ゆめも

toyjoy11

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人形姫と言われるのなら人形で良いでしょう?

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5歳になった。
魔術の本を見つけ、そこに書いていたのは人形がその人本人に見える魔術だった。

まぁ、効果があるのは、魔力が極端に低い人間だけではあるのだが、使用人程度ならこれで騙されてくれる。

まぁ、無いとは思うけど、本館から人が来た場合の対処のためだ。

初めて使うノコや斧は重くてなかなか上手くいかないし、切れ味が悪くてどうにもできない。
取り合えず、素焼きの植木鉢でノコと斧を研ぐ。

上手くいかないけど、庭の木を一本消費して、何とか私の大きさの人形分の材料を取ることが出来た。

後は、斧と斧が刃こぼれした時の刃で、大まかに形を整えた。

出来た木の人形に適当に一番安い白の糸で作ったかつらを適当に被せる。
目に当たるところにボタンを植え込み、コの字に曲げた針金を斧の柄で叩き込みボタンを固定。後は草で作った染料で適当に花と口を書いて、人形自体の作成は終了。

魔術の本に書いていた魔法陣を人形のお腹部分に描いて、私の血液を垂らす。
そして、乾くまで待って、魔力を入れるって書いてるけど、いまいちわからなかったので、気合を入れてペチンと魔法陣を叩いた。

そしたら、軽く魔法陣がほわッと光った。

・・・見た目には何も変わった気がしない。

でも、なんとなく、窓際に机といすを持っていき、そこに人形を置いておくことにした。

***
3ヶ月ほどで、隠れ別棟の本を全部読み終えた。
とても時間がかかったが、とてもためになった。

本で分かったことは、この国の貴族は元々魔法使いだと言うことだった。
強い魔力を持ち、その魔法で未開の地を武力と魔法技術で開拓した魔法使いが貴族となり、私たちはその末裔らしい。

しかし、年々、その血は薄まり、今は当時の魔法使い程魔法を使える人間は少ないらしい。

でも、高位貴族は純血種に近いので、かなり魔力が濃いんだそうだ。

ここからは、白骨死体の日記の内容。

エリイナ公爵家は、始祖の血をひく家であり、勿論、王族筋であるのにもかかわらず、魔力が薄く、それを補うために生贄を使い、魔法石を作り出し、それで公爵家相当の魔力を見せていたらしい。

しかし、先代当主は、先祖返りを起こし、高魔力になった。悪しき風習を目にして、嫌悪。これを秘密裏に断罪。風習を止めたらしい。
ところが、先代の子は全員かなりわびしい魔力の子しか生まれなかった。

だから、残った魔法石を使い、これを偽装。
その方法は、ちょっと眉を顰めたくなる方法。直接体内に魔法石を埋め込む方法だった。

これが現当主である父の話。
しかし、父はこのことを知らないとのこと。

この手術を行ったのは、先代当主とこの日記の持ち主である先代お抱えの魔術師ゲルナック。

しかし、父の嫁の父。私にとっての祖父、父にとっての義父に当たる人がそれを知り、口封じのために先代当主を毒殺。自分もいずれ殺されると言うような内容で締めくくられていた。

勿論、魔術についても学んだ。
魔力が無くても使える魔法は、大気にあふれる魔素を体で転換して使うと言うものだった。
他にも手に魔術式を書いた紙を忍ばせて置き、それを今使いましたよと言うようにして、使う方法などだ。

…まぁ、実は私、魔法自体は普通に使えちゃった。
ファイアーとかウォーターニードルと言って、手を向けるとその事象が起きた。

保護施設の子達が言っていた通りの素晴らしいものでちょっと感動した。

本には載っていなかったけど、氷魔法や雷魔法も応用で使えるので、万が一のことがあっても、問題なさそうだ。

改めて、人形を作る。
今度は、細部までこだわって、綺麗なお人形さんを。

色は、虫や葉を使って、染料を作って塗った。
出来た人形はいつも通り窓際に設置。

その頃には、街で私が貧乏家のお手伝いさんとして、幼いながらに働いている子として認識され始めていた。

顔にはいつも染料でそばかすを描き、髪はゆっくりと赤茶に染めた。

私の元の髪は、白に近い銀色。
伸びた髪はとても高値で売れた。

私の目の色は、赤色。
目立たない様に前髪を伸ばして、隠してはいる。

そうやって変装しながら、街で色々買って、別邸で色々作って、街に売りに行く。
一番人気なのは白のレースのドレス。
人形にもこれを着せている。

そんなある日のこと。
血相かいて、両親がこの別邸に乗り込んできたのであった。

***
それは、6歳の頃。

この国の第三王子が同い年の婚約者を選んでいると言う知らせが始まりである。
私とこの国の第三王子は同い年であり、家格的にも釣り合う為、私が揚げ玉になってしまったのだ。

物凄く不本意ながら、人形の隣でメイドとして、それを聞く。
両親は私の人形を私と思い込んでいた。

だから、何も言わない人形に対して、殴ったり、蹴ったりした。

本当、人形にしていて助かったと思った。

どうやら、母も魔力がかなり低いらしい。
父は魔法石を埋め込んで、魔力を補っていたと言っていたのに、今はその効果も無くなっていそうだ。

ぐったりと動かないように見える人形を私は優しくおこし、椅子に座らせる。
しかし、当たり前だが人形なので、ピクリとも動かない。

その様子に驚いた両親は、怯えたようになって、侍従は医者を呼びに行った。
そのまま両親は、
「明日までに万全にしろ!」
と言って、去って行く。

私は、人形をベッドに寝かせ、来た医者には、私がお嬢様に戻って対応。

医者は不思議そうにして帰って行ったが、気にしない。
栄養失調と言われたので、街にもっと肉を買いに行くべきかと考えたが、とりあえずは、豆のスープでも飲んで気を紛らわすことにした。

それよりも、明日だ。
少なくとも両親は魔力が少ないから騙されてくれたけど、明日の王城にいる人たちには絶対通じない。
仕方が無い、私自身で行かなくてはと気合を入れた。

とてもめんどくさいけど、街にある銀髪のかつらを買いに行かなくちゃ。私の髪は赤茶に染料で染まりきっているのだから。

***

白のレースのドレスは昨日の殴ったり、蹴ったりされたせいで、破れてしまい、修復はすぐにはすまない。だから、いつもの継ぎ接ぎのドレスを着て、待っていたら、両親は物凄く私を殴りたさそうな顔をして、適当なドレスを押し付けてきた。

自分より大きなドレス。主に横方面に。ぶかぶかだった。

恐らく、妹のドレスであろうものを着た。
直ぐに馬車に入れられて、注意事項を言われた。
適度に相槌を打ち、反論はしない。

とても殴りたさそうにしている両親。

それを見て見ぬふりをする。

案内人と一緒に王城の中庭に行く。
そこには恐らく、第三王子の母親に当たる第二側妃のババロア様がいらっしゃった。
ババロア様は、陛下と学園で知り合い、意気投合。
男爵の家の子だったのだが、伯爵家に養子に入った後、陛下の側室として後宮入りを果たした女性である。

とても、うちの両親に似た雰囲気を持った女性である。

遅れて、第三王子がメイドを引き連れてやってきた。
大分、ふくよか・・・肥満体型の6歳児だった。

髪は黒。目は青色。
ババロア様が髪も目も黒。陛下は金髪碧眼と聞くので、適度に二人の血を引き継いだのだろう。

両親はヘコヘコとババロア様のご機嫌を窺っている。
ババロア様は両親に、嫌悪交じりの目線を投げているが、きっと同族嫌悪だと私は思う。

両親もババロア様のことを嫌悪交じりの目で見ているんだから。

私は我関せずとお茶を飲むふりをしている。

…飲みはしない。
何が入っているのかわかんない臭いがするんだよねこれ。

第三王子は私の容姿をとても気に入ったようだった。
直ぐに茂みに誘おうとする。

6歳児の癖に既に色欲が身についているらしい。前世に感じた男の視線と同じものを感じる。
私は何の感情も表さずに、何もしゃべらずにずっとお茶を飲むふりをし続けた。

何事も表面上は無く、顔合わせのお茶会は済んだ。

帰宅後、私は、第三王子の婚約者になったと知らせが来た。

***
それからもいつも通り、人形は窓際に、私はメイドの格好をして過ごしていた。

そしたら、私の噂が流れていた。
エリイク公爵家の長女の人形姫を第三王子は大変気に入ったと言うような噂。

私は王城に人形を持ち込んでいないのに、何でだろうかと思ったのだが、その噂の続きを聞いて、ちょっと眉をへの字にしてしまった。
私が城で何の表情も動かさなかったから、案内した侍従やババロア様の使用人たちを含む使用人たちが、私の容姿がとても綺麗なのに全く動かないし、喋らない人形のようだと言ったらしい。それを堂々と街中で言っちゃったのがいるらしく、この噂である。

全く、どこのどなただろうか?街に城の情報を平然と流してしまえるおバカさんは。

と思いつつ、買い物を済ませた。

ちなみにお人形には、前回のドレスを着せたままだ。

帰ってきたら、たまに人形に足の踏み跡が残っているのだけど、本館の人は一体に何をしているだろうか?

***

1か月後、偶然、その場に居合わせた。
訪れたのは、恐らく妹である。
神経質そうな感じのメイドさんと一緒にいきなり現れ、そのまま一直線に人形部屋に向かい、ドアを開け、人形に跳び蹴りをした。
もちろん、人形はなすすべなく、倒れる。
そのまま、馬乗りになって、妹は私の人形をビンタする。

叫びながら。

叫んでいる内容は
「私のドレスを奪って。」
「第三王子の婚約者は私なのよ。」
である。

正直、ドレスはそのままお持ち帰ってもらっても構わないし、あの性格悪そうな第三王子の婚約者もお持ちくださって構わないんだけどね。

妹の手が痛くなったらしく、起き上がって、立ち去ろうとしたので、人形の服であり、彼女のドレスを渡そうとしたら、
「お手付きのドレスなんかもういらない。」
とのこと。

全く、どっちなんだ?と言いたくなる。

なので、軽く埃を落としてから、人形に着せなおした。

***

更に1か月後、第三王子が前触れなく、本館に現れたらしい、その時、私はメイド服だったし、カツラもかぶっていなかったので、人形と知らない使用人たちの手により、私の人形は軽く化粧をされて、本館に連行。
遅れて気付いた私も急いで追いかけた。
軽く叱られたけど、殴られはしなったので、一安心。

そして、第三王子は私の人形を見て、目を蕩けそうにした。
そして、愛の言葉をたくさん囁き、家族が見ている前で人形にキスをした。
あっけにとられる公爵家の面々。
そして、人形を抱えて、そのまま第三王子は去っていた。

…あぁ、人形が…。

私は予備の人形を持ってきて、
「王子はエリイク公爵家から貰った等身大の人形を持っていっただけです。」
と説明した。
腹話術で。

そしたら、何でか皆それで納得した。

でも、母は大変憤慨し、使用人たちに

「我が家の人形を勝手に持って行って」
と愚痴を言い、使用人たちは街で第三王子が公爵家の人形を勝手に持って行ったと口外したので、色んな意味で最悪な感じだった。

ちなみに城の人は、あの人形は人形にしか見えていなかった。
なぜなら、魔力が高い人にはあれは人形なのだ。

そう、第三王子は恐らく、魔力がほとんど無いのだろう。

だから、第三王子は
「人形姫を攫ってきた。」
と公言しているのを見て、魔力のある従者は
「良かったですね。」
と言って、ひきつった笑いをするのが、お決まりになってしまった。

その後、王家からの知らせは、少なくとも私には入ってこなかった。
妹もあの性格悪くて肥満体型の王子を見て、
「お姉さまにお似合いよ!」
と言ったのを最後にここに来なくなった。

***
12歳になった。
この国には、12~16歳まで、魔力持ちは学園に入る義務がある。

両親は、義務なので、私を学校に行かせることにしたらしいのだが、家からの通学では無く、魔力持ちの平民が入る寮への入寮手続きを済ませてくれていた。
有難い。

本当なら、貴族は貴族の場所と決まっているらしいのだが、正直、こっちの方がありがたい。
前世と比べるまでも無く、こっちの両親の方がまともなので、安心できる。

入学式に本当なら私の席に人形が座っていた。
6歳の子供の大きさの人形である。

私は察して、平民出身の席に座った。
家を出るときには銀髪のカツラを被り、今はいつも通り赤茶に染めた髪で登校している。
入寮もその格好で済ませて、同室の子にはエリイク公爵家の者としてではなく、ただのリセーナとして、挨拶をした。

同じ部屋の緑髪の女の子は、マルチアさんと言って、商家の次女で、平民なのに魔力が発現したケースの女の子だった。
この寮にはそうした生徒が30人ほどいる。
皆、以前の保護施設の子達みたいに優しい子ばかりでとても幸せだった。

何より、皆が、私のことをリセーナと呼んでくれたのだ。
今まで名前を呼ばれたことが無かったので、とても嬉しかった。

と言うようなことを思い出して、部屋で泣いてたら、マルチアさんが滅茶苦茶撫でてくれた。

認識として、私は教会の孤児院から来た子だと認識されてしまったけど、正直、どっちでも同じな気はしたけど、直接聞かれたら
「孤児院の子じゃない。」
と正直に言ったのだけど、なんでだろうか?信じてもらえなかった気がする。


***
学園はとても幸せだった。
寮はいつでもお風呂が開いているし、しかもお湯のお風呂に入ることが出来た。
石鹸も常備されていて、使いたい放題。
初めてお湯のお風呂に入った時、沢山垢が出てちょっと、マルチアさんに引かれたけど、その後は普通に清潔にしている。
髪の染料の虫を庭師さんの手伝いをしながら回収。

たまに髪の毛を染めるときに
「白髪多くて。」
と言ったら、マルチアさんが手伝ってくれた。
「苦労しているのね。」
と言って。
ちなみに、マルチアさんは髪染め剤の作っている様子は見ていない。良かった。

ご飯は毎日3食食べれるし、しかもお肉が食べ放題である。

学園入学まで120cmくらいしかなかった私が、入学してどんどん大きくなって、今は1年で150㎝になった。
成長痛がかなり酷かったけど、その度に保健室のおばちゃんがマッサージしてくれたりした。

一杯食べれば、一杯動けるので、剣術の練習がいつでもできる環境もあったのもあり、寮の男の子たちに交じって、練習も始めた。
筆記の試験の方は既に覚えているから勉強の時間はいらない。
魔力がどんどん上がってきたので、魔法の練習も一杯した。

先生は、私がエリイク公爵家の人間と知っているけど、普通に生徒として扱ってくれた。
だから、初めは憐れむ様な視線だったのだけど、そのうち、普通に生徒へ向ける目線になったので、なんかよくわかんないけど、幸せだった。

この国の成人は16歳。
だから、卒業するのも16歳。
つまり、4年間はここの幸せを満喫できるのだ。

あぁ、戻りたくない。
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