不遇スキルの錬金術師、辺境を開拓する 貴族の三男に転生したので、追い出されないように領地経営してみた

つちねこ

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2巻

2-2

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 その後、少し遅めのお昼ご飯を食べていたら、前方から旅人らしき二人組の姿が見えてきた。ずんぐりむっくりと横に大きい体型は、おそらくドワーフと呼ばれる種族で間違いないだろう。

「あれって、ドワーフよね」
「ドワーフですね」
「何でこんな所にドワーフがいるの?」

 ギガントゴーレムの大きさに驚いて、こちらを目指して歩いてきたように思える。

「あ、あれっ。ひょっとしたら、ノルドさんとベルドさんかもしれません」
「えっ、マリカの知り合い?」
「はい、私が王都でポーションを作っていた時の仕入れ先のドワーフ兄弟です。ポーション用のガラスびんをお願いしていたのです」

 どうやら向こうもマリカに気づいたようで、大きく手を振りながらマリカの名前を呼んでいる。
 ドワーフ族は大きな街で見かけることはあるけど、数はあまり多くない。手先が器用で力もあるため、武器や工芸品などを販売して生計を立てている者が多いと聞く。
 ドワーフ兄弟が声を掛けてくる。

「おおー、マリカ。わしらもネスト村に移住することにしたんじゃわい。移民用の馬車が狭そうだし、出発まで時間が掛かりそうだったからのう。先にベルドと二人で来たんじゃ」
「マリカが移住を決めた時に、実はわしらも開拓村に行こうかって話をしておったんじゃよ」
「えーっと、先にご紹介させてくださいね。こちらは、ネスト村の領主のクロウ様です。隣にいるのは、ランブリング子爵家のご令嬢でローズ様です」

 マリカがそう言うと、ネスト村に移住希望だというドワーフ兄弟は僕を見て、いぶかしげに目を見開く。

「こ、このちっこいのが領主なのか」
「ぬおっ、開拓村は大丈夫なのか? い、いや、でも、このとんでもない大きさのゴーレムがあるなら何とでもなりそうか……」

 それからギガントゴーレムに興味を移したドワーフ兄弟。二人はぺたぺたとギガントゴーレムを触りながら調べ始めた。

「ノルドさん、ベルドさん、ゴーレムはあとでいくらでも触っていいから、まずはちゃんと挨拶あいさつをしてください」

 マイペースなドワーフ兄弟を見ていると、マリカがすごく普通の人のように思えるな。

「おー、すまんのう。わしらはドワーフ族のノルドと」
「ベルドじゃ。できることならネスト村で働かせてもらえんじゃろうか」

 マリカの知り合いなら大丈夫だと思うけど、一応鑑定はしておこう。


【ノルド】
 ドワーフ。二百歳。男。
 ガラス瓶から武具まで幅広く扱うオールラウンダー。お酒が大好きで軽いアルコール中毒。ベルドとは兄弟で仲がよい。


【ベルド】
 ドワーフ。二百歳。男。
 手先が器用な職人。ノルドの作る製品の仕上げを担当している。お酒は量よりも度数派。最近、飲まないと手の震えが止まらない時がある。ノルドとは兄弟で仲がよい。


 とてもひどい鑑定結果を見てしまった。
 二人ともアル中じゃねぇか!
 僕が呆れていると、マリカが言う。

「腕の方は私が保証しますよ」
「……うーん、ネスト村としても、ガラス瓶を領都のバーズガーデンから運び入れるよりも現地で作った方がコストを抑えられるんだけど」
「じゃあ!」
「ええのか!」

 テンションの高い二人に、僕は頭を抱えつつ尋ねる。

「一応聞くけど、今までお酒で周囲の人と問題を起こしたことはない?」
「ぬおっ」
「な、なぜ、それを!」
「クロウ様、フォローするわけではないですけど、仕事の納期はちゃんと守りますよ。二人は鍛冶かじもするので、住む場所を村から離れた所にすれば、迷惑を掛けることはないと思います」

 またしてもマリカが普通の人に思えてしまう不思議。
 人はダメな人を反面教師にして成長していくのかもしれない。つまり、少しダメな大人がいた方が村としてもいいのか?
 まあ、鍛冶をするなら大きな音もするだろうし、お酒が入って騒いでも家が離れていれば問題も起こりづらいか。念のため、防音の土壁とかで家を覆ってしまってもいいかな。
 二人とも自慢のひげを触りながら、落ち着きがない様子。ここまで歩いてくる間に受け入れてもらえないという可能性は考えていなかったようだ。
 僕は嘆息しつつ告げる。

「採用するよ。ドワーフ族がこんな辺境に来てくれるだけでもありがたいからね」

 たとえアル中であろうとも、ドワーフに来てもらえるのは助かる。それに、二百年近く生きてきて軽いアルコール中毒で済んでいるなら、意外と大丈夫なのではないかなとか考えなくもない。
 デトキシ草でモヒートっぽいお酒でも飲ませれば、健康になるかもしれないよね。ネスト村では水と同じぐらいの感覚でポーションが飲めるし。

「ふぅー、まさかここまで来て王都に逆戻りしなければならないかと思ったら……ゾッとしたわい」
「それにしても領主様に、何で我らの酒好きを見抜かれたのやら……」

 そこへ、マリカがツッコミを入れる。

「そんなの、あなたたちから酒の匂いがするんだから誰でもわかるわよ」
「きゃう!」

 匂いに敏感なラヴィとは相性がよくなさそうだ。どうやらアルコールの匂いは好きじゃないらしい。

「それじゃあ、ネスト村に戻ろうか。ノルドとベルドの家も造らないとね」
「ここからネスト村まではどのくらいなのじゃ?」
「さすがにもう疲れてしもうてな……」

 この二人、どうやら近くのラグノ村まで狭い乗合の馬車で我慢して来たものの、そこからは歩いてネスト村を目指していたらしい。
 道も合ってるのかわからないまま、川沿いに北上してきたのだという。

「ゴブリンとか、いっぱいいたでしょ」
「おったおった。全部返り討ちにしてやったわい。のう、ベルド」
「おうよ、ノルド。わしらのおのの前では敵ではなかったわ」

 肩に担いでいる大きな斧は大活躍だったようだ。それなりに戦えなければ、こんな辺境まで来ようなんて考えないか。

「ギガントゴーレムの手のひらでよければ乗せていくよ。その方が早いし、僕たちも助かる」
「それはありがたい。村に着いたらお礼にとっておきの酒を開けよう」

 いくら種族が違うといえども、僕の年齢ぐらいはわかるだろう。この歳でまだ酒は早すぎるんだけど。

「クロウ様、同じテーブルで食事をしてお酒を飲み交わすのは、ドワーフたちにとっての友情のあかしなのです。あっ、クロウ様の分はお酒の代わりにポーションを用意しておきますね」

 なるほど。でも、それなら水でいいんだけど……


 ◆


 エルドラド家当主である私――フェザントは、息子クロウの一連の活躍を聞き、素直に喜ばしく感じていた。

「しかしながら、クロウがAランクポーションを作るとはな……」

 薬草を畑で育てる計画は、以前から聞かされていた。もちろん、そんなことができるとは思いもしなかったのだが……本当にやってのけてしまうとは。
 加えて、魔の森から土ごと持ってくるという話だったが、それはせずに畑に魔力を混ぜ込むという、到底信じられないことをしたという。
 しかも、その畑で育った薬草のほとんどは質が高いらしい。
 当初は、ネスト村は危険な場所にあるため、クロウを行かせることには反対していた。だが、ポーション作りに必要な材料の一つである水の入手という点で、その地より優れた場所はなかった。あそこはキルギス山系の良質な水が湧き出てくる。水は、ポーション販売を柱に考えていたセバスとクロウにとって、譲れないところだったのだ。
 結局、セバス、次男のオウルの二人に加えて、Bランクの冒険者パーティという頼りになる護衛を用意できたので、クロウの身の安全も大丈夫だろうと判断したのだが……

「今のところは順調すぎるぐらいか。魔の森が近いのでまだ油断はできないだろうがな……」
「何だ、また息子の心配か?」

 声に出したつもりはなかったのだが、独り言になっていたらしい。
 私は、目の前にいる公爵様に謝罪する。

「失礼いたしました。ローゼンベルク様」

 今、私は、ローゼンベルク公爵の王都邸の一室にて、打ち合わせをしていた。まさかこの短期間で再び王都に戻ってくることになるとは。
 ローゼンベルク様が笑みを浮かべて告げる。

「いや、何、お前の子供たちは才能にあふれていてうらやましいな。長兄は魔法に優れ、次兄は剣術にひいでている。そして、不遇スキルを授かったと思われていた三男が、何とAランクポーションを作るとはな」

 Aランクポーションは市場価格として、一本七千万から一億ギルにもなる。オークションに掛けたらもっと高額で落札されることもあるのだ。
 私は謙遜けんそんしつつも事実を言う。

「話では、月に数本は作れるだろうとのことですが、しばらくは伏せておきましょう」
「そうだな。ポーションについては、すぐにバーズガーデンにも探りが入るだろう。見つかったらクロウ・エルドラドも狙われかねないぞ」

 クロウが狙われる……それは、私も危惧きぐしていたことだった。不遇とされるスキルを授かっただけでなく、Aランクポーションが作れるが故に危険にさらされることになるとは。

「お、おいっ、落ち着け。テーブルが壊れるだろう」
「も、申し訳ございません。つい手に力が入ってしまいました」

 無意識にテーブルを叩きつけてしまったらしい。
 Aランクポーションの回復の効果は、欠損した四肢さえ復活させる。難病や奇病からの回復も記録されている。公爵様の家といえども、持っているのはたった一本だけ。それだけで、Aランクの希少性を理解できるだろう。
 そんな奇跡のポーションを何本も作れてしまうというのは、我が子ながら末恐ろしい。
 ローゼンベルク様が淡々と話す。

「手紙でも伝えたが、派閥拡大のためにまず二本だけ使わせてもらう。フリードリッヒ侯爵の末娘が難病で苦しんでいるのは知っているだろう。それからここだけの話だが、オーウェン伯爵の後継が腕を失くすほどの重傷を負ったと情報が入った」
「オーウェン伯爵の後継というと、アレックスですか」

 アレックス・オーウェンといえば、王都で行われた剣術大会において、決勝でオウルと戦った相手だ。最終的にオウルが勝ったのだが、その差はわずかだった。
 あれだけの才能を秘めた者が腕を失くすとは……惜しいな。オーウェン伯爵もつらい思いをしているはずだ。

「騎士学校が間もなく入学の時期を迎える。片腕でやっていけるほど甘い世界でないことは、お前もよく知っているだろう」
「そうですね。私も騎士学校出身ですから理解しているつもりです。いくら才能に恵まれていたとしても……」
「しかしながら、情でポーションを渡すつもりはない。王も若くはない。次世代の王をお守りするためにも派閥の拡大は必至だ」
「おっしゃる通りです」
「私はフリードリッヒ侯爵に会いに行く。フェザントはオーウェン伯爵のもとへ行ってもらえるか。すでに話は通してある」
「かしこまりました」
「いいか、条件は一切変えるつもりはない。ポーションが欲しければ私の派閥に入れと。入らないのであれば、この話はなかったことにする」
「ええ、もちろんです」

 続けて、ローゼンベルク様は話題を変える。

「それから、ラヴィーニファングの死体についてだが……王宮に運び入れるのはいつ頃になる?」
「明日には届けられそうです」
「そうか。では、明日は登城の準備をするように。買い取り額と魔の森について説明を求められるはずだ。打ち合わせ通りに頼む」
「はっ」

 あと一つ、ラヴィーニファングのことで伝えなければならないことがあった。
 言わないというのも手だが、あとで見つかった場合に面倒なことになる。貴族間での信頼というのは何よりも重い。

「ローゼンベルク様、ラヴィーニファングについてもう一つよろしいでしょうか」
「な、何だ? まだあるのか?」
「死体の近くで、ラヴィーニファングの子供と思われる個体を発見し、現在ネスト村で保護しております」
「なぜ魔物を保護する? わかっているのか、Aランクなのだぞ。すぐに殺させ……って、おいっ、何でお前がそんな顔をするんだ」

 自分でも、何でこんな態度を取ってしまったのかはよくわからない。辺境の地で頑張っている息子のために、少しでも力になってやりたいと思ってしまったのか。
 私はムッとした顔で言い放つ。

「息子は、判断をゆだねると言っておりますが、どうやら育てたいと思っているようなのです」
「そんなこと知るか! わかってるのか、Aランクなんだぞ。それに危害が及ぶのはお前の領地だろうが」
「わかっております。我が領地内でのことなので、内密に願いたいと思っております。もちろん、問題があればエルドラド家で全力を尽くし対処します。それでも反対なされるのであれば、 ポーションの件はなかったことに……」

 ローゼンベルク様の顔に恐れが浮かんだ。

「も、もうよい……そんな報告は受けてないし、聞いてもいない。それでいいのだろう! そもそも、それはワイルドファングの亜種のシルバーファングだ。そうに違いない」
「よろしいのですか?」
「ポーションを口に出しておいてよく言うわ。そのAランクが手に負えない場合はすぐに報告しろ。手練てだれを集めるぐらいは手伝ってやる」
「ありがとうございます」




 2 移民団の到着



 季節は秋を迎え、畑からは多くの収穫が集まる。やはり、魔力を大量に含んだ黒い土は栄養もたっぷりで、実りも多いようだ。
 セバスが、僕、クロウに話しかけてくる。

「豊作でございますね、クロウお坊ちゃま」
「うん。薬草だけでなく、普通の作物にも、土の影響があるのは嬉しい誤算だったね」

 作物の数も増え、ラリバードの数も順調に増えている。ネスト村も移民がやって来ることで更に活気づくことだろう。
 そう、移民団の馬車が本日やって来るのだ。

「見えてきましたな。三百名の大所帯でございます」
「条件はよいとは思うけど、よくこんな辺境まで三百人も来ようと思ったよね」
「それだけ他の土地も苦しいのです。冬越えを保証しただけでも飛びつく者は多いのかと」
「そうか。とりあえず来た人はどんどん鑑定していくから、並ばせておくように頼むね。それからネスト村の人たちには、新しく来た人たちに、ここでの生活の仕方などのレクチャーを予定通り進めてもらって」
「すでに手配済みでございます。ところで夜に行われる歓迎会は、ネスト村の広場でよろしかったですか?」
「うん。バーベキューやピザがまの使い方も覚えてもらいながらの方がいいだろうからね」


 そうして鑑定した結果としては、全員まったく問題なしだった。
 まあ、よく考えてみたら、わざわざ辺境まで来て、悪さをしようとか考える人の方が珍しいか。
 もちろん、ネスト村が更に発展してもっと人が増えたりしたら、悪いやからも出てくるのかもしれない。それでも今のところは、そのような心配はしなくてもいいらしい。
 村長のワグナーが移民団を前に話す。

「それでは皆さん、お疲れでしょうから住む場所を先にご案内します」
「ほ、本当に住む場所を与えてもらえるのですか?」
「全ての家族分を用意してあります。案内がてら、キッチンやトイレの使い方からレクチャーしていきますね」

 ワグナーの他にも、ラリバードの飼育を任せているケンタッキー、狩人チームのリーダーのカリスキーたちも総出で手伝っている。彼らも辺境でともに助け合い、戦ってくれることになる仲間が増えて喜んでいる。

「その前に一つお話があります。村の入口近くの畑や土壁の周りにはゴーレム様がいらっしゃいます。こちらには毎朝のご挨拶とおそなえ物を必ず用意するように」
「あ、挨拶とお供え物ですか……」
「はい、このゴーレム様は外敵から村を守ってくれる守り神であり、畑の収穫から運搬までお手伝いしてくれます」
「こ、この、ゴーレムが農作業を手伝ってくれるのですか!?」
「実際に動かすのは錬金術師様です」
「えっ、錬金術師って、ポーション作りの不遇スキル職ですよね。その錬金術師がゴーレムを動かすのですか!」
「この村は錬金術師様のおかげで、よりよい生活が送れていると言っても過言ではありません。錬金術師様とゴーレム、そしてこの村の領主であられるクロウ様には、頭を下げて感謝の気持ちを伝えてください」

 あれっ、何かおかしい。
 そういえば、最近やけに丁寧に挨拶される気がしてたけど、まさか……

「セバス、これはどういうことなのかな?」
「ネスト村の人々による感謝の気持ちなので、無下むげにするのも悪いかと思いまして……一応、感謝の気持ちは心の中で言うようにと伝えておるのですが」

 そういえば、錬金術師たちも戸惑っていたな。でも、彼らの中では自分たちじゃなくて、ギガントゴーレムや僕に対しての過剰な気持ちが、同じ錬金術師である自分たちに向けられているだけだと理解したようだが。
 大丈夫だとは思うけど、一応、錬金術師たちが変に増長ぞうちょうしないように気をつけよう。まあ、不遇職だけに、調子に乗ることはないと思うけどね。

「あの、あれは何ですか?」

 小さな子供が広場に設置されている遊具に気がついたようだ。わかるよ、よくわからないけど、テンションが上がるんだよね。

「あれはクロウ様がお造りになった遊具です」
「ゆうぐ?」
「はい、滑り台にジャングルジム。それから新作のブランコです」
「す、すごーい! 遊んでもいいの?」
「はい、どうぞ」

 子供たちが楽しそうに駆けていくのを、大人たちが微笑んで見ている。
 そのまま子供たちを遊ばせておきつつ、居住区を見て、たがやす予定の畑やラリバードの飼育場などを案内するのだろう。
 移民の中には、冒険者や狩りをして生計を立てていた者も数名いた。魔の森に魔物を間引きに入ってもらえると助かるが、もちろん無理強いをするつもりはない。そのあたりは、本人の希望に応じて働いてもらおう。ここで暮らしていくうちに気持ちが変わることもある。もちろん、狩人チームから引退して、農家になりたいっていうのもありだ。
 春になればスチュアートが多くの魔石を持ってきてくれるから、ゴーレムの数も増える。そうなれば、周辺のゴブリン対策を含めても十分な戦力を確保できるはず。

「クロウ様、そろそろ戻りましょうか」
「そうだね。宴会の準備もあるからね」

 ドワーフ兄弟には飲みすぎないように注意をしておかないとならない。あいつら飲み始めたら止まらないからな。
 ノルドとベルドの歓迎会の時は、最初は楽しくやっていたのだけど、後半から飲み比べ大会になり、酷いことになってしまった。
 まあ、たいした娯楽もない村なので、お祝いにかこつけた宴会とかは楽しんでもらいたいけど、限度というものがある。

「今のうちに、錬金術師たちにデトキシ草でポーションを用意してもらおうか」
「それがよいかもしれませんね」

 デトキシ草で作るポーションはいわゆる毒消しポーションであり、体から毒素を抜いてくれる。これが二日酔いにも利き目があり、村人にも好評だったのだ。ドワーフ兄弟はかたくなに飲もうとしなかったけどね。
 アルコールを取り除くなんて勿体もったいない! ということだそうだ。
 ノルドはともかく、ベルドはアルコールがないと手が震えちゃうから仕事にならないらしいし……
 あいつらに毒消しのAランクポーション飲ませたらどうなるのだろうか。彼らを見ているとお酒は生きる目的に近いので、たとえ治ったとしてもすぐにアル中に戻るだけのような気もする。うん、意味がなさそうだな。


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