが、半分以上の人は平然としている。
「甘くみていたわ、思ったよりヤバいかもね……」
隣の部長も焦りの色を隠せない。
「うぬらにも味あわせてやろう! わしの激辛料理を!」
「はい、たっぷり召し上がってくださいね」
うむ、ダメージドチャイナはいいぞ!
「きっと『ヒャッハー! 水だー!』と叫ぶことうけあいだぜ!」
当たり前だ! 水なしで食えるかこんなもん!
ん、ダメージドチャイナに目が行って失念していたが、火鍋の周りに並べれていく料理は……。
これは! まさか!
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