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本編(ヒロインサイド)
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※【警告:対ミーム予防措置無しの閲覧は禁止されています。担当者は必ずセクター8120-煤で処置253-”柳煤”を受けてください】
本作品は、SCP-040-JP成分で構成されています。警告通り、気を付けて、ください。ねこですよろしくおねがいします。
◆◆◆
私、赤星美晴は、16歳。気付いたら、乙女ゲームの世界にいたの。しかも、私、大好きな乙女ゲー『星の乙女と羅針盤』のヒロインだったの。
気付いた時、思わず、小躍りしちゃった。
いつもそばにいる侍女のメアリーに怒られちゃった。
明日から、舞台の星学園に行くの!
あー、楽しみだなぁ。
ちなみに、現在の名前は、ミーハル・ブラッドスター男爵令嬢よ!
寮に引っ越して、ちょっと疲れてるから、早く寝よう。明日からメアリーは起こしてくれないしね。
▲◆◆
次の日
起きて、時計を確認すると時間ギリギリ。
いっけなーい!急がなきゃ!
いくらイベントだからって、遅刻しない様に気を付けてたのに。
急いで、入学式が行われる広間に急ぐ。
ドスン。
「いったー。す、すみません。急いでて。」
「大丈夫かい?」
金髪碧眼の美少年が手を差し伸べてくれる。手をパンパンとはたいてから、彼の手を取り、立ち上がる。
「ご、ごめんなさい。」
「構わないよ。それより急いで行った方がいいんじゃないかな?新入生でしょう?」
「あ!ごめんなさい。ありがとうございます。あ、ごめんなさい。失礼します。」
私は何度も頭を下げてから、広間に駆けて行った。
ギリギリ間に合い、自分の席に座る。隣の女の子が
「あ!あなた成績優秀者のミーハルさんでしょ!」
と話しかけてきた。
「え?うん。そうだけど。」
「私、ミル・カルケード。一応、男爵令嬢。ねぇ、後で取材していい?」
「取材?」
と答えたところで、とんがりメガネの女性・・・先生から
「静かにしなさい!」
と注意された。
「「はい!ごめんなさい。」」
とミルと一緒に謝った。ちょっと同じタイミングだったから、思わず、見つめてクスクスと笑ってしまった。ギラッと先ほどの先生ににらまれ、背筋をピンと伸ばした。
入学式の挨拶を学園長が行い、生徒会長である第二王子が挨拶してくれた。
「あ!」
「どうしたの?」
小さな声で、ミルが話しかけてきた。同時に視線。
思わず、お口チャック。
少し待ってから小さな声で
「後で話す。」
と言うとミルが親指を立てて、了承してくれた。
無事、入学式が終わり、クラス分け通りにクラスへ案内された。
私とミルは同じA組。
席も近かったので、朝のことを話す。
「へー、やっぱり、第二王子は身分関係なく、平等なんだーすごいねー。」
とミルが言う。
「そうだよね。初めは気付かなかったけど、やっぱり、王族は美形なのかな?」
と言うとミルは神妙な顔で
「なるほど、確かにそうかも。皆美形だ。」
とうんうんと唸っている。
「え?王族全員見たの?」
と聞くと
「うん。うち、カルケード商会でもあるからさ。お得意様だし、王族。」
とミルが答えた。
はい。OP通りに会話しています。でも、あんまり意識せず、勝手に口から言葉が出るからある意味怖い。まるで、マリオネットの気分。
「そう言えば、第二王子の婚約者も同じクラスらしいよ?」
「え?そうなの?」
「うん。彼女よ。キャシー・エンド公爵令嬢。」
そう言って、目線で彼女のことを教えてくれた。
赤いロングヘアーで、ちょっと狐目の美人さん。
「うわぁ、凄い美形。」
と言うと
「でしょう。やっぱり、婚約者も美形ってことは、美形としか結婚しないとか決まってそうだよね。」
と笑いながらミルが言う。
「かもねー。」
と言って、二人で小声で笑った。
▲◆▲
学校にも慣れてきて、この世界独特の教科【魔法学】とか【戦術学】とかがどうも覚えられなくて、図書室に勉強しに行った。だって、普通の女子高校生は戦争の術なんか、勉強しないでしょう?
でも、今のところ成績トップなので、落としたくない。男爵令嬢だからって、頭悪いとか言われたくない。
戦術学の本を開いて、暗記の為に写本する。
何ページか写本して、ふとこの戦略の意味が分からず、止まってしまう。
「なんで、ここで騎馬をこっちに移動するんだろう?」
と言いながら、移す用の紙をトントンと叩くと自分以外の人が隣で同じようにトントンとしていた。
驚いて、そっちを向くと緑髪のロングの男性が間近で私を見ていた
「うひゃあ!!!」
思わず、大きな声で叫んで、立ち上がろうとしてしまった。驚きすぎて、椅子に躓き、変な風にでんぐり返しで一回転してから後ろの壁に激突した。
一気に皆の視線が集まる。
司書に
「お静かに。」
と言われ、
「す、すみません。」
とあやまる。皆がクスクスと笑う。
「うっうっぅ。」
思わず、赤面して、涙目になる。打った頭も結構痛い。
緑のロングヘアーの男性は声にならない笑いで蹲っている。
「っ!っ!っ!!!」
耳まで真っ赤にして、声を出さずに大笑いしている。
「そ、そんなに笑わないでください。」
と小さな声で抗議すると
「ぷっ、いや、うん。ごめん。」
と言いながらも、まだ笑っている。
「もう!」
私は、憤慨しながらも、転がしてしまった椅子を元の位置に戻し、落ちた紙を拾って、本を開きなおして、勉強に戻ろうとした。すると、まだ顔が赤いままで、クスクスと堪えた笑いをしながら、緑ロングヘアーの彼・・・もう、緑カレーでいいや、彼が分からなかったところを教えてくれた。
彼は
「エグラ・グラシエラだ。2年だ。わからないところは教えてやろうか?」
と言ってくれた。
「ありがとうございます。じゃあ、お願いします。緑カレー先輩!」
と思わず、言ってしまった。しまった!と口を押さえたがすでに遅し。
「み、緑カレー・・・くっ!っ!っ!」
ツボにはまったらしい。
「ごめんなさい!つい。」
「ついって、っ!っ!くは!うん。まぁ、いいよ。それで。」
宰相子息と仲良くなりました。
▲■▲
うーん。入学試験の時は、2位だった剣術。次のテストでは1位を勝ち取りたい!教材用の木刀をケースに入れて、訓練場に向かった。そこには数名の生徒が訓練していた。
意外に少ないので、拍子抜けしたが、教科書を一度確認してから、型通りに素振りする。
どうも振り上げるときに右に曲がる。振り下ろした後、剣がとどまらずに引っ張られる感じもある。
多分、腕力が足りないのだ。
数度振って、違うなぁと感じたので、訓練場を見回し、ぶら下がる棒を発見。俗にいう懸垂棒。
ぴょんと飛びつき、懸垂を始めた。
10回ほどすると、二の腕がフルフルと痙攣してくる。
「も、もうすこし、せめて、30かぁーいぃいい!!!」
思わず叫びながら、体を引き上げようと腕に力を入れたのだが、痙攣は指にも及んでいたらしく、左手だけ手が離れてしまった。一気にバランスが崩れ、ぶらーんと思っていない方に体が揺れてしまい、右手も離れてしまった。
体が急に軽く浮いた感覚。なんか、体の芯をスッと抜かれたみたいな感覚。
落ちる!!!
思わず、目を閉じ、衝撃に備えた。
・・・いくら待っても、衝撃は来ない。ゆっくり目を開けると体格のいい青年にお姫様抱っこされている。
「おまえ、根性あるな。でも、手順は守った方がいいぞ?」
そう言って、床に降ろしてくれて、床に置きっぱなしの教科書の懸垂の注意のページを開いて、色々教えてくれた。
「あ、ありがとうございます。せ、先生でしょうか?」
と言うと「ぐっ!」と詰まる様に声を詰まらせ
「いや、2年のガルド・ガンバルンだ。」
「あ、すみません。先輩。」
「いやいい。良く間違われるからな。」
「本当にごめんなさい!」
「いや、本当、いい。繰り返されると逆に悲しくなるから。」
「あ、はい。」
「それより、なんで、懸垂に移行したんだ?普通、素振りなら素振り続けるんじゃないか?」
と聞いてきた。教科書にも確かにそう書いてある。
「あ、いや、単純に力・・・腕力が足りないって感じて。多分、学園入学前に体力がついてる前提で教科書書いてるのかなぁと思って・・・。」
と答えると意外そうな顔で驚いて、
「ぐはははは!!!そうかもな!」
と笑って先輩が私の背中をバンバンと叩いてきた。
反動で前のめりに倒れた。
「あ、ごめん。」
「・・・これで、おあいこです。」
「?・・・あ、あぁ!なるほど!ははは!」
騎士団長子息と仲良くなりました。
△□△
中庭に猫がいると聞いて、昼食のついでに行ってみることにした。ミルと一緒にお弁当を持って中庭に向かうと先客たちが一杯いた。そこには、あの公爵令嬢様もいらっしゃった。
パッと見、猫はいない。
公爵令嬢の取り巻きもいることだし、退散した。
△ _ △
◆●◆◆●◆
放課後、ミルと王都の商店街に遊びに行くことにした。
魔法学で使ういろんな教材を見る為にと言うのが建前。王都のカフェテリアに行ったり、服屋を見たりした。そして、夕方になり、帰ろうとしたら、巨体の男性たちがいちゃもんつけてきた。
思わず、ミルを背に隠し、ガンつけあった。
しばらく、ガンつけあっていたら、白銀の髪をなびかせた垂れ目の男の子が助けてくれた。
「助かりました。ありがとうございます。」
と言って、私とミルが自己紹介してから、お礼と平謝り。
「王都は人一杯なんだから、せめて男の護衛ちゃんとつけたほうがいいよ?」
と教えてくれた。でも、私たちは男爵令嬢なので、護衛は実家にしかいない。学校も寮だし、連れてこれなかった。ミルとどうしようと目線だけで会議していたら
「あー、なる。わかった。学園の外に出るとき俺に声かけてよ。」
と言ってくれた。
「俺は、ペイン・エンド。2年だ。」
と教えてくれて、ウインクしてきた。私とミルは思わずドキンとした。
公爵子息と知り合いになりました。
△ _ △
◆◎◆◆◎◆
薬草学の授業中、私はミスして火傷してしまった。先生に言われて、保健室に向かう。そこに何でか王子が居た。
王子は私が怪我しているのを見て、手当てしてくれるという。
「今、保険の先生、離席してるみたいなんだ。私が手当てしよう。」
「あ、いえ、恐れ多い。」
「気にしないで、ほら、そこに座って。」
無理矢理、椅子に座らされた。
消毒液や塗り薬、包帯などを準備しながら王子が
「君、1年のトップでしょ?凄いね。」
と話しかけられてきた。
「いえ、あ、はい。えっと、がんばりました。」
と答えると
「はは!謙遜なしか。まぁ、確かに実力だもんね。偉い。」
「偉いとかくすぐったいです。まだ、精進しないと。」
「うん。偉いね。驕らずがんばりなさい。」
そう言って、私の手に消毒液をだばーッとかけてきた。
「ひぃっ!」
思わず、勿体ないって言いそうになった。消毒薬での痛みよりもそっちで一杯になる頭。
「あれ?違ったっけ?」
怖いことを王子が言った。
「じ、自分でさせてください。お願いします。」
「あーうん。」
消毒薬を脱脂綿で拭いて、新しい脱脂綿で火傷用の液体薬を漬けて、少しずつ、火傷に塗り、ガーゼで覆ってから、脱脂綿を置いて、包帯で巻く。最後に編み網したやつを付けて、終了。
「へーそうやるのか。」
王子が感心している。
「男爵領は、傷の手当とか自分でやるの?」
と聞かれ
「え?まぁ、うちではやります。他は知りませんが。」
と答えると
「まぁそっか。」
と王子が言った。そこに保健室の先生が戻ってきた。
「あら、ケガ?」
「はい。」
保健室の先生が私の手当跡を見て
「うん、上手。じゃあ、二人とも授業に戻りなさい。」
と言ってきた。
「はい。」
と私は答え
「あ、先生、これ、・・・。」
小さい声で王子が何か言っている。
「じゃあ、失礼しました。私は、その場を去ろうとした。
「はーい。今度は気をつけなさいね?ねこですよろしくおねがいします。」
「は?」
なんか嫌な予感がして、すぐにその場を去った。
王子と仲良くなった?
△ _ △
<◎◆◆◎>
なんか、学校の雰囲気がおかしい。オートで攻略キャラと会話しているので、あまり意識していなかったのだが、明らかにオート会話が勝手に切れるのだ。
いや、別に良いんだけどさ、なーんか、乙女ゲーとは関係ない世界に迷い込んだような・・・。
ちょっと不安に感じてしまい、ミルに相談したら
「そうなんだよね。なんか、みんなおかしいんだよね。ねこねこって。」
と言ってきた。
「ねこ?」
「うん。なんか、やたら、猫がいるって。」
先日、保健室の先生も言ってたなぁと思い当たる。
そんな会話をしていたら、キャシー・エンド公爵令嬢の取り巻きが話しかけてきた。
「あなた、ミーハル・ブラッドスター男爵令嬢ね。」
と。
「はい。そうですが。」
「最近、殿下たちの様子がおかしいんだけど、あんた、何か知らない?よくしゃべってるでしょ?」
と。
は?いちゃもんじゃない。
乙女ゲーと全く展開が違う。
まぁ、有難いんだけど。
「あ、そういえば、中庭にねこがいるって。」
そう、中庭の会話になるとどの攻略キャラも途端にオート会話が途切れるのだ。あそこでは、乙女ゲーで魔法団長子息とのイベントがあるはずなのに、イベント会場である中庭に行くにいけないのだ。なんでか。
今は、乙女ゲーよりも学園が楽しくて、あんまり気にしていなかったんだけど。それに、正直、男の子と恋愛よりミルと遊ぶ方が楽しく感じてきているから乙女ゲーのこと、忘れてた。自動会話はするけどね。
「中庭?ねこ?」
と令嬢たちは固まる。
そこに現れたキャシー様。
「何しているの皆さま。」
と聞いてきた。
「いえ、中庭のことを聞いていたのです。」
と令嬢の一人が答えると
「あぁ、あそこにはねこがいるのよ。じっと見ているととってもかわいいのよ。よろしくおねがいしますね。」
「「「「え?」」」」
会話が一瞬飛んだ気がする。
「だからね。ねこですよろしくおねがいします。」
とキャシー様が繰り返す。
ぞわぞわぞわっと背筋に冷たいものが走る。
他の令嬢たちも同じように感じたらしい。
ミルと私は隙を見て逃げ出した。
「な、なにあれ?」
とミルがガタガタ震えながら、聞いてきた。
「わ、わかんない。」
と二人でぶるぶる震えていたら、C組から珍しいピンクの髪の少女がこっちに駆けてきた。
「あんたでしょ!この乙女ゲーのヒロイン。転生者でしょ!邪魔しないでよ!」
といちゃもんつけてきた。
「「は?」」
二人で頭一杯に変な声で聞き返してしまった。
空気を読まないピンク令嬢は、名前も名乗らず、一杯罵ってきて、最後に
「王子の攻略は私がするんだから、邪魔しないでよね。むしろ、退学しなさいよ!」
とか好きかって言って、去っていった。
「あれ、なに?」
とミルが聞いてきた。
「いや、知らない。でも、退学はさておき、休学したいよ。うん。」
と答えるとミルはかなり沈黙してから
「うん。本当は、止めるべきなのかもしれないけど、私もそうしたい。」
ミルと話し合い、2年間ほどミルの家であるカルケード商会で働くことにした。名目は学費の為。実際、実家は火の車で、成績トップだから今は学費タダだけど、教材は自分で買わなきゃいけないので、冒険者として働きながらしようと思っていたけど、なんか、それより、休学してお金貯めてからって名目で離れたい。
ミルは実家に連絡。私も実家に魔法手紙で連絡。
ミルの両親は
「お前の勘がそう感じたなら、速攻で帰ってこい。」
と返答。
私の両親も
「お前の本能が拒否したなら、逃げろ。」
と返答。
学校にも相談し、正式に休学手続きをその日のうちにした。
△ _ △
<◎><◎>
はい。
本能に従ってよかった。
ミルの勘が王都を離れろと言い、私も同じだったので、カルケード商会辺境支店に移動。
本店にいるミルの両親も一緒に移動中である。
現在は、王都から3つほど都市を通過したところである。
カルケード商会辺境支店はブラッドスター男爵領の隣なのでと言うのが建前。
ミルの両親に私とミルの感覚を話したら、最低限のものだけ持って、馬車に乗り込み、商会ごと逃げ出し準備を始めた。
「生きてれば、また稼げる。商品なんか置いてけ。御飯だけもってくぞ!」
とミルの父親は言い、皆、それに従い、従業員ごと夜逃げ同然で移動。
そこで号外が出ていた。
見てはいけないと本能が感じたので、それを伝えると皆見ないで、簡単な内容だけ人を通して聞いた。
王都では謎の奇病が流行っているんだそうだ。
奇病と言っても、なにか物凄い問題行動をするわけではない。
「やたら、「ねこですよろしくおねがいします。」と言ったり、猫の絵を描くんだそうだ。何やら、落ち着かない感じで周りをやたら確認して、「なんだねこか。」とか言ったりするらしいのだが、皆落ち着かなくて、ねこですねこですねこですねこですねこすねこです。よろしくおねがいします。」
話している人がおかしくなった。
速攻でミルたちに街から離れるように言った。
ミルたちは既に出発の準備していた。
1か月くらいかけて、辺境支店に移動した。
辺境は既に出入りを規制していた。
私たちカルケード商会としてきたから、何とかは入れた。
一応、感染者0。
それっぽいのは、申し訳ないが、教会に置いてきた。
今は、感染者0なだけです。はい。
ブラッドスター男爵領も封鎖しているらしい。魔法手紙も封鎖対象らしく、今は連絡は取れていない。このレッドルア辺境領は、自給自走が可能なところなので、助かった。昼間は畑を耕したり、ダンジョンにもぐることで食事などが賄えている。
初めは、カルケード商会に依存しようかとしていたが、封鎖が本格していたので、商業はいったん下火。
ここには初心者用のダンジョンもあるので、私とミルはダンジョンをもぐり、たまに農家を手伝っている。商会の人はほとんど、農家で働かせてもらっているらしい。
カルケード商会は、辛いときに物資を欠かさないで以前頑張った実歴があるので、領の人たちに、良くしてもらっている。恩返しなんだそうだ。
だから、私もミルも頑張って、ダンジョンで肉を採ってくるのだ。
レッドルア辺境伯は、直感というスキル持ちで、私たち同様に異変を感じて、私たちが移動してきたのと時をほぼ同じくして封鎖を開始したらしい。
いや、逃げ出してくる人とかいないんだけどね。
直感で王都から離れたいと思ったらしい。
陛下から多分、手紙とか連絡とか来てそうだけど、無視してるんだって。
「え?そうなの?」
「噂だけどね。」
ミルがそう教えてくれた。
◆◆◆
2年後、なんか、ピンときた。ミルも来たらしい。
次の日、辺境の封鎖が終わった。
商会の人はなんかすっかり、農家の人になってしまったけど、今は少しずつリハビリがてら、商いしながら、王都にゆっくり向かうことにしたらしい。
私とミルは、商会とは別に早い馬車に乗って、王都に向かうことにした。
早い馬車と言っても、2週間は余裕でかかる距離だけどね。
途中途中で止まる村や町で色々情報を仕入れる。
2年前、あの後、学園で起こったことを知りたかったので、聞いてみた。
しかし、誰も知らないと言う。
それどころか、王都のことは誰も知らないと不思議のことを言うのだ。
村や町には2年前は絶対なかった教会が立っていた。
2週間かけて、王都があった場所についた。
そう、王都があった場所である。
今は物凄くでかい教会があり、教会学園が魔法学園があったところに建っている。
国名も変わっていた。
学園に通っていたことを教会に言うと急いで、教会の奥に連れていかれた。
そこで話を聞いた。
あの後、みんな訳が分からないことを言い始めたので、教会の忘却スキル持ち達が出動したらしい。
王都は集中力の無い人ばかりが溢れ、教会の人たちは耳を塞ぎながら、王都の人々に忘却の魔法をかけたらしい。原因となった魔物は井戸に封印して、その井戸と建物ごと封鎖しているんだそうだ。
「貴方たちも、忘却の処置を受けていただけますか?」
と言うのが本題だった。本当は嫌だけど、お願いすることにした。
すると、学園であった色んなことをきれいさっぱり忘れてしまった。特に人間関係のこと。ミルのことはちゃんと覚えているので、良かった。ミルも私のことをちゃんと覚えていたので、問題ない。
「貴方たちは、2年前に休学した成績優秀者ということで、教会の方の学園に来ないか誘うように教主様からお誘いがあるのですが、どうしますか?」
と聞かれた。
教主からのお誘いを断るほど、おバカじゃないので、すんなり受けた。
ダンジョンで私たちは稼いだので、お金もそこそこある。まぁ、学費免除になったが。
教会学園の授業内容自体は魔法学園と同じだった。
違うのは、立入禁止区域があることと教会学があることだけ。
恋愛イベントなんかは全く無い。男女で学習棟は分けられていた為だ。
学園をトップで卒業。ミルは次席だ。
教会・・・ミルファ神国の陛下から直々にスカウトの話が来た。
かなり美味しい話だったので、私たちはスカウトを受けることにした。
10年後。
私は、女騎士団長に。ミルは女宰相になって、この神国で働くことになった。
今でもあの井戸はあるのだが、絶対封印を解かない様に動いている。せめて、私たちが生きている間は。
私たちが今、普通に過ごせているのは本能スキルと勘スキルのおかげ。
そのおかげで、今も国の上層部にいれるわけだしね。
もう、乙女ゲーとか色々考えていたころが懐かしく感じる。
今は、部下の伯爵家の年上の旦那様と結婚し、3人の子宝に恵まれている。今の私は、ミーハル・ウインガイ伯爵。・・・そう、夫人が何故つかないかって?私が伯爵だから。旦那様は家で専業主夫している。
いや、本当ファンタジーだよ。男が妊娠できるんだよ。この世界。
私が騎士団長として妊娠は困難だと言ったら、陛下が妊娠薬(男用)持ってきやがったんですよ。
どうしてこうなったかは分かんないけど、普通にイタしたら、旦那様が妊娠したんだよね。で、4人目が今、旦那様のお腹にいるのさ。恥ずかしいなぁ~。
ミルの方も旦那様が産むことになったらしい。彼女の方は普通に、当たり前のこととして受け入れてたので、驚いた。現在、2人息子がいるので、子供は増えなくていいとか言ってるけど、子煩悩なので、定時に帰ろうとしているのを私は知っている。
学生の頃の思い出は、今は遠い。
しかし、私たちは、今後も本能の恐怖にしっかり従い、動こうと思う。
家族にもしっかり、教えていこうと思う。
そして、封印については、子々孫々、しっかり、封印を解かない様に厳命しておこうと思った。
<おわり>
本作品は、SCP-040-JP成分で構成されています。警告通り、気を付けて、ください。ねこですよろしくおねがいします。
◆◆◆
私、赤星美晴は、16歳。気付いたら、乙女ゲームの世界にいたの。しかも、私、大好きな乙女ゲー『星の乙女と羅針盤』のヒロインだったの。
気付いた時、思わず、小躍りしちゃった。
いつもそばにいる侍女のメアリーに怒られちゃった。
明日から、舞台の星学園に行くの!
あー、楽しみだなぁ。
ちなみに、現在の名前は、ミーハル・ブラッドスター男爵令嬢よ!
寮に引っ越して、ちょっと疲れてるから、早く寝よう。明日からメアリーは起こしてくれないしね。
▲◆◆
次の日
起きて、時計を確認すると時間ギリギリ。
いっけなーい!急がなきゃ!
いくらイベントだからって、遅刻しない様に気を付けてたのに。
急いで、入学式が行われる広間に急ぐ。
ドスン。
「いったー。す、すみません。急いでて。」
「大丈夫かい?」
金髪碧眼の美少年が手を差し伸べてくれる。手をパンパンとはたいてから、彼の手を取り、立ち上がる。
「ご、ごめんなさい。」
「構わないよ。それより急いで行った方がいいんじゃないかな?新入生でしょう?」
「あ!ごめんなさい。ありがとうございます。あ、ごめんなさい。失礼します。」
私は何度も頭を下げてから、広間に駆けて行った。
ギリギリ間に合い、自分の席に座る。隣の女の子が
「あ!あなた成績優秀者のミーハルさんでしょ!」
と話しかけてきた。
「え?うん。そうだけど。」
「私、ミル・カルケード。一応、男爵令嬢。ねぇ、後で取材していい?」
「取材?」
と答えたところで、とんがりメガネの女性・・・先生から
「静かにしなさい!」
と注意された。
「「はい!ごめんなさい。」」
とミルと一緒に謝った。ちょっと同じタイミングだったから、思わず、見つめてクスクスと笑ってしまった。ギラッと先ほどの先生ににらまれ、背筋をピンと伸ばした。
入学式の挨拶を学園長が行い、生徒会長である第二王子が挨拶してくれた。
「あ!」
「どうしたの?」
小さな声で、ミルが話しかけてきた。同時に視線。
思わず、お口チャック。
少し待ってから小さな声で
「後で話す。」
と言うとミルが親指を立てて、了承してくれた。
無事、入学式が終わり、クラス分け通りにクラスへ案内された。
私とミルは同じA組。
席も近かったので、朝のことを話す。
「へー、やっぱり、第二王子は身分関係なく、平等なんだーすごいねー。」
とミルが言う。
「そうだよね。初めは気付かなかったけど、やっぱり、王族は美形なのかな?」
と言うとミルは神妙な顔で
「なるほど、確かにそうかも。皆美形だ。」
とうんうんと唸っている。
「え?王族全員見たの?」
と聞くと
「うん。うち、カルケード商会でもあるからさ。お得意様だし、王族。」
とミルが答えた。
はい。OP通りに会話しています。でも、あんまり意識せず、勝手に口から言葉が出るからある意味怖い。まるで、マリオネットの気分。
「そう言えば、第二王子の婚約者も同じクラスらしいよ?」
「え?そうなの?」
「うん。彼女よ。キャシー・エンド公爵令嬢。」
そう言って、目線で彼女のことを教えてくれた。
赤いロングヘアーで、ちょっと狐目の美人さん。
「うわぁ、凄い美形。」
と言うと
「でしょう。やっぱり、婚約者も美形ってことは、美形としか結婚しないとか決まってそうだよね。」
と笑いながらミルが言う。
「かもねー。」
と言って、二人で小声で笑った。
▲◆▲
学校にも慣れてきて、この世界独特の教科【魔法学】とか【戦術学】とかがどうも覚えられなくて、図書室に勉強しに行った。だって、普通の女子高校生は戦争の術なんか、勉強しないでしょう?
でも、今のところ成績トップなので、落としたくない。男爵令嬢だからって、頭悪いとか言われたくない。
戦術学の本を開いて、暗記の為に写本する。
何ページか写本して、ふとこの戦略の意味が分からず、止まってしまう。
「なんで、ここで騎馬をこっちに移動するんだろう?」
と言いながら、移す用の紙をトントンと叩くと自分以外の人が隣で同じようにトントンとしていた。
驚いて、そっちを向くと緑髪のロングの男性が間近で私を見ていた
「うひゃあ!!!」
思わず、大きな声で叫んで、立ち上がろうとしてしまった。驚きすぎて、椅子に躓き、変な風にでんぐり返しで一回転してから後ろの壁に激突した。
一気に皆の視線が集まる。
司書に
「お静かに。」
と言われ、
「す、すみません。」
とあやまる。皆がクスクスと笑う。
「うっうっぅ。」
思わず、赤面して、涙目になる。打った頭も結構痛い。
緑のロングヘアーの男性は声にならない笑いで蹲っている。
「っ!っ!っ!!!」
耳まで真っ赤にして、声を出さずに大笑いしている。
「そ、そんなに笑わないでください。」
と小さな声で抗議すると
「ぷっ、いや、うん。ごめん。」
と言いながらも、まだ笑っている。
「もう!」
私は、憤慨しながらも、転がしてしまった椅子を元の位置に戻し、落ちた紙を拾って、本を開きなおして、勉強に戻ろうとした。すると、まだ顔が赤いままで、クスクスと堪えた笑いをしながら、緑ロングヘアーの彼・・・もう、緑カレーでいいや、彼が分からなかったところを教えてくれた。
彼は
「エグラ・グラシエラだ。2年だ。わからないところは教えてやろうか?」
と言ってくれた。
「ありがとうございます。じゃあ、お願いします。緑カレー先輩!」
と思わず、言ってしまった。しまった!と口を押さえたがすでに遅し。
「み、緑カレー・・・くっ!っ!っ!」
ツボにはまったらしい。
「ごめんなさい!つい。」
「ついって、っ!っ!くは!うん。まぁ、いいよ。それで。」
宰相子息と仲良くなりました。
▲■▲
うーん。入学試験の時は、2位だった剣術。次のテストでは1位を勝ち取りたい!教材用の木刀をケースに入れて、訓練場に向かった。そこには数名の生徒が訓練していた。
意外に少ないので、拍子抜けしたが、教科書を一度確認してから、型通りに素振りする。
どうも振り上げるときに右に曲がる。振り下ろした後、剣がとどまらずに引っ張られる感じもある。
多分、腕力が足りないのだ。
数度振って、違うなぁと感じたので、訓練場を見回し、ぶら下がる棒を発見。俗にいう懸垂棒。
ぴょんと飛びつき、懸垂を始めた。
10回ほどすると、二の腕がフルフルと痙攣してくる。
「も、もうすこし、せめて、30かぁーいぃいい!!!」
思わず叫びながら、体を引き上げようと腕に力を入れたのだが、痙攣は指にも及んでいたらしく、左手だけ手が離れてしまった。一気にバランスが崩れ、ぶらーんと思っていない方に体が揺れてしまい、右手も離れてしまった。
体が急に軽く浮いた感覚。なんか、体の芯をスッと抜かれたみたいな感覚。
落ちる!!!
思わず、目を閉じ、衝撃に備えた。
・・・いくら待っても、衝撃は来ない。ゆっくり目を開けると体格のいい青年にお姫様抱っこされている。
「おまえ、根性あるな。でも、手順は守った方がいいぞ?」
そう言って、床に降ろしてくれて、床に置きっぱなしの教科書の懸垂の注意のページを開いて、色々教えてくれた。
「あ、ありがとうございます。せ、先生でしょうか?」
と言うと「ぐっ!」と詰まる様に声を詰まらせ
「いや、2年のガルド・ガンバルンだ。」
「あ、すみません。先輩。」
「いやいい。良く間違われるからな。」
「本当にごめんなさい!」
「いや、本当、いい。繰り返されると逆に悲しくなるから。」
「あ、はい。」
「それより、なんで、懸垂に移行したんだ?普通、素振りなら素振り続けるんじゃないか?」
と聞いてきた。教科書にも確かにそう書いてある。
「あ、いや、単純に力・・・腕力が足りないって感じて。多分、学園入学前に体力がついてる前提で教科書書いてるのかなぁと思って・・・。」
と答えると意外そうな顔で驚いて、
「ぐはははは!!!そうかもな!」
と笑って先輩が私の背中をバンバンと叩いてきた。
反動で前のめりに倒れた。
「あ、ごめん。」
「・・・これで、おあいこです。」
「?・・・あ、あぁ!なるほど!ははは!」
騎士団長子息と仲良くなりました。
△□△
中庭に猫がいると聞いて、昼食のついでに行ってみることにした。ミルと一緒にお弁当を持って中庭に向かうと先客たちが一杯いた。そこには、あの公爵令嬢様もいらっしゃった。
パッと見、猫はいない。
公爵令嬢の取り巻きもいることだし、退散した。
△ _ △
◆●◆◆●◆
放課後、ミルと王都の商店街に遊びに行くことにした。
魔法学で使ういろんな教材を見る為にと言うのが建前。王都のカフェテリアに行ったり、服屋を見たりした。そして、夕方になり、帰ろうとしたら、巨体の男性たちがいちゃもんつけてきた。
思わず、ミルを背に隠し、ガンつけあった。
しばらく、ガンつけあっていたら、白銀の髪をなびかせた垂れ目の男の子が助けてくれた。
「助かりました。ありがとうございます。」
と言って、私とミルが自己紹介してから、お礼と平謝り。
「王都は人一杯なんだから、せめて男の護衛ちゃんとつけたほうがいいよ?」
と教えてくれた。でも、私たちは男爵令嬢なので、護衛は実家にしかいない。学校も寮だし、連れてこれなかった。ミルとどうしようと目線だけで会議していたら
「あー、なる。わかった。学園の外に出るとき俺に声かけてよ。」
と言ってくれた。
「俺は、ペイン・エンド。2年だ。」
と教えてくれて、ウインクしてきた。私とミルは思わずドキンとした。
公爵子息と知り合いになりました。
△ _ △
◆◎◆◆◎◆
薬草学の授業中、私はミスして火傷してしまった。先生に言われて、保健室に向かう。そこに何でか王子が居た。
王子は私が怪我しているのを見て、手当てしてくれるという。
「今、保険の先生、離席してるみたいなんだ。私が手当てしよう。」
「あ、いえ、恐れ多い。」
「気にしないで、ほら、そこに座って。」
無理矢理、椅子に座らされた。
消毒液や塗り薬、包帯などを準備しながら王子が
「君、1年のトップでしょ?凄いね。」
と話しかけられてきた。
「いえ、あ、はい。えっと、がんばりました。」
と答えると
「はは!謙遜なしか。まぁ、確かに実力だもんね。偉い。」
「偉いとかくすぐったいです。まだ、精進しないと。」
「うん。偉いね。驕らずがんばりなさい。」
そう言って、私の手に消毒液をだばーッとかけてきた。
「ひぃっ!」
思わず、勿体ないって言いそうになった。消毒薬での痛みよりもそっちで一杯になる頭。
「あれ?違ったっけ?」
怖いことを王子が言った。
「じ、自分でさせてください。お願いします。」
「あーうん。」
消毒薬を脱脂綿で拭いて、新しい脱脂綿で火傷用の液体薬を漬けて、少しずつ、火傷に塗り、ガーゼで覆ってから、脱脂綿を置いて、包帯で巻く。最後に編み網したやつを付けて、終了。
「へーそうやるのか。」
王子が感心している。
「男爵領は、傷の手当とか自分でやるの?」
と聞かれ
「え?まぁ、うちではやります。他は知りませんが。」
と答えると
「まぁそっか。」
と王子が言った。そこに保健室の先生が戻ってきた。
「あら、ケガ?」
「はい。」
保健室の先生が私の手当跡を見て
「うん、上手。じゃあ、二人とも授業に戻りなさい。」
と言ってきた。
「はい。」
と私は答え
「あ、先生、これ、・・・。」
小さい声で王子が何か言っている。
「じゃあ、失礼しました。私は、その場を去ろうとした。
「はーい。今度は気をつけなさいね?ねこですよろしくおねがいします。」
「は?」
なんか嫌な予感がして、すぐにその場を去った。
王子と仲良くなった?
△ _ △
<◎◆◆◎>
なんか、学校の雰囲気がおかしい。オートで攻略キャラと会話しているので、あまり意識していなかったのだが、明らかにオート会話が勝手に切れるのだ。
いや、別に良いんだけどさ、なーんか、乙女ゲーとは関係ない世界に迷い込んだような・・・。
ちょっと不安に感じてしまい、ミルに相談したら
「そうなんだよね。なんか、みんなおかしいんだよね。ねこねこって。」
と言ってきた。
「ねこ?」
「うん。なんか、やたら、猫がいるって。」
先日、保健室の先生も言ってたなぁと思い当たる。
そんな会話をしていたら、キャシー・エンド公爵令嬢の取り巻きが話しかけてきた。
「あなた、ミーハル・ブラッドスター男爵令嬢ね。」
と。
「はい。そうですが。」
「最近、殿下たちの様子がおかしいんだけど、あんた、何か知らない?よくしゃべってるでしょ?」
と。
は?いちゃもんじゃない。
乙女ゲーと全く展開が違う。
まぁ、有難いんだけど。
「あ、そういえば、中庭にねこがいるって。」
そう、中庭の会話になるとどの攻略キャラも途端にオート会話が途切れるのだ。あそこでは、乙女ゲーで魔法団長子息とのイベントがあるはずなのに、イベント会場である中庭に行くにいけないのだ。なんでか。
今は、乙女ゲーよりも学園が楽しくて、あんまり気にしていなかったんだけど。それに、正直、男の子と恋愛よりミルと遊ぶ方が楽しく感じてきているから乙女ゲーのこと、忘れてた。自動会話はするけどね。
「中庭?ねこ?」
と令嬢たちは固まる。
そこに現れたキャシー様。
「何しているの皆さま。」
と聞いてきた。
「いえ、中庭のことを聞いていたのです。」
と令嬢の一人が答えると
「あぁ、あそこにはねこがいるのよ。じっと見ているととってもかわいいのよ。よろしくおねがいしますね。」
「「「「え?」」」」
会話が一瞬飛んだ気がする。
「だからね。ねこですよろしくおねがいします。」
とキャシー様が繰り返す。
ぞわぞわぞわっと背筋に冷たいものが走る。
他の令嬢たちも同じように感じたらしい。
ミルと私は隙を見て逃げ出した。
「な、なにあれ?」
とミルがガタガタ震えながら、聞いてきた。
「わ、わかんない。」
と二人でぶるぶる震えていたら、C組から珍しいピンクの髪の少女がこっちに駆けてきた。
「あんたでしょ!この乙女ゲーのヒロイン。転生者でしょ!邪魔しないでよ!」
といちゃもんつけてきた。
「「は?」」
二人で頭一杯に変な声で聞き返してしまった。
空気を読まないピンク令嬢は、名前も名乗らず、一杯罵ってきて、最後に
「王子の攻略は私がするんだから、邪魔しないでよね。むしろ、退学しなさいよ!」
とか好きかって言って、去っていった。
「あれ、なに?」
とミルが聞いてきた。
「いや、知らない。でも、退学はさておき、休学したいよ。うん。」
と答えるとミルはかなり沈黙してから
「うん。本当は、止めるべきなのかもしれないけど、私もそうしたい。」
ミルと話し合い、2年間ほどミルの家であるカルケード商会で働くことにした。名目は学費の為。実際、実家は火の車で、成績トップだから今は学費タダだけど、教材は自分で買わなきゃいけないので、冒険者として働きながらしようと思っていたけど、なんか、それより、休学してお金貯めてからって名目で離れたい。
ミルは実家に連絡。私も実家に魔法手紙で連絡。
ミルの両親は
「お前の勘がそう感じたなら、速攻で帰ってこい。」
と返答。
私の両親も
「お前の本能が拒否したなら、逃げろ。」
と返答。
学校にも相談し、正式に休学手続きをその日のうちにした。
△ _ △
<◎><◎>
はい。
本能に従ってよかった。
ミルの勘が王都を離れろと言い、私も同じだったので、カルケード商会辺境支店に移動。
本店にいるミルの両親も一緒に移動中である。
現在は、王都から3つほど都市を通過したところである。
カルケード商会辺境支店はブラッドスター男爵領の隣なのでと言うのが建前。
ミルの両親に私とミルの感覚を話したら、最低限のものだけ持って、馬車に乗り込み、商会ごと逃げ出し準備を始めた。
「生きてれば、また稼げる。商品なんか置いてけ。御飯だけもってくぞ!」
とミルの父親は言い、皆、それに従い、従業員ごと夜逃げ同然で移動。
そこで号外が出ていた。
見てはいけないと本能が感じたので、それを伝えると皆見ないで、簡単な内容だけ人を通して聞いた。
王都では謎の奇病が流行っているんだそうだ。
奇病と言っても、なにか物凄い問題行動をするわけではない。
「やたら、「ねこですよろしくおねがいします。」と言ったり、猫の絵を描くんだそうだ。何やら、落ち着かない感じで周りをやたら確認して、「なんだねこか。」とか言ったりするらしいのだが、皆落ち着かなくて、ねこですねこですねこですねこですねこすねこです。よろしくおねがいします。」
話している人がおかしくなった。
速攻でミルたちに街から離れるように言った。
ミルたちは既に出発の準備していた。
1か月くらいかけて、辺境支店に移動した。
辺境は既に出入りを規制していた。
私たちカルケード商会としてきたから、何とかは入れた。
一応、感染者0。
それっぽいのは、申し訳ないが、教会に置いてきた。
今は、感染者0なだけです。はい。
ブラッドスター男爵領も封鎖しているらしい。魔法手紙も封鎖対象らしく、今は連絡は取れていない。このレッドルア辺境領は、自給自走が可能なところなので、助かった。昼間は畑を耕したり、ダンジョンにもぐることで食事などが賄えている。
初めは、カルケード商会に依存しようかとしていたが、封鎖が本格していたので、商業はいったん下火。
ここには初心者用のダンジョンもあるので、私とミルはダンジョンをもぐり、たまに農家を手伝っている。商会の人はほとんど、農家で働かせてもらっているらしい。
カルケード商会は、辛いときに物資を欠かさないで以前頑張った実歴があるので、領の人たちに、良くしてもらっている。恩返しなんだそうだ。
だから、私もミルも頑張って、ダンジョンで肉を採ってくるのだ。
レッドルア辺境伯は、直感というスキル持ちで、私たち同様に異変を感じて、私たちが移動してきたのと時をほぼ同じくして封鎖を開始したらしい。
いや、逃げ出してくる人とかいないんだけどね。
直感で王都から離れたいと思ったらしい。
陛下から多分、手紙とか連絡とか来てそうだけど、無視してるんだって。
「え?そうなの?」
「噂だけどね。」
ミルがそう教えてくれた。
◆◆◆
2年後、なんか、ピンときた。ミルも来たらしい。
次の日、辺境の封鎖が終わった。
商会の人はなんかすっかり、農家の人になってしまったけど、今は少しずつリハビリがてら、商いしながら、王都にゆっくり向かうことにしたらしい。
私とミルは、商会とは別に早い馬車に乗って、王都に向かうことにした。
早い馬車と言っても、2週間は余裕でかかる距離だけどね。
途中途中で止まる村や町で色々情報を仕入れる。
2年前、あの後、学園で起こったことを知りたかったので、聞いてみた。
しかし、誰も知らないと言う。
それどころか、王都のことは誰も知らないと不思議のことを言うのだ。
村や町には2年前は絶対なかった教会が立っていた。
2週間かけて、王都があった場所についた。
そう、王都があった場所である。
今は物凄くでかい教会があり、教会学園が魔法学園があったところに建っている。
国名も変わっていた。
学園に通っていたことを教会に言うと急いで、教会の奥に連れていかれた。
そこで話を聞いた。
あの後、みんな訳が分からないことを言い始めたので、教会の忘却スキル持ち達が出動したらしい。
王都は集中力の無い人ばかりが溢れ、教会の人たちは耳を塞ぎながら、王都の人々に忘却の魔法をかけたらしい。原因となった魔物は井戸に封印して、その井戸と建物ごと封鎖しているんだそうだ。
「貴方たちも、忘却の処置を受けていただけますか?」
と言うのが本題だった。本当は嫌だけど、お願いすることにした。
すると、学園であった色んなことをきれいさっぱり忘れてしまった。特に人間関係のこと。ミルのことはちゃんと覚えているので、良かった。ミルも私のことをちゃんと覚えていたので、問題ない。
「貴方たちは、2年前に休学した成績優秀者ということで、教会の方の学園に来ないか誘うように教主様からお誘いがあるのですが、どうしますか?」
と聞かれた。
教主からのお誘いを断るほど、おバカじゃないので、すんなり受けた。
ダンジョンで私たちは稼いだので、お金もそこそこある。まぁ、学費免除になったが。
教会学園の授業内容自体は魔法学園と同じだった。
違うのは、立入禁止区域があることと教会学があることだけ。
恋愛イベントなんかは全く無い。男女で学習棟は分けられていた為だ。
学園をトップで卒業。ミルは次席だ。
教会・・・ミルファ神国の陛下から直々にスカウトの話が来た。
かなり美味しい話だったので、私たちはスカウトを受けることにした。
10年後。
私は、女騎士団長に。ミルは女宰相になって、この神国で働くことになった。
今でもあの井戸はあるのだが、絶対封印を解かない様に動いている。せめて、私たちが生きている間は。
私たちが今、普通に過ごせているのは本能スキルと勘スキルのおかげ。
そのおかげで、今も国の上層部にいれるわけだしね。
もう、乙女ゲーとか色々考えていたころが懐かしく感じる。
今は、部下の伯爵家の年上の旦那様と結婚し、3人の子宝に恵まれている。今の私は、ミーハル・ウインガイ伯爵。・・・そう、夫人が何故つかないかって?私が伯爵だから。旦那様は家で専業主夫している。
いや、本当ファンタジーだよ。男が妊娠できるんだよ。この世界。
私が騎士団長として妊娠は困難だと言ったら、陛下が妊娠薬(男用)持ってきやがったんですよ。
どうしてこうなったかは分かんないけど、普通にイタしたら、旦那様が妊娠したんだよね。で、4人目が今、旦那様のお腹にいるのさ。恥ずかしいなぁ~。
ミルの方も旦那様が産むことになったらしい。彼女の方は普通に、当たり前のこととして受け入れてたので、驚いた。現在、2人息子がいるので、子供は増えなくていいとか言ってるけど、子煩悩なので、定時に帰ろうとしているのを私は知っている。
学生の頃の思い出は、今は遠い。
しかし、私たちは、今後も本能の恐怖にしっかり従い、動こうと思う。
家族にもしっかり、教えていこうと思う。
そして、封印については、子々孫々、しっかり、封印を解かない様に厳命しておこうと思った。
<おわり>
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