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第1章
1-48 海神エーギルとフレーセイ島 その5 楽しい晩餐
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「さ、獲ってきました。ニシンとホタテ、それにイカにハマグリが獲れました。」
元気良く岩で出来た祠の扉を開けアンピトリテが入ってくる。一度海に入る時に草の衣は脱いだのか、もちろんいつものたわわな胸を意識せずとも見せつけている格好である。
「ぐぼっ、ごほごほ、、、。」
「あら、服脱いじゃったわね?じゃ、今度はこんな格好で。」
リーンが魔法を唱えると、アンピトリテは、今度は薄く桃色がかったきめ細やかな絹で出来たショートドレスに身を包まれた。
「あら~、キンチャクダイのドレスみたいに素敵です!肌触りもいいですね。これから陸に上がる時は、リーンさんにいただいた服を着るようにしようかしら~?」
「そうしてください、、、。」
美しい裸体を毎回見せつけられ、ちょっと残念ながら、その場に居おうせないほど決まりの悪いガラハドであった。
、、、1時間後、、、
「さぁ、準備は出来たわね、じゃ、いただきましょう!」
「おー!」
時刻はマーニ一刻(18:00)、魚介から野豚から野菜類から豪勢な晩餐の準備が整っている。リーン達が辿り着いた当時、生き物のあまり見当たらなかった荒れた殺伐とした草原が広がる『フレーセイ島』の中で、どこをどう見つけたのか分からないが、ともかくリーン達は晩ご飯にありつこうとしていた。こうして充実した食事がとれるのは、ラルフの樹海のコテージ『ネメトン』にてゆっくり休息を取ってから実に1週間ぶりの事である。
「それにしても、この祠見れば見るほどすごいですね~、キッチンは広いし竈やダイニングテーブルもあるし、寝室も何部屋もあるし、お風呂まであるなんて!?どういう原理なんですか?」
普段、海中生物の中にあって土魔法などほとんどお目に掛かったことのないアンピトリテが不思議そうに尋ねる。
「これよ。」
リーンはいつも大事に抱えている麻のポシェットから、小さな石の置物を取り出す。小さな置物はとても精巧に出来ており、リーン達が居住している祠同様、窓や扉、中をのぞくと椅子や机まで用意されている。
「お、これをいつもの突飛な土魔法で大きくしているのか?」
「平たく言えばそういう事。私がおじいちゃんに引き取られてから初めに覚えた魔法なの。おままごと由来よ(笑)。」
「はぁ、なんかいつもおまえの魔法は超がつくほどの生活密着だな、どうも何もかも魔道士っぽくないんだよな~(笑)。」
「まぁ『英雄戦争』の時は、その独自性にずいぶん助けられたわね、大根戦士とか(笑)。」
「そうだな。」
メルとガラハドが、当時のリーンの素っ頓狂さを振り返りしみじみ回想する。
「さ、種明かしは済んだし、早く食べましょうよ!」
「そうだったわね!久しくまともな料理食べていないし、早くごちそうにありつきたいわ!!」
「では、いただきま~す!」
意外に行儀良く挨拶をする三人であったが、人魚アンピトリテには見知らぬ習慣なのか、キョトンとしている。
食卓に並んでいるのは、野豚の田舎煮、雉の丸焼き、タマネギとニラとマッシュルームの入ったクリームスープ、ハマグリのオイスターソース炒め、ニシンとオリーブのマリネ、木の実入り無発酵パン、搾りたてベリージュース、、、。皆それぞれ調理に一家言持っているのか?4人もいると手の込んだ料理もお手の物のようだった。アンピトリテは完全にお手伝いに回っているのではあったが。
「うひょー!うまいわ~!!」
折角のかわいい姿を台無しにしてメルが叫ぶ。
「おお、うまい!最近の苦労なんか忘れちゃいそうだな!!」
ガラハドもおいしさには賛同の様子である。
「あんた、そればっかね(笑)。」
「わ、私、いつも丸ごと魚とかの躍り食いしかしてないから慣れないわ~、こんなに手の込んだ料理が人間の食事なんですね!すごいわ~!!」
「アンピトリテさん、箸が無理ならフォークで食べていいのよ。あ、ちょっとメル!雉、一度にそんなに取らないでよ!!」
、、、そろそろ用意した豪華な晩餐も食べ尽くす頃、、、
「それにしてもガラハド、あなたの愛用の黒の剣折れちゃったし、これからどうするの?」
「あぁ、弘法筆を選ばず、そこらの木で木刀でも作ってるよ。」
「ホントに、ごめんなさい。『ヴァンドロメオン』は『エーギル』様の執務場で、当然荒くれ者の審判なんかもするものだから罠の一つや二つあっても良さそうだったのに、、、ちょっと不用意すぎました、、、。」
「いいんですよ。ホントに。家に帰ればあんな剣いくらでもあります。さ、お腹も一杯になってきた事だし、そういえば近くに丈夫そうな胡桃の木があったな、ちょっと材料取りに行ってくるかな~。」
と、言ってアンピトリテの気落ちを遮るかのように席を立つと、祠の外へ揚々と歩いて行く。
「あー、いやらしいわね~、私達にそんな気遣いしたこと無いくせにね~(笑)。」
「そうそう、ちょっとこれまでになく紳士的よね。」
「私、何か悪いことしたんでしょうか?」
「ふふふ、ないない。そういえば、アンピトリテさんって、昔のレーネになんとなく物腰や性格が似ているわね?」
リーンがメルに問いかける。
「あ、そういえば。私、無差別爆撃するレーネは知らないけど、そうね『英雄戦争』時代の奥ゆかしくて芯のしっかりした彼女に似ているわ。」
「え、誰ですか?レーネさんって?」
「それはね、、、、」
「うわ~!!!」
突然、祠の外にいたガラハドが叫び声をあげる。大抵において何かとリーン達に愚痴をこぼしたいガラハドであったが外面は冷静な彼である、驚愕の大声を上げることなど滅多にない。その声のトーンと大きさから岩の祠の外でとんでもない事態が起こっているのであろう事が、リーン達にも感じ取れた。
元気良く岩で出来た祠の扉を開けアンピトリテが入ってくる。一度海に入る時に草の衣は脱いだのか、もちろんいつものたわわな胸を意識せずとも見せつけている格好である。
「ぐぼっ、ごほごほ、、、。」
「あら、服脱いじゃったわね?じゃ、今度はこんな格好で。」
リーンが魔法を唱えると、アンピトリテは、今度は薄く桃色がかったきめ細やかな絹で出来たショートドレスに身を包まれた。
「あら~、キンチャクダイのドレスみたいに素敵です!肌触りもいいですね。これから陸に上がる時は、リーンさんにいただいた服を着るようにしようかしら~?」
「そうしてください、、、。」
美しい裸体を毎回見せつけられ、ちょっと残念ながら、その場に居おうせないほど決まりの悪いガラハドであった。
、、、1時間後、、、
「さぁ、準備は出来たわね、じゃ、いただきましょう!」
「おー!」
時刻はマーニ一刻(18:00)、魚介から野豚から野菜類から豪勢な晩餐の準備が整っている。リーン達が辿り着いた当時、生き物のあまり見当たらなかった荒れた殺伐とした草原が広がる『フレーセイ島』の中で、どこをどう見つけたのか分からないが、ともかくリーン達は晩ご飯にありつこうとしていた。こうして充実した食事がとれるのは、ラルフの樹海のコテージ『ネメトン』にてゆっくり休息を取ってから実に1週間ぶりの事である。
「それにしても、この祠見れば見るほどすごいですね~、キッチンは広いし竈やダイニングテーブルもあるし、寝室も何部屋もあるし、お風呂まであるなんて!?どういう原理なんですか?」
普段、海中生物の中にあって土魔法などほとんどお目に掛かったことのないアンピトリテが不思議そうに尋ねる。
「これよ。」
リーンはいつも大事に抱えている麻のポシェットから、小さな石の置物を取り出す。小さな置物はとても精巧に出来ており、リーン達が居住している祠同様、窓や扉、中をのぞくと椅子や机まで用意されている。
「お、これをいつもの突飛な土魔法で大きくしているのか?」
「平たく言えばそういう事。私がおじいちゃんに引き取られてから初めに覚えた魔法なの。おままごと由来よ(笑)。」
「はぁ、なんかいつもおまえの魔法は超がつくほどの生活密着だな、どうも何もかも魔道士っぽくないんだよな~(笑)。」
「まぁ『英雄戦争』の時は、その独自性にずいぶん助けられたわね、大根戦士とか(笑)。」
「そうだな。」
メルとガラハドが、当時のリーンの素っ頓狂さを振り返りしみじみ回想する。
「さ、種明かしは済んだし、早く食べましょうよ!」
「そうだったわね!久しくまともな料理食べていないし、早くごちそうにありつきたいわ!!」
「では、いただきま~す!」
意外に行儀良く挨拶をする三人であったが、人魚アンピトリテには見知らぬ習慣なのか、キョトンとしている。
食卓に並んでいるのは、野豚の田舎煮、雉の丸焼き、タマネギとニラとマッシュルームの入ったクリームスープ、ハマグリのオイスターソース炒め、ニシンとオリーブのマリネ、木の実入り無発酵パン、搾りたてベリージュース、、、。皆それぞれ調理に一家言持っているのか?4人もいると手の込んだ料理もお手の物のようだった。アンピトリテは完全にお手伝いに回っているのではあったが。
「うひょー!うまいわ~!!」
折角のかわいい姿を台無しにしてメルが叫ぶ。
「おお、うまい!最近の苦労なんか忘れちゃいそうだな!!」
ガラハドもおいしさには賛同の様子である。
「あんた、そればっかね(笑)。」
「わ、私、いつも丸ごと魚とかの躍り食いしかしてないから慣れないわ~、こんなに手の込んだ料理が人間の食事なんですね!すごいわ~!!」
「アンピトリテさん、箸が無理ならフォークで食べていいのよ。あ、ちょっとメル!雉、一度にそんなに取らないでよ!!」
、、、そろそろ用意した豪華な晩餐も食べ尽くす頃、、、
「それにしてもガラハド、あなたの愛用の黒の剣折れちゃったし、これからどうするの?」
「あぁ、弘法筆を選ばず、そこらの木で木刀でも作ってるよ。」
「ホントに、ごめんなさい。『ヴァンドロメオン』は『エーギル』様の執務場で、当然荒くれ者の審判なんかもするものだから罠の一つや二つあっても良さそうだったのに、、、ちょっと不用意すぎました、、、。」
「いいんですよ。ホントに。家に帰ればあんな剣いくらでもあります。さ、お腹も一杯になってきた事だし、そういえば近くに丈夫そうな胡桃の木があったな、ちょっと材料取りに行ってくるかな~。」
と、言ってアンピトリテの気落ちを遮るかのように席を立つと、祠の外へ揚々と歩いて行く。
「あー、いやらしいわね~、私達にそんな気遣いしたこと無いくせにね~(笑)。」
「そうそう、ちょっとこれまでになく紳士的よね。」
「私、何か悪いことしたんでしょうか?」
「ふふふ、ないない。そういえば、アンピトリテさんって、昔のレーネになんとなく物腰や性格が似ているわね?」
リーンがメルに問いかける。
「あ、そういえば。私、無差別爆撃するレーネは知らないけど、そうね『英雄戦争』時代の奥ゆかしくて芯のしっかりした彼女に似ているわ。」
「え、誰ですか?レーネさんって?」
「それはね、、、、」
「うわ~!!!」
突然、祠の外にいたガラハドが叫び声をあげる。大抵において何かとリーン達に愚痴をこぼしたいガラハドであったが外面は冷静な彼である、驚愕の大声を上げることなど滅多にない。その声のトーンと大きさから岩の祠の外でとんでもない事態が起こっているのであろう事が、リーン達にも感じ取れた。
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