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0章 クジ引き
3話 みつきはおかしい?
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「ぜ、絶望の村!? ま、まさか、あの……魔大陸にある、あの村の生き残りなの!?」
え? 生き残りって何? 僕の村は平和そのものなんだけど?
「みつきちゃん!! 魔大陸の絶望の村は、どんな状態なの!?」
リリアンさんは、必死な顔で僕の肩を掴む。
「痛いよ。大体、生き残りって何? 僕の村は、比較的平和だよ?」
リリアンさんは、僕の言葉に肩から手を離す。
「へ、平和?」
「う、うん。魔物だって、そこまで危険な魔物はいないし、近くには、大きな町もあるし」
僕の村のすぐ近くには、魔王城があって、うちの村からもその城下町まで、出稼ぎしている人もいるくらいだ。
ちなみに僕のお母さんも、魔王城の城下町でお総菜屋さんを開いている。
「ち、近くの町ですって!? 近くに町があるの!?」
「うん。そこの女王様と仲が良いんだ。お母さんも城下町で働いているし」
リリアンさんは茫然としている。
美人さんなのに、そんな顔をしちゃいけないと思う。
僕がリリアンさんの顔を、じっと見ていると、「そ、そう言えば、あの部屋からはどうやって出たの?」と聞かれた。
うぅ!!?
誤魔化せると思ったのに、やっぱり説明しなきゃいけないよね……。
「このまま出れないと、餓死すると思って、思いっきり蹴ったら扉が開いた」
僕は、正直話す事にした。
どうせ、怒られるなら、素直に話した方が、怒られる量が少ないかもしれない。
あ!!
べ、弁償とか言われたらどうしよう……。
僕が、ビクビクしながらリリアンさんを見ると、リリアンさんの顔が青褪めている。
も、もしかして、めちゃくちゃ高価だったの!? これは不味いよ……。
≪リリアン視点≫
いま、この子はなんて言ったの?
扉を蹴ったら開いた?
そ、そんな馬鹿な。
この扉には、強力な魔物や魔族が侵入してこない様にするために、何重にも結界が張られているのよ?
この結界は強力だから、この国の英雄である、勇者バトスさんでも、破れない代物なのよ? それを、こんな幼い子が?
「どうしたの?」
みつきちゃんが不安そうにしているわ。
でも、この子の力が本物だというのなら……。
「な、なんでもないわ。しかし、簡単に扉が破れてよかったわね。もし、あの音に気付かなければ、みつきちゃんは暫くあの部屋に閉じ込められていた筈だから……」
簡単に……ね。
自分で言うのもなんだけど、簡単に破れるわけがないのよ。
「へへへ……。うちの村の人ならば、大体の人が、あれくらいの事は出来るよ?」
……え? 今なんて?
あのくらいの事なら、大体の人が出来る!?
そ、そんなわけないじゃない!?
こ、この子、みつきちゃんは何かがおかしい!!
もしかしたら、もっと口を滑らせてくれるかもしれない。
「そう言えば、さっき言ってたアレって何? 僕は来なくていいのにこんな所に飛ばされてきたの?」
みつきちゃんが、不安そうにしているわ。
……これ程の力を持っているのにも、かかわらずに?
「ちょっと待ってね。少しだけ考えを整理するから……」
本当に、どうなっているのかしら……。
いえ。余計な事は考えないでおきましょう。
「逆に質問して悪いんだけど、みつきちゃんはどういう方法で転移してきたの?」
「え? 僕の場合、引いた瞬間、転移させられたよ?」
え? ちょっと待って?
引いた瞬間?
クジ引きに仕込まれている転移魔法は、呪文を唱えないと発動しない筈。どういう事?
とはいえ、みつきちゃんが嘘をついているとも思えないし、これは一度調べてみる必要があるわね。
「みつきちゃん。ちょっと待っててね」
私は、応接部屋から出て、私直属の部下であるゲイルさんに王城の宮廷魔術師に伝言を頼む。
「リリアンさん。あの子は?」
「正直分からない。でも、嘘を言うような子には見えないのよ。もしかしたら、もしかするかもしれない」
「それはどういった意味で?」
そうね。
これは、ギルマスや、私達、冒険者ギルドの上位幹部しか知らない事実だったわね。
「本物の……女神に選ばれた勇者かもしれないという事よ」
私が呟くような小さい声でそう言うと、ゲイルさんは「分かりました。陛下にも報告をしておきます」と小さい声で答えてくれた。
きっと、周りに聞こえないように声を落としてくれたのね。本当に、この人は頼りになる人だわ。
「お願いね……」
私は、再びみつきちゃんのいる部屋に入る。
みつきちゃんは、キョロキョロとしている。どうしたのかしら?
「みつきちゃん。どうしたの?」
私が声をかけると、みつきちゃんはビクッとする。
「え? いや。綺麗な部屋だな~。って思って」
ふむ。やっぱりこの子は嘘を吐くような子に見えないわ。
「ふふっ。ありがとう。さて、さっきの話の続きだけどね、兵士に騙されて送られてくる人が、たまにいるのよ。みつきちゃん。クジ引きの箱はどうだった?」
「汚かった」
「そう……。不快な気分にさせて、ごめんなさいね。長く使っているから、古くなっていたのかもしれないわね」
……間違いない。
この国が用意したクジ引きの箱は、無駄に豪奢に作られている筈。
まぁ、その箱を売りに出す、馬鹿な兵士もいると聞いた事があるけど、そういう奴は陛下が許すわけがないからね。
まして、あの箱にも転移魔法が仕込んであるから、クジだけでは転移魔法は発動しない筈。
この子を手放しちゃダメね……。
「どちらにしても、暫くはこの国に留まってもらうしかないわね」
心苦しいけど、魔大陸に村がある以上、逆転移は出来な
いからね。
「僕は自分の村に帰らせてもらえないの?」
「ごめんね。みつきちゃんの出身地は魔大陸でしょ? 魔大陸には強力な結界が張られて、転移魔法は使えないのよ」
「じゃあ、僕は帰れないの?」
うぅ……。泣きそうな顔をされると、心が痛むわ。
……でも……。
「そうなるわね。でも、みつきちゃんなら、冒険者としてやっていけるわ」
私がそう言うと、みつきちゃんは驚いた顔になる。
「え? でも、僕はタダの村娘だよ?」
そうね。
その村では、ただの村娘かもしれないけど、アロン王国では、ただの村娘じゃないのよ。
私はみつきちゃんの肩を掴む。
「大丈夫よ」
絶対、手放さないから……。
え? 生き残りって何? 僕の村は平和そのものなんだけど?
「みつきちゃん!! 魔大陸の絶望の村は、どんな状態なの!?」
リリアンさんは、必死な顔で僕の肩を掴む。
「痛いよ。大体、生き残りって何? 僕の村は、比較的平和だよ?」
リリアンさんは、僕の言葉に肩から手を離す。
「へ、平和?」
「う、うん。魔物だって、そこまで危険な魔物はいないし、近くには、大きな町もあるし」
僕の村のすぐ近くには、魔王城があって、うちの村からもその城下町まで、出稼ぎしている人もいるくらいだ。
ちなみに僕のお母さんも、魔王城の城下町でお総菜屋さんを開いている。
「ち、近くの町ですって!? 近くに町があるの!?」
「うん。そこの女王様と仲が良いんだ。お母さんも城下町で働いているし」
リリアンさんは茫然としている。
美人さんなのに、そんな顔をしちゃいけないと思う。
僕がリリアンさんの顔を、じっと見ていると、「そ、そう言えば、あの部屋からはどうやって出たの?」と聞かれた。
うぅ!!?
誤魔化せると思ったのに、やっぱり説明しなきゃいけないよね……。
「このまま出れないと、餓死すると思って、思いっきり蹴ったら扉が開いた」
僕は、正直話す事にした。
どうせ、怒られるなら、素直に話した方が、怒られる量が少ないかもしれない。
あ!!
べ、弁償とか言われたらどうしよう……。
僕が、ビクビクしながらリリアンさんを見ると、リリアンさんの顔が青褪めている。
も、もしかして、めちゃくちゃ高価だったの!? これは不味いよ……。
≪リリアン視点≫
いま、この子はなんて言ったの?
扉を蹴ったら開いた?
そ、そんな馬鹿な。
この扉には、強力な魔物や魔族が侵入してこない様にするために、何重にも結界が張られているのよ?
この結界は強力だから、この国の英雄である、勇者バトスさんでも、破れない代物なのよ? それを、こんな幼い子が?
「どうしたの?」
みつきちゃんが不安そうにしているわ。
でも、この子の力が本物だというのなら……。
「な、なんでもないわ。しかし、簡単に扉が破れてよかったわね。もし、あの音に気付かなければ、みつきちゃんは暫くあの部屋に閉じ込められていた筈だから……」
簡単に……ね。
自分で言うのもなんだけど、簡単に破れるわけがないのよ。
「へへへ……。うちの村の人ならば、大体の人が、あれくらいの事は出来るよ?」
……え? 今なんて?
あのくらいの事なら、大体の人が出来る!?
そ、そんなわけないじゃない!?
こ、この子、みつきちゃんは何かがおかしい!!
もしかしたら、もっと口を滑らせてくれるかもしれない。
「そう言えば、さっき言ってたアレって何? 僕は来なくていいのにこんな所に飛ばされてきたの?」
みつきちゃんが、不安そうにしているわ。
……これ程の力を持っているのにも、かかわらずに?
「ちょっと待ってね。少しだけ考えを整理するから……」
本当に、どうなっているのかしら……。
いえ。余計な事は考えないでおきましょう。
「逆に質問して悪いんだけど、みつきちゃんはどういう方法で転移してきたの?」
「え? 僕の場合、引いた瞬間、転移させられたよ?」
え? ちょっと待って?
引いた瞬間?
クジ引きに仕込まれている転移魔法は、呪文を唱えないと発動しない筈。どういう事?
とはいえ、みつきちゃんが嘘をついているとも思えないし、これは一度調べてみる必要があるわね。
「みつきちゃん。ちょっと待っててね」
私は、応接部屋から出て、私直属の部下であるゲイルさんに王城の宮廷魔術師に伝言を頼む。
「リリアンさん。あの子は?」
「正直分からない。でも、嘘を言うような子には見えないのよ。もしかしたら、もしかするかもしれない」
「それはどういった意味で?」
そうね。
これは、ギルマスや、私達、冒険者ギルドの上位幹部しか知らない事実だったわね。
「本物の……女神に選ばれた勇者かもしれないという事よ」
私が呟くような小さい声でそう言うと、ゲイルさんは「分かりました。陛下にも報告をしておきます」と小さい声で答えてくれた。
きっと、周りに聞こえないように声を落としてくれたのね。本当に、この人は頼りになる人だわ。
「お願いね……」
私は、再びみつきちゃんのいる部屋に入る。
みつきちゃんは、キョロキョロとしている。どうしたのかしら?
「みつきちゃん。どうしたの?」
私が声をかけると、みつきちゃんはビクッとする。
「え? いや。綺麗な部屋だな~。って思って」
ふむ。やっぱりこの子は嘘を吐くような子に見えないわ。
「ふふっ。ありがとう。さて、さっきの話の続きだけどね、兵士に騙されて送られてくる人が、たまにいるのよ。みつきちゃん。クジ引きの箱はどうだった?」
「汚かった」
「そう……。不快な気分にさせて、ごめんなさいね。長く使っているから、古くなっていたのかもしれないわね」
……間違いない。
この国が用意したクジ引きの箱は、無駄に豪奢に作られている筈。
まぁ、その箱を売りに出す、馬鹿な兵士もいると聞いた事があるけど、そういう奴は陛下が許すわけがないからね。
まして、あの箱にも転移魔法が仕込んであるから、クジだけでは転移魔法は発動しない筈。
この子を手放しちゃダメね……。
「どちらにしても、暫くはこの国に留まってもらうしかないわね」
心苦しいけど、魔大陸に村がある以上、逆転移は出来な
いからね。
「僕は自分の村に帰らせてもらえないの?」
「ごめんね。みつきちゃんの出身地は魔大陸でしょ? 魔大陸には強力な結界が張られて、転移魔法は使えないのよ」
「じゃあ、僕は帰れないの?」
うぅ……。泣きそうな顔をされると、心が痛むわ。
……でも……。
「そうなるわね。でも、みつきちゃんなら、冒険者としてやっていけるわ」
私がそう言うと、みつきちゃんは驚いた顔になる。
「え? でも、僕はタダの村娘だよ?」
そうね。
その村では、ただの村娘かもしれないけど、アロン王国では、ただの村娘じゃないのよ。
私はみつきちゃんの肩を掴む。
「大丈夫よ」
絶対、手放さないから……。
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