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Ⅰ 塔の魔女アズレイア
vi 特異症例・・・なんかじゃなかった! ★
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「あなた……、おかしいわよ……」
「おかしい、か」
息切れの合間に絞り出したアズレイアの言葉を拾ったカルロスが、自虐の笑みを浮かべて呟いた。
「確かにな。今までもずっと言われ続けてきたよ」
よっぽど本当に今まで言われ続けてきたのだろう、そして、同様に答え続けてきたのだろう。
当たり前とでもいうように続けられたカルロスの言葉には何の感傷も感じられない。
「これでも俺は仕事には真面目でな。誰が何と言おうと、一生をこの国にささげる覚悟でずっと生きてきた」
どう考えてもこっぱずかしいそんなセリフをカルロスは淡々と口にした。
「──だがな」
まだ絶頂の余韻に震えるアズレイアの背中を見下ろしすカルロスが、喘ぎともため息ともつかぬ艶めいた吐息を落としつつ、今まで誰にも聞かせたことのない本音を吐露しだす。
「お前のこんな痴態見てたらなんかが吹っ切れちまった」
言ってることは聞こえているが、全ては快楽の頂点の向こう側。
聞こえているのかいないのか、思考がどんどん単純化され、どうやっても理解が追いつかない。
戸惑うアズレイアをよそに、今達したばっかりでぐったり横たわるアズレイアの腰を愛おしそうに撫でながら、カルロスがやるせなさそうに呟く。
「何が悲しくて、好きな女のこんな姿を指を咥えて見てなきゃならないんだ」
え、好きって……?
カルロス、私を好きなの?
こんなずぼらで魔術以外に能のない私の一体何を見て、好きだなんて言えるんだろう……?
いぶかしい反面、どこか嬉しい。
いくら研究馬鹿のアズレイアでも、人に好かれて嬉しく思わないわけはない。
中でもカルロスはアズレイアがここ数年、唯一何度も顔をあわせてきた異性だ。
門番と住人程度の関係とはいえ、今まで彼を不快に思ったことは一度もない。
善意でいつも素材やら食料やらを届けてくれて、折々には気づかいに声をかけてくれる相手だ。
ついでに言えば、声も体格も性格も、決して悪くはない。
単純化された思考が、カルロスならありかな、なんて結論を引き当てる。
一度心が動いてしまえば単純なもので、途端腰を撫でる彼の手にアズレイアの子宮がキュンと反応してしまった。
でもそんな一瞬の甘い気分は、またも不穏に動き出すカルロスの指によって容赦なく中断される。
膣内の圧迫感がさっきまでより強い。
多分指が増えたのだろう。
そしてカルロスの甘やかな責め苦が容赦なく繰り返されていく。
ここまでするクセに、カルロス自身はまだ腰さえも揺らさない。
一体どれだけの自制心なのよ。
いっそ一回入れて理性を取り戻して欲しい。
これ以上私だけイかされ続けるのはあまりにもしんどいのだ。
そう思っているアズレイアの背中に、カルロスの燃えるような劣情の込められた言葉が降ってくる。
「思いしれよ。俺はお前が好きだ。ずっと好きだったんだ。そして俺は好きな女を淫紋に囚われて犯したりなぞ絶対にしない」
あー……。
そこまで言われて、アズレイアもやっと理解できた。
こいつ、純粋に理性だけで淫紋の効果を抑え込んでたのか……!
信じられないほど類まれなる自制心……というかこれ、単なる変態では?
ああ、納得した。
カルロスは、私なんかの想像も及ばない、正真正銘、真正の変態だったんだ……。
こんな事態の真最中なのに、不可解すぎる淫紋効果の疑問に結論が出たことに、アズレイアの意識がどこかで非常に満足している。
アズレイアもまた同様に真正の研究バカだった。
「覚えていろよ。これで終わりじゃないからな。この淫紋が切れたら今度こそお前の大好きなこの塔で、お前がイキ狂って泣いて許しを請うまで、何日でも何日でも抱きつぶしてやる」
カルロスの淫靡で不敵な宣言が、もう耐えきれなくなって途切れる寸前のアズレイアの意識に刻みこまれていく。
「お前に拒否権はない。引きこもりがいいんだよな? だったら俺が一生飼ってやる。もう二度とこの塔から出られると思うなよ」
あーあ。
淫紋なんて描いていたばっかりに、どうやら私も立派な『幽閉された魔女』になるらしい。
でもこれは、もしかすると極上の愛の言葉なのでは?
これで少なくとも引きこもってても許されるわけだし。
そう思えば、カルロスに愛されるのも悪くない。
常人離れしたアズレイアの頭脳がやはりずれまくった結論に流されていく中、アズレイアの体を押しつぶすように倒れこんだカルロスが、アズレイアの耳に呪いの言葉を流し込む。
「一生かけてお前を愛し尽くしてやるよ」
言葉とともにカルロスの複数の指がバラバラに動き出し、アズレイアの膣内から甘美な衝撃を断続的に吐き出しはじめた。
強烈な衝撃が間断なく広がり、全身の神経が痙攣を繰り返し、息も付けぬできないほどの快感が呪いを受けて霞む意識ごとアズレイアを飲み込んでいく……。
三食昼寝付き研究し放題ならそれもまたありかも──
鋭い絶頂ののちに広がる鈍く鈍い疲労の波間に消え失せる意識の中で、そんなことを思うアズレイアだった。
「おかしい、か」
息切れの合間に絞り出したアズレイアの言葉を拾ったカルロスが、自虐の笑みを浮かべて呟いた。
「確かにな。今までもずっと言われ続けてきたよ」
よっぽど本当に今まで言われ続けてきたのだろう、そして、同様に答え続けてきたのだろう。
当たり前とでもいうように続けられたカルロスの言葉には何の感傷も感じられない。
「これでも俺は仕事には真面目でな。誰が何と言おうと、一生をこの国にささげる覚悟でずっと生きてきた」
どう考えてもこっぱずかしいそんなセリフをカルロスは淡々と口にした。
「──だがな」
まだ絶頂の余韻に震えるアズレイアの背中を見下ろしすカルロスが、喘ぎともため息ともつかぬ艶めいた吐息を落としつつ、今まで誰にも聞かせたことのない本音を吐露しだす。
「お前のこんな痴態見てたらなんかが吹っ切れちまった」
言ってることは聞こえているが、全ては快楽の頂点の向こう側。
聞こえているのかいないのか、思考がどんどん単純化され、どうやっても理解が追いつかない。
戸惑うアズレイアをよそに、今達したばっかりでぐったり横たわるアズレイアの腰を愛おしそうに撫でながら、カルロスがやるせなさそうに呟く。
「何が悲しくて、好きな女のこんな姿を指を咥えて見てなきゃならないんだ」
え、好きって……?
カルロス、私を好きなの?
こんなずぼらで魔術以外に能のない私の一体何を見て、好きだなんて言えるんだろう……?
いぶかしい反面、どこか嬉しい。
いくら研究馬鹿のアズレイアでも、人に好かれて嬉しく思わないわけはない。
中でもカルロスはアズレイアがここ数年、唯一何度も顔をあわせてきた異性だ。
門番と住人程度の関係とはいえ、今まで彼を不快に思ったことは一度もない。
善意でいつも素材やら食料やらを届けてくれて、折々には気づかいに声をかけてくれる相手だ。
ついでに言えば、声も体格も性格も、決して悪くはない。
単純化された思考が、カルロスならありかな、なんて結論を引き当てる。
一度心が動いてしまえば単純なもので、途端腰を撫でる彼の手にアズレイアの子宮がキュンと反応してしまった。
でもそんな一瞬の甘い気分は、またも不穏に動き出すカルロスの指によって容赦なく中断される。
膣内の圧迫感がさっきまでより強い。
多分指が増えたのだろう。
そしてカルロスの甘やかな責め苦が容赦なく繰り返されていく。
ここまでするクセに、カルロス自身はまだ腰さえも揺らさない。
一体どれだけの自制心なのよ。
いっそ一回入れて理性を取り戻して欲しい。
これ以上私だけイかされ続けるのはあまりにもしんどいのだ。
そう思っているアズレイアの背中に、カルロスの燃えるような劣情の込められた言葉が降ってくる。
「思いしれよ。俺はお前が好きだ。ずっと好きだったんだ。そして俺は好きな女を淫紋に囚われて犯したりなぞ絶対にしない」
あー……。
そこまで言われて、アズレイアもやっと理解できた。
こいつ、純粋に理性だけで淫紋の効果を抑え込んでたのか……!
信じられないほど類まれなる自制心……というかこれ、単なる変態では?
ああ、納得した。
カルロスは、私なんかの想像も及ばない、正真正銘、真正の変態だったんだ……。
こんな事態の真最中なのに、不可解すぎる淫紋効果の疑問に結論が出たことに、アズレイアの意識がどこかで非常に満足している。
アズレイアもまた同様に真正の研究バカだった。
「覚えていろよ。これで終わりじゃないからな。この淫紋が切れたら今度こそお前の大好きなこの塔で、お前がイキ狂って泣いて許しを請うまで、何日でも何日でも抱きつぶしてやる」
カルロスの淫靡で不敵な宣言が、もう耐えきれなくなって途切れる寸前のアズレイアの意識に刻みこまれていく。
「お前に拒否権はない。引きこもりがいいんだよな? だったら俺が一生飼ってやる。もう二度とこの塔から出られると思うなよ」
あーあ。
淫紋なんて描いていたばっかりに、どうやら私も立派な『幽閉された魔女』になるらしい。
でもこれは、もしかすると極上の愛の言葉なのでは?
これで少なくとも引きこもってても許されるわけだし。
そう思えば、カルロスに愛されるのも悪くない。
常人離れしたアズレイアの頭脳がやはりずれまくった結論に流されていく中、アズレイアの体を押しつぶすように倒れこんだカルロスが、アズレイアの耳に呪いの言葉を流し込む。
「一生かけてお前を愛し尽くしてやるよ」
言葉とともにカルロスの複数の指がバラバラに動き出し、アズレイアの膣内から甘美な衝撃を断続的に吐き出しはじめた。
強烈な衝撃が間断なく広がり、全身の神経が痙攣を繰り返し、息も付けぬできないほどの快感が呪いを受けて霞む意識ごとアズレイアを飲み込んでいく……。
三食昼寝付き研究し放題ならそれもまたありかも──
鋭い絶頂ののちに広がる鈍く鈍い疲労の波間に消え失せる意識の中で、そんなことを思うアズレイアだった。
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