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12話 スキルの確認
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「君がシャルのお友達? 噂には聞いていたけど、本当に人を連れているのね……」
訓練場に入るとすぐにシャーロット様と同学年っぽい女性に会った。この方はおそらくだが、ブランシュ侯爵家のジゼル様と思われる。
「はじめましてルーク・エルフェンと申します。おそれながら、ジゼル様でしょうか?」
褐色の肌に紫がかった黒い髪。貴族っぽくないというか、どこか活発な感じの印象を受ける。
「ええ、そうよ。ジゼルでいいわ、よろしくねルーク。シャルとお友達なら私ともお友達になってくれるかな?」
「よ、よろしいのでしょうか。私は商人の息子でございまして……」
「構わないよ。それよりも、そちらの方をご紹介してもらえない? なんでもテオの召喚獣に勝ったらしいじゃん」
ニヤニヤしながら、とても興味深そうにサバチャイさんを見ている。勝ったらしいじゃんということは、実際には見ていないということか。
「召喚の儀は、離れた場所で行われていたのですね。あっ、ご紹介します。バングラディッシュ出身の料理人サバチャイさんです」
「おう、黒い姉ちゃんよろしくね」
「ちょっ、サバチャイさん!」
「いいよ、いいよ。面白い召喚獣、召喚人? まぁ、どっちでもいっか。召喚場所は二つに分かれてたみたいだね。紹介するよ、出ておいでウィンディ」
小さな竜巻が巻き起こると、ジゼル様の肩に小さな人が乗っていた。シャーロット様の精霊様に似ているけど少し雰囲気が違うような。
「私の中級召喚獣のウィンディ。風の妖精よ」
「風の妖精ですか」
「残念ながら精霊様の召喚は出来なかったんだよね。でも私はウィンディと一緒に成長しながら上級への進化を目指すつもりだよ」
前向きというか、向上心が高い人のようだ。普通に考えたら中級召喚獣を呼び出しただけでも十分だと思うんだけどね。
「ルーク、来ていたのね。遅いから心配したのよ」
「す、すみません。遅くなりました」
「それじゃあ、早速だけど話を聞かせてもらおうかしら」
訓練所に入ると、さっき戦った闘技場と同じように半円で囲われた場所があった。つまり、ここでも同じように怪我が回復してしまう魔法が掛けられているのだろう。学園と同じ設備を用意とかレイクルイーズ家、流石です。
「えっとですね。サバチャイさんは、レベルアップと同時にスキルを手に入れたそうなんです」
「いきなりレベルアップとかついてるな。それでスキルは何を覚えたのよ?」
「それがですね、不思議なんですが召喚魔法と分身というスキルなんです」
「召喚魔法ですって!?」
「ルーク、どういうことなのよ」
「それが、僕にもよくわからないんです。あの、サバチャイさんから教えてもらえますか?」
「しょうがないね。白い姉ちゃんと黒い姉ちゃんにも教えるよ。サバチャイ、召喚獣呼べるみたい」
そのまんまじゃんか。い、いや、そのままなのかもしれないけどさ……。
「そうね、試しに召喚してみるか?」
「えっ? 魔方陣とかないけどいけちゃうの?」
「問題ないね。このスキルは自動で魔方陣が描かれるみたいよ」
「シャル、ど、どう思う? ちょっと危険かな?」
「大丈夫じゃないかしら」
「早く呼んじゃおうよ」
みなさん、ノリノリのようだ。実際に召喚にそこまで危険なことはない。唯一、危険があるとするなら召喚主本人だろう。
逆召喚で、呼び出された際に高位の召喚獣から不興を買うことで危険が及ぶ場合があると聞いたことがある。
「でも、サバチャイさんですよ」
「サバチャイさんが召喚獣なんだから、何かあったとしても命に別状はないんじゃない」
ジゼル様の言う通りである。サバチャイさんの煽っていくスタイルはとても危険ではあるが、ダメージをもらっても元の召喚場所に戻るだけなので、その点で問題はなさそう。
強いて言うならサバチャイさんが痛い思いをするぐらいだろうか。
「ねー、もう呼んでいい? というか、呼んじゃうね。チチンプイプイ、バングラディッシュ!」
もう召喚の儀の詠唱とか丸無視していて、めちゃくちゃなはずなのに、何故だか、目の前には魔方陣が現れて光始めている。あー、本当に呼べちゃうんだね……。
眩い光が収まると、魔方陣の上には黒っぽい衣装を纏った青年が立っていた。ちょっぴりチャラい感じにもみえる青年は戸惑いが隠せない様子で、腰の武器のような物に手をやり、こちらを見ていた。
「これは、なかなか戦闘力の高そうな召喚獣ね。期待のルーキーよ!」
「お、お前、日本語喋れるのか? ここは何処なんだ? 俺はさっきまで交番にいたはずなのに!?」
「ここは異世界(夢の中)。ポリスマンをここに呼んだのはサバチャイね。ポリスマンはサバチャイの召喚獣なったよ! これからはサバチャイの鉄砲玉になるよろしくね」
「お、おい、おまえ何言ってるんだよ。ここが異世界。俺が召喚獣だと!?」
「あ、あの、サバチャイさん? 知り合いの方……ではないんですよね。一応、紹介していただいてもよろしいでしょうか?」
サバチャイさんは召喚獣をポリスマンと呼んだ。つまり、呼び出した人を知っているようにも思える。一方で、ポリスマンはサバチャイさんのことを知らなそう。
「ポリスマン、こちらはサバチャイの召喚主のルークね。あと、白い姉ちゃんと黒い姉ちゃんよ。ポリスマンも自己紹介するいいね」
腰周りには棒のようなものや、見たこととのない装備を身に付けている。見た目にはサバチャイさんよりも戦闘力が高そうだ。
訓練場に入るとすぐにシャーロット様と同学年っぽい女性に会った。この方はおそらくだが、ブランシュ侯爵家のジゼル様と思われる。
「はじめましてルーク・エルフェンと申します。おそれながら、ジゼル様でしょうか?」
褐色の肌に紫がかった黒い髪。貴族っぽくないというか、どこか活発な感じの印象を受ける。
「ええ、そうよ。ジゼルでいいわ、よろしくねルーク。シャルとお友達なら私ともお友達になってくれるかな?」
「よ、よろしいのでしょうか。私は商人の息子でございまして……」
「構わないよ。それよりも、そちらの方をご紹介してもらえない? なんでもテオの召喚獣に勝ったらしいじゃん」
ニヤニヤしながら、とても興味深そうにサバチャイさんを見ている。勝ったらしいじゃんということは、実際には見ていないということか。
「召喚の儀は、離れた場所で行われていたのですね。あっ、ご紹介します。バングラディッシュ出身の料理人サバチャイさんです」
「おう、黒い姉ちゃんよろしくね」
「ちょっ、サバチャイさん!」
「いいよ、いいよ。面白い召喚獣、召喚人? まぁ、どっちでもいっか。召喚場所は二つに分かれてたみたいだね。紹介するよ、出ておいでウィンディ」
小さな竜巻が巻き起こると、ジゼル様の肩に小さな人が乗っていた。シャーロット様の精霊様に似ているけど少し雰囲気が違うような。
「私の中級召喚獣のウィンディ。風の妖精よ」
「風の妖精ですか」
「残念ながら精霊様の召喚は出来なかったんだよね。でも私はウィンディと一緒に成長しながら上級への進化を目指すつもりだよ」
前向きというか、向上心が高い人のようだ。普通に考えたら中級召喚獣を呼び出しただけでも十分だと思うんだけどね。
「ルーク、来ていたのね。遅いから心配したのよ」
「す、すみません。遅くなりました」
「それじゃあ、早速だけど話を聞かせてもらおうかしら」
訓練所に入ると、さっき戦った闘技場と同じように半円で囲われた場所があった。つまり、ここでも同じように怪我が回復してしまう魔法が掛けられているのだろう。学園と同じ設備を用意とかレイクルイーズ家、流石です。
「えっとですね。サバチャイさんは、レベルアップと同時にスキルを手に入れたそうなんです」
「いきなりレベルアップとかついてるな。それでスキルは何を覚えたのよ?」
「それがですね、不思議なんですが召喚魔法と分身というスキルなんです」
「召喚魔法ですって!?」
「ルーク、どういうことなのよ」
「それが、僕にもよくわからないんです。あの、サバチャイさんから教えてもらえますか?」
「しょうがないね。白い姉ちゃんと黒い姉ちゃんにも教えるよ。サバチャイ、召喚獣呼べるみたい」
そのまんまじゃんか。い、いや、そのままなのかもしれないけどさ……。
「そうね、試しに召喚してみるか?」
「えっ? 魔方陣とかないけどいけちゃうの?」
「問題ないね。このスキルは自動で魔方陣が描かれるみたいよ」
「シャル、ど、どう思う? ちょっと危険かな?」
「大丈夫じゃないかしら」
「早く呼んじゃおうよ」
みなさん、ノリノリのようだ。実際に召喚にそこまで危険なことはない。唯一、危険があるとするなら召喚主本人だろう。
逆召喚で、呼び出された際に高位の召喚獣から不興を買うことで危険が及ぶ場合があると聞いたことがある。
「でも、サバチャイさんですよ」
「サバチャイさんが召喚獣なんだから、何かあったとしても命に別状はないんじゃない」
ジゼル様の言う通りである。サバチャイさんの煽っていくスタイルはとても危険ではあるが、ダメージをもらっても元の召喚場所に戻るだけなので、その点で問題はなさそう。
強いて言うならサバチャイさんが痛い思いをするぐらいだろうか。
「ねー、もう呼んでいい? というか、呼んじゃうね。チチンプイプイ、バングラディッシュ!」
もう召喚の儀の詠唱とか丸無視していて、めちゃくちゃなはずなのに、何故だか、目の前には魔方陣が現れて光始めている。あー、本当に呼べちゃうんだね……。
眩い光が収まると、魔方陣の上には黒っぽい衣装を纏った青年が立っていた。ちょっぴりチャラい感じにもみえる青年は戸惑いが隠せない様子で、腰の武器のような物に手をやり、こちらを見ていた。
「これは、なかなか戦闘力の高そうな召喚獣ね。期待のルーキーよ!」
「お、お前、日本語喋れるのか? ここは何処なんだ? 俺はさっきまで交番にいたはずなのに!?」
「ここは異世界(夢の中)。ポリスマンをここに呼んだのはサバチャイね。ポリスマンはサバチャイの召喚獣なったよ! これからはサバチャイの鉄砲玉になるよろしくね」
「お、おい、おまえ何言ってるんだよ。ここが異世界。俺が召喚獣だと!?」
「あ、あの、サバチャイさん? 知り合いの方……ではないんですよね。一応、紹介していただいてもよろしいでしょうか?」
サバチャイさんは召喚獣をポリスマンと呼んだ。つまり、呼び出した人を知っているようにも思える。一方で、ポリスマンはサバチャイさんのことを知らなそう。
「ポリスマン、こちらはサバチャイの召喚主のルークね。あと、白い姉ちゃんと黒い姉ちゃんよ。ポリスマンも自己紹介するいいね」
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