超絶! 悶絶! 料理バトル!

相田 彩太

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第七章 決勝

その2 おまかせっ! ハーフ & ハーフ

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 「ぐははっ! してやられたわ! 土御門! 土御門よ! これは一本取られたのぉ! ふはは!」

 寿師翁は腹を抱えて笑っている。

 「フハハハハハ! 土御門よ! だから調子に乗るなと忠告したであろう!」

 師匠はしてやったりといった表情で土御門を指差して笑っている。

 「プフフッ、土御門さん! 愛ですよ! 愛! 愛情で料理すれば大丈夫ですっ!」

 口を押さえながら安寿さんも笑いをこらえている。

 「あれー!? 刺身で寿司が作れないなんて、これは奇異な物言いだねぇ!」
 「だよね~!」

 部長と蘭子も合いの手を入れている。

 「フハハハハ! テレビの前の良い子たちにも解説してやろう!」

 俺は腰を捻ったポーズでカメラに向く。

 「こやつら寿司職人が、他の料理人より最も優れているのは『魚の目利き』と『刺身にする包丁技』よ! だが、この食材では、それが活かせぬ! 拙者は、その最大の2つの武器を奪ってやったのよ! フハハハ!」
 「「「「「「ふはははは!」」」」」」

 食材の買い出しに行ってくれた江戸川たちも、俺に合わせて笑う。
 ありがとう! 買い出し部隊!

 「さあ! この刺身の消費期限はAM11時よ! あと1時間以内に何とかしないと腐ってしまうぞ!」
 「ちくちょー! せっかくだから、俺はこの舟盛を選ぶぜ!」

 そう言って玉城は半額刺身をあさり始めた。
 そして、俺も半額刺身パックを手にする。

 さあ! 決戦の始まりだ!

◇◇◇◇◇◇

 「オ題ヲ、受領シマシタ。調理時間ハ、消費期限ヲ考慮シ、1時間デス」
 「おおっーと! 調理時間が短めだぞー!」
 「次にきさまは『これも計算のうちかNINJA』という」
 「これも、計算のうちかニンジャコック……ハッ!」

 そして俺とラウンダはグハハと笑い合う。
 実は偶然なんだけどね。
 コンピューターも俺の味方してくれたぞ。

 「フハハハハ! これでは刺身に合った酢飯を米から炊けぬなぁ! 事前に下ごしらえして持ち込んだ酢飯を使うしかなかろう!」
 「くっ! だが、それは雑煮とて同じ事!」

 あー、こいつ師匠の前情報通り、少しおバカさんだな。

 「未熟! 未熟! 『食材』を選んだのがこちら側という事を忘れたと見える! そして貴様が『寿司』をお題にする事は予想済よ! ならば、それに合う酢飯を仕込んでおかんとでも思うだかぁ!」
 「だ、だが、雑煮の腕で作った酢飯など……」
 「無論! 事前の仕込みはみんなでしたぞ! お主の敬愛する山田師匠といっしょになぁ!」

 そして、師匠がえっほ、えっほとおひつを運んで来る。

 「ニンジャコック選手ぅー! 圧倒的に差がある料理の腕を、挑発とお題のチョイスで完全に埋めたー! 美味しい寿司に必要な要素! 『魚の目利き』も! 『刺身への包丁技』も! 『ネタに合う酢飯』も! 土御門選手は全てが封じられたぁー!」 

 「おのれ! おのれ! おのれ! おのれ! おのれ! おのれぇー!」

 いやもう、ここまで上手く運ぶとは思わなかった。
 観客から大歓声が上がる。
 当然だ、前評判では俺たちが圧倒的に下だったのだ。
 番組のステータスグラフでは俺は土御門に何ひとつ勝っていなかった。
 今も中央のビジョンにもそれは示されている。

--------------------------------------------------------------------------------
★料理愛好倶楽部 所属
 ニンジャコック選手
 料理:B
 体力:B
 発想:A
 財力:D
 特殊:A 

★魚鱗鮨 所属
 土御門 金具(つちみかど きんぐ) 選手
 料理:A
 体力:A
 発想:A
 財力:A
 特殊:S

 ※特殊は得意料理を示す
--------------------------------------------------------------------------------

 あいつ……キングって名前だったのか……

 ちなみに『財力』は今までに食べた料理の幅や会場に無い食材調達能力を示すらしい。
 くっそ! 間違えてはいないが悔しい!

 「ヅケだ! この食材ではヅケにするしかない!」
 
 そう言って土御門は調味料とを合わせ始める。
 素材は醤油とみりんと酒と胡麻、葉ワサビ、生姜だ。

 「出来合い刺身ごときで、俺の包丁技を封じれると思うな!」

 ヒュンヒュンヒュン

 刃が風を切る音が聞こえる。

 「これは! 隠し包丁だぁー! 見えない切り込みが刺身に刻まれていくぅー!」
 「違うわ! あれは隠さない包丁よねぇ!」
 「あ~、おさしみを渦に巻いてる~」

 俺からは土御門の手元は見えない。
 見ている余裕はない。
 だから、代わりに部長と蘭子が俺に情報を伝えてくれている。

 「土御門選手! 巻いた刺身を調味液に浸けたー! 隠し包丁で増えた表面積により浸けこみ速度が上がっているぅー、そして酢飯を握り始めたぁー!」

 あっちはヅケ握りで来るか。
 ならば、俺は!
 俺は酢飯を丸めて一口サイズの丸おにぎりにする。
 俺の握りの腕では土御門に遠く及ばない。
 だから、同じ握りにすると差が比較されてしまい負ける。
 だから、俺の得意なおにぎりにした。

 「一方のニンジャコック選手は、刺身に衣を付けているぞ! 用意されているのは油鍋だぁ!」 

 さらに、これだ!

 「ああっとぉー! ニンジャコックが持ち出したのは!? まさかのたこ焼きプレートだぁ!? これで何をするのかぁ!?」
 「フハハハハ! これは、こうするのよ!」

 俺は熱せられたたこ焼きプレートに油を引いてを挟み、そして、その上からもう一つのたこ焼きプレートを重ねる。

 「重ねたぁー!? これが、どんな寿司になるのだろうかぁ!」

 ジューという音を立てるたこ焼きプレートを横に、俺は刺身を軽く揚げる。
 
 サクッ

 揚がった刺身を半分にカットして盛り付けに入る。
 刺身と丸おにぎりとを合体させれば完成だ!

 「両選手の寿司がどんどん完成していくー! この短時間で見事な腕前だー! 決勝の第一セットを飾るにふさわしい! そしてぇー! タイムアップだぁー!!」

 歓声と共に、タイムアップの笛が鳴り響いた。
 

 



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