6 / 32
6
しおりを挟む
「賊ですか!?」
「・・・・・あ、いや、誰も居ないけど・・・」
皆は部屋の中を調べるようにあちこち見回り、異常がないとわかると騎士さん達だけが出て行った。
今のは、何だ・・・・悲鳴を上げたわけでもないのに、この反応・・・
あっけにとられている私にリズは一瞬「しまった」という様なばつの悪い顔をしたけど、すぐさまいつもの表情に戻った。
「驚かせてすみませんでした」
そう言いながら私を椅子に座らせようとした。
・・・・いや、ちょっと待って・・・・
「今の、何?どーゆーこと!?いつもこんなに見張られてるの??」
町に出た時も、もしかしてこんな風に見張られてたの!?確かに護衛はつけるとは言われてたけど、二、三人程度だと思っていた。
でも、今この部屋に入ってきた騎士さん達、何人いた?軽く十人近くいたよね!?
未だ一般市民感覚の私には、驚き以外の何ものでもなく、もうこれ以上は開けないだろうというくらい、私の目は見開かれている。
そんな私にリズは、小さく溜息を吐くと「貴女はこの国では最重要人物なのですから」と告げた。
「・・・・・暗殺?誘拐?」
「そうです」
本当だったの?本気だったの?マジだったの?
怖い怖いと言いながらも、心の奥底では「冗談でしょう」なんて思ってるトコも正直あった。だけど、こんなの見せつけられると・・・
・・・・・・あぁ・・・やめてぇ~~!!
思わず頭を抱えてしゃがみこんだその時、先ほどと同じ位の勢いで扉が開いた。
「サクラ!!大丈夫!?」
と、いきなりアリオスが部屋に駆け込んできた。
「え?何でアリオスまで?」
数時間ぶりのキラキラ王子は、相変もわらず無駄にキラキラしている。
けど、どこか焦った顔は初めて見るものでちょっと新鮮だなぁと、不覚にも見惚れてしまった。
「しゃがみこんで!何があったの!?」
アリオスは私の前まで来ると、手を差し伸べ、私は取り敢えずそれに掴まり立ち上がる。
「リズ、一体何があった」
私には見せることのない厳しい表情でアリオスはリズを問い詰めた。
「いえ、何もございません。サーラ様が大きな声を出あげたので、室内を確認した次第です」
「大きな声?サクラ、何かあったの!?」
「あ、いや・・・と言うか、何でこんな大事になってるの!?何で王子まで来るわけ!?」
その疑問に関してはリズが答えてくれた。
「サーラ様に何かが起きた際、すぐに王子に伝えられるよう室内には術式が施されているのです」
「えっと・・術式??」
「まぁ、簡単に言えば、貴女に何かあれば我々に直ぐわかるような魔法がかけられている、という事です」
・・・・もっと簡単に言えば、見張られてるってか、厳重に監視されてるって事??
何てこと・・・私に自由はないのか!?
思わず頭を掻き毟る様に両手で抱えると、「どうしたの?サクラ」と王子が心配そうに顔を覗き込んできた。
「どうしたのって!・・・・って、名前・・・え?」
まだ少し発音が怪しいけど『サクラ』と、名前を呼んでいる・・・え?
私が驚きのあまり呆然としていると、嬉しそうに、そしてどこか照れたように頬を掻くアリオス。
「驚いた?まだ発音は怪しいけど、サクラって言えるようになったんだ」
「いつから、練習してたの?」
「初めからだよ。でもなかなか言えなくて。でも、最近は何とか言えるようになってきたから嬉しくて、呼んでみた」
私にあれだけ罵られていたというのに・・・名前の練習してたって?
・・・何で?
「ほら、求婚する相手の名前もまともに言えないんじゃ、失礼だろ?」
・・・・だから、何で?
「サクラ?どうしたの?具合悪い?」
拳を握りしめ俯き、返事もしない私に、アリオスは心配そうに近づいてくる。
それを私は一歩一歩と後ずさり、距離をとった。
「・・・何で?」
「え?」
「何でそんな事するの!?貴方の目的は私の力だよね!?貴方には権力があるんだから、そんな事しないで力づくで私を自分のものにすればいいじゃない!!」
期待を持たせるような事、しないでよ!
「それは嫌だよ。自分の妻になる人にはやっぱり自分の事好きになって欲しいし」
「私の力だけが欲しいんでしょ?だったら、好き嫌い関係ないじゃない」
「力だけが目的だったら、側近とか別の役職を与えるよ」
その言葉は私を打ちのめすのに十分な一言だった。
だって、色々悩んで、出した答えだったんだもの。それをあっさり彼は肯定したんだから。
「でも、俺はサクラに力があってもなくてもどちらでもよかったんだ」
「へ?」
「一目惚れだったから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ほんのり頬を染めはにかむ目の前の男に、私は正に魂が抜けたように白くなって立ちつくしてしまう。
一目惚れ??そんな事、一回も…いや、欠片も聞いたことないぞ??
「戦の時も、サクラの裸見た奴らにムカついて、ついつい本気で殲滅したくらい」
そう言いながら、非常に良い笑顔を向けてきたのだった。
「・・・・・あ、いや、誰も居ないけど・・・」
皆は部屋の中を調べるようにあちこち見回り、異常がないとわかると騎士さん達だけが出て行った。
今のは、何だ・・・・悲鳴を上げたわけでもないのに、この反応・・・
あっけにとられている私にリズは一瞬「しまった」という様なばつの悪い顔をしたけど、すぐさまいつもの表情に戻った。
「驚かせてすみませんでした」
そう言いながら私を椅子に座らせようとした。
・・・・いや、ちょっと待って・・・・
「今の、何?どーゆーこと!?いつもこんなに見張られてるの??」
町に出た時も、もしかしてこんな風に見張られてたの!?確かに護衛はつけるとは言われてたけど、二、三人程度だと思っていた。
でも、今この部屋に入ってきた騎士さん達、何人いた?軽く十人近くいたよね!?
未だ一般市民感覚の私には、驚き以外の何ものでもなく、もうこれ以上は開けないだろうというくらい、私の目は見開かれている。
そんな私にリズは、小さく溜息を吐くと「貴女はこの国では最重要人物なのですから」と告げた。
「・・・・・暗殺?誘拐?」
「そうです」
本当だったの?本気だったの?マジだったの?
怖い怖いと言いながらも、心の奥底では「冗談でしょう」なんて思ってるトコも正直あった。だけど、こんなの見せつけられると・・・
・・・・・・あぁ・・・やめてぇ~~!!
思わず頭を抱えてしゃがみこんだその時、先ほどと同じ位の勢いで扉が開いた。
「サクラ!!大丈夫!?」
と、いきなりアリオスが部屋に駆け込んできた。
「え?何でアリオスまで?」
数時間ぶりのキラキラ王子は、相変もわらず無駄にキラキラしている。
けど、どこか焦った顔は初めて見るものでちょっと新鮮だなぁと、不覚にも見惚れてしまった。
「しゃがみこんで!何があったの!?」
アリオスは私の前まで来ると、手を差し伸べ、私は取り敢えずそれに掴まり立ち上がる。
「リズ、一体何があった」
私には見せることのない厳しい表情でアリオスはリズを問い詰めた。
「いえ、何もございません。サーラ様が大きな声を出あげたので、室内を確認した次第です」
「大きな声?サクラ、何かあったの!?」
「あ、いや・・・と言うか、何でこんな大事になってるの!?何で王子まで来るわけ!?」
その疑問に関してはリズが答えてくれた。
「サーラ様に何かが起きた際、すぐに王子に伝えられるよう室内には術式が施されているのです」
「えっと・・術式??」
「まぁ、簡単に言えば、貴女に何かあれば我々に直ぐわかるような魔法がかけられている、という事です」
・・・・もっと簡単に言えば、見張られてるってか、厳重に監視されてるって事??
何てこと・・・私に自由はないのか!?
思わず頭を掻き毟る様に両手で抱えると、「どうしたの?サクラ」と王子が心配そうに顔を覗き込んできた。
「どうしたのって!・・・・って、名前・・・え?」
まだ少し発音が怪しいけど『サクラ』と、名前を呼んでいる・・・え?
私が驚きのあまり呆然としていると、嬉しそうに、そしてどこか照れたように頬を掻くアリオス。
「驚いた?まだ発音は怪しいけど、サクラって言えるようになったんだ」
「いつから、練習してたの?」
「初めからだよ。でもなかなか言えなくて。でも、最近は何とか言えるようになってきたから嬉しくて、呼んでみた」
私にあれだけ罵られていたというのに・・・名前の練習してたって?
・・・何で?
「ほら、求婚する相手の名前もまともに言えないんじゃ、失礼だろ?」
・・・・だから、何で?
「サクラ?どうしたの?具合悪い?」
拳を握りしめ俯き、返事もしない私に、アリオスは心配そうに近づいてくる。
それを私は一歩一歩と後ずさり、距離をとった。
「・・・何で?」
「え?」
「何でそんな事するの!?貴方の目的は私の力だよね!?貴方には権力があるんだから、そんな事しないで力づくで私を自分のものにすればいいじゃない!!」
期待を持たせるような事、しないでよ!
「それは嫌だよ。自分の妻になる人にはやっぱり自分の事好きになって欲しいし」
「私の力だけが欲しいんでしょ?だったら、好き嫌い関係ないじゃない」
「力だけが目的だったら、側近とか別の役職を与えるよ」
その言葉は私を打ちのめすのに十分な一言だった。
だって、色々悩んで、出した答えだったんだもの。それをあっさり彼は肯定したんだから。
「でも、俺はサクラに力があってもなくてもどちらでもよかったんだ」
「へ?」
「一目惚れだったから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ほんのり頬を染めはにかむ目の前の男に、私は正に魂が抜けたように白くなって立ちつくしてしまう。
一目惚れ??そんな事、一回も…いや、欠片も聞いたことないぞ??
「戦の時も、サクラの裸見た奴らにムカついて、ついつい本気で殲滅したくらい」
そう言いながら、非常に良い笑顔を向けてきたのだった。
34
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる