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第1章
1-54 海神エーギルとフレーセイ島 その11 水銀のネコ再び
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リーン 「ふぁ~、よく寝た!3日分くらい寝た気がするわ!!!」
巨大な女神達が寝るのに使っているクイーンズサイズの倍はあろうかというフカフカのベッドで、ひときわテンションの高い声を出してリーンが目覚めた。昨晩の巨人ゾンビとの死闘はどこへやら、彼女の持つ天真爛漫な本質そのままの起きがけの一声である。
リーン 「アンピトリテさん、夕方よ。そろそろ法廷も終わってる頃だわ!」
アンピトリテ 「ううう、私、低血圧で、、、。」
リーン 「えええ~、鯉の精さんなのに、血圧なんてあるのね~、ふふふふふ。」
リーンの寝起きはいやにテンションが高い。
メル 「う~ん、う~ん。」
メルは悪夢でも見ているのかうなり声をあげている。見ると、メルの胸の上にマーガレットがちょこんと乗っかって、「ふな~お~」とあくびをしている。とても居心地が良いようだ。
メル 「はっ、ひょぇぇぇ~!!!!」
目覚めたメルの目の前で、昨日、メルの額めがけて銀の弾丸となって飛んできた蒼と紅の目をしたシャム猫が興味深そうに彼女の寝顔を眺めている。
メル 「だ、弾丸ネコ!!」
マーガレット 「にゃ~ん」
メルが起きたと同時に、メルの首筋にすり寄っていく水銀のネコ、どうやらメルをいたく気に入ったようである。彼女が凍り付いた事は言うまでも無かった。
仲の良い9人の『波の乙女』達は、9人列んで同じ部屋で同じようなクイーンズベッドで寝ているようであった。その広さはメル達の住む家が一軒すっぽり入りそうな具合である。そんな広々とした寝室の中央でゆっくりと仮眠を取ったリーン達であった。
ふと、シャム猫がまた銀色に輝き出す。
メル 「ひぃぃぃっ!!」
メルが怯えるのもお構いなしに、一瞬で水銀のネコと化したマーガレットは、全速力で食卓の間の方へすっ飛んでいった。
リーン 「あら、またこそ泥でも出たのかしら?」
誰かの声 「ぎゃぁぁぁ~!!!」
程なくして、見知らぬ男の叫び声が聞こえる。どうやらリーンの予想通り、不用意に『麦酒醸造鍋』に触れたものがいたらしい。
ドゥーヴァ 「あら、皆さんそろそろお目覚めのようね?今日の法廷も無事終わり、お夕食の準備が整ってますからお出でなさいな。」
『波の乙女』の次女ドゥーヴァがリーン達を起こしに来た。裁判場でのフォーマルな衣装と違い、薄水色のケープとの調和が美しいゆったりとしたベージュ色のドレスを着て、おっとりした顔立ちと言葉遣いで誘う。長女『ヒミングレーヴァ』を学級委員とするならば、次女『ドゥーヴァ』は相談係兼癒やし役であろうか?会話する皆々に安らぎを与える印象を受ける。
メル 「あ、あの叫び声は何?」
ドゥーヴァ 「あぁ、館内へ泥棒に入った盗賊の水死者がねずみ取りに引っかかったんでしょう。よくあることですわ。」
メル 「そ、そんなによくある事なの、、、?」
ドゥーヴァ 「さ、そんなことお気になさらず、食卓の間へどうぞ。」
メル (食卓の間って、あのネコが番をしている所じゃないの!?)
リーン (まあ、ビャルギャさん?だっけ?ネコの飼い主みたいな人も大丈夫って言ってるし、郷に入りては郷に従えよ(笑)。あなた猫ちゃんに気に入られているようだし(笑)、さ、行きましょう。)
メル (冗談じゃないわよ!ったく!!)
ドゥーヴァ 「あら、何か困ったことでもあったかしら?」
リーン 「い、いえ、何でも無い、ありがたく頂戴するわ。」
再び食卓の間を訪れると、先ほどの悲鳴はどこへやら、リーン達が初めて訪れた時と同じように整然とした長机に等間隔に列んだ長椅子、そして、徹夜戦で疲れ切っていたリーン達の労をねぎらうように、昨日同様に焼いた牛の肉や、豚肉の塩漬け、ザワークラウト、フルーティーな甘美な匂いを漂わせた銀杯に入っているビールといった、豪勢な料理がうずたかく盛られていた。
リーン 「まぁ、すごい!!!」
料理に目がないリーンがうれしい悲鳴を上げる。シャム猫は昨日見た時と同じように周期的に4本の柱の間を飛び移り飛び移りして、メルが警戒の目を向けている。そうこうしている内に、残りの『波の乙女』達と『海神』エーギルが部屋に入ってきた。窮屈な『イスティファルド』の宿舎の狭いダイニングで食事を取っていたリーンやガラハドにとっては、却って居心地の悪さを感じさせるほどの広さのダイニングルームであったが、巨大な9人の女神達と海神を迎えると、ピッタリとマッチした広さになるのであった。この大きさに設計されている事に合点がいったリーンであった。
エーギル 「さぁ、今日の面倒くさい裁きも終わったことじゃし、うまい酒でも飲んであったかいジャグジーにでも浸かってリセットするかのぉ。」
リーン 「あの~、『ムスペッルスヘイム』へ連れてってくれるのはいつになるのでしょうか、、、?」
エーギル 「おお、そうじゃったそうじゃった、ワシとしたことが、すっかり忘れてしまっておったわい。『ヨトゥンヘイム』の海中魔法生物の生態調査中に船が転覆して死んだ学者がおったものでな、生とは?死とは?輪廻の仕組みとは?と延々問い詰めてくる疲れる水死者で、応しておったら何もかも忘れてしまったわい(笑)。心配するな、食事が終わったら、連れてってやろう。」
リーン (また言った(笑)。)
ガラハド 「それで、その学者の水死者の行く先はどうなったのですか?」
エーギル 「うむ、段々と面倒くさくなってきてな、『アースガルズ』の神界図書館の司書にしてやったわい。」
メル 「うわ、エーちゃんなんて投げやりな、でもそんな粘りの交渉がきくのね?私も死んだら交渉しようかしら?」
エーギル 「水死ならワシが取り合ってやるが、その他の死因となるとワシの管轄外でちょっと厳格での?試してみたいのか?」
メル 「いえ、遠慮しときます(笑)。」
巨大な女神達が寝るのに使っているクイーンズサイズの倍はあろうかというフカフカのベッドで、ひときわテンションの高い声を出してリーンが目覚めた。昨晩の巨人ゾンビとの死闘はどこへやら、彼女の持つ天真爛漫な本質そのままの起きがけの一声である。
リーン 「アンピトリテさん、夕方よ。そろそろ法廷も終わってる頃だわ!」
アンピトリテ 「ううう、私、低血圧で、、、。」
リーン 「えええ~、鯉の精さんなのに、血圧なんてあるのね~、ふふふふふ。」
リーンの寝起きはいやにテンションが高い。
メル 「う~ん、う~ん。」
メルは悪夢でも見ているのかうなり声をあげている。見ると、メルの胸の上にマーガレットがちょこんと乗っかって、「ふな~お~」とあくびをしている。とても居心地が良いようだ。
メル 「はっ、ひょぇぇぇ~!!!!」
目覚めたメルの目の前で、昨日、メルの額めがけて銀の弾丸となって飛んできた蒼と紅の目をしたシャム猫が興味深そうに彼女の寝顔を眺めている。
メル 「だ、弾丸ネコ!!」
マーガレット 「にゃ~ん」
メルが起きたと同時に、メルの首筋にすり寄っていく水銀のネコ、どうやらメルをいたく気に入ったようである。彼女が凍り付いた事は言うまでも無かった。
仲の良い9人の『波の乙女』達は、9人列んで同じ部屋で同じようなクイーンズベッドで寝ているようであった。その広さはメル達の住む家が一軒すっぽり入りそうな具合である。そんな広々とした寝室の中央でゆっくりと仮眠を取ったリーン達であった。
ふと、シャム猫がまた銀色に輝き出す。
メル 「ひぃぃぃっ!!」
メルが怯えるのもお構いなしに、一瞬で水銀のネコと化したマーガレットは、全速力で食卓の間の方へすっ飛んでいった。
リーン 「あら、またこそ泥でも出たのかしら?」
誰かの声 「ぎゃぁぁぁ~!!!」
程なくして、見知らぬ男の叫び声が聞こえる。どうやらリーンの予想通り、不用意に『麦酒醸造鍋』に触れたものがいたらしい。
ドゥーヴァ 「あら、皆さんそろそろお目覚めのようね?今日の法廷も無事終わり、お夕食の準備が整ってますからお出でなさいな。」
『波の乙女』の次女ドゥーヴァがリーン達を起こしに来た。裁判場でのフォーマルな衣装と違い、薄水色のケープとの調和が美しいゆったりとしたベージュ色のドレスを着て、おっとりした顔立ちと言葉遣いで誘う。長女『ヒミングレーヴァ』を学級委員とするならば、次女『ドゥーヴァ』は相談係兼癒やし役であろうか?会話する皆々に安らぎを与える印象を受ける。
メル 「あ、あの叫び声は何?」
ドゥーヴァ 「あぁ、館内へ泥棒に入った盗賊の水死者がねずみ取りに引っかかったんでしょう。よくあることですわ。」
メル 「そ、そんなによくある事なの、、、?」
ドゥーヴァ 「さ、そんなことお気になさらず、食卓の間へどうぞ。」
メル (食卓の間って、あのネコが番をしている所じゃないの!?)
リーン (まあ、ビャルギャさん?だっけ?ネコの飼い主みたいな人も大丈夫って言ってるし、郷に入りては郷に従えよ(笑)。あなた猫ちゃんに気に入られているようだし(笑)、さ、行きましょう。)
メル (冗談じゃないわよ!ったく!!)
ドゥーヴァ 「あら、何か困ったことでもあったかしら?」
リーン 「い、いえ、何でも無い、ありがたく頂戴するわ。」
再び食卓の間を訪れると、先ほどの悲鳴はどこへやら、リーン達が初めて訪れた時と同じように整然とした長机に等間隔に列んだ長椅子、そして、徹夜戦で疲れ切っていたリーン達の労をねぎらうように、昨日同様に焼いた牛の肉や、豚肉の塩漬け、ザワークラウト、フルーティーな甘美な匂いを漂わせた銀杯に入っているビールといった、豪勢な料理がうずたかく盛られていた。
リーン 「まぁ、すごい!!!」
料理に目がないリーンがうれしい悲鳴を上げる。シャム猫は昨日見た時と同じように周期的に4本の柱の間を飛び移り飛び移りして、メルが警戒の目を向けている。そうこうしている内に、残りの『波の乙女』達と『海神』エーギルが部屋に入ってきた。窮屈な『イスティファルド』の宿舎の狭いダイニングで食事を取っていたリーンやガラハドにとっては、却って居心地の悪さを感じさせるほどの広さのダイニングルームであったが、巨大な9人の女神達と海神を迎えると、ピッタリとマッチした広さになるのであった。この大きさに設計されている事に合点がいったリーンであった。
エーギル 「さぁ、今日の面倒くさい裁きも終わったことじゃし、うまい酒でも飲んであったかいジャグジーにでも浸かってリセットするかのぉ。」
リーン 「あの~、『ムスペッルスヘイム』へ連れてってくれるのはいつになるのでしょうか、、、?」
エーギル 「おお、そうじゃったそうじゃった、ワシとしたことが、すっかり忘れてしまっておったわい。『ヨトゥンヘイム』の海中魔法生物の生態調査中に船が転覆して死んだ学者がおったものでな、生とは?死とは?輪廻の仕組みとは?と延々問い詰めてくる疲れる水死者で、応しておったら何もかも忘れてしまったわい(笑)。心配するな、食事が終わったら、連れてってやろう。」
リーン (また言った(笑)。)
ガラハド 「それで、その学者の水死者の行く先はどうなったのですか?」
エーギル 「うむ、段々と面倒くさくなってきてな、『アースガルズ』の神界図書館の司書にしてやったわい。」
メル 「うわ、エーちゃんなんて投げやりな、でもそんな粘りの交渉がきくのね?私も死んだら交渉しようかしら?」
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