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28話 ゴブリンクエスト1
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「間違いないですわ。この足跡はゴブリンね」
僕たちは、被害のあった畑周辺の痕跡を探していたのだけど、予想通り森の方角から畑を荒らしに来ているようだった。
「森に行きますか?」
「虫が多そうね……」
「ジゼル様、こちら虫除けのポーションでございます。みなさまの分もございますので、是非ご使用ください」
さすがはフィオレロさんだ。トイレの紙から虫除けポーションまで、その小さなバッグにはいったい何が詰まっているのだろう。
「気になりますか? こちらの収納バッグは、魔法アイテムでしてレイクルイーズ家の秘宝でございます」
「収納バッグ……はじめて見ました。そんな大事なもの、持ち歩いていて大丈夫なのですか?」
「ルーク、収納バッグというのは事前に登録した者以外は開けることができないの。つまり、このバッグを盗んだとしても使用することは出来ないのですわ」
なるほど、それならば盗もうとする人もいないか。でも、僕みたいにその事を知らない人から見たら、やっぱり危なくないのかな。
「しかも、登録者以外の人が持とうとすると、中身の重さそのままに感じてしまうので、まず一歩も歩けないのです」
「そ、それは安全だね。ちなみに、今のバッグの重さは?」
「はい、八百キロぐらいです。私の感じる重さは八百グラム程度なんですけどね」
八百キロを持って歩ける人はいないだろう。気軽に持ち歩けるわけだ。バッグを持たせてもらったけど、地面から持ち上げることすらできなかった。これは盗まれる心配とかないだろう。
「よし、じゃあ、ゴブリンの巣をぶっ壊そー!」
虫が気にならなくなったジゼル様が早速元気に歩き始める。
「ジゼル、どっちに向かうつもり?」
「木の幹にキズが付いているらしいの。その周りに獣道のように踏みつぶされている道があるわ。この先にゴブリンの巣があるんじゃない?」
適当に勢いで行動しているわけではなかったらしい。おそらく、肩にいる妖精さんの観察力と思われるけど。まず、その方向で間違いはなさそうだ。
「了解ですわ。とりあえず、ルークを先頭にジゼルが道案内してもらえる?」
シャーロット様にニコニコ顔でそう言われてしまうと断れない。多分、僕のお腹にいるタマがその理由と思われるので諦めざるをえない。
「タマちゃん、よろしくね」
「にゃあぁぁー」
昨日、落とし穴にはめた相手に対して、今日はとってもご機嫌なタマ。どうやらタマハウスの裏地のモコモコが気に入っているようだ。さらにバッグの中にネコ科の動物が喜ぶハーブの香りをつけておいたのが成功と思える。程よいフィット感も心地良いのだろう。
「あらっ、今日はさわらせてくれるのね」
ちょっとビビりながら、タマの頭を撫でたジゼル様はなかなかのチャレンジャーだ。ここで、泥の沼に落ちたら目も当てられない。
「どうやら、このバッグの中が気に入ったようですね」
「少しずつ、タマちゃんとの距離を詰めていくわ」
無理せずに頑張ってもらいたい。僕としても、早くみんなとも仲良くなってもらいたいと思っている。貴族を相手に無差別にトラップを発動されては困るのはこちらなのだ。
「ジゼル様、あ、あれは……」
「意外と早く見つかったわね。あの洞窟がゴブリンの巣と見て間違いなさそうかなー」
ジゼル様は後ろに合図を送ると、ウィンディに指示を出している。
「ウィンディが洞窟の中を見てくるんですか?」
「この大きさだし、スピードもそれなりにあるから、こういうのは向いてるのよ。ウィンディ、頼むわね」
洞窟の前にはムーチャッカ村の畑から奪ってきたと思われる芋が山のように積み上げられていて、二匹のゴブリンが周囲を警戒するように歩き回っていた。
緑色の肌をした小さい鬼。頭には角があり、大きく口角が鋭く上がっていて、とても醜悪な顔立ちをしている。体長は約一メートルぐらい、あれがゴブリンか。
「ルークさん、もう狙っちゃっていいのか? あれ、ゴブリンだろう」
「いえ、まだです。今、ジゼル様の召喚獣が、洞窟内のゴブリンの数を調べていますから、戻ってくるまで待ちましょう」
「ゴブリンだろ? 俺とルークであの二体を倒して、洞窟の中に残り四発づつ叩きこめば、ゴブリンは丸焼きだと思うぜ」
「僕たちパーティの初戦でもあるので、じっくり、安全にいきたいんです。もう少し待っててくださいね」
確かに、そうかもしれない。でもそれでは、パーティ戦とは言えないのではないかなと思うのだ。シャーロット様の水の精霊魔法で洞窟内を水攻めしたってあっさり勝てそうだけど、ここはパーティっぽく立ち回りたい。
この洞窟というか、ほら穴。多分ゴブリンが掘って作った感じのお手製感が満載だ。つまり、奥行きはそこまでないだろう。
「ウィンディからの情報よ。数は中に三体で計五体よ。洞窟の大きさからもこれで全部でしょう」
「外の二体をルークとポリスマンで。私は洞窟内へ向けて魔法を撃ちますので、出てきた三体をジゼル、フィオレロ、サバチャイさんで仕留めましょう」
「ええ」「了解」「一匹か、しゃーねぇ」「かしこまりました」
サバチャイさん、武器ないけど何とかなるのかな……。まぁ、いい。今は自分のことに集中だ。
こうして、僕とポリスマンは気づかれないようにゆっくりと近づき二体のゴブリンに狙いを定めた。
僕たちは、被害のあった畑周辺の痕跡を探していたのだけど、予想通り森の方角から畑を荒らしに来ているようだった。
「森に行きますか?」
「虫が多そうね……」
「ジゼル様、こちら虫除けのポーションでございます。みなさまの分もございますので、是非ご使用ください」
さすがはフィオレロさんだ。トイレの紙から虫除けポーションまで、その小さなバッグにはいったい何が詰まっているのだろう。
「気になりますか? こちらの収納バッグは、魔法アイテムでしてレイクルイーズ家の秘宝でございます」
「収納バッグ……はじめて見ました。そんな大事なもの、持ち歩いていて大丈夫なのですか?」
「ルーク、収納バッグというのは事前に登録した者以外は開けることができないの。つまり、このバッグを盗んだとしても使用することは出来ないのですわ」
なるほど、それならば盗もうとする人もいないか。でも、僕みたいにその事を知らない人から見たら、やっぱり危なくないのかな。
「しかも、登録者以外の人が持とうとすると、中身の重さそのままに感じてしまうので、まず一歩も歩けないのです」
「そ、それは安全だね。ちなみに、今のバッグの重さは?」
「はい、八百キロぐらいです。私の感じる重さは八百グラム程度なんですけどね」
八百キロを持って歩ける人はいないだろう。気軽に持ち歩けるわけだ。バッグを持たせてもらったけど、地面から持ち上げることすらできなかった。これは盗まれる心配とかないだろう。
「よし、じゃあ、ゴブリンの巣をぶっ壊そー!」
虫が気にならなくなったジゼル様が早速元気に歩き始める。
「ジゼル、どっちに向かうつもり?」
「木の幹にキズが付いているらしいの。その周りに獣道のように踏みつぶされている道があるわ。この先にゴブリンの巣があるんじゃない?」
適当に勢いで行動しているわけではなかったらしい。おそらく、肩にいる妖精さんの観察力と思われるけど。まず、その方向で間違いはなさそうだ。
「了解ですわ。とりあえず、ルークを先頭にジゼルが道案内してもらえる?」
シャーロット様にニコニコ顔でそう言われてしまうと断れない。多分、僕のお腹にいるタマがその理由と思われるので諦めざるをえない。
「タマちゃん、よろしくね」
「にゃあぁぁー」
昨日、落とし穴にはめた相手に対して、今日はとってもご機嫌なタマ。どうやらタマハウスの裏地のモコモコが気に入っているようだ。さらにバッグの中にネコ科の動物が喜ぶハーブの香りをつけておいたのが成功と思える。程よいフィット感も心地良いのだろう。
「あらっ、今日はさわらせてくれるのね」
ちょっとビビりながら、タマの頭を撫でたジゼル様はなかなかのチャレンジャーだ。ここで、泥の沼に落ちたら目も当てられない。
「どうやら、このバッグの中が気に入ったようですね」
「少しずつ、タマちゃんとの距離を詰めていくわ」
無理せずに頑張ってもらいたい。僕としても、早くみんなとも仲良くなってもらいたいと思っている。貴族を相手に無差別にトラップを発動されては困るのはこちらなのだ。
「ジゼル様、あ、あれは……」
「意外と早く見つかったわね。あの洞窟がゴブリンの巣と見て間違いなさそうかなー」
ジゼル様は後ろに合図を送ると、ウィンディに指示を出している。
「ウィンディが洞窟の中を見てくるんですか?」
「この大きさだし、スピードもそれなりにあるから、こういうのは向いてるのよ。ウィンディ、頼むわね」
洞窟の前にはムーチャッカ村の畑から奪ってきたと思われる芋が山のように積み上げられていて、二匹のゴブリンが周囲を警戒するように歩き回っていた。
緑色の肌をした小さい鬼。頭には角があり、大きく口角が鋭く上がっていて、とても醜悪な顔立ちをしている。体長は約一メートルぐらい、あれがゴブリンか。
「ルークさん、もう狙っちゃっていいのか? あれ、ゴブリンだろう」
「いえ、まだです。今、ジゼル様の召喚獣が、洞窟内のゴブリンの数を調べていますから、戻ってくるまで待ちましょう」
「ゴブリンだろ? 俺とルークであの二体を倒して、洞窟の中に残り四発づつ叩きこめば、ゴブリンは丸焼きだと思うぜ」
「僕たちパーティの初戦でもあるので、じっくり、安全にいきたいんです。もう少し待っててくださいね」
確かに、そうかもしれない。でもそれでは、パーティ戦とは言えないのではないかなと思うのだ。シャーロット様の水の精霊魔法で洞窟内を水攻めしたってあっさり勝てそうだけど、ここはパーティっぽく立ち回りたい。
この洞窟というか、ほら穴。多分ゴブリンが掘って作った感じのお手製感が満載だ。つまり、奥行きはそこまでないだろう。
「ウィンディからの情報よ。数は中に三体で計五体よ。洞窟の大きさからもこれで全部でしょう」
「外の二体をルークとポリスマンで。私は洞窟内へ向けて魔法を撃ちますので、出てきた三体をジゼル、フィオレロ、サバチャイさんで仕留めましょう」
「ええ」「了解」「一匹か、しゃーねぇ」「かしこまりました」
サバチャイさん、武器ないけど何とかなるのかな……。まぁ、いい。今は自分のことに集中だ。
こうして、僕とポリスマンは気づかれないようにゆっくりと近づき二体のゴブリンに狙いを定めた。
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