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27話 はじめてのクエスト
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「ほらよっ、これがお前たちのギルドカードだ。なくすんじゃねぇぞ」
「私の分も出来てるの?」
「あぁ、ジゼル様のギルドカードもちゃんと完成しているぜ」
「あぁ、よかった。これで私も一緒にクエストに参加できるわね」
あれから、無事に召喚獣の種族登録を済ませカードの発行を進めているところに、寝坊したジゼル様も合流したのだ。変なことに巻き込まれなかった分、早起きは三銅貨の徳とかいう、ことわざには苦言を呈したい。
「それで、最初のクエストは何にするんだ? 畑を荒らすワイルドボアかゴブリン退治がギルドとしては助かるんだが」
「新人にいきなり討伐クエストを受注させるなんて、それがギルドマスターの仕事なのかしら?」
「いや、いや、ジゼル様よー。こいつら、俺の召喚獣をあっさり倒したんだぜ。そこにジゼル様の中級召喚獣も加わるんだ。止めるどころか、むしろ早々に活躍してもらいたい」
「ふーん。シャルはそれでいいの?」
「私は最初から討伐クエストを受注するつもりでしたの。せっかくのパーティ練習ですもの」
そういう意味では、先ほどのランドルフさんとの模擬戦はとても勉強になった。討伐クエストでは安全マージンをしっかりとって戦いたい。
「ルークもそれでいいの?」
ゴブリンぐらいなら僕でも何とかなるだろう。ワイルドボアは体が大きいから標的にはなりやすいけど、その分スピードが恐い。
「そうですね。出来ればスピードがそこまで速くないゴブリンの方が助かるのですが」
「ルークの言うように、ワイルドボアは直線的で討伐がつまらないわ。団体戦が楽しめるゴブリンクエストを受注しましょう。フィオレロ、受付を」
「かしこまりました。シャーロット様」
そうじゃない。スピードの脅威というか、心の準備のためであって……。あれっ、ゴブリンって団体で行動してるんだっけ?
「ジゼル様、あ、あの、ゴブリンって団体行動なんですか?」
「ルーク……はぐれゴブリンなんて、そうそういないわよ。そんなの常識じゃない」
「ほ、本当ですか?」
「ゴブリンは最弱だけど、それはあくまで単体の場合でのこと。五~八体で活動していることが多いって聞くよ」
最初のクエストにしては、冒険し過ぎかもしれない。しかしながら、今さらやめたいとも言えない雰囲気になっている。
「だ、大丈夫ですかね?」
「ルークの召喚獣は、とてもやる気なように見えるけど」
フィオレロさんに、すっかり回復してもらったサバチャイさんも、ポリスマンもこちらの世界に興味津々のようで、クエストにも、とても前向きだ。
「サバチャイさん、つまりモンスターを倒してレベルを上げれば、俺も何かを新しい技を覚えるかもしれねーんだな」
「サバチャイ、熊を倒したらあっさりレベル上がったよ。体が軽くてしょうがないね!」
「マジかよ。しかも、こっちの世界に結構長くいても、ほとんど時間が経過してないってのもナイスな情報だぜ」
「ポリスマンも、早くレベル上げて強くなるといいよ」
「ルークさんよー、俺にも早く熊を倒させてくれよ」
「い、いえ、熊は近くにはいませんし、危ないですから。あっ、でもゴブリンは大量にいるようなので、どんどん倒しちゃってください」
「ゴブリンか。まぁ、最初はやっぱりゴブリンからだよな。オーケー、ルークさん。ここはゆっくり、レベル上げといこうじゃねーか」
ポリスマンの世界でもゴブリンっているのだろうか。まるで初心者向けのモンスターだと知っているような口ぶりに思える。
「あの、ポリスマンは、ゴブリンを知っているんですか?」
「見たことはねーけど、ファンタジーの世界じゃ基本だろ。俺もゲームをそこまでやってるわけじゃねぇんだけど、それぐらいは知ってるぜ」
書物とかで得た知識ということなのだろうか。おそらく、サバチャイさん達のいる世界は、僕たちの世界よりもかなり文明が発達している。ポリスマンの装備品を見るだけでもそのレベルの違いがわかる。情報とかも、かなりの精度で集められるのだろう。
「みなさま、ゴブリンクエストを受注して参りました。場所は東のムーチャッカ村周辺とのことです」
ムーチャッカ村はここから一番近い村で、芋や野菜などを育てている農村だ。畑の面積も多いので定期的にゴブリンクエストを依頼しているらしい。
「ムーチャッカ村なら歩いて行けそうね。簡単な昼食を買ってから向かいましょう」
こうして、僕たちの初めてのクエストは開始されたのだった。
◇◇◇◆◆
「この方がムーチャッカ村の村長さんで、依頼主さんでございます」
フィオレロさんに紹介されたのは、五十歳ぐらいのパタコン村長。
「君たちがクエストを受注してくれた冒険者? いや、学園の生徒さんかな」
「はい、そうです。制服でわかりますよね。こう見えて優秀な召喚獣を従えておりますから、その、ご安心くださいね」
「あぁ、わかっているよ。ギルドマスターが許可を出したのだから、優秀な生徒さんなのだろう」
「信じて頂いて光栄ですわ」
「それで、ゴブリンはどこに?」
「あー、あいつら逃げ足が早くてな。慣れているのか、少し荒らしてはすぐに居なくなっちまう。気がついた時には、いつもやられた後なんだ」
今回のクエストは、逃げ足の早いゴブリン達の巣を見つけて破壊すること。ゴブリンの討伐は問わないが、討伐証分の買い取りオプションはちゃんとついているとのこと。
「私の分も出来てるの?」
「あぁ、ジゼル様のギルドカードもちゃんと完成しているぜ」
「あぁ、よかった。これで私も一緒にクエストに参加できるわね」
あれから、無事に召喚獣の種族登録を済ませカードの発行を進めているところに、寝坊したジゼル様も合流したのだ。変なことに巻き込まれなかった分、早起きは三銅貨の徳とかいう、ことわざには苦言を呈したい。
「それで、最初のクエストは何にするんだ? 畑を荒らすワイルドボアかゴブリン退治がギルドとしては助かるんだが」
「新人にいきなり討伐クエストを受注させるなんて、それがギルドマスターの仕事なのかしら?」
「いや、いや、ジゼル様よー。こいつら、俺の召喚獣をあっさり倒したんだぜ。そこにジゼル様の中級召喚獣も加わるんだ。止めるどころか、むしろ早々に活躍してもらいたい」
「ふーん。シャルはそれでいいの?」
「私は最初から討伐クエストを受注するつもりでしたの。せっかくのパーティ練習ですもの」
そういう意味では、先ほどのランドルフさんとの模擬戦はとても勉強になった。討伐クエストでは安全マージンをしっかりとって戦いたい。
「ルークもそれでいいの?」
ゴブリンぐらいなら僕でも何とかなるだろう。ワイルドボアは体が大きいから標的にはなりやすいけど、その分スピードが恐い。
「そうですね。出来ればスピードがそこまで速くないゴブリンの方が助かるのですが」
「ルークの言うように、ワイルドボアは直線的で討伐がつまらないわ。団体戦が楽しめるゴブリンクエストを受注しましょう。フィオレロ、受付を」
「かしこまりました。シャーロット様」
そうじゃない。スピードの脅威というか、心の準備のためであって……。あれっ、ゴブリンって団体で行動してるんだっけ?
「ジゼル様、あ、あの、ゴブリンって団体行動なんですか?」
「ルーク……はぐれゴブリンなんて、そうそういないわよ。そんなの常識じゃない」
「ほ、本当ですか?」
「ゴブリンは最弱だけど、それはあくまで単体の場合でのこと。五~八体で活動していることが多いって聞くよ」
最初のクエストにしては、冒険し過ぎかもしれない。しかしながら、今さらやめたいとも言えない雰囲気になっている。
「だ、大丈夫ですかね?」
「ルークの召喚獣は、とてもやる気なように見えるけど」
フィオレロさんに、すっかり回復してもらったサバチャイさんも、ポリスマンもこちらの世界に興味津々のようで、クエストにも、とても前向きだ。
「サバチャイさん、つまりモンスターを倒してレベルを上げれば、俺も何かを新しい技を覚えるかもしれねーんだな」
「サバチャイ、熊を倒したらあっさりレベル上がったよ。体が軽くてしょうがないね!」
「マジかよ。しかも、こっちの世界に結構長くいても、ほとんど時間が経過してないってのもナイスな情報だぜ」
「ポリスマンも、早くレベル上げて強くなるといいよ」
「ルークさんよー、俺にも早く熊を倒させてくれよ」
「い、いえ、熊は近くにはいませんし、危ないですから。あっ、でもゴブリンは大量にいるようなので、どんどん倒しちゃってください」
「ゴブリンか。まぁ、最初はやっぱりゴブリンからだよな。オーケー、ルークさん。ここはゆっくり、レベル上げといこうじゃねーか」
ポリスマンの世界でもゴブリンっているのだろうか。まるで初心者向けのモンスターだと知っているような口ぶりに思える。
「あの、ポリスマンは、ゴブリンを知っているんですか?」
「見たことはねーけど、ファンタジーの世界じゃ基本だろ。俺もゲームをそこまでやってるわけじゃねぇんだけど、それぐらいは知ってるぜ」
書物とかで得た知識ということなのだろうか。おそらく、サバチャイさん達のいる世界は、僕たちの世界よりもかなり文明が発達している。ポリスマンの装備品を見るだけでもそのレベルの違いがわかる。情報とかも、かなりの精度で集められるのだろう。
「みなさま、ゴブリンクエストを受注して参りました。場所は東のムーチャッカ村周辺とのことです」
ムーチャッカ村はここから一番近い村で、芋や野菜などを育てている農村だ。畑の面積も多いので定期的にゴブリンクエストを依頼しているらしい。
「ムーチャッカ村なら歩いて行けそうね。簡単な昼食を買ってから向かいましょう」
こうして、僕たちの初めてのクエストは開始されたのだった。
◇◇◇◆◆
「この方がムーチャッカ村の村長さんで、依頼主さんでございます」
フィオレロさんに紹介されたのは、五十歳ぐらいのパタコン村長。
「君たちがクエストを受注してくれた冒険者? いや、学園の生徒さんかな」
「はい、そうです。制服でわかりますよね。こう見えて優秀な召喚獣を従えておりますから、その、ご安心くださいね」
「あぁ、わかっているよ。ギルドマスターが許可を出したのだから、優秀な生徒さんなのだろう」
「信じて頂いて光栄ですわ」
「それで、ゴブリンはどこに?」
「あー、あいつら逃げ足が早くてな。慣れているのか、少し荒らしてはすぐに居なくなっちまう。気がついた時には、いつもやられた後なんだ」
今回のクエストは、逃げ足の早いゴブリン達の巣を見つけて破壊すること。ゴブリンの討伐は問わないが、討伐証分の買い取りオプションはちゃんとついているとのこと。
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