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五十五話目 ドレインオーク
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僕は倒れているオークを見ながら、あることを考えていた。うーん、可能性はともかく、とりあえずやってみるか。
「と、その前に、ドレイン」
「な、何をしているのだ」
「せっかく眠ってくれているのだから、明日に向けてウサ吉のようにドレインの糸を繋げておこうと思ってね」
「なるほど、エネルギー源の確保ということか?」
「もちろん、それもあるんだけど。オーク自体を乗っ取れないかなと思ってさ。僕の魔力エネルギーを注入することで、ウサ吉のようにとまではいかなくても、敵味方で争ってくれたらと思ってね」
「そ、それはまた、とてつもない作戦だな……」
「というわけで、僕は気絶してるオークを片っ端からドレインの糸で繋げてくるから、先に食料庫に行って待っててくれるかな」
「わかった。でも、無理はするな。本番は明日なのだからな」
こうして、シュナちゃんたちと別れると、僕は気絶しているオークを片っ端からドレインの糸で繋げていった。
ウサ吉の時を考えると、ある程度魔力を注入したら、話が通じるようになって味方になってくれたんだよね。オークの場合は、元々が敵同士の関係だけに仲間になるというイメージはない。それならば、力任せにこちらの意のままに動かせないかなという考えでいる。
とはいえ、本番一発勝負というのはこわいので、試験はさせてもらおう。
「魔力はこのぐらいで様子をみるか……魔力エネルギーを注入!」
ドレインで繋がった糸に少し多めに魔力エネルギーを注ぎ込む。気絶していたオークがビクッと跳ね上がると、ゆっくり立ち上がって静止した。
「ちょ、ちょっと、エネルギー多かったかな?」
近づいてみると、息はしているようなのでちゃんと生きてはいるようだ。でも、意識が無いというか、目がボーッとしている感じ。大丈夫か?
「よ、よし、とりあえず、他のオークを見つけに行って暴れ回って来い!」
僕が命令すると、そのオークは眼がキランっと光り、すぐに部屋から出ていった。命令を聞いているということでいいのかな?
隠れながらそのオークを尾行していくと、すぐに隣の部屋にいた他のオークのグループに突撃していった。煙を逃れてホッとしていたところを、まさか味方から攻撃されるとは思っていなかったらしく、一体、二体とあっさり仕留めていく。こいつ、かなり強い。
「あ、これは一般的なオークよりも強化されているからか。とりあえず、使えることはわかったので、明日までお前はこの部屋に待機。それから、他にも操ったオークもこの部屋に来させるから仲良くするんだよ」
ぶひっぶひって、命令は一応聞いてくれるようなので一安心だ。これなら僕たちがわざわざ姿を現さなくても砦を混乱させることが可能かもしれない。可能な限りドレインオークを増やしておこう。
それなりに魔力を消費してしまうけど、他のオークからドレインしていけば、かなりの数をドレイン状態にすることが出来るだろう。
そうして、また一体、二体とドレインオークを増やしながら、僕も一階の食料庫へとたどり着いた。ここに来るまでに、三百体ぐらいはドレインしておいたので、明日に向けての準備としてはまずまずだろう。あとは、明日戦いながら更に増やしていく。
「主様、こっちだにゃ」
香草ボールの臭いでぐったりしていたアイミーも、こちらに移動して復活したのか手を振りながら僕を呼んでくれた。どうやら、もう元気になっているようだ。食料庫にはオークの姿はなく、隠れる場所も多いので半日ぐらいならここで待機で問題なさそうだ。
「レックス殿、ドレインは上手くいきそうなのだろうか?」
「うん、少し試してみたんだけど、思いの外、上手くいきそう。既に三百体ぐらいは傘下になっている」
「そ、そんなにか!?」
「シュナちゃん、声が大きいにゃ」
「す、すまない。それで、そのオークは今どこに?」
「いくつかの部屋に分かれて待機してもらってるよ。明日はタイミングをみて暴れてもらうつもり」
「そうか……。ところで、そのオークは私たちには判別出来るのだろうか?」
「あっ、それは考えてなかったな」
「乱戦の中、どのオークが味方かなんて判断できないにゃ」
「何か目印を付けられないのだろうか?」
目印か、わかりやすい必要はあるけど、すぐにバレるようだと逆に利用される危険性もある。オークを見てる限り、そこまで頭が回るモンスターとは思えないけどね……。
オークの姿を改めて思い出してみる。醜悪な表情と豚っ鼻。でっぷりと出たお腹に、筋肉質でガタイのいい体格。武器はそれぞれ違いはあるけど、鎧なんかは支給された物なのか同じ物を着用している。
「鎧を脱がせるのもちょっと違うしなー。とりあえず、腕に何か布でも巻くように指示しておこうか?」
「うむ、とりあえず、それでお願いしよう。戦っている内に何となく区別がつけられるかもしれないしな」
「うん、了解。あと、オークキングの場所はドレインオークから情報収集したから把握済み。予想通りというか、砦の一番上の部屋から指示を出している」
「あとは、勇者が来るのを待つだけにゃ」
「今日のところは仮眠をとって、明日に備えよう。前半は私が見張りをするので、後半はレックス殿、お願い出来るだろうか?」
「うにゃ? アイミーの番は」
「アイミーは体調を悪くしたのだから、今日は大人しく休んでおくのだ」
そう説明しながら目が若干泳いでいるシュナちゃん。アイミーが寝過ごした場合を恐れているのだろうな。わからなくもない。ここ一番の大事なところでやらかすのが想像出来る。
「シュナちゃんは優しいから好き!」
「と、その前に、ドレイン」
「な、何をしているのだ」
「せっかく眠ってくれているのだから、明日に向けてウサ吉のようにドレインの糸を繋げておこうと思ってね」
「なるほど、エネルギー源の確保ということか?」
「もちろん、それもあるんだけど。オーク自体を乗っ取れないかなと思ってさ。僕の魔力エネルギーを注入することで、ウサ吉のようにとまではいかなくても、敵味方で争ってくれたらと思ってね」
「そ、それはまた、とてつもない作戦だな……」
「というわけで、僕は気絶してるオークを片っ端からドレインの糸で繋げてくるから、先に食料庫に行って待っててくれるかな」
「わかった。でも、無理はするな。本番は明日なのだからな」
こうして、シュナちゃんたちと別れると、僕は気絶しているオークを片っ端からドレインの糸で繋げていった。
ウサ吉の時を考えると、ある程度魔力を注入したら、話が通じるようになって味方になってくれたんだよね。オークの場合は、元々が敵同士の関係だけに仲間になるというイメージはない。それならば、力任せにこちらの意のままに動かせないかなという考えでいる。
とはいえ、本番一発勝負というのはこわいので、試験はさせてもらおう。
「魔力はこのぐらいで様子をみるか……魔力エネルギーを注入!」
ドレインで繋がった糸に少し多めに魔力エネルギーを注ぎ込む。気絶していたオークがビクッと跳ね上がると、ゆっくり立ち上がって静止した。
「ちょ、ちょっと、エネルギー多かったかな?」
近づいてみると、息はしているようなのでちゃんと生きてはいるようだ。でも、意識が無いというか、目がボーッとしている感じ。大丈夫か?
「よ、よし、とりあえず、他のオークを見つけに行って暴れ回って来い!」
僕が命令すると、そのオークは眼がキランっと光り、すぐに部屋から出ていった。命令を聞いているということでいいのかな?
隠れながらそのオークを尾行していくと、すぐに隣の部屋にいた他のオークのグループに突撃していった。煙を逃れてホッとしていたところを、まさか味方から攻撃されるとは思っていなかったらしく、一体、二体とあっさり仕留めていく。こいつ、かなり強い。
「あ、これは一般的なオークよりも強化されているからか。とりあえず、使えることはわかったので、明日までお前はこの部屋に待機。それから、他にも操ったオークもこの部屋に来させるから仲良くするんだよ」
ぶひっぶひって、命令は一応聞いてくれるようなので一安心だ。これなら僕たちがわざわざ姿を現さなくても砦を混乱させることが可能かもしれない。可能な限りドレインオークを増やしておこう。
それなりに魔力を消費してしまうけど、他のオークからドレインしていけば、かなりの数をドレイン状態にすることが出来るだろう。
そうして、また一体、二体とドレインオークを増やしながら、僕も一階の食料庫へとたどり着いた。ここに来るまでに、三百体ぐらいはドレインしておいたので、明日に向けての準備としてはまずまずだろう。あとは、明日戦いながら更に増やしていく。
「主様、こっちだにゃ」
香草ボールの臭いでぐったりしていたアイミーも、こちらに移動して復活したのか手を振りながら僕を呼んでくれた。どうやら、もう元気になっているようだ。食料庫にはオークの姿はなく、隠れる場所も多いので半日ぐらいならここで待機で問題なさそうだ。
「レックス殿、ドレインは上手くいきそうなのだろうか?」
「うん、少し試してみたんだけど、思いの外、上手くいきそう。既に三百体ぐらいは傘下になっている」
「そ、そんなにか!?」
「シュナちゃん、声が大きいにゃ」
「す、すまない。それで、そのオークは今どこに?」
「いくつかの部屋に分かれて待機してもらってるよ。明日はタイミングをみて暴れてもらうつもり」
「そうか……。ところで、そのオークは私たちには判別出来るのだろうか?」
「あっ、それは考えてなかったな」
「乱戦の中、どのオークが味方かなんて判断できないにゃ」
「何か目印を付けられないのだろうか?」
目印か、わかりやすい必要はあるけど、すぐにバレるようだと逆に利用される危険性もある。オークを見てる限り、そこまで頭が回るモンスターとは思えないけどね……。
オークの姿を改めて思い出してみる。醜悪な表情と豚っ鼻。でっぷりと出たお腹に、筋肉質でガタイのいい体格。武器はそれぞれ違いはあるけど、鎧なんかは支給された物なのか同じ物を着用している。
「鎧を脱がせるのもちょっと違うしなー。とりあえず、腕に何か布でも巻くように指示しておこうか?」
「うむ、とりあえず、それでお願いしよう。戦っている内に何となく区別がつけられるかもしれないしな」
「うん、了解。あと、オークキングの場所はドレインオークから情報収集したから把握済み。予想通りというか、砦の一番上の部屋から指示を出している」
「あとは、勇者が来るのを待つだけにゃ」
「今日のところは仮眠をとって、明日に備えよう。前半は私が見張りをするので、後半はレックス殿、お願い出来るだろうか?」
「うにゃ? アイミーの番は」
「アイミーは体調を悪くしたのだから、今日は大人しく休んでおくのだ」
そう説明しながら目が若干泳いでいるシュナちゃん。アイミーが寝過ごした場合を恐れているのだろうな。わからなくもない。ここ一番の大事なところでやらかすのが想像出来る。
「シュナちゃんは優しいから好き!」
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