ゆめも

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転生王子と土の巫女

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この国には昔からとある物語が語り継がれていた。

神話とか伝承とか言ってもいいかもしれないが、もう、誰も本気にしていないおとぎ話と化している。



その話を聞いた時、私は創国神話だと思ったそんなお話だ。





荒れ果てた砂漠の世界に一人の神様が現れた。

砂だらけの世界を見て神様は、

「在れ」と言った。

するとそこに豊かな土が生まれた。

しかし、土は乾いて数日もしないうちに砂になると神様は思った。

「助けてほしい。」

と神様は呟いた。すると、水を湛えた女性が風に流され現れた。

「ならば、婚姻を。」

神様はその女性と婚姻することを誓った。

すると小さな笑いがたくさん降りてきた。

小さな手のひらほどの小人は

「女王に祝福を。」

そう言って、風を起こしてたちまち彼らの周りの砂を土に変え、辺り一面にばらまいた。

「主人の番に祝福を。」

そう言って、沢山の種をばらまいた。

「汝の名前はなんという?」

女性はそう言って、神様に手を差し出した。

「私に名前は無い。」

神様はそう答えた。

すると女性は神様に名前を与え、彼の額にキスを落とした。

すると土にまかれた種は一斉に芽吹き、辺り一面緑にあふれた。

「そなたの愛が本物である限り、土地は豊かであり続ける。」

「私は貴女を裏切らない。」

「ならば誓いを。」

「もちろん、誓おう。我が愛しき妻へ。」



それが一番古い書物に書かれたこの国から元々ある創国神話。今は何故だか男女が逆になったものが出回っているが、古い方が正しいと私は勝手に思っている。

この本は二千年前からある本で、城内にしっかりと保護の魔法をかけて大切に保管されていた。



しかし、今は3歳の王子である私が普通に見れているので、既にこの本の価値を理解しているものは城内にあまりいなくなっていると思われた。

なんで、こんな小難しいことを3歳の私が考えているかと言うと、私は転生者であるからである。

私は、前世、日本と言う国にいたとある技術者だった。

広く浅く知識を蓄え、普通に暮らしていたのだが、病気になって、DTのまま死んでしまった。

「生まれ変わって、チートしたい。せめて、DTから卒業したい。」

そう願って、目を覚ましたら、真っ暗闇。

「あーこれ、終わった。」

と自分が死んで地獄に落ちたかと思ったら、そこは温かいし、なんか優しい感じがして気付いた。

お腹の中だと。

そして、生まれ落ちてしばらくし、自分がこの国の第3王子に生まれたことに気付いて、

「これなら、DT卒業できる!!!」

と叫んだのを今でもよく覚えている。



この国の言葉は日本語ではないので、はじめ何を言っているのか分からなかった。小説にある様に転生得点で言語が自動で翻訳されるとかそういった機能は無かったらしい。

しかし、そこは赤ちゃんの柔らかい脳みそ。

召使いは私を赤ちゃんと思って、赤ちゃん部屋のここで良く休憩がてら井戸端会議するのだ。会議の言葉を覚えれば、きっと余裕で言葉なんてマスターできる!と息巻いていたのだが、そう簡単ではなかった。

まぁ・・・何と言うか、1年半かかった。

遅いとかいうなよ?泣くからな?



そして、話せるようになっても、体は思うようには動けない。なので、井戸端会議に参加するくらいしかできない。

・・・まぁ、井戸端会議参入、楽しかったが。



その間に、簡単な文字は教えてもらった。難しいのは井戸端会議を行っている面々は知らなかったのだ。

たまーにくる執事っぽい服の男から難しい文字や単語を少しずつ教えてもらった。



なんやかんやで、私は現在3歳。

絵本くらいは読める年齢。



お膝抱っこして、本を読んでくれているのは、たまに来ていた侍従のセバス。現在は、出世して、私直属の執事になった。

城に2つある図書室の内、こっちは、埃っぽくて、暗くて、ちょっぴり乾いている。あっちはいつも兄王子たちがいて、綺麗だし、明るいし、人が過ごすのにちょうどいい湿度が保たれている。本も新しいのが充実していると聞くが、正直、行ったことが無いのでわからない。

セバスが、こっちの図書室に私を連れてきたのは、私が本が読みたいとねだったからであるのだが、もう一つの理由は兄王子と会わない為なのだ。

下手に兄王子に会うと確執が生まれて、下手したら処刑されるんだそうだ。

「なにそれ、怖い。」

とか思ったが、まぁ、転生前の記憶のおかげで納得している。



執事のセバスには一応、転生者であることは伝えた。

「それは凄いですね。」

と言って撫でてくれたが、それ以上の感想は無かったので、まぁ、重要視していないと言うことだろう。

ちなみにセバスは現在16歳。



まぁ、なんだ、既に2人王子3人王女が上にいるので、私の存在は、重要視されていないのだ。

「第一王子が居なくても、第二王子がいるしぃ~。王女がいるから、子供を産ませれば、問題ないしぃ~。」

と言うようなギャル語が脳内で、再生される。

別に誰が言ったわけではない。ただ、あまりの期待されなさに、脳内黒ギャルが、山姥ファッションでそういっただけで・・・。

ちなみに顔は、自分の母親だ。



・・・感想は置いておこう。



黒ギャル・・・自分の母親にはあまりあったことが無い。

聞いた話、隣国からお嫁さんに来た人で、豪勢な暮らしをして人生謳歌しているんだそうだ。

まぁ、割と興味が無い。



自分の母親でも自分とは違う生き物だし、この国の風習なんだろう、生まれた後は乳母が育てる。前王妃が第一王子を産んで、現王妃である母が第二王子を産んだ。それ以上はどうでもいいのだ。

貴族としての義務は果たしているので、遊ぶ。

前世の記憶があるので、仕事しろよと思っちゃうが、仕事は国王と宰相がやっちゃってくれているんで、興味を持つ必要もない。だって、そういう扱いなのだ。今の私は。



いずれ、国の為に他国に留学していい嫁さん貰うか婿になるか選択させられそうだけど、それなら、それで構わない。今世の目標はDT卒業。その一点である。





・・・絶対利用する気は無いが、この国、同性結婚が許されている。なんか、教会にお願いしたら同性同士でも孕らめる薬が貰えるんだそうだ。なにそれ、怖い。

願わくば、他国の王子の嫁とかにされないことを切に願う。

この世界は魔法がある。

誰も見える人間はいないらしいのだが、精霊もいるらしい。

物語で出ているこの手のひらサイズの小人はきっと精霊なんだろうと思う。



となると、あれか?神様って書かれているのは転生チートの男かな?・・・まぁ、二千年前だ。本当のことなんかわかりはしない。

しかし、一応、土の女神の伝承は、ちゃんと形を変えて伝わっており、結婚式でもこの物語に沿って、言葉が決まっているくらいだ。



・・・うん。形は変わっている。

だって、現在はこんな感じなのだ。



少女が降り立つ。

男神が、彼女の為に世界を豊かにする。

少女と男神が結婚する。



・・・男と女入れ替わった物語だ。

確かに、この創世神話で、女性の方が強い感じがする。男性は土を操るくらいしかできていない。

そりゃ、男性優位のこの国の為政者には気に入られない話だろう。



・・・まぁ、それで、神様が怒って災害を起こすとかいったことは無いようなので、今は気にしないでいる。

この世界に生まれて思ったのが、神様はいると言うこと。

教会はさておき、本当の奇跡をたまに見ることが出来る。同性結婚で子が生まれるのも、それに当たる。

だからだろうか、この国が神様をないがしろにしているように思えて、たまに怖くなってくるのだ。



見える形で神様がアプローチしている世界。

恐ろしくてならないと思っているのは、どうやら、私だけらしい。



前世では神様のことは信じてもいるし、信じてもいないと言うような感じだった。都合がいい時には信じるが、基本的には神様が居ても居なくても、結果は自分がもたらしたものと思っていたからだ。

神頼みはするけど、依存はしないと言ったら正しいだろうか?



しかし、この世界では神様にかなり依存している。

魔法は精霊に依存しているし、雨なんかの気象も神様だよりだ。



なのに、神様に感謝しているのは極極一部。

教会さえも、感謝しているのは少ない。むしろ、俺がやっているんだと威張っている傾向さえ見て取れる。



恐ろしくないか?天罰が。

転生者だからだろうか?自業自得とか、天罰とか、普通に考える。



そして、そんな漠然とした恐怖におびえる中、城に一報が届いた。

土の巫女が見つかったと。



土の巫女。

そう、創世神話で男女逆になってしまった神様の巫女だ。

創世神話が男女逆になるとともに巫女も男女逆になったと聞く。前は神子と呼ばれていた男の子がいたと例の絵本とは違う1500年前の本に書いていた。



土の巫女は、代々、王家の人間と婚姻し、独身を貫くとされている。その神体は基本的には教会預かりとなるのだが、近年は城にいることが普通になった。今回は第二王子の嫁になるんだと言うことになりそうだとセバスが言っていた。発見は、100年ぶりとなる。巫女が発見されると国は富むとされている。



ちなみにあったことは無いが、長男である第一王子はとても頭がいいらしい。現在10歳。第二王子は8歳。バカで、体力自慢らしい。・・・うわぁ、会いたくない。

評判は二人とも顔以外あまり良くない。

第一王子は理が無いと思ったら、すぐに切り捨てる非人道と言われているし、第二王子はわがままで、すぐに暴力に訴えるんだそうだ。

親に似たんだろう。



国王である父親もすぐに暴力に頼るし、死んだ前王妃も非人道で冷酷な政策が多かったと聞く。

・・・本当、転生得点の記憶があって本当に良かったと思う。



ここで育ったら、あの愚か者になるのは確定だろう。

誰も口に出しては言わないが、他の王子・王女より私は良い人間らしい。気付けば、私の周りの環境はかなり良くなった。金でどうにかなる部分ではなく、金でどうにもならない部分が良くなったと言うのだろうか?むしろ、金でどうにかなる部分は結構、ボロ過ぎてヤバい感じだ。さておき、この第三王子用の離宮は他の王子・王女達の離宮に比べたら、狭い古いぼろい。

金もあまり支給されない・・・多分、着服されているんだろうとセバスは言っていた。

しかし、必要な分を出し惜しみは・・・されてるけど、ある程度もぎ取っている。

そんなある意味過酷な環境の中、仕えてくれている人間は、私に対して忠誠心を持って行動してくれている。

第三王子だから、基本的にかなり自由は許されている。

一緒にご飯食べることも見逃されているくらいだ。



・・・ちょっと恥ずかしいけど、小さい頃からセバスにアーンして食べさせてもらっている。



使用人は家族ごとこの離宮で過ごしているし、御飯にだけは困らない様に頑張っている。

その為か、私の周りには優しい人ばかりいる。

盗みとか暴力とかする人は随分前に居なくなっていた。

他の王子・王女の評判が悪いせいもあり、私は、聖王子と呼ばれるくらいには、健全で正しい王子とされている。



・・・まぁ、私はこの名前、気に入っていないが。

だって、性王子と発音同じなんだもん!嫌だ。超嫌だ。



まぁ、3歳だ。

大丈夫。恐ろしいこときっと、無い。うん。
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