クジ引きで選ばれた勇者

ふるか162号

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0章 クジ引き

2話 ここは王都の冒険者ギルド

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「眩しい!!」

 僕はじいちゃんに罵声を飛ばした後、目を開けられないほどの光に飲まれ、目を閉じた。

 暫くすると、光が止んだのか、目を開ける事が出来た。
 目を開けると、見た事のない暗い部屋の真ん中で立っていた。
 部屋には、薄明かりを放つ魔宝玉。これは、室内を照らす魔宝玉だろう。
 室内を照らす魔宝玉は、小さな魔力でも使えるのだが、魔力の全くない僕には使う事は出来ない。

 目が暗さに慣れてきて、部屋を見回す。
 僕の足元には薄っすら光る魔法陣がある。これが転移魔法陣なのだろう。
 この部屋には、魔法陣以外には、魔法陣を囲むように置かれた、照明用の魔宝玉があるくらいだ。

「殺風景な部屋だなぁ……」

 この部屋には、僕しかいない。
 クジ引きの様な、鬱陶しい方法で、勝手に転送して来たのだから、出迎えくらいはあってもいいと思うんだけど?
 ……まぁ、いいか。

「どこか、出口はないのかな?」

 僕が、周りを見ると、とても頑丈そうな扉がある。
 まるで、封印・・されているようだ。
 ……開くかな?
 僕は扉を押してみる。……が、びくともしない。

「開かないか……」

 当然といえば当然なのだが、カギは外側からかけられている。
 マジか……。転送されていきなり締め出しか……。
 大声出したら聞こえるかな?

「誰か―!! この部屋に閉じ込められているんですけどー!!」
 
 …………。

 反応は無いか……。

 ここが地下ならば、僕の声が届かないのも分かる……。というよりも、このまま気付かれないと、僕は餓死してしまうんだが……。
 それは嫌だ……。

「開けてー!! ここに閉じ込められているよー!!」

 何度叫んでも、反応はない。

 このままでは餓死してしまう……。何とか出ないと……。
 むぅ……。この扉、壊せるかなぁ? 
 僕は、扉を少し叩いてみる。
 軽い音だな。
 これなら蹴破れるかな?
 僕は軽く蹴ってみる。

 ……ゴン!!

 扉が凹んだ。
 これなら、破壊できそうだ。
 僕は助走をつけて扉を蹴る。

 ドゴォオオオオオオオオン!!

 大きな音をたてて、扉が開いた。

「良かった……。これで餓死は回避できる」

 部屋から出てみると、廊下は薄暗く、まるで地下牢獄のように見えた。
 まぁ、地下牢獄なんて見た事ないんだけどね。

「さて……誰かいるかな?」

 僕は廊下を歩く。
 しかし、こんなに長い廊下なのに、光の一つもないなんて、転送されてきた人をどう思っているんだろうか?
 扉が脆く・・なかったら、本当に餓死していたのかもしれない。
 そう考えると、このクジ引きシステムは本当に恐ろしいものだと思う。
 暫く歩いていると、前方から明かりを持った何かが近付いてきた。
 暗さにも慣れてきたし、目を細めれば見えるかな?
 
 んー。
 女の人と筋肉だるま?

 僕は明かりが近付いてくるのを待つ。
 あっちから近付いてくるのに、僕からわざわざ近付く必要もないからね。
 
 立ち止まって少し待つと、遠目で見えた通り、綺麗な女の人と、筋肉だるまのおじさんがやって来た。

「お、女の子!? どうしてここにいるの!?」

 女の人は、僕を見て驚いている。
 クジ引きみたいな、ランダム要素の高い方法で勇者を集めているのなら、こういう事態を想定するものだと、僕は思うな。

「こんにちわ」
「あ、こんにちわ。お嬢ちゃんはどうしてこんな所にいるの?」

 どうして? って、下らないクジ引きを引いた事くらい、分かると思うんだけど……。
 ん? 筋肉だるまが、僕の出てきた部屋を見に行くようだ。
 あ!! 扉を壊した事を、怒られるかなぁ?
 嫌だなぁ……。
 
 女の人は、僕を落ち着かせようとしているのか、優しい言葉を使って、僕を宥めようとしている。
 この人には、僕が恐怖で怯えているように見えるのだろうか? 
 ……体が震えているね。怒られると思って怯えてるよ? それが何か?
 暫くすると、筋肉だるまが帰ってくる。

「り、リリアンさん。勇者の間の扉が破壊されています!!」

 あ、はい。壊したのは僕です。ごめんなさい。

「な!? 嘘でしょ?」

 え? どうして驚いているの?
 あれくらいの脆い扉なんて、簡単に壊せるでしょ?
 女の人は、ちょっとだけひくついた笑顔で、僕に問いかけてくる。

「ね、ねぇ。お嬢ちゃん、どうやってここに来たの?」

 どうやってって……。
 そんな事、普通はわかると思うんだけど?
 はぁ……。僕の口から言わなきゃダメなの?

「クジ引き引いたら、ここに転送されてきたんだけど? 王国が勇者を選ぶためにクジ引きを引かせているんじゃないの? 無理やり連れてきたにもかかわらず、あんな部屋に閉じ込めるなんて酷くない?」

 うん。こうやって、逆に相手に罪悪感を植え付けて、僕の罪を忘れて貰おう。

「え? 今なんて言ったの? クジ引きで選ばれた? ゲイルさん。上から勇者が転移されてくるといった報告はあったかしら?」

 筋肉だるまはゲイルというのか……。

「いえ。ありませんね。もしかして、アレじゃないんですか?」
「アレか……」

 アレ? アレってなんだろう?

「ねぇ。お嬢ちゃん。私についてきてくれない?」

 まぁ、このままここにいても仕方が無いから、僕は素直に頷く。

 僕が連れてこられたのは、冒険者ギルドの受付の奥にある応接間。そこで僕への尋問が始まった。
 まずは、女の人が自己紹介をしてくる。

「さて、私は冒険者ギルドのサブマスター・リリアンよ。お嬢ちゃんの名前と年齢は?」

 明るいところで見ると、本当に美人な人だ。緑色のサラサラの髪の毛が美人さんをさらに引き立てている。
 目は少したれ目だけど、芯は強そうな目をしている。
 一番の注目点は、胸が大きい。これは、嫉妬してしまうくらい大きい。
 それに比べて、僕は貧乳だ。
 ……悔しい。
 おっと、容姿に対して考えている場合いじゃない。ちゃんと答えないと。

「僕の名前はみつき。年齢は十六歳」

 僕の年齢を言うと、リリアンさんは驚く。
 はいはい。僕はどうせ背も低いし、年齢よりも幼く見られますよーっだ。

「十六歳!? もう少し幼いのかと思ったわ……。で? 出身はどこ?」

 ハッキリ、幼いと言われた。……ハッキリいわれると、傷つく。
 しかし、出身か……。あの村って名前あったけ?
 うーん。考えても名前が出てこないなぁ……。
 そう言えば、王都の人達が勝手に名付けていると言っていたなぁ。何て名前だっけか?
 えっと……。あ! 思い出した。

「出身は名もない村なんだけど、ここは王都なんだよね?」
「え? あ、そうよ。ここはアロン王国の王都『ナイトハルト』よ」

 王都の名前はナイトハルトと呼ぶのか……。
 リリアンさんに詳しく聞くと、初代国王の名前だそうだ。

「えっと、王都の人は、僕達の村をこう呼んでいると聞いた事があるよ」


『絶望の村』と呼んでいると……。
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