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エピローグ 夢のつづき
エピローグ⑤ わたくしとわたくし ふたりのミラ
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明るい闇で満たされた神の座。
上映中の映画館にも似た雰囲気の中、ふたりの女性は軽く身なりを整える。
ひとりはミラ・ミュラー、もうひとりもミラ・ミュラー。
この『”祝福ゲーム”を因果から外れておもしろおかしく観賞したい』というのが彼女の願い。
”祝福ゲーム”の途中、タイムリープで過去に戻った祝福者のせいで歴史は2度同じ道をたどった。
結果、この座には1周目と2周目のミラが存在することになったのだ。
「この”祝福ゲーム”も終わりですわね」
「ええ、残されて”祝福”はひとつ。でもその前に……」
「「神様、ちょっと聞いてよろしいかしら?」」
元はひとりの人間、息ぴったりにミラたちは問いかける。
「なにかね?」
「これが終わったら、わたくしたちはどうなりますの?」
「いきなり双子だったという設定になるのかしら?」
「その問いに答えよう。そうではない、ひとりに戻るのだ。そして元通りの生活を送ることになる」
右手と左手をパチリと合わせ、拝むように神はミラたちに告げる。
「そうですの」
「ま、わたくしたちは趣味も思考もピッタリですから。そこはいいんですけど」
「何か心残りでもあるのかね?」
「ええ、やっぱり聞かずにはいられませんわ」
「神様、あなたがこの”祝福ゲーム”を始めた目的はなんですの?」
この疑念はミラが、ミラたちがずっと持っていたもの。
死者蘇生に時間改変、文字通り次元の違う存在である”神”。
彼がいかなる理由でこの”祝福ゲーム”を始めたのか、それはふたりが一番知りたいことだった。
「その問いには答えられない。知りたければ”祝福”でも使うべきだったな」
「えー、やっぱり。そう答えると思ってましたけど」
「でも、わたくしたちの予想を聞くくらいは良いでしょう。まだ少しだけ時間がありますし」
ミラの要望に神は「少しだけだぞ」と応える。
「わたくしは最初、これはあなたたちみたいな”神”が、人間が”祝福ゲーム”で右往左往するのを楽しむ観劇だと思っていましたの。欲望を叶えたり、死んだり、命をかけて争ったり。そんな姿を遊戯として」
「あー、よくあるタイプですわね。それで誰が最後に勝つか賭けをしてたりとか」
「そうそう、だって神様ってば、とっても楽しそうに”祝福者”たちを眺めていたのですもの」
ミラの言葉に神は不正解だとばかりに首を振る。
「でしょうね。でも、途中からわたくしたちも考えが変わりましたの。神様の精神がわたくしたちのような人間と同じとはとても思えないと」
「そこで考えてみたのが次の仮説。わたくしたちが微生物の営みや生態を観察してそこに学術的な興味を持つように、神様もわたくしたちを観てらっしゃるのではないかって」
「脅威! 下等次元生物の神秘! てみたいに」
神の頭がピクリと動いたのをミラたちは見逃さなかった。
「あら、ひょっとして」
「ひょっとして正解かしら」
あたしたち、なんかやっちゃいました。
そんな風にミラたちは表は平静に、心はウキウキと問いかける。
「その問いに答えよう。さっきのよりかは正解に近くなった。だが不正解だ」
「えー、当たったと思いましたのに」
「でも、そうすると何が目的なのかしら」
ふたりは頭に指をあてて考える。
この”祝福ゲーム”の中、神様がノリノリに、楽しそうにゲームを進めていたのは後半に入ってから。
特に最後の凛悟とのゲームでは賭けに負けた時は、敗北にもかかわらず楽しそうだった。
逆に序盤は、恐竜の復活で人が死んでいくさまはあまり楽しそうに見えなかった。
「ねぇ、神様は人類が”祝福ゲーム”の結果、全滅するのは嫌ですわよね」
「サービスだ、最後に答えよう。あまり好きではない、だがその結果でも我には有益なものだ」
神のサービスにふたりはますます頭を抱える。
「全滅してもかまわない、それだとやっぱり学術的なことのように思えますけど」
「やはり次元の違う神様の考えはわたくしたちには理解できませんのかしら」
「神様だったら天地創造くらい出来そうですし……」
「それこそ剣と魔法と怪物が跳梁跋扈するファンタジー世界でも創れそうですし」
「異能がはびこる能力バトル世界でもおちゃのこさいさいでしょうね。今回の”祝福ゲーム”で出てきたタイムリープとか不老不死とかもいたりする」
「あるあるですわ。でも、そういうのってゲームですとバランスが悪くなっちゃって修正が必要なものも多いんですのよね」
「運営、ちゃんとテストプレイしろって言いたくなりますわ」
ふたりの会話が本筋から逸脱しそうになった時、神がコホンと咳払いをした。
そこが彼女たちの確信という名の琴線に触れた。
「あ、ひょっとして神様ってば」
「別の次元で天地創造する時にどこまでのキャラが許されるのかとか、どこまでのチート能力とか神の奇跡を実装するかどうかのテストプレイ中だったりします?」
神はその問いには黙して語らなかった。
「あら、ひょっとして」
「ひょっとしましたかしら」
「でも、テストプレイって1回や2回じゃ済みませんよね」
「……ということは、神様はこの”祝福ゲーム”を別の次元でもやっているっていうことかしら!?」
「「そこんとこどうですの?」」
ふたりの声がハモった。
「その問いに答えよう──」
ふたりは息を飲んで神の答えを待つ。
「──最後の”祝福者”がそれを求めたのならば」
神は少し意地悪そうにふたりに答えた。
「えー、ここまで来てそれですの!?」
「あー、これってメタなやつですわ。観客に答えを求めさせるタイプの」
「王道であろう。この先の展開も含めて」
「それはそうですけど……」
彼女たちはわかっていた、最後の願いの内容を。
予想するまでもなかった。
それは王道中の王道、ありきたりなハッピーエンド。
「神様、最後の願いを叶えたら”祝福ゲーム”は終わりですわよね」
「そうしたら、すぐお別れになりますか?」
「それが君たちの願いであろう。顛末を見届けたいという。願いを叶えたなら、我は『さらば』と言うのみだ」
この”祝福ゲーム”の終焉。
それはふたりと神との別れの時でもあった。
「じゃあ、先に言っておきますわ」
「ごきげんよう神様」
「「素晴らしい”祝福ゲーム”をありがとう」」
「どういたしまして。では、少し早いがおさらばだ。ふたりとの過ごした他愛ない時間は楽しかったぞ。では迎えよう。最後の”祝福者”を」
そして神とふたりは迎える。
最後の”勝利者”を。
上映中の映画館にも似た雰囲気の中、ふたりの女性は軽く身なりを整える。
ひとりはミラ・ミュラー、もうひとりもミラ・ミュラー。
この『”祝福ゲーム”を因果から外れておもしろおかしく観賞したい』というのが彼女の願い。
”祝福ゲーム”の途中、タイムリープで過去に戻った祝福者のせいで歴史は2度同じ道をたどった。
結果、この座には1周目と2周目のミラが存在することになったのだ。
「この”祝福ゲーム”も終わりですわね」
「ええ、残されて”祝福”はひとつ。でもその前に……」
「「神様、ちょっと聞いてよろしいかしら?」」
元はひとりの人間、息ぴったりにミラたちは問いかける。
「なにかね?」
「これが終わったら、わたくしたちはどうなりますの?」
「いきなり双子だったという設定になるのかしら?」
「その問いに答えよう。そうではない、ひとりに戻るのだ。そして元通りの生活を送ることになる」
右手と左手をパチリと合わせ、拝むように神はミラたちに告げる。
「そうですの」
「ま、わたくしたちは趣味も思考もピッタリですから。そこはいいんですけど」
「何か心残りでもあるのかね?」
「ええ、やっぱり聞かずにはいられませんわ」
「神様、あなたがこの”祝福ゲーム”を始めた目的はなんですの?」
この疑念はミラが、ミラたちがずっと持っていたもの。
死者蘇生に時間改変、文字通り次元の違う存在である”神”。
彼がいかなる理由でこの”祝福ゲーム”を始めたのか、それはふたりが一番知りたいことだった。
「その問いには答えられない。知りたければ”祝福”でも使うべきだったな」
「えー、やっぱり。そう答えると思ってましたけど」
「でも、わたくしたちの予想を聞くくらいは良いでしょう。まだ少しだけ時間がありますし」
ミラの要望に神は「少しだけだぞ」と応える。
「わたくしは最初、これはあなたたちみたいな”神”が、人間が”祝福ゲーム”で右往左往するのを楽しむ観劇だと思っていましたの。欲望を叶えたり、死んだり、命をかけて争ったり。そんな姿を遊戯として」
「あー、よくあるタイプですわね。それで誰が最後に勝つか賭けをしてたりとか」
「そうそう、だって神様ってば、とっても楽しそうに”祝福者”たちを眺めていたのですもの」
ミラの言葉に神は不正解だとばかりに首を振る。
「でしょうね。でも、途中からわたくしたちも考えが変わりましたの。神様の精神がわたくしたちのような人間と同じとはとても思えないと」
「そこで考えてみたのが次の仮説。わたくしたちが微生物の営みや生態を観察してそこに学術的な興味を持つように、神様もわたくしたちを観てらっしゃるのではないかって」
「脅威! 下等次元生物の神秘! てみたいに」
神の頭がピクリと動いたのをミラたちは見逃さなかった。
「あら、ひょっとして」
「ひょっとして正解かしら」
あたしたち、なんかやっちゃいました。
そんな風にミラたちは表は平静に、心はウキウキと問いかける。
「その問いに答えよう。さっきのよりかは正解に近くなった。だが不正解だ」
「えー、当たったと思いましたのに」
「でも、そうすると何が目的なのかしら」
ふたりは頭に指をあてて考える。
この”祝福ゲーム”の中、神様がノリノリに、楽しそうにゲームを進めていたのは後半に入ってから。
特に最後の凛悟とのゲームでは賭けに負けた時は、敗北にもかかわらず楽しそうだった。
逆に序盤は、恐竜の復活で人が死んでいくさまはあまり楽しそうに見えなかった。
「ねぇ、神様は人類が”祝福ゲーム”の結果、全滅するのは嫌ですわよね」
「サービスだ、最後に答えよう。あまり好きではない、だがその結果でも我には有益なものだ」
神のサービスにふたりはますます頭を抱える。
「全滅してもかまわない、それだとやっぱり学術的なことのように思えますけど」
「やはり次元の違う神様の考えはわたくしたちには理解できませんのかしら」
「神様だったら天地創造くらい出来そうですし……」
「それこそ剣と魔法と怪物が跳梁跋扈するファンタジー世界でも創れそうですし」
「異能がはびこる能力バトル世界でもおちゃのこさいさいでしょうね。今回の”祝福ゲーム”で出てきたタイムリープとか不老不死とかもいたりする」
「あるあるですわ。でも、そういうのってゲームですとバランスが悪くなっちゃって修正が必要なものも多いんですのよね」
「運営、ちゃんとテストプレイしろって言いたくなりますわ」
ふたりの会話が本筋から逸脱しそうになった時、神がコホンと咳払いをした。
そこが彼女たちの確信という名の琴線に触れた。
「あ、ひょっとして神様ってば」
「別の次元で天地創造する時にどこまでのキャラが許されるのかとか、どこまでのチート能力とか神の奇跡を実装するかどうかのテストプレイ中だったりします?」
神はその問いには黙して語らなかった。
「あら、ひょっとして」
「ひょっとしましたかしら」
「でも、テストプレイって1回や2回じゃ済みませんよね」
「……ということは、神様はこの”祝福ゲーム”を別の次元でもやっているっていうことかしら!?」
「「そこんとこどうですの?」」
ふたりの声がハモった。
「その問いに答えよう──」
ふたりは息を飲んで神の答えを待つ。
「──最後の”祝福者”がそれを求めたのならば」
神は少し意地悪そうにふたりに答えた。
「えー、ここまで来てそれですの!?」
「あー、これってメタなやつですわ。観客に答えを求めさせるタイプの」
「王道であろう。この先の展開も含めて」
「それはそうですけど……」
彼女たちはわかっていた、最後の願いの内容を。
予想するまでもなかった。
それは王道中の王道、ありきたりなハッピーエンド。
「神様、最後の願いを叶えたら”祝福ゲーム”は終わりですわよね」
「そうしたら、すぐお別れになりますか?」
「それが君たちの願いであろう。顛末を見届けたいという。願いを叶えたなら、我は『さらば』と言うのみだ」
この”祝福ゲーム”の終焉。
それはふたりと神との別れの時でもあった。
「じゃあ、先に言っておきますわ」
「ごきげんよう神様」
「「素晴らしい”祝福ゲーム”をありがとう」」
「どういたしまして。では、少し早いがおさらばだ。ふたりとの過ごした他愛ない時間は楽しかったぞ。では迎えよう。最後の”祝福者”を」
そして神とふたりは迎える。
最後の”勝利者”を。
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