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13話 ポリスマン1
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「えっーとだな。俺は警察官の今田豪だ。サバチャイさんと言ったか? ここは一体どこなんだ?」
「そんなの、サバチャイが知るわけないね。ただ、ここは魔法が使える不思議な世界よ」
「魔法とか言われてもよー。……それ、マジかよ?」
「白い姉ちゃん、魔法見せてあげてね!」
「え、ええ。……わかったわ」
何でまた人が召喚されてしまったのだろう。サバチャイさんとポリスマンは何となく会話が成り立っているように思える。ひょっとしたら同じ世界の住人なのかもしれない。
「ウォーターランス」
シャーロット様の精霊魔法で水の魔法が放たれた。今日召喚したばかりだというのに、もう二つ目の魔法を綺麗に操ってらっしゃる。流石としか言いようがない。
「おおう、今のが魔法か。いやーマジかー、絶対異世界じゃねーかよ。ないわー。サバチャイさん、俺、戻れるのか?」
「大丈夫ね。サバチャイもまだ戻ってないから、よくわからないよ」
「全然大丈夫じゃねーよ。と、とりあえず、ちゃんと説明してくんねーかな」
シャーロット様と僕で、わかる範囲で召喚獣の説明をしてあげることになった。
元の世界にも、おそらく戻れること。こちらの世界で怪我をしても死ぬことはないということ。
「ということで、こちらに召喚された時は、僕たちの力になってもらいたいのです」
「それは構わねーけど、いきなりドラゴンと戦えとか言われても無理だからな。まー、戻れそうならいいよ。なんか面白そうだし」
「は、はい。ありがとうございます」
「じゃあ、とりあえず今日はもう戻してくれ。交番に誰もいないと不味いだろ」
「サバチャイさん、お願いできますか?」
「オーケーよ。チチンポイポイ、バングラディッシュ!」
ポリスマンの下に魔方陣が現れると、光とともに消えていった。
「チチンポイポイ、バングラディッシュ!」
再び、魔方陣が展開されると眩い光とともに怒りのポリスマンが現れた。
「おいっ、テメー舐めてんのか! 秒で呼び出してんじゃねーよ。蜂の巣にしてやろーか」
「で、どうね? ちゃんと戻れたね?」
な、なるほど、サバチャイさんなりに実験をしていたということか。
「おっ、おお。そういえば、少しだけしか時間が経過してなかった気がするな。頻繁に呼ばれるとバレそうだが、これぐらいならごまかせそうだ」
「時間が止まっている訳じゃないということね。ポリスマン、もう一つ実験に付き合ってほしいね」
「な、なんだよ」
「その拳銃を撃つね」
「いや、いや、いや、それは不味いだろ。弾減ったら始末書どころの騒ぎじゃ、すまねーんだからな」
「これは実験ね。これから先、ポリスマンはデカい熊と戦うこともあるね。その拳銃が使えなかったら、ただのポリスマンね」
「サバチャイさんが言いたいことはわかる。召喚される度に弾が補充されるか実験しろってことだろ。ちょっとリスクがでけーんだよな」
「わかってるね。実験に付き合ってくれたらルークがこの世界のお金渡すよ」
「金か。まあ、これだけのでけー建物で暮らしてるんだ。相当持ってそうだよな」
おそらくポリスマンは、この訓練所を僕が所有していると盛大に勘違いしている可能性がある。もちろん、そこに気づかないサバチャイさんではない。
「外に出ればもっとわかるね。とんでもない広さのお屋敷よ」
手を引っ張ってサバチャイさんはポリスマンを外へ連れていってしまった。行動が早い。ここぞと思った時は、畳み掛けるのがサバチャイさんスタイル。
「お、おい、ルーク、あれいいのか?」
「理由はわかりませんが、ポリスマンを召喚する上で、大事なことなのでしょう。ここはサバチャイさんを信じます」
「信頼しているのですね」
いいえ、シャーロット様。人としては全く信頼はしておりません。しかし、これがプラスに働きそうなことは、僕にもわかるのですよ。
戻ってきたポリスマンの目は、完全にお金でくもっていた。
「よっし! 俺は腹をくくったぜ。何処に撃てばいい。的をよこせ」
訓練所に戻ってきたポリスマンには迷いが全くなかった。公爵家パワーで気持ちが吹っ切れたと思われる。エルフェン商会だと知ったら怒るんだろうな……。
「的ですか。魔法用の的でも大丈夫でしょうか?」
「なんでも構わねーぜ。嬢ちゃんたちも驚くなよ。魔法とは違う世界の力ってのをみせてやるよ」
なんだかカッコいい感じのポリスマン。腰から黒い武器を抜くと、用意された的を狙いはじめた。一体何をするつもりなのだろう。
「一発だけだからな」
そう言ってすぐに、黒い武器から凄まじい破裂音が鳴り響いた。
「す、凄い音がするのね。どうなってるのそれ?」
「ジ、ジゼル、そんなことより的を見て」
「的? えっ? 的がなくなっている!? 今の攻撃で吹き飛んだというの?」
「ええ。速すぎて全く見えなかったわ」
「あんなの、どうやって避けるのよ。魔法も間に合わないわよ!」
「これでまた、ルークとの差が広がってしまったわ……」
何が起きているのかわからないけど、サバチャイさんが言っていた期待のルーキーという言葉がようやく理解できた。この武器は強すぎる。用意した二メートル四方の大きな的が跡形も無く消し飛んでいた。
ルーキーなんて言葉は失礼だ。これはもの凄い召喚獣を、呼び出してしまったのかもしれない。
「そんなの、サバチャイが知るわけないね。ただ、ここは魔法が使える不思議な世界よ」
「魔法とか言われてもよー。……それ、マジかよ?」
「白い姉ちゃん、魔法見せてあげてね!」
「え、ええ。……わかったわ」
何でまた人が召喚されてしまったのだろう。サバチャイさんとポリスマンは何となく会話が成り立っているように思える。ひょっとしたら同じ世界の住人なのかもしれない。
「ウォーターランス」
シャーロット様の精霊魔法で水の魔法が放たれた。今日召喚したばかりだというのに、もう二つ目の魔法を綺麗に操ってらっしゃる。流石としか言いようがない。
「おおう、今のが魔法か。いやーマジかー、絶対異世界じゃねーかよ。ないわー。サバチャイさん、俺、戻れるのか?」
「大丈夫ね。サバチャイもまだ戻ってないから、よくわからないよ」
「全然大丈夫じゃねーよ。と、とりあえず、ちゃんと説明してくんねーかな」
シャーロット様と僕で、わかる範囲で召喚獣の説明をしてあげることになった。
元の世界にも、おそらく戻れること。こちらの世界で怪我をしても死ぬことはないということ。
「ということで、こちらに召喚された時は、僕たちの力になってもらいたいのです」
「それは構わねーけど、いきなりドラゴンと戦えとか言われても無理だからな。まー、戻れそうならいいよ。なんか面白そうだし」
「は、はい。ありがとうございます」
「じゃあ、とりあえず今日はもう戻してくれ。交番に誰もいないと不味いだろ」
「サバチャイさん、お願いできますか?」
「オーケーよ。チチンポイポイ、バングラディッシュ!」
ポリスマンの下に魔方陣が現れると、光とともに消えていった。
「チチンポイポイ、バングラディッシュ!」
再び、魔方陣が展開されると眩い光とともに怒りのポリスマンが現れた。
「おいっ、テメー舐めてんのか! 秒で呼び出してんじゃねーよ。蜂の巣にしてやろーか」
「で、どうね? ちゃんと戻れたね?」
な、なるほど、サバチャイさんなりに実験をしていたということか。
「おっ、おお。そういえば、少しだけしか時間が経過してなかった気がするな。頻繁に呼ばれるとバレそうだが、これぐらいならごまかせそうだ」
「時間が止まっている訳じゃないということね。ポリスマン、もう一つ実験に付き合ってほしいね」
「な、なんだよ」
「その拳銃を撃つね」
「いや、いや、いや、それは不味いだろ。弾減ったら始末書どころの騒ぎじゃ、すまねーんだからな」
「これは実験ね。これから先、ポリスマンはデカい熊と戦うこともあるね。その拳銃が使えなかったら、ただのポリスマンね」
「サバチャイさんが言いたいことはわかる。召喚される度に弾が補充されるか実験しろってことだろ。ちょっとリスクがでけーんだよな」
「わかってるね。実験に付き合ってくれたらルークがこの世界のお金渡すよ」
「金か。まあ、これだけのでけー建物で暮らしてるんだ。相当持ってそうだよな」
おそらくポリスマンは、この訓練所を僕が所有していると盛大に勘違いしている可能性がある。もちろん、そこに気づかないサバチャイさんではない。
「外に出ればもっとわかるね。とんでもない広さのお屋敷よ」
手を引っ張ってサバチャイさんはポリスマンを外へ連れていってしまった。行動が早い。ここぞと思った時は、畳み掛けるのがサバチャイさんスタイル。
「お、おい、ルーク、あれいいのか?」
「理由はわかりませんが、ポリスマンを召喚する上で、大事なことなのでしょう。ここはサバチャイさんを信じます」
「信頼しているのですね」
いいえ、シャーロット様。人としては全く信頼はしておりません。しかし、これがプラスに働きそうなことは、僕にもわかるのですよ。
戻ってきたポリスマンの目は、完全にお金でくもっていた。
「よっし! 俺は腹をくくったぜ。何処に撃てばいい。的をよこせ」
訓練所に戻ってきたポリスマンには迷いが全くなかった。公爵家パワーで気持ちが吹っ切れたと思われる。エルフェン商会だと知ったら怒るんだろうな……。
「的ですか。魔法用の的でも大丈夫でしょうか?」
「なんでも構わねーぜ。嬢ちゃんたちも驚くなよ。魔法とは違う世界の力ってのをみせてやるよ」
なんだかカッコいい感じのポリスマン。腰から黒い武器を抜くと、用意された的を狙いはじめた。一体何をするつもりなのだろう。
「一発だけだからな」
そう言ってすぐに、黒い武器から凄まじい破裂音が鳴り響いた。
「す、凄い音がするのね。どうなってるのそれ?」
「ジ、ジゼル、そんなことより的を見て」
「的? えっ? 的がなくなっている!? 今の攻撃で吹き飛んだというの?」
「ええ。速すぎて全く見えなかったわ」
「あんなの、どうやって避けるのよ。魔法も間に合わないわよ!」
「これでまた、ルークとの差が広がってしまったわ……」
何が起きているのかわからないけど、サバチャイさんが言っていた期待のルーキーという言葉がようやく理解できた。この武器は強すぎる。用意した二メートル四方の大きな的が跡形も無く消し飛んでいた。
ルーキーなんて言葉は失礼だ。これはもの凄い召喚獣を、呼び出してしまったのかもしれない。
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