野菜士リーン

longshu

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第1章

1-116 草原の戦い その10 レーネの実験兵器

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「おい、兄者、あれ、見てみろよ!」

ヒュードの眼などではとても識別できないほど森のはるか彼方に、その物体はあった。

ゲリラ戦が日常であるオウカイ、オウラ兄弟にはその全てを森の木陰から見通すことができた。ミスリルの鎧を身に付けたおびただしい数の死体と、ミステリアスに光る青色の鉱石と、ミスリル金属で出来た巨大な蜘蛛の集団が。

「何だ、あれは?銀色の蜘蛛の化け物か?いやに群がっているな。。。」

銀色の生物と聞いて、ピンとくるヒュード。数方面から進軍している『霧の魔法師団』別部隊と常に連絡を取り合っている彼は、つい数時間前にジルブレヒトやヴァンから受け取った銀色の無人魔装兵や銀色の狼の情報と、オウカイの言う銀色の魔物がピタッと符合した。

(レ、レーネのミスリル兵器、こちらにも張っていたか!)

「オウカイさん、恐らくそのレーネの魔法と思われます。どんな状況なのか少し詳しく教えてくれますか?」

「ほぉ、魔法であんな事が出来るのか。俺達の国にも魔法を使って強盗や恐喝をするチンケな奴はいるにはいるが、たいていちょっと炎を出せるとか、稲妻を出せるとかそれくらいだからな。興味深い、お前達魔法強国なんだろ?一匹捕まえるから分解調査でもしてくれよ。」

冗談とも本気とも取れぬ事を言うオウカイ。続いて彼の口から出た銀色の蜘蛛の状況はこんな感じだった。

300体はあろうか、ミスリルの装備を纏った兵士達が、丸太でも積まれるかのように並んで横たわっている。皆、ぴくりとも動かず命はないようである。そして人間の上半身ほどの大きさの大量の銀色の蜘蛛がその上に群がり蠢いている。如何にも金属的な動きで人形のようだ。その光景は異様の一言であった。

兵士達の身体からは薄く青い蒸気が湧き上がり辺り一帯を霧のように包み込み、金属で出来た蜘蛛たちは、何やら人間達の身体から出てくるその青い気体を取り込もうとしているようにも見えるのであった。そしてそこから少し離れて一匹の、親蜘蛛なのであろうか数倍の大きさを持つ巨大な蜘蛛が、子供達を見守っている、ように見える。

そしてそれら異様を説明し終わったか終わらぬか、親蜘蛛の8つの青い色をした複眼がオウカイ達の姿を捉えた、ようにオウカイには見えた。その瞬間8本の脚を使いすさまじいスピードで捕捉に近づいてくる巨大なミスリル蜘蛛。そして親蜘蛛に少し遅れて、その子供と思われる蜘蛛たちもオウカイ達を捕食すべくやってくるのであった。

「お、あの馬鹿でかい蜘蛛、馬鹿みたいな速さでこっちに近づいてくるぜ!!」

ヒュードの眼にもどうやら巨大なミスリルで出来た一体の親蜘蛛と、少し遅れて無数の子蜘蛛達が、普通の蜘蛛がやるように横滑りに超速でこちらへ近づいてくることが見て取れた。ヒュードは非常に狼狽えていてたが、オウカイやオウラは初めて見る怪異にもかかわらずまったく落ち着き払っている。どんな修羅場をこれまでくぐってきたのであろうか。

「ふん、あぶり焼きにして食ってやるぜ!」

オウカイ、オウラに随行している、あぶれ者の山賊達も、口々に汚い言葉で罵っている。臆している者などヒュードが呆れるほど一人もいないのであった。

「他のルートを採っている『ジャムカ帝国』や我ら『ウェールズ』にも似たようなミスリル銀で出来た化け物達が襲いかかってきたようで、相当な戦力のようです。慎重に、注意して行きましょう。なお、身体に埋め込まれている青い水晶を破壊するなり外すなりすれば、動きを止めるようです。」

「聞いたか、お前ら!青い水晶を破壊したら、ミスリル銀は取っておけよ!高く売れるぜ!!」

((ガクッ)、そ、それか。。。)

「おお~!!!」

そして戦法も何も無しに乱戦に突入する『無法者の国』の山賊達であった。

(ジルブレヒトやヴァンの念話に聞く、ミスリル銀と時空のルーンを封じ込めた青水晶によって作られた無人兵器というのがあれか!?し、しかし、オウカイの言うおびただしい数の死体といい、聞いていた鎧や、狼を形作る造形物とはまったく違うが。。。)

レーネが造形したと思われる魔法生物たちの多様さ異様さに息をのむヒュードであった。
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