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Ⅵ 迷う魔女
vi 堅物の嫉妬 ★
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「大丈夫か」
「ええ」
レイモンドの姿が見えなくなると、すぐにカルロスがアズレイアの横に立ち、心配そうに覗き込んできた。
そんなに心配されるほど、私は弱くないのに。
農村育ちのアズレイアだ。別に好きではないが、自分の身を守る最低限の術は身につけている。
そう思いつつも笑顔でカルロスを見上げる。
こんなことを今思えるのは、すべて彼のおかげだ。
自分があんなにはっきりと拒絶できたのも、今こんなに落ち着いていられるのも。
そう思えば自然と笑顔も出るというものだ。
「なんだよ、思ったより元気そうだな」
「あなたのおかげよ」
思っていた以上に元気に答えるアズレイアを見て、唇を尖らせるカルロス。
無論、アズレイアが傷つかないに越したことはない。
だがその笑顔は、レイモンドがこの塔に入った事実に苛立つ彼には、少しばかり気にいらない。
まあ、結果は俺が来るよりも早くアズレイアに殴られ、青あざ残して帰っていったわけだが。
そこでふと思いつき、アズレイアを抱き寄せるとその耳に唇を寄せて囁く。
「頼むから俺のことは殴らないでくれよ」
「あなたが相手じゃ私の手のほうが危ないわ」
突然の抱擁に心臓が跳ねるも、少しすると先程までの昂りがゆっくりと収まっていく。
彼の腕の中は、なぜこんなにも心が落ち着くのだろう。
口では文句を言いつつも、アズレイアが自分に気を許し、大人しく腕の中に収まってくれているのが、今のカルロスには嬉しい。
「お前に殴られたら、俺のハートのほうが砕けちまう」
素直に答えたアズレイアに、カルロスが結構本気で言い返した。
が、言っておいて照れたのか、誤魔化すようにアズレイアの耳にガブリとかぶりつく。
「ひぁっ」
突然の甘噛みに、アズレイアの口から気の緩んだ悲鳴が飛び出した。
腕の中でビクンとはねたアズレイアの肢体に、カルロスもたまらず強く抱きしめる。
お互い、こうも体が簡単に反応し合うことに、淡い戸惑いと強烈な情欲が湧き上がる。
「ダメだ……このままじゃまた話せなくなるまで抱いちまいそうだ」
「もう淫紋はないんだから付き合いきれないわよ」
「……試して見るか?」
淫靡な響きの彼の呟きに、思わず体が仰け反りそうになるアズレイア。
そんな微妙な変化も、今のカルロスには見逃せない。
もっと喘がせたい。
俺を求めて鳴くアズレイアの声を、もっと聞きたい……。
そんな欲望の傍らで、彼の堅い理性が囁く。
それは単に逃げたいだけじゃないのか?
アズレイアに、己の罪を話したくないだけじゃないのか?
葛藤はしているものの、どうやら欲望のほうが勝っているらしい。
思考はまだ迷っているのに、体が勝手にアズレイアの耳を嬲りはじめた。
「ま、まって、話、しな……きゃ……」
腕の中、必死で藻掻くアズレイア。
カルロスはそれが可愛くて仕方ない。
だが、今拒否されてしまうと、さっきのレイモンドに対するモヤモヤがまた再燃する。
たとえ自分を守ろうとしたのだとしても、レイモンドを殴る手をアズレイアに止められたのが癪だったのだ。
別にやましいことはない。
ただ少し、お互い話しやすくするだけだ……。
言い訳百パーセントの結論をだしたカルロスは、そのままアズレイアを縦抱きにしてベッドへ向かった。
「ちょっとだけ、な。俺より先にレイモンドを塔に入れたお前が悪い」
アズレイアに悪気がないことは、無論分かっている。
だがそれでも、理性だけじゃ割り切れないものもある。
アズレイアの小柄な体は持ち運びが楽すぎだ。
このままベッドに押し倒したら、もう止められないだろう。
半分無意識にそう考えたカルロスが、自分の上にアズレイアを乗せるようにしてベッドに座る。
膝に載せたアズレイアを後ろから抱きしめると、思わずそのまま彼女の首筋に顔を埋めた。
首にかかる温かい吐息に、アズレイアが呻く。
が、もう抵抗する気はないらしい。
アズレイアを抱くカルロスの腕に、彼女がそっと手を添える。
それがあまりにも嬉し過ぎて、カルロスは意地悪せずにはいられない。
「お前、耳好きだろ……昨日もよく鳴いたよな」
言い当てられたアズレイアが、答えの代わりに身をよじる。
それを腕で押しとどめ、髪を避けて抱き込んだ彼女の耳に舌を這わせた。
彼が舌先でゆっくりと耳殻を辿ると、アズレイアの背に甘い痺れが奔りだす。
「んぁ、ア、フゥ……」
こらえきれず、開かれたアズレイアの口から甘い呻きがこぼれだした。
それがまた塔の天井にこだまして、カルロスの耳を何度も楽しませてくれる。
執拗に耳の形を舌でなぞれば、膝の上のアズレイアの体がそれに併せてビクビクと反応を繰り返す。
マズいな。やめられなくなりそうだ……。
そう思いつつも、こんな反応を見せられて簡単にはやめられない。
体を抱き込んで動けないアズレイアの耳朶を繰り返し甘噛みし、腕の中で何度も跳ねる様を堪能するカルロス。
彼は王城を出てからずっと自分に言い聞かせていた。
今日は話をするまで絶対に抱かない。
もうこれ以上、彼女を裏切らない。
今度こそ、結婚の許しを得るまで我慢する。
もう決して、昨夜のような快楽に流されての行為には及びたくない!
どこまでも頑なな想いを拗らせているカルロスなのだが、その想いと今の行動は全く一致していない……。
「ま、とりあえずいかせるか……」
耳元で囁かれた不穏な彼の言葉にアズレイアの意識は警戒するも、耳に吹き込まれた吐息に、逆に体は素直に跳ねる。
「お前もこのままじゃもの足りないだろ?」
語りかけるのと同時に手が動く。
アズレイアが声を上げるよりも早くローブがめくりあげられ、カルロスの太い指がアズレイアの下着を横にずらす。
そしてそのまま一気に指を差し入れて、太い親指で花芯を苛み出した。
「え? ちょっ、あ、アア、アァァァ……!」
あまりの手際のよさに、文句を言う声がそのまま嬌声に変わる。
「ごめんな。もっとゆっくりしてやりたいが、そうすると俺が我慢できなくなる」
本当に悪いと思っているのかは甚だ疑問だ。
喋る間にもカルロスの指が一気に加速し、あっけなくアズレイアを追い詰める。
アズレイアはアズレイアで、もうその波に抗えない。
「こんな、変、もう、イッッッ……!」
カルロスの腕にしがみつき、間近にカルロスの吐息を聞きながら、ただ快楽の赴くままにその頂点を極めていく。
「せめて俺の手でいくところを見せてくれ」
せがむカルロスの一言に背を押され、痙攣を繰り返しながら達し続けるアズレイア。
絶頂の余韻で紅潮したその顔を覗き込み、カルロスが満足げに赤らんだ頬に唇を寄せた。
「ええ」
レイモンドの姿が見えなくなると、すぐにカルロスがアズレイアの横に立ち、心配そうに覗き込んできた。
そんなに心配されるほど、私は弱くないのに。
農村育ちのアズレイアだ。別に好きではないが、自分の身を守る最低限の術は身につけている。
そう思いつつも笑顔でカルロスを見上げる。
こんなことを今思えるのは、すべて彼のおかげだ。
自分があんなにはっきりと拒絶できたのも、今こんなに落ち着いていられるのも。
そう思えば自然と笑顔も出るというものだ。
「なんだよ、思ったより元気そうだな」
「あなたのおかげよ」
思っていた以上に元気に答えるアズレイアを見て、唇を尖らせるカルロス。
無論、アズレイアが傷つかないに越したことはない。
だがその笑顔は、レイモンドがこの塔に入った事実に苛立つ彼には、少しばかり気にいらない。
まあ、結果は俺が来るよりも早くアズレイアに殴られ、青あざ残して帰っていったわけだが。
そこでふと思いつき、アズレイアを抱き寄せるとその耳に唇を寄せて囁く。
「頼むから俺のことは殴らないでくれよ」
「あなたが相手じゃ私の手のほうが危ないわ」
突然の抱擁に心臓が跳ねるも、少しすると先程までの昂りがゆっくりと収まっていく。
彼の腕の中は、なぜこんなにも心が落ち着くのだろう。
口では文句を言いつつも、アズレイアが自分に気を許し、大人しく腕の中に収まってくれているのが、今のカルロスには嬉しい。
「お前に殴られたら、俺のハートのほうが砕けちまう」
素直に答えたアズレイアに、カルロスが結構本気で言い返した。
が、言っておいて照れたのか、誤魔化すようにアズレイアの耳にガブリとかぶりつく。
「ひぁっ」
突然の甘噛みに、アズレイアの口から気の緩んだ悲鳴が飛び出した。
腕の中でビクンとはねたアズレイアの肢体に、カルロスもたまらず強く抱きしめる。
お互い、こうも体が簡単に反応し合うことに、淡い戸惑いと強烈な情欲が湧き上がる。
「ダメだ……このままじゃまた話せなくなるまで抱いちまいそうだ」
「もう淫紋はないんだから付き合いきれないわよ」
「……試して見るか?」
淫靡な響きの彼の呟きに、思わず体が仰け反りそうになるアズレイア。
そんな微妙な変化も、今のカルロスには見逃せない。
もっと喘がせたい。
俺を求めて鳴くアズレイアの声を、もっと聞きたい……。
そんな欲望の傍らで、彼の堅い理性が囁く。
それは単に逃げたいだけじゃないのか?
アズレイアに、己の罪を話したくないだけじゃないのか?
葛藤はしているものの、どうやら欲望のほうが勝っているらしい。
思考はまだ迷っているのに、体が勝手にアズレイアの耳を嬲りはじめた。
「ま、まって、話、しな……きゃ……」
腕の中、必死で藻掻くアズレイア。
カルロスはそれが可愛くて仕方ない。
だが、今拒否されてしまうと、さっきのレイモンドに対するモヤモヤがまた再燃する。
たとえ自分を守ろうとしたのだとしても、レイモンドを殴る手をアズレイアに止められたのが癪だったのだ。
別にやましいことはない。
ただ少し、お互い話しやすくするだけだ……。
言い訳百パーセントの結論をだしたカルロスは、そのままアズレイアを縦抱きにしてベッドへ向かった。
「ちょっとだけ、な。俺より先にレイモンドを塔に入れたお前が悪い」
アズレイアに悪気がないことは、無論分かっている。
だがそれでも、理性だけじゃ割り切れないものもある。
アズレイアの小柄な体は持ち運びが楽すぎだ。
このままベッドに押し倒したら、もう止められないだろう。
半分無意識にそう考えたカルロスが、自分の上にアズレイアを乗せるようにしてベッドに座る。
膝に載せたアズレイアを後ろから抱きしめると、思わずそのまま彼女の首筋に顔を埋めた。
首にかかる温かい吐息に、アズレイアが呻く。
が、もう抵抗する気はないらしい。
アズレイアを抱くカルロスの腕に、彼女がそっと手を添える。
それがあまりにも嬉し過ぎて、カルロスは意地悪せずにはいられない。
「お前、耳好きだろ……昨日もよく鳴いたよな」
言い当てられたアズレイアが、答えの代わりに身をよじる。
それを腕で押しとどめ、髪を避けて抱き込んだ彼女の耳に舌を這わせた。
彼が舌先でゆっくりと耳殻を辿ると、アズレイアの背に甘い痺れが奔りだす。
「んぁ、ア、フゥ……」
こらえきれず、開かれたアズレイアの口から甘い呻きがこぼれだした。
それがまた塔の天井にこだまして、カルロスの耳を何度も楽しませてくれる。
執拗に耳の形を舌でなぞれば、膝の上のアズレイアの体がそれに併せてビクビクと反応を繰り返す。
マズいな。やめられなくなりそうだ……。
そう思いつつも、こんな反応を見せられて簡単にはやめられない。
体を抱き込んで動けないアズレイアの耳朶を繰り返し甘噛みし、腕の中で何度も跳ねる様を堪能するカルロス。
彼は王城を出てからずっと自分に言い聞かせていた。
今日は話をするまで絶対に抱かない。
もうこれ以上、彼女を裏切らない。
今度こそ、結婚の許しを得るまで我慢する。
もう決して、昨夜のような快楽に流されての行為には及びたくない!
どこまでも頑なな想いを拗らせているカルロスなのだが、その想いと今の行動は全く一致していない……。
「ま、とりあえずいかせるか……」
耳元で囁かれた不穏な彼の言葉にアズレイアの意識は警戒するも、耳に吹き込まれた吐息に、逆に体は素直に跳ねる。
「お前もこのままじゃもの足りないだろ?」
語りかけるのと同時に手が動く。
アズレイアが声を上げるよりも早くローブがめくりあげられ、カルロスの太い指がアズレイアの下着を横にずらす。
そしてそのまま一気に指を差し入れて、太い親指で花芯を苛み出した。
「え? ちょっ、あ、アア、アァァァ……!」
あまりの手際のよさに、文句を言う声がそのまま嬌声に変わる。
「ごめんな。もっとゆっくりしてやりたいが、そうすると俺が我慢できなくなる」
本当に悪いと思っているのかは甚だ疑問だ。
喋る間にもカルロスの指が一気に加速し、あっけなくアズレイアを追い詰める。
アズレイアはアズレイアで、もうその波に抗えない。
「こんな、変、もう、イッッッ……!」
カルロスの腕にしがみつき、間近にカルロスの吐息を聞きながら、ただ快楽の赴くままにその頂点を極めていく。
「せめて俺の手でいくところを見せてくれ」
せがむカルロスの一言に背を押され、痙攣を繰り返しながら達し続けるアズレイア。
絶頂の余韻で紅潮したその顔を覗き込み、カルロスが満足げに赤らんだ頬に唇を寄せた。
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