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17話 召喚獣タマ2
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眠っていたはずのタマだが、身に迫る危機には敏感のようで、目を開くとスッと立ち上がり魔方陣から一歩だけ横にズレて座りなおした。
「って、普通に避けるのか……。いや、そりゃまぁ、避けるとは思うけども、タマめちゃくちゃ落ち着いてるよね!」
「待ってルーク、トラップが発動するわ」
やはりタマの意思とは別にトラップが発動しているのだろうか。それともタマの余裕なのか、向かってくる精霊魔法に対して空中でトラップが発動。
トラップ 異空間の扉
いつの間にか、扉のようなものが宙に浮かんでいる。そして、魔法がくるタイミングで扉がパッカーン開くと、シャーロット様の水魔法が飛び込んでいく。
「これって魔法を吸収してるのかしら……?」
扉に向かって入っていった魔法は、すべて入ると再び扉が閉まり消えてしまった。サバチャイさんも何が起こっているのか、小さく唸りながら悩んでいるように思える。
すると、一呼吸おいてトラップの意味を理解することとなった。
「シャル! う、上ぇー! 避けてぇ!!」
シャーロット様の頭上には、先ほどの扉が現れていて開かれている。そして僕の目にはさっきの水魔法が、その勢いのままに飛び出そうとしているのが見えた。
「ふぇっ?」
上を向いたところで、避けようかない。念のため勢いは調節していたとはいえ、水が相当な量、滝のように落ちてくる。
何となく体が動いてしまった僕は、シャーロット様の上に覆いかぶさるように飛び込んだ。……まではよかったのだけど。
「きゃぁ!」
結論から言うと、間が悪いというか、ほんの少しだけ間に合わず……。
シャーロット様は大量の水で、びしょ濡れになってしまい。遅れて僕がシャーロット様に飛び込むという、なんとも情けない結果となってしまった。
そしてその体勢は、まるで僕がシャーロット様を抱きしめているような……。
って、あれっ。か、顔が、ち、近いっ!
僕とシャーロット様の顔は、その距離僅か一センチもなくって、しかも水に濡れたシャーロット様の服が透けてたりするわけで、うっすら下着と思われるようなものも見えてしまっていたりで、目のやり場にも困るというか……。
あっ、目が合った。
シャーロット様は、恥ずかしそうに少し頬を染めながらも顔を横に向けてしまった。
「あ、あの、ルーク。もう、大丈夫よ」
「のわぁっ! も、も、申し訳ありません!」
慌てて立ち上がると、僕はすぐに距離をとった。
「いいのよ。私を助けようとしてくれたのでしょう」
「い、いえ、そうなんですが、逆に失礼を……」
「ほう、ルークもなかなかやるね。あと一押しでチューいけたと思うよ。白い姉ちゃんも、満更でもない感じね」
「サ、サバチャイさんっ!」
何となく気まずい雰囲気を感じてかはわからないけど、シャーロット様のそばにタマが近寄ってきて手を舐めていた。
「あら、私を心配してくれているのかしら?」
酷い目に合ったシャーロット様に大丈夫? と聞いているかのようだった。半分ぐらいはタマのせいだと思うんだけどね。
「なぁ白い姉ちゃん、さっきからルークが透けた下着を横目でチラチラ見てるね。風邪引くから着替えてきた方がいい思うよ」
「み、見てませんって! な、何を言ってるのかな、サバチャイさんは!?」
「そうね、私もジゼルと同じようにお風呂にいってくるわ。ルークも男性用のお風呂を案内するけど」
「あっ、いえ、僕は大丈夫です。シャルほど濡れてないし」
「そうそう、ルークにはあとで大きめのタオルでも持ってきてもらえれば十分よ」
「わかったわ。すぐに侍従に持ってこさせるように指示しておくわね。それじゃあ申し訳ないのだけど、しばらくここで待っていてくれるかしら」
「は、はい。お待ちしております」
あー、めっちゃ緊張した。普通に考えて、これ誰かに見られたら相当ヤバい案件なのではなかっただろうか。
それにしてもタマは僕のことも心配してくれているようで、足下をウロウロしている。撫でてあげると目を細めて気持ち良さそうにしているので、嫌がってはいなそうだ。
「ルーク、サバチャイこれは夢だと思ってたけど、どうやら本当っぽいね。ルークとは今後のことについてしっかり話し合う必要があるよ」
お金を増やせるとわかって、現実味が出てきたのだろう。ようやく、前向きな話ができそうだ。
「そうですね。契約は完了してしまっておりますので、これからのことはお互いに無理のない範囲で、徐々にルールを決めていきましょう」
「了解ね! とりあえずはランチとディナーの時間帯は極力避けてもらいたいとこね。でもポリスマンの言うように、戻された時間がそう変わらないのであれば何とかなりそうな気がするよ」
やはり、召喚された時の自分の世界が気になるということだった。ジアス先生が英霊とかいうから、ひょっとして亡くなっている人かもとか思っていたのたけど、ちゃんと異世界で生活があるらしい。
今後は小銭が増えていくから、場合によってはニートになる、とかよくわからないことも言っていた。
あと、僕が気になるのは一つ。
「サバチャイさん、召喚獣には属性があるはずなんだ。僕はサバチャイさんの得意属性の魔法を使えるようになるはずなんです。サバチャイさんって何の属性なのか教えてくれませんか?」
「って、普通に避けるのか……。いや、そりゃまぁ、避けるとは思うけども、タマめちゃくちゃ落ち着いてるよね!」
「待ってルーク、トラップが発動するわ」
やはりタマの意思とは別にトラップが発動しているのだろうか。それともタマの余裕なのか、向かってくる精霊魔法に対して空中でトラップが発動。
トラップ 異空間の扉
いつの間にか、扉のようなものが宙に浮かんでいる。そして、魔法がくるタイミングで扉がパッカーン開くと、シャーロット様の水魔法が飛び込んでいく。
「これって魔法を吸収してるのかしら……?」
扉に向かって入っていった魔法は、すべて入ると再び扉が閉まり消えてしまった。サバチャイさんも何が起こっているのか、小さく唸りながら悩んでいるように思える。
すると、一呼吸おいてトラップの意味を理解することとなった。
「シャル! う、上ぇー! 避けてぇ!!」
シャーロット様の頭上には、先ほどの扉が現れていて開かれている。そして僕の目にはさっきの水魔法が、その勢いのままに飛び出そうとしているのが見えた。
「ふぇっ?」
上を向いたところで、避けようかない。念のため勢いは調節していたとはいえ、水が相当な量、滝のように落ちてくる。
何となく体が動いてしまった僕は、シャーロット様の上に覆いかぶさるように飛び込んだ。……まではよかったのだけど。
「きゃぁ!」
結論から言うと、間が悪いというか、ほんの少しだけ間に合わず……。
シャーロット様は大量の水で、びしょ濡れになってしまい。遅れて僕がシャーロット様に飛び込むという、なんとも情けない結果となってしまった。
そしてその体勢は、まるで僕がシャーロット様を抱きしめているような……。
って、あれっ。か、顔が、ち、近いっ!
僕とシャーロット様の顔は、その距離僅か一センチもなくって、しかも水に濡れたシャーロット様の服が透けてたりするわけで、うっすら下着と思われるようなものも見えてしまっていたりで、目のやり場にも困るというか……。
あっ、目が合った。
シャーロット様は、恥ずかしそうに少し頬を染めながらも顔を横に向けてしまった。
「あ、あの、ルーク。もう、大丈夫よ」
「のわぁっ! も、も、申し訳ありません!」
慌てて立ち上がると、僕はすぐに距離をとった。
「いいのよ。私を助けようとしてくれたのでしょう」
「い、いえ、そうなんですが、逆に失礼を……」
「ほう、ルークもなかなかやるね。あと一押しでチューいけたと思うよ。白い姉ちゃんも、満更でもない感じね」
「サ、サバチャイさんっ!」
何となく気まずい雰囲気を感じてかはわからないけど、シャーロット様のそばにタマが近寄ってきて手を舐めていた。
「あら、私を心配してくれているのかしら?」
酷い目に合ったシャーロット様に大丈夫? と聞いているかのようだった。半分ぐらいはタマのせいだと思うんだけどね。
「なぁ白い姉ちゃん、さっきからルークが透けた下着を横目でチラチラ見てるね。風邪引くから着替えてきた方がいい思うよ」
「み、見てませんって! な、何を言ってるのかな、サバチャイさんは!?」
「そうね、私もジゼルと同じようにお風呂にいってくるわ。ルークも男性用のお風呂を案内するけど」
「あっ、いえ、僕は大丈夫です。シャルほど濡れてないし」
「そうそう、ルークにはあとで大きめのタオルでも持ってきてもらえれば十分よ」
「わかったわ。すぐに侍従に持ってこさせるように指示しておくわね。それじゃあ申し訳ないのだけど、しばらくここで待っていてくれるかしら」
「は、はい。お待ちしております」
あー、めっちゃ緊張した。普通に考えて、これ誰かに見られたら相当ヤバい案件なのではなかっただろうか。
それにしてもタマは僕のことも心配してくれているようで、足下をウロウロしている。撫でてあげると目を細めて気持ち良さそうにしているので、嫌がってはいなそうだ。
「ルーク、サバチャイこれは夢だと思ってたけど、どうやら本当っぽいね。ルークとは今後のことについてしっかり話し合う必要があるよ」
お金を増やせるとわかって、現実味が出てきたのだろう。ようやく、前向きな話ができそうだ。
「そうですね。契約は完了してしまっておりますので、これからのことはお互いに無理のない範囲で、徐々にルールを決めていきましょう」
「了解ね! とりあえずはランチとディナーの時間帯は極力避けてもらいたいとこね。でもポリスマンの言うように、戻された時間がそう変わらないのであれば何とかなりそうな気がするよ」
やはり、召喚された時の自分の世界が気になるということだった。ジアス先生が英霊とかいうから、ひょっとして亡くなっている人かもとか思っていたのたけど、ちゃんと異世界で生活があるらしい。
今後は小銭が増えていくから、場合によってはニートになる、とかよくわからないことも言っていた。
あと、僕が気になるのは一つ。
「サバチャイさん、召喚獣には属性があるはずなんだ。僕はサバチャイさんの得意属性の魔法を使えるようになるはずなんです。サバチャイさんって何の属性なのか教えてくれませんか?」
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