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六十四話目 勇者パーティの方針
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レベル五十六……。レックスは想像以上にとんでもないレベルだった。私自身も少しは強くなったつもりでいたけど、レックスはもちろん、ここにいる三人とは強さのレベルが違いすぎる。それは私自身が、成長したからこそ感じることができるのだろう。
ちなみに、現在の私のレベルは三十二。魔王を倒すのは私の役目。レックスを頼りにするような勇者ではダメ、もっと強くなりたい。
「エリオ様、あの兎人族の者は本当に信用できるのでしょうか? 確か、以前の魔王軍四天王には獣人がいたとの報告もあります。少し心配ですわ」
「そうですね、イシス教の教えでは獣人とは距離を置いて付き合うようにとあります。利用できる部分があるのは確かですが、全てを信じるのはまだ早いと思われます」
シャルロットとクリストフが反対することはある程度わかっていた。この二人は王都で、イシス教の教えを小さい頃から学んでいる敬虔なイシス教徒。
「あの者達は、オーク軍から砦の補強工事を無理やり手伝わされていたのよ。しかも、女性や子供たちを人質にとられていたと言うじゃない。私は、種族や見た目で判断することはしたくないの」
「俺もエリオと同じ意見だ。虐げられた者を助けてこその勇者パーティじゃねぇか? それに、ここから先は地の利がない。利用できる部分はこちらにもあるんだ」
「し、しかし……」
「もちろん二人の言うように、しばらくは様子を見るよ。十日に一度程度、私が兎人族の縄張りに行って情報をとってきます」
「い、いくら何でも、お一人では危険です。私も同行いたします!」
「いえ、クリストフ、それには及びません。兎人族は警戒心のとても強い種族です。複数で顔を出すよりも、私が一人で行った方が交渉も上手くいくと思うの」
「エリオ様、本当に大丈夫なのですか?」
「数もそこまで多くないし、あんなに小さい兎人が勇者に何か出来ると思うの? それよりも、みんなには早くレベルを上げてもらいたい。これから先は大変な戦いが続くはずだから」
実際には、ウサ吉軍団は勇者パーティと戦っても遜色ない力があるだろう。チームワークもいいし、よく鍛えられている。私でも油断したら足もとを救われかねない。
「そ、それもそうですね」
「彼らと親交を深めることは私たちにとっても必ずプラスになるわ。ということで、しばらくは彼らの集落に泊まるから」
「と、泊まるのですか!?」
「エリオ様が、そこまでする必要があるのでしょうか?」
「い、一泊だけよ……。ま、まずは、相手の懐に入らないとね。信頼を得るのは大変なのよ」
多少強引ではあったけど、とりあえず、何とか丸め込めたかな……。
「それと早速だけど、兎人族からモンスターの分布情報を教えてもらっているの。ここから北西の山脈の方面にトロールが出るそうよ」
トロールは巨人族のモンスター。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴なため、発見しても近寄らないことが多いのだが、討伐した際の経験値には少なくないものがある。
「俺たちはそこで、しっかりレベルを上げていくってことだな」
「うん、四天王の動き次第ではあるけど、少なくとも全員のレベルが三十を超えるまでは砦を拠点にして力を蓄えるつもりよ」
「わかりましたわ」
「かしこまりました、エリオ様」
みんなのレベルはまだ二十台前半。少しでもここで強くなってもらいたい。私も強くなるための手段や方法をレックス達から教わって、みんなと共有したい。
「それから今の私たちでは、まだ勝てないと思うんだけど、サイクロプスもいるようだから気をつけるように言われたわ」
サイクロプスはトロールより更に倍以上の大きさを誇る巨体、一つ目の巨人族で凶暴さはトロールの比ではない。
「エ、エリオ様、サイクロプスがいるのですか!?」
「ええ。ここでの目標は、サイクロプス討伐にしようと思うの。だから、しばらくはトロールを狩りながら、みんなでレベルアップする。サイクロプスは見つけ次第すぐに撤退すること!」
「お、おおう」
「しょうがありませんものね……」
ということで、みんなはトロールをどのように狩るのか話し始めている。何とか、無理やり口実を作ることに成功したみたいね。あとは、ボロが出ないように気をつけよう。
どうしてもあの三人が気になってしまう。うらやましいし、嫉妬もする。私が頑張っている間にあの三人はレックスと一緒に暮らしている。どうして、あの場所に私は居られないのだろう。私が勇者じゃなかったら、一緒に居られたの? 考えれば考えるほど悲しくなってしまう。
レックスを最初に好きになったのは私なんだから。だから、絶対に負けられない。すごく、かわいいし、綺麗な人たちだけど、譲るつもりはこれっぽっちもないんだから。
ちなみに、現在の私のレベルは三十二。魔王を倒すのは私の役目。レックスを頼りにするような勇者ではダメ、もっと強くなりたい。
「エリオ様、あの兎人族の者は本当に信用できるのでしょうか? 確か、以前の魔王軍四天王には獣人がいたとの報告もあります。少し心配ですわ」
「そうですね、イシス教の教えでは獣人とは距離を置いて付き合うようにとあります。利用できる部分があるのは確かですが、全てを信じるのはまだ早いと思われます」
シャルロットとクリストフが反対することはある程度わかっていた。この二人は王都で、イシス教の教えを小さい頃から学んでいる敬虔なイシス教徒。
「あの者達は、オーク軍から砦の補強工事を無理やり手伝わされていたのよ。しかも、女性や子供たちを人質にとられていたと言うじゃない。私は、種族や見た目で判断することはしたくないの」
「俺もエリオと同じ意見だ。虐げられた者を助けてこその勇者パーティじゃねぇか? それに、ここから先は地の利がない。利用できる部分はこちらにもあるんだ」
「し、しかし……」
「もちろん二人の言うように、しばらくは様子を見るよ。十日に一度程度、私が兎人族の縄張りに行って情報をとってきます」
「い、いくら何でも、お一人では危険です。私も同行いたします!」
「いえ、クリストフ、それには及びません。兎人族は警戒心のとても強い種族です。複数で顔を出すよりも、私が一人で行った方が交渉も上手くいくと思うの」
「エリオ様、本当に大丈夫なのですか?」
「数もそこまで多くないし、あんなに小さい兎人が勇者に何か出来ると思うの? それよりも、みんなには早くレベルを上げてもらいたい。これから先は大変な戦いが続くはずだから」
実際には、ウサ吉軍団は勇者パーティと戦っても遜色ない力があるだろう。チームワークもいいし、よく鍛えられている。私でも油断したら足もとを救われかねない。
「そ、それもそうですね」
「彼らと親交を深めることは私たちにとっても必ずプラスになるわ。ということで、しばらくは彼らの集落に泊まるから」
「と、泊まるのですか!?」
「エリオ様が、そこまでする必要があるのでしょうか?」
「い、一泊だけよ……。ま、まずは、相手の懐に入らないとね。信頼を得るのは大変なのよ」
多少強引ではあったけど、とりあえず、何とか丸め込めたかな……。
「それと早速だけど、兎人族からモンスターの分布情報を教えてもらっているの。ここから北西の山脈の方面にトロールが出るそうよ」
トロールは巨人族のモンスター。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴なため、発見しても近寄らないことが多いのだが、討伐した際の経験値には少なくないものがある。
「俺たちはそこで、しっかりレベルを上げていくってことだな」
「うん、四天王の動き次第ではあるけど、少なくとも全員のレベルが三十を超えるまでは砦を拠点にして力を蓄えるつもりよ」
「わかりましたわ」
「かしこまりました、エリオ様」
みんなのレベルはまだ二十台前半。少しでもここで強くなってもらいたい。私も強くなるための手段や方法をレックス達から教わって、みんなと共有したい。
「それから今の私たちでは、まだ勝てないと思うんだけど、サイクロプスもいるようだから気をつけるように言われたわ」
サイクロプスはトロールより更に倍以上の大きさを誇る巨体、一つ目の巨人族で凶暴さはトロールの比ではない。
「エ、エリオ様、サイクロプスがいるのですか!?」
「ええ。ここでの目標は、サイクロプス討伐にしようと思うの。だから、しばらくはトロールを狩りながら、みんなでレベルアップする。サイクロプスは見つけ次第すぐに撤退すること!」
「お、おおう」
「しょうがありませんものね……」
ということで、みんなはトロールをどのように狩るのか話し始めている。何とか、無理やり口実を作ることに成功したみたいね。あとは、ボロが出ないように気をつけよう。
どうしてもあの三人が気になってしまう。うらやましいし、嫉妬もする。私が頑張っている間にあの三人はレックスと一緒に暮らしている。どうして、あの場所に私は居られないのだろう。私が勇者じゃなかったら、一緒に居られたの? 考えれば考えるほど悲しくなってしまう。
レックスを最初に好きになったのは私なんだから。だから、絶対に負けられない。すごく、かわいいし、綺麗な人たちだけど、譲るつもりはこれっぽっちもないんだから。
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