皇國の防戦記

長上郡司

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第三章 山岳城塞奪還戦

40“戦闘龍”グレンVS“鉄血の”ボルゾフ

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城塞内に重い打撃音が響き渡る。




“鉄血の”ボルゾフの巨大な戦斧より繰り出される斬撃は、確実にグレンを捉えていた。




グレンは右腕に構える大楯でそれらを防ぐが、攻勢には出られない。




傍目に見れば、グレンが一方的に押されているように見えるだろう。










「ヴォルゲンさん・・・大丈夫何ですか隊長は・・・完全に押されていますが」




「問題無い、隊長は一発もまともには食らっていないからな」




「いや、あんなのを何発もやられたら、いくら隊長でも・・・」




「静かに、見ていろ」




「・・・はい」










ヴォルゲンの言った通り、グレンは的確に斬撃を受け流し、反撃の機会を伺っていた。




ボルゾフの斬撃は、一撃一撃が並みの盾や甲冑なら一瞬で破砕される威力があるが、グレンの武具はそうは為らなかった。




怪力のグレンに合わせて造られたその鎧兜は、まともな鉄の厚さではない。




斧も、盾も、グレン専用の特注品だ。










無論第一には、グレン自身の鍛えられた武力によるものである。










「どうした“戦闘龍”!!受けてばかりか!?それでは私を討つ事など出来んぞ!!」




あまりに打ってこないグレンに、しびれを切らしたボルゾフが叫ぶ。




「・・・・・・」




グレンが何かを口にしたが、ボルゾフには聞き取れなかった。




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