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11話 レイクルイーズ家
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「白い姉ちゃん、凄いとこに住んでるね。金持ちの令嬢だったか」
目の前には、奥行きがわからないデカいお屋敷があった。塀が高すぎて中を覗くことはもちろん出来ないのだけど、遠くに見える山の方まで公爵家の土地らしい。
そして、とんでもなく大きな門には屈強な警備兵が十名近く控えていて、こちらを睨んでいた。
「な、なんであの警備兵さんは、僕たちを睨んでいるんだろうね。これはちゃんと門を通してもらえるかが問題かも。身分証明できるもの学生証しかないけど大丈夫かな」
普通に考えて公爵家の門の前で、痩せたおじさんと学生のコンビはなかなかに珍しい、というかむしろ怪しい。
「話してわかってもらえないなら、神の左が火を吹くだけよ」
レベルアップしたことで、サバチャイさんの気持ちが、かなり高ぶっているみたいだ。きっとそのステータスでは、返り討ち間違いなしだと思うんだけど。
「サバチャイさん、ここは穏便にいこうよ。僕たちは別に怪しい者でもないし、何ならシャーロット様にお呼ばれされているんだからね……」
と、サバチャイさんに話しているつもりだったのだけど、既に横にはサバチャイさんはいなくて、門の前で警備兵さんを下から見上げるように睨みつけながら、いちゃもんをつけようとしていた。
「おいっ、兄ちゃん。すぐに白い姉ちゃん出すいいね。早くしないとパクチーで顔洗わせたろうかいなー。ああん?」
よくわからないけど、あの香りの強すぎる草で顔を洗われたら、場合によっては気絶するかもしれない。嫌らしい武器であることは間違いない。草だけど。
そして、相手の体にギリギリ触れないところで、威嚇しているあたりに慣れを感じさせる。あれはきっと、先に手を出させようとしているプロのやり方だ。
警備兵さん達はお互いにアイコンタクトをとりながら、サバチャイさんを完全に不審者認定している。半数が盾を持って近づいてきているし、一人はおそらく応援を呼ぶためなのか連絡をとろうとしているっぽい。大事になる前になんとかしないと不味い……。
「あ、あの、すみません! 僕、シャーロット様に呼ばれて参りましたルークと申します。話は通っていますでしょうか?」
「ルーク様ですか。シャーロット様より話は聞いております。ただ今、不審者の対応をしておりますので、こちらの小さい扉よりお入りください」
「あ、い、いや、その不審者は、僕の召喚獣でして不審者ではなくてですね……。そのごめんなさい。ほらっ、サバチャイさんも早く謝ってください」
「ふんつ、次はサバチャイのパクチーパンチが火を吹くね。夜道の一人歩きは気をつけるといいよ!」
謝る気は全く無いらしい。夜道を後ろから狙うあたり、騎士道精神とかは皆無なのだとよく理解できた。サバチャイさんに貴族制度とかを理解させるのは相当時間が掛かりそうな気がする。
それにしても、召喚獣が不敬を行った場合は、やはり召喚主が罰を受けることになるのだろうか。あー、憂鬱だ。このままだと近いうちに、間違いなく僕は罰を受けることにはなるだろう。
「本当にすみません。夜は召喚しないのでご安心ください」
「夜に召喚されるのはサバチャイも困るね。ランチは利益が少ないけど、ディナーは酒が入るから儲かるよ! もしも夜に呼んだら、ディナー料金が発生する可能性あるよ。そう、特別価格ね!」
サバチャイさんの目がキラーンと光ったような気がした。やはりお金に執着の強い召喚獣のようだ。油断できない、全く油断できないよ。銅貨で少し枚数をカサ増しするしかないか……。
「それでは、訓練場の方へご案内するように聞いておりますので、私がご案内いたします」
「ありがとうございます」
「ガルルルルー!」
「あ、あの、その召喚獣は何故、我々に牙をむいてくるのでしょうか?」
「き、気にしないでください。そういう年頃なんです」
「と、年頃ですか……」
サバチャイさんの年齢は見た目には四十後半から五十代前半ぐらいのように思える。痩せ型で苦労しているように見えるので、実際にはもう少し若い可能性も考えられるけど。まぁ、どうでもいい情報だな。誰も気にしていないだろう。
門から歩くこと十分程度でようやくお屋敷の玄関が見えてきた。家が広すぎるとうのも不便がありそうだよね。
「サバチャイ、白い姉ちゃんに召喚されたらよかったね。絶対ルークより金持ってるよ」
「うちもそれなりに裕福な家だとは思うけど、さすがにレイクルイーズ公爵家と比べられたらどうしようもないかな」
シャーロット様は寮暮らしではなく、公爵家から馬車を使って通われている。警備上の理由もあるのだろうけど、玄関まで距離があると毎日大変だろうしね。
「こちらが、訓練場の入り口でございます」
「えっ? お屋敷の玄関じゃなくて?」
「はい、こちらが訓練場になります」
「マジですか!?」
「すでにシャーロット様が入られております。私の案内はここまででございます」
「あっ、はい、ありがとうございました」
「ガルルルルー!」
どうやら僕が考えている以上に、裕福のレベルが違うらしい。本当に何で僕なんかと友達になってくれたのだろう。
目の前には、奥行きがわからないデカいお屋敷があった。塀が高すぎて中を覗くことはもちろん出来ないのだけど、遠くに見える山の方まで公爵家の土地らしい。
そして、とんでもなく大きな門には屈強な警備兵が十名近く控えていて、こちらを睨んでいた。
「な、なんであの警備兵さんは、僕たちを睨んでいるんだろうね。これはちゃんと門を通してもらえるかが問題かも。身分証明できるもの学生証しかないけど大丈夫かな」
普通に考えて公爵家の門の前で、痩せたおじさんと学生のコンビはなかなかに珍しい、というかむしろ怪しい。
「話してわかってもらえないなら、神の左が火を吹くだけよ」
レベルアップしたことで、サバチャイさんの気持ちが、かなり高ぶっているみたいだ。きっとそのステータスでは、返り討ち間違いなしだと思うんだけど。
「サバチャイさん、ここは穏便にいこうよ。僕たちは別に怪しい者でもないし、何ならシャーロット様にお呼ばれされているんだからね……」
と、サバチャイさんに話しているつもりだったのだけど、既に横にはサバチャイさんはいなくて、門の前で警備兵さんを下から見上げるように睨みつけながら、いちゃもんをつけようとしていた。
「おいっ、兄ちゃん。すぐに白い姉ちゃん出すいいね。早くしないとパクチーで顔洗わせたろうかいなー。ああん?」
よくわからないけど、あの香りの強すぎる草で顔を洗われたら、場合によっては気絶するかもしれない。嫌らしい武器であることは間違いない。草だけど。
そして、相手の体にギリギリ触れないところで、威嚇しているあたりに慣れを感じさせる。あれはきっと、先に手を出させようとしているプロのやり方だ。
警備兵さん達はお互いにアイコンタクトをとりながら、サバチャイさんを完全に不審者認定している。半数が盾を持って近づいてきているし、一人はおそらく応援を呼ぶためなのか連絡をとろうとしているっぽい。大事になる前になんとかしないと不味い……。
「あ、あの、すみません! 僕、シャーロット様に呼ばれて参りましたルークと申します。話は通っていますでしょうか?」
「ルーク様ですか。シャーロット様より話は聞いております。ただ今、不審者の対応をしておりますので、こちらの小さい扉よりお入りください」
「あ、い、いや、その不審者は、僕の召喚獣でして不審者ではなくてですね……。そのごめんなさい。ほらっ、サバチャイさんも早く謝ってください」
「ふんつ、次はサバチャイのパクチーパンチが火を吹くね。夜道の一人歩きは気をつけるといいよ!」
謝る気は全く無いらしい。夜道を後ろから狙うあたり、騎士道精神とかは皆無なのだとよく理解できた。サバチャイさんに貴族制度とかを理解させるのは相当時間が掛かりそうな気がする。
それにしても、召喚獣が不敬を行った場合は、やはり召喚主が罰を受けることになるのだろうか。あー、憂鬱だ。このままだと近いうちに、間違いなく僕は罰を受けることにはなるだろう。
「本当にすみません。夜は召喚しないのでご安心ください」
「夜に召喚されるのはサバチャイも困るね。ランチは利益が少ないけど、ディナーは酒が入るから儲かるよ! もしも夜に呼んだら、ディナー料金が発生する可能性あるよ。そう、特別価格ね!」
サバチャイさんの目がキラーンと光ったような気がした。やはりお金に執着の強い召喚獣のようだ。油断できない、全く油断できないよ。銅貨で少し枚数をカサ増しするしかないか……。
「それでは、訓練場の方へご案内するように聞いておりますので、私がご案内いたします」
「ありがとうございます」
「ガルルルルー!」
「あ、あの、その召喚獣は何故、我々に牙をむいてくるのでしょうか?」
「き、気にしないでください。そういう年頃なんです」
「と、年頃ですか……」
サバチャイさんの年齢は見た目には四十後半から五十代前半ぐらいのように思える。痩せ型で苦労しているように見えるので、実際にはもう少し若い可能性も考えられるけど。まぁ、どうでもいい情報だな。誰も気にしていないだろう。
門から歩くこと十分程度でようやくお屋敷の玄関が見えてきた。家が広すぎるとうのも不便がありそうだよね。
「サバチャイ、白い姉ちゃんに召喚されたらよかったね。絶対ルークより金持ってるよ」
「うちもそれなりに裕福な家だとは思うけど、さすがにレイクルイーズ公爵家と比べられたらどうしようもないかな」
シャーロット様は寮暮らしではなく、公爵家から馬車を使って通われている。警備上の理由もあるのだろうけど、玄関まで距離があると毎日大変だろうしね。
「こちらが、訓練場の入り口でございます」
「えっ? お屋敷の玄関じゃなくて?」
「はい、こちらが訓練場になります」
「マジですか!?」
「すでにシャーロット様が入られております。私の案内はここまででございます」
「あっ、はい、ありがとうございました」
「ガルルルルー!」
どうやら僕が考えている以上に、裕福のレベルが違うらしい。本当に何で僕なんかと友達になってくれたのだろう。
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