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勇者パーティ追放、そして異世界から結集する精鋭達
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「お前、今日限りでうちのパーティから抜けてくれ」
「……え?」
なんだって?
俺は突然、勇者からパーティ追放を告げられた。
俺が一体何をしたというのだ?
追い打ちをかけるように勇者は言う。
「お前、その顔だと自分がクビを勧められる理由分かってないだろ?」
周りに居る勇者のお仲間5人も同調するかのように頷き、そのなかの一人であるキザな魔術師が口を開いた。
「異世界から転移してきたと聞き、何かに使えるかと考えて特別にあなたをパーティに入れたものの……何の役にも立たないじゃないですか」
「そうですよ、ユウタさん。戦闘も裏方も出来ないし、しようともしない。働かざるもの、食うべからずです」
と普段は穏和なシスターさんにも言われてしまった。
俺は何も出来ない訳じゃないし、何もしてない訳でもないのだが……こいつらには分からないらしい。
「冗談じゃない、俺には異世界転移能力という特別な能力が……」
「あるからどうしたというのだ? その力、大して役立ってないではないか」
チッ、このゴリラ騎士が。
俺は立てた右手の人差し指を左右に振りながら答えた。
「チッチッチッ、いつか役に立つんだよ……」
「適材適所というのもありますから、使えない人……いえ、仕事量の少ない人を雇えるのは経理的にもここらで限界なんです。わかってください」
今度は太ったブタ商人がブーブー鳴いてきた。
ブタ箱で臭い飯食ってろ、クソが。
「それを言うなら、ここに居る荷車引いてたまに飯作るだけのウスノロはどうなんだ。いざという時は剣で戦うこともできる俺の方がよほど役に立つだろ」
「いくら何でもひどいです!
影で一番頑張ってくれてるヒョガリさんにそんなことを言うなんて!」
「いいんだよ……カナンちゃん。実際役立たずの僕ができる仕事なんて、それくらいしかないから……」
「仮にそうだとしても、それは我々には必要不可欠な働きだ。まず、ろくに仕事をしない穀潰しがそれを言う権利はない」
始まった。いつもの馴れ合いだ。能力の低い冴えないヒョロガリを集団で庇って何が気持ちいいんだ? 見てて気持ちが悪い。
ふと勇者がゴソゴソと右ポケットに片手を突っ込むと、一度ポケットに突っ込んだ手の平をこちらに向けながら言った。
「やはり、お前はうちのパーティの考え方に合わない。退職金はやるからさっさとここから消えてくれ」
手の平の上には金貨が3枚あった。たかだか一ヶ月生活できる程度の端金で、手を引けというのか。俺も安く見られたものだ。
金額は気に入らないが、それ以上にこいつらが気に入らない。だから、俺は勇者パーティから抜けることを決意した。
「けっ、わかったよ……お前ら絶対後悔するからな」
俺は勇者が持つ3枚の金貨を掴み取り、そして踵を返して歩き出した。
俺を失ったからには、もうこいつらは終わりだ。ざまーみやがれ。
俺の異世界転移能力を使い、最近増えている同じような境遇の精鋭を集めてこいつらよりも先に魔王を倒してやる。
◇ ◇ ◇
その頃、他の異世界でもこれと同様のことが起きていた。
「優秀なアタッカーである僕がクビだなんて……」
「いや、お前プリーストだろ!
杖でモンスター撲殺するのはお前の役目じゃねえ!」
あるところでは攻撃力∞の脳筋プリーストが追放され、
「鑑定士は大事だと思いますがねぇ」
「百年後にプレミア付くとか知るかよ! そんなに待てるか!」
あるところでは遠い未来の価値だけを見通す鑑定士が追放された。
「このエロ勇者が! こっちから出てってやる!」
「行かないでぇぇぇ! マイハニーぃぃぃぃぃぃぃぃい!」
また、セクハラに耐えかねた魔力∞の女騎士は自分から出ていき、
「このハルキ様を追い出すと不運が降り注ぐぞ?」
「運命に屈するほど弱くはないさ」
運∞の運だけマンはあっさり追放された。
そして、彼らは結集した。
◇ ◇ ◇
「僕はプリーストのアレックスです……」
「私は鑑定士のセイスケと申します」
「アタシは騎士のマルセイユ」
「ハルキ様だぜ!」
彼らは自己紹介を終え、俺に注目する。
俺は一度ゴホンっ、と咳払いをして言葉を口に出し始めた。
「俺は異世界転移能力者のユウタです。
皆さんに集まってもらった目的は他でもありません……
俺と一緒にパーティを組んで、魔王を討伐していただきたいのです」
「それで、我々に何のメリットがあるので?」
鑑定士のセイスケに怪訝な顔をされた。そういえば、まだ説明不足か。
「あなた方は生意気な勇者どもから不当に追放された。
勇者どもより先に魔王を倒せば、我々の力を示すことができるでしょう?」
「なるほど、いい案してますねぇ」
うんうんと頷くセイスケに加えて、他の皆も納得したようだった。
これで、賽は投げられた。
「俺たちは無能じゃない!
魔王を倒して、真の勇者が俺たちだと証明してやるぞ!」
「「「「おう!」」」」
いける、このメンバーなら……
しかし、俺はその考えが甘かったことを思い知らされることとなる。
「……え?」
なんだって?
俺は突然、勇者からパーティ追放を告げられた。
俺が一体何をしたというのだ?
追い打ちをかけるように勇者は言う。
「お前、その顔だと自分がクビを勧められる理由分かってないだろ?」
周りに居る勇者のお仲間5人も同調するかのように頷き、そのなかの一人であるキザな魔術師が口を開いた。
「異世界から転移してきたと聞き、何かに使えるかと考えて特別にあなたをパーティに入れたものの……何の役にも立たないじゃないですか」
「そうですよ、ユウタさん。戦闘も裏方も出来ないし、しようともしない。働かざるもの、食うべからずです」
と普段は穏和なシスターさんにも言われてしまった。
俺は何も出来ない訳じゃないし、何もしてない訳でもないのだが……こいつらには分からないらしい。
「冗談じゃない、俺には異世界転移能力という特別な能力が……」
「あるからどうしたというのだ? その力、大して役立ってないではないか」
チッ、このゴリラ騎士が。
俺は立てた右手の人差し指を左右に振りながら答えた。
「チッチッチッ、いつか役に立つんだよ……」
「適材適所というのもありますから、使えない人……いえ、仕事量の少ない人を雇えるのは経理的にもここらで限界なんです。わかってください」
今度は太ったブタ商人がブーブー鳴いてきた。
ブタ箱で臭い飯食ってろ、クソが。
「それを言うなら、ここに居る荷車引いてたまに飯作るだけのウスノロはどうなんだ。いざという時は剣で戦うこともできる俺の方がよほど役に立つだろ」
「いくら何でもひどいです!
影で一番頑張ってくれてるヒョガリさんにそんなことを言うなんて!」
「いいんだよ……カナンちゃん。実際役立たずの僕ができる仕事なんて、それくらいしかないから……」
「仮にそうだとしても、それは我々には必要不可欠な働きだ。まず、ろくに仕事をしない穀潰しがそれを言う権利はない」
始まった。いつもの馴れ合いだ。能力の低い冴えないヒョロガリを集団で庇って何が気持ちいいんだ? 見てて気持ちが悪い。
ふと勇者がゴソゴソと右ポケットに片手を突っ込むと、一度ポケットに突っ込んだ手の平をこちらに向けながら言った。
「やはり、お前はうちのパーティの考え方に合わない。退職金はやるからさっさとここから消えてくれ」
手の平の上には金貨が3枚あった。たかだか一ヶ月生活できる程度の端金で、手を引けというのか。俺も安く見られたものだ。
金額は気に入らないが、それ以上にこいつらが気に入らない。だから、俺は勇者パーティから抜けることを決意した。
「けっ、わかったよ……お前ら絶対後悔するからな」
俺は勇者が持つ3枚の金貨を掴み取り、そして踵を返して歩き出した。
俺を失ったからには、もうこいつらは終わりだ。ざまーみやがれ。
俺の異世界転移能力を使い、最近増えている同じような境遇の精鋭を集めてこいつらよりも先に魔王を倒してやる。
◇ ◇ ◇
その頃、他の異世界でもこれと同様のことが起きていた。
「優秀なアタッカーである僕がクビだなんて……」
「いや、お前プリーストだろ!
杖でモンスター撲殺するのはお前の役目じゃねえ!」
あるところでは攻撃力∞の脳筋プリーストが追放され、
「鑑定士は大事だと思いますがねぇ」
「百年後にプレミア付くとか知るかよ! そんなに待てるか!」
あるところでは遠い未来の価値だけを見通す鑑定士が追放された。
「このエロ勇者が! こっちから出てってやる!」
「行かないでぇぇぇ! マイハニーぃぃぃぃぃぃぃぃい!」
また、セクハラに耐えかねた魔力∞の女騎士は自分から出ていき、
「このハルキ様を追い出すと不運が降り注ぐぞ?」
「運命に屈するほど弱くはないさ」
運∞の運だけマンはあっさり追放された。
そして、彼らは結集した。
◇ ◇ ◇
「僕はプリーストのアレックスです……」
「私は鑑定士のセイスケと申します」
「アタシは騎士のマルセイユ」
「ハルキ様だぜ!」
彼らは自己紹介を終え、俺に注目する。
俺は一度ゴホンっ、と咳払いをして言葉を口に出し始めた。
「俺は異世界転移能力者のユウタです。
皆さんに集まってもらった目的は他でもありません……
俺と一緒にパーティを組んで、魔王を討伐していただきたいのです」
「それで、我々に何のメリットがあるので?」
鑑定士のセイスケに怪訝な顔をされた。そういえば、まだ説明不足か。
「あなた方は生意気な勇者どもから不当に追放された。
勇者どもより先に魔王を倒せば、我々の力を示すことができるでしょう?」
「なるほど、いい案してますねぇ」
うんうんと頷くセイスケに加えて、他の皆も納得したようだった。
これで、賽は投げられた。
「俺たちは無能じゃない!
魔王を倒して、真の勇者が俺たちだと証明してやるぞ!」
「「「「おう!」」」」
いける、このメンバーなら……
しかし、俺はその考えが甘かったことを思い知らされることとなる。
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