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追放者たちの談合、そして始まる最終決戦。
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「さて、この世界の概要を説明しよう」
プリーストのアレックス。
鑑定士のセイスケ。
女騎士マルセイユ。
福男ハルキ。
この世界に来たばかりの4人は、当然この世界のことは知らない。
だから、彼らにはこの世界のことを教える必要があった。
「この世界では、勇者が魔王を倒すために旅をしている……以上」
「みじかっ」
「たいして説明することがないんだよ」
アレックスのツッコミも尤もなのだが、実際、特に説明することがない。
これでは納得してくれなさそうなので、一応補足しておくことにした。
「……まあ、強いて説明することがあるとすれば、
勇者は国王から任命されてパーティ組んでるってことくらいかな」
「RPGのテンプレじゃねーか!」
今度はハルキにツッコミを入れられた。
というか、こいつ今RPGと言ったか?
「もしや、お前も異世界転移者か?」
「おうよ!」
「なるほどな」
やはりそうか。
こいつは頭が悪そうだが、現代の知識を持ち込む時は多少役に立ちそうだ。
と、異世界関連の話になって置いてきぼりを食らったマルセイユがこちらに質問を投げかけてきた。
「その辺りのことはよく分からないのだが、ユウタ殿の言う異世界転移者とは私やセイスケ殿のように其方の力で別世界から来た者とは違うのか?」
ふむ、俺の能力か。
正直違いを深く考えたことはないのだが、確かに分けて考えていた。
「ふーむ……俺の能力を使ったらどいつもこいつも異世界転移者になってしまうからな。厳密に言えば違いはないのだと思うけど、それだと俺の周りは異世界転移者だらけになってしまう。だから、俺の能力で異世界に転移した人のことは異世界転移者と呼ばないことにしたんだ」
「なるほど。……まだ分からないところはあるが、ある程度把握できた」
一応は納得して貰えたようだ。
そんな訳なので、俺は次の話に進めることにした。
「よし、オーケー。
次はパーティ編成について話したいんだけど、いいかな?」
「大丈夫ですよ。とりあえず、私はモンスターのドロップ品やダンジョンの宝箱の鑑定で良いですかね?」
鑑定士のセイスケが自身の役割について尋ねてきた。
まあ、鑑定士の仕事なんてそんなもんだろうから俺は承諾することにした。
「ああ、異論はない」
「それで決定だね」
「ありがとうございます」
さて、今度はまとめて言うか
「そして、マルセイユと俺が直接戦闘要員。
アレックスとハルキが後方支援要員だ。OK?」
「OKだぜ!」
「それで構わない」
「僕は却下だね」
うん?
一人だけ意見が違う奴が居るな。
プリーストのアレックスか。
「何が不満だ、アレックス?」
「僕の物理攻撃力は無限だ。
明らかに前衛向きなのに、何故後方支援なんです?」
なるほど、そういうことか。
確かに、アレックス単体のスペックで見れば前衛が適任だろう。
しかし――
「このパーティ、実は回復要員がお前しかいない」
「っ……」
「お前以外適任者が居ないから我慢してくれ」
アレックスの能力を活かすことができないのは残念だが、致し方ないことだろう。
それを理解したからか、アレックスからは釈然としない様子ながらも「了解した」との言葉を引き出せた。
「理解が早くて助かるよ。
さて、次は今後の行動方針だが――ハルキ、頼む」
「え? あ、おうよ」
俺はハルキにバトンをぶん投げた。
「ハルキ様の偉大な能力、それは運∞よ!
今からレアアイテム持ったモンスターを沢山引き寄せてやるから、
心構えと戦闘の準備、バーベキューの用意とあと色々よろしくゥ!」
「なっ……」
「運∞ってそんなこともできるのか」
「レアアイテムですか、コレクター魂が疼きますねぇ」
詰まるところ、今の俺たちに必要なのは資産だ。
レアアイテムを手に入れれば大きなアドバンテージを得られるだろう。
「あの空の向こうから来るのは……ドラゴン!?」
「地面からゴーレムが!」
「さらに、魔王まで来ましたねぇ。
まずい事に、完全に包囲されていますよ」
「おいおいおい……」
ドラゴンとゴーレムはまだいい。
だが流石に、魔王まで来るのは……想定外だ。
逃げるか?
「……いや、むしろここで倒すか」
「我を倒そうとは、愚かな……!」
まずい、魔王が力を高め始めた……!
大地が揺れ、太陽が沈み、空が一瞬にして闇に包まれた。
……これ、やっぱ勝ち目なくね?
「前言撤回、さっさと逃げ」
俺は皆に撤退を指示しようとした。
しかし、「ハッ!」というよく通る掛け声がその指示をかき消した。
声がした方を見てみると、既にマルセイユがドラゴンと戦っていた。
アレックスもまた、ゴーレムと相対している。
セイスケとハルキは彼らと運命を共にする覚悟を決めているようだった。
「この馬鹿ども……今日限りでこのパーティ解散だな」
そう言いながらも俺は腰の鞘から剣を抜き、その剣を魔王へと差し向けた。
「勝たせてもらうぞ、魔王」
「ほざけ」
ラストバトルだ。
プリーストのアレックス。
鑑定士のセイスケ。
女騎士マルセイユ。
福男ハルキ。
この世界に来たばかりの4人は、当然この世界のことは知らない。
だから、彼らにはこの世界のことを教える必要があった。
「この世界では、勇者が魔王を倒すために旅をしている……以上」
「みじかっ」
「たいして説明することがないんだよ」
アレックスのツッコミも尤もなのだが、実際、特に説明することがない。
これでは納得してくれなさそうなので、一応補足しておくことにした。
「……まあ、強いて説明することがあるとすれば、
勇者は国王から任命されてパーティ組んでるってことくらいかな」
「RPGのテンプレじゃねーか!」
今度はハルキにツッコミを入れられた。
というか、こいつ今RPGと言ったか?
「もしや、お前も異世界転移者か?」
「おうよ!」
「なるほどな」
やはりそうか。
こいつは頭が悪そうだが、現代の知識を持ち込む時は多少役に立ちそうだ。
と、異世界関連の話になって置いてきぼりを食らったマルセイユがこちらに質問を投げかけてきた。
「その辺りのことはよく分からないのだが、ユウタ殿の言う異世界転移者とは私やセイスケ殿のように其方の力で別世界から来た者とは違うのか?」
ふむ、俺の能力か。
正直違いを深く考えたことはないのだが、確かに分けて考えていた。
「ふーむ……俺の能力を使ったらどいつもこいつも異世界転移者になってしまうからな。厳密に言えば違いはないのだと思うけど、それだと俺の周りは異世界転移者だらけになってしまう。だから、俺の能力で異世界に転移した人のことは異世界転移者と呼ばないことにしたんだ」
「なるほど。……まだ分からないところはあるが、ある程度把握できた」
一応は納得して貰えたようだ。
そんな訳なので、俺は次の話に進めることにした。
「よし、オーケー。
次はパーティ編成について話したいんだけど、いいかな?」
「大丈夫ですよ。とりあえず、私はモンスターのドロップ品やダンジョンの宝箱の鑑定で良いですかね?」
鑑定士のセイスケが自身の役割について尋ねてきた。
まあ、鑑定士の仕事なんてそんなもんだろうから俺は承諾することにした。
「ああ、異論はない」
「それで決定だね」
「ありがとうございます」
さて、今度はまとめて言うか
「そして、マルセイユと俺が直接戦闘要員。
アレックスとハルキが後方支援要員だ。OK?」
「OKだぜ!」
「それで構わない」
「僕は却下だね」
うん?
一人だけ意見が違う奴が居るな。
プリーストのアレックスか。
「何が不満だ、アレックス?」
「僕の物理攻撃力は無限だ。
明らかに前衛向きなのに、何故後方支援なんです?」
なるほど、そういうことか。
確かに、アレックス単体のスペックで見れば前衛が適任だろう。
しかし――
「このパーティ、実は回復要員がお前しかいない」
「っ……」
「お前以外適任者が居ないから我慢してくれ」
アレックスの能力を活かすことができないのは残念だが、致し方ないことだろう。
それを理解したからか、アレックスからは釈然としない様子ながらも「了解した」との言葉を引き出せた。
「理解が早くて助かるよ。
さて、次は今後の行動方針だが――ハルキ、頼む」
「え? あ、おうよ」
俺はハルキにバトンをぶん投げた。
「ハルキ様の偉大な能力、それは運∞よ!
今からレアアイテム持ったモンスターを沢山引き寄せてやるから、
心構えと戦闘の準備、バーベキューの用意とあと色々よろしくゥ!」
「なっ……」
「運∞ってそんなこともできるのか」
「レアアイテムですか、コレクター魂が疼きますねぇ」
詰まるところ、今の俺たちに必要なのは資産だ。
レアアイテムを手に入れれば大きなアドバンテージを得られるだろう。
「あの空の向こうから来るのは……ドラゴン!?」
「地面からゴーレムが!」
「さらに、魔王まで来ましたねぇ。
まずい事に、完全に包囲されていますよ」
「おいおいおい……」
ドラゴンとゴーレムはまだいい。
だが流石に、魔王まで来るのは……想定外だ。
逃げるか?
「……いや、むしろここで倒すか」
「我を倒そうとは、愚かな……!」
まずい、魔王が力を高め始めた……!
大地が揺れ、太陽が沈み、空が一瞬にして闇に包まれた。
……これ、やっぱ勝ち目なくね?
「前言撤回、さっさと逃げ」
俺は皆に撤退を指示しようとした。
しかし、「ハッ!」というよく通る掛け声がその指示をかき消した。
声がした方を見てみると、既にマルセイユがドラゴンと戦っていた。
アレックスもまた、ゴーレムと相対している。
セイスケとハルキは彼らと運命を共にする覚悟を決めているようだった。
「この馬鹿ども……今日限りでこのパーティ解散だな」
そう言いながらも俺は腰の鞘から剣を抜き、その剣を魔王へと差し向けた。
「勝たせてもらうぞ、魔王」
「ほざけ」
ラストバトルだ。
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