超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

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第四章 準々決勝

その8 愛しのガキどもと大人の世界

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 「ちょい待ちや、ぼんの料理には重大な欠点があるで!」
 
 ツクルトさんが指摘してくる。
 そう来るだろうと思っていた、当方に迎撃の用意あり!

 「ぼんのサラダは野菜の味がほどんどあらへん。砂糖を食べているようなもんや、確かに子供たちは野菜を食べた。せやけど、それで野菜嫌いが治るとは思えへん」
 「フハハハハ! 愚かな!」
 「なんや! あたいの言い分がまちがっとんとでも言うんか!?」
 「その通り、間違いだ!」
 「どこが違っとん!?」
 「愛しのガキどもに最も必要なのは成功体験だ! 野菜が食べれる、『おやさいたべれてえらいね』と褒めてもらえる、それが好き嫌いを治す上で重要な要素だ!」

 俺の声にキッズランドの人が頷くのが見えた。 
 
 「そして野菜の味が”ほどんど無い”ではない”少しはある”だ!」
 「は? 言い換えただけやん!」
 「ふぅ、この俺のような素人でも勝ち抜けるので薄々気づいていたが、やはりこの大会のレベルは低いな」

 俺の言葉に場の空気が凍り付くのが分かる。
 許して下さい、選手の皆さん、本心からではないのです。
 みんな部長が悪いんです。
 昨日『ディベートの時に関係者をディスりなさい』なんて作戦を俺に与えるからなんです。
 
 「子供が野菜が嫌いな理由のひとつに、その味が嫌いな所がある」
 「当たり前やん」
 「そうか? その本質は本能での拒絶にある事は気づいているかな?」
 「本能?」
 「体が拒絶するのだよ、この味は食べてはいけない味だと。野菜の苦みは捕食される事を防ぐ目的で生まれている。しかし、少しずつでも食べ続ける事により、その苦みに対する人の拒絶反応は減少する。俺の『サクサクサラダアイスキャンディ』は、中長期的な計画に基づいた料理よ!」
 「そこや! ぼんも言ってるやん。これはアイスキャンディやて、サラダとは言えんちゃう!?」

 特別審査員からもツクルトさんの言葉に同調する言葉が聞こえる。

 「お前がそう思うんならそうなんだろう。ではな。だが、肝心の愛しのガキどもはどうかな!」

 そう言って俺はステージから駆け出し、跳ぶ。
 くるりと回転しながら一般審査員の前に着地する。
 ありがとう師匠! 運動音痴の俺に忍者仕草を仕込んでくれて! 

 「なあ良い子たち! 俺の料理はサラダかな? サラダだと思う人! ハーイ!」
 
 そう言って俺は手を上げる。

 「ハーイ!」「ハーイ!」「ハーイ!」「「「「「ハーイ!!!」」」」」

 数人が先に手を上げ、それに釣られてどんどん手が上がり、最後は全員が手を上げた。

 「あー卑怯やで! 子供を味方に付けるなんて!」

 ステージの上からツクルトさんが叫ぶ。

 「フハハハハ! 子供は素直よ! そして何より、審査員の気持ちを考える事のどこが卑怯と言うのかね!?」
 「ふははははー! ふははははー!」

 愛しのガキどもも俺の味方をしてくれる。
 子供は素直だ、だがそれはなんだ。
 子供にとっては俺の料理がサラダであった方が都合が良い。
 なぜなら、サラダでないと、おやさいサラダを食べれた事にならないからな!

 シュタタタタ! 俺は再びステージに戻る。

 「そして俺も言わせてもらおう、おぬしのサラダには重大な欠点がある!」
 「は? あたいの料理は完璧やで、どこに欠点があるんや!?」
 「おぬしの料理単体で言えば完璧だ! だが、それをそこの親御さんが家で作る場合はどうかな!」

 俺は一般審査員席を示して言う。

 「そっ、それは……」
 「レベルの低いおぬしでも、気づいたようだな! そう! おぬしのサラダは最高級の素材があってこそ、あの味が出せるのだ! 俺の用意した素材では明らかに味が落ちる!」

 ツクルトさんが言葉に詰まるのが分かる。
 今だ! 一斉に畳みかける!

 「俺たちはヒントを与えていたぞ、一回戦の時にな! 愛は無限だ! 愛の力は偉大だ! だが! かねと時間と体力は無限にあるわけではない! 特にかね!」

 俺は金の所を特に強調する。

 「フハハハハ! おぬしの特選素材はいくらだ!? この会場の上等な野菜はいくらだ!? そしてそれは、ご近所で売っているのかな? ちなみに、とくとくマートで買えばお求めやすい価格の上に、タイムセールやポイント還元もあるぞ!」

 うん、俺、ものすごくスポンサーに媚びを売っているな。

 「それでも重要なのは本物を知る事や! 本当に良い野菜の味を知れば、野菜が嫌いなんて言う子供はおらんなるはずや!」

 ツクルトさんが反論してくる、うん、俺もそう思うぞ、だけど無い袖は振れんのじゃ!

 「おおーっと、ニンジャコック選手! 味ではなく経済性で攻撃してきたー! これは今までにない攻撃! 対するツクルト選手は味で勝負だ! この勝負の行方はどうなるのか!? それでは採点に移りましょう!」

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