超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

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第六章 幕間~もうひとつの準決勝~

その2 答えは慎重に選ぶべきだったよ

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 真紅さんの声にみなの視線が師匠に集まる。
 
 「ふむ、この覆面は髪の毛と唾液を料理に入れぬため、と言っても駄目なのであろうな」
 「はい、がここに居る理由を尋ねているのです。わたしにもわかるように」
 「なぜ、お主がそれを気にする? お主には関係ないであろうに」
 「それは……」

 真紅さんが言葉を詰まらせ、少し下を向く。

 「それは……、あなたがダーリンの事を利用してボロ雑巾のように使い捨てにしないか心配だからです!」

 顔を紅潮させて真紅さんが叫んだ。

 「ちょ! りっくんの事をダーリンなんて呼ばせないんんんだから!」
 「そんな、宇宙人鬼娘のような二人称はダメ!」

 蘭子と部長が叫ぶ。

 「んー、じゃあハニーで」
 「劇場版第一作のゲストヒロイン風に変えてもダメ! 絶対!」

 真紅さんも部長も、頭がBugってハニってるな。

 「真紅さん」
 「なーに? ダーリン?」
 「その呼び方は止めてくれ」
 「どーして? ハニー?」
 「正直恥ずかしい」
 「恥ずかしがり屋なのね、わかりました、普通に『陸さん』と呼びましょう。キリッ」

 語尾に『キリッ』と付けても、もうイメージ台無しだよ。
 やっと、理知的で知性的なキャラが出て来たと思ったのに。

 「にゃは! しんくーちゃんは、一度惚れると見境が無くなるタイプにゃよ! 表向きは理知的で、ベッドでは乱れるタイプにゃね!」

 そ……それは素晴らしい!
 男は自分だけに見せてくれる姿に弱いものだ。
 俺の弱点を突いて来るとは卑怯な奴め!

 ふうぅー
 師匠が深い息を吐き、再び視線を自身に集める。

 そう言えば、師匠は部長が連れて来た。
 だったら、部長はその正体を知っているはずだ。
 だが、なぜ、俺たちにも秘密にしなくてはならないのだろうか。

 「ここに居るメンバーで、拙者の正体をボスは知っておる。真紅殿には気づかれた。少女と少年は分かっておらぬであろう。うざ殿と茶華殿はどうかな?」
 「にゃは! あちしは薄々感づいているにゃよ!」
 「そんなバカ殿みなたいな呼び方は止めて! わかってないわよ!」

 うざ子は抗議の声を上げたが、うざ殿というネーミングはぴったりだな。
 
 「そうだな、ここまで来たのだから、全てを話すべきだな。それが、決勝進出を決めたボスと少女と少年への礼儀でもあるからな」
 「せ、先生、本当に良いの!?」
 「ああ、ボス。決勝におもむく時に、憂いや迷いがあってはならぬ、ここが潮時であろう。今こそ明かそう、拙者の正体を」

 師匠がその手をマスクに掛け……その動きが止まった。

 「だが、その前にちょっとクイズをしよう。少女、少年、拙者の正体を当ててみよ! ずばり的中したならば、ここまでの頑張りも加えて、ご褒美をあげよう!」
 「え~、あたしわかんない~、でもご褒美は欲しいな~」
 「ご褒美とは具体的には!?」

 ご褒美という言葉に俺と蘭子のテンションが上昇する。

 「カラダで返そう!」

 ごめん、師匠……俺の心はもはや師匠と共にあらず!

 「それって、あたしたちのために料理を作ってくれるって事?」
 「そうだ、1回だけ、好きな時に、好きな料理を、好きな分、作って進ぜよう!」
 「やったぁ! がんばろうね、りっくん!」

 ごめん、蘭子……俺の心は桃闇ピンクダークに汚されてたよ。
 隣で部長が『ごめん、陸……あたしの桃魔ピンクウィッチが……』と呟いていたのは聞かなかった事にしよう。

 「今なら大サービスとして、少女と少年に1回ずつ『Yes or No』で答えられる質問をする権利も付けよう。回答も各人1回ずつしてよいぞ」
 「んーと、あたしの質問の権利をりっくんにあげてもいい?」
 「よいぞ!」
 「じゃあ、りっくんおねがいっ!」

 お願いはされたが、正直、2つの質問で師匠の正体を限定するのは難しい。
 だが、ちょっと頭を働かせてみるか。

 「じゃあ、第一の質問。『師匠の正体は、アニメや漫画作品での覆面や仮面キャラの正体のパターンと同じものがある』Yes or No?」
 「それは、主人公を少年、ヒロインを少女とした関係という認識で良いか?」
 「ヒロイン!?」

 ヒロインという単語に目を輝かせてワクワクした表情で、蘭子が俺を見る。

 「あ、ああ、それで」
 「えへ、えへ、ヒロインかぁ、お姫様だよね~、くふふ」

 今、ここで俺が肯定の意を言わなかったら、明日の朝日は拝めなかっただろう。

 「友人の親族と結ばれた話を知っているわよ!」

 うざ子、その魔法使いが結ばれたのは友人の妹だ、年上三十路じゃねぇ!

 「中盤のライバルキャラと結ばれた例もありますね。わたしは知っています」
 
 真紅さん、それだと俺はパンツをかぶる変態になり、真紅さんはお色気拳法を使う羽目になります。

 「頼れるチームメイトといい感じになったアニメもあるわね」
 「そんなのもありましたね、部長。お姫様ヒロインと巨乳ヒロインを差し置いて、ひんに……」
 
 ガクッ
 俺の襟が引っ張られる。

 「ひん……何だって!?」

 ヤバイ! 言ってはいけない単語を口にしそうになった!

 「で、ひんに……に続く言葉は!?」

 部長の笑顔スマイルが怖い。
 ここで『貧乳ひんにゅう』と言ってしまったら、俺は決勝を前に命運が尽きてしまうに違いない。

 「ひ、ひんに……」
 「ひんに?」
 「頻尿ひんにょうチームメイトと結ばれた話だったっけ?」
 「そんな特殊性癖向けAVのような話は無いわー!!」

 部長の回転するタスクが俺の顔面をえぐり去った。

 「ウギャア! チチ肉マーン!」

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