53 / 110
四章 初恋の花束
第十話 風に攫われて
しおりを挟む
翌朝。
空が白みはじめた頃、伽耶は深い森の奥、
ひっそりと苔むす岩と、朝露を帯びた草木に囲まれた場所にひとり座っていた。
朝、幕屋を出るとすぐにくじを引かされ、言われるがままに連れてこられたこの場所。
最後に女官から伝えられたのは、たったひとこと。
『かくれんぼ、だそうです。姫様……どうか、ご武運を』
「……ええ。頑張るわ」
伽耶はそう言って微笑んだものの、その女官が最後まで“気の毒そうな顔”をしていたことが、頭から離れなかった。
(でも……特別任務なんでしょう? わたし、頑張るって決めたんだから!)
拳をきゅっと握る。
けれど、まわりの木々はあまりにも鬱蒼としていて、どこか心細い。
(それにしても……“かくれんぼ”?)
そう口の中でつぶやいて、ふと笑ってしまう。
そうだ。
かくれんぼなんて、何年ぶりだろう。
幼い頃、どんなに巧妙に隠れても、誠にはいつもあっという間に見つかってしまった。
(……あの時は、ほんとうに悔しかったっけ)
その記憶に、思わず微笑みがこぼれた。
その時だった。
森の向こうから、どこまでも響く角笛の音が鳴り響く。
(始まった……のかな?)
伽耶は葉陰に身を沈め、小さく呼吸を整えた。
柔らかな茶の髪がふわりと揺れ、朝日がその頬をわずかに照らす。
(……さあ、今回は、そう簡単には見つからないんだから)
その瞳には、ほんのすこしの挑戦の光と、幼き日の記憶が、そっと重なっていた。
角笛が鳴り響いてから、どれほどの時が過ぎただろうか。
森の奥深く、草の匂いと朝露に包まれながら、伽耶は一心に身を潜めていた。
(誠なら、すぐに見つけてくれるはず……)
そう信じながらも、少しずつ心細さが募っていく。
と、不意に――。
風と共に、馬の蹄音が地を打つ音が聞こえた。
重くなく、軽やかで、けれど速い。
(来た……?)
ごそ、と葉を押しのけて伽耶がそっと顔をのぞかせた瞬間だった。
「見つけましたよ、お姫様」
すぐそばに並ぶ、黒馬の前脚。
驚いて顔を上げると、そこには、柔らかな笑みを浮かべる陽珀の姿があった。
「え……っ!?」
声にならぬ声を漏らす伽耶の前で、彼は優雅に馬を降りる。
「それでは、攫わせていただきましょうか。ご安心を。かくれんぼ、ですから」
まるで儀式のように、陽珀はその手を差し伸べた。
しかし、次の瞬間にはその手が伽耶の細い手首をとらえ、軽やかに引き寄せられていた。
「きゃ……っ!」
一歩も踏み出す間もなく、伽耶の体は宙を舞う。
小脇に抱えられ、まるで羽のように軽く運ばれていく。
「ちょっ……ちょっと……!?」
抗議もむなしく、陽珀はそのまま軽やかに馬にまたがると、勢いよく馬の腹を蹴った。
「では、失礼。姫様には、特別な景色をご覧に入れましょう」
ひゅうっと風が抜ける。
視界がぐんと高くなり、背後へとすさまじい速さで流れ去っていく木々や草の匂いに、伽耶の瞳が丸く見開かれた。
「あ、あ、あの、う、馬って、こんな風にのるものじゃ、ないと思うんですけど…!?」
揺れる視界に、必死で抗議の声を上げるが、陽珀はどこ吹く風といった様子で、涼やかに笑うばかりだった。
(ま、また……この感じ……)
伽耶は行きの馬車で感じた、あの“ぐるぐる”を思い出していた。
「うぅ、あの……なんだか、少し、気持ちが……!」
「おや、まさか、酔われましたか?」
「す、すこし……いえ、けっこう……」
陽珀はちらりと伽耶の顔を見下ろし、ふっと笑った。
「これは失礼。では、これならどうでしょう」
そう言って、するりと体勢を変えたかと思えば、今度は伽耶を前に座らせ、自分の胸元に背を預けるようにして座らせ直す。
「……えっ、えっ……な、なにして……」
「前を向いて乗れば、酔いもやわらぐかと」
「まえ……?」
伽耶の視界に広がるのは、朝露に濡れた草原。
風を切って走る馬の背は恐ろしいほど速いけれど、それでもさっきまでの“後ろ向き絶叫乗馬”よりは、だいぶマシだった。
背後から返る声音は、相変わらず涼やかで、どこか上機嫌だった。
「いかがです?この速度。季国ではなかなか体験できないでしょう」
耳元で響く声。
風を切り裂くように駆ける馬の背、どんどん後方へ流れ去っていく木々の緑と、点々と咲く色とりどりの花々。
まるで風そのものになったような感覚に、伽耶の瞳が驚きと喜びに輝いた。
「すごい……!」
思わず洩れた声に、陽珀が小さく笑う。
その瞬間。
ひゅん、と風を裂く音が上空を走った。
「……矢?」
伽耶が見上げた先には、空を切って飛んでいく一本の矢。
その矢には、赤い布が結びつけられている。
「ふむ……合図、か」
陽珀が一瞥するや、手綱を軽く引いた。
馬が前脚を返し、ぐんと進行方向を変える。
だが。
今度は別の方角から、再び赤い布を巻いた矢が飛来する。
矢の軌道を見た陽珀の瞳に、ふと一瞬の警戒が宿った。
「……またか」
低く呟く。
伽耶が不思議そうに見上げるより早く、陽珀は手綱を引き絞り、馬の腹を蹴った。
駆ける音が再び強まった、ちょうどその時だった。
──どんっ。
前方の木立を抜けた先。
突如、ずらりと並ぶ巨大な盾の壁が道を塞いだ。
「……っ!」
馬はいななき、その足は土を蹴り高く跳ねる。
目の前に現れたのは、数人の兵たちが横一列に構えた、飛び越えるには高すぎる長盾。
それを見た瞬間、陽珀はすぐさま手綱を引いて馬を後退させ、鋭く周囲を見渡した。
次の瞬間、木立の向こうから馬を駆る姿が現れた。
「そこまでよ、翡 陽珀!」
剣を携え、堂々と駆けてきたのは、紅の外套をなびかせた華蘭だった。
瞳に宿るのは、笑みにも似た鋭い光。
「うちの可愛い伽耶を、返してもらうわ!」
「姉様!」
伽耶の声が跳ね、ぱっと顔を明るくした。
だが、次の瞬間。
「はっ!」
華蘭が馬の腹を勢いよく蹴り、鋭く剣を陽珀へと振り下ろす。
陽珀は咄嗟に伽耶を庇うように身体を傾け、刃の軌道をかわすと、
「……なかなか、容赦がない」
ひと息で鞘から剣を引き抜き、ひるむことなく華蘭の一太刀を受ける。
剣と剣が打ち合い、火花が散った。
「ひっ…!」
伽耶の耳元で、鋭く風を裂く音。
恐怖に目を見開いたその横顔に、一瞬だけ陽珀の横顔がよぎる。
「少しだけ、暴れます。しっかり掴まっていてくださいね、姫様」
声はあくまで穏やかだったが、その背には確かな緊張と、戦の気迫が滲んでいた。
伽耶が恐怖に息を呑み、陽珀の胸元の装束をぎゅっと掴んだ、その刹那。
「前方より、一騎接近中!敵将、司鷹真接近!」
季国兵の鋭い声が空気を切り裂く。
「2対1ってわけ?」
華蘭が剣を構えたまま、馬上で軽く嘲るように笑う。
その双眸は、陽珀から一瞬も視線を逸らさない。
「それも良いですが…」
陽珀の瞳がふっと細まり、伽耶の腰に手をかけた、その瞬間。
「私は、この勝負……勝ちたいので」
――ひょい。
なんのためらいもなく、彼は伽耶の身体を宙へと放り上げた。
空が白みはじめた頃、伽耶は深い森の奥、
ひっそりと苔むす岩と、朝露を帯びた草木に囲まれた場所にひとり座っていた。
朝、幕屋を出るとすぐにくじを引かされ、言われるがままに連れてこられたこの場所。
最後に女官から伝えられたのは、たったひとこと。
『かくれんぼ、だそうです。姫様……どうか、ご武運を』
「……ええ。頑張るわ」
伽耶はそう言って微笑んだものの、その女官が最後まで“気の毒そうな顔”をしていたことが、頭から離れなかった。
(でも……特別任務なんでしょう? わたし、頑張るって決めたんだから!)
拳をきゅっと握る。
けれど、まわりの木々はあまりにも鬱蒼としていて、どこか心細い。
(それにしても……“かくれんぼ”?)
そう口の中でつぶやいて、ふと笑ってしまう。
そうだ。
かくれんぼなんて、何年ぶりだろう。
幼い頃、どんなに巧妙に隠れても、誠にはいつもあっという間に見つかってしまった。
(……あの時は、ほんとうに悔しかったっけ)
その記憶に、思わず微笑みがこぼれた。
その時だった。
森の向こうから、どこまでも響く角笛の音が鳴り響く。
(始まった……のかな?)
伽耶は葉陰に身を沈め、小さく呼吸を整えた。
柔らかな茶の髪がふわりと揺れ、朝日がその頬をわずかに照らす。
(……さあ、今回は、そう簡単には見つからないんだから)
その瞳には、ほんのすこしの挑戦の光と、幼き日の記憶が、そっと重なっていた。
角笛が鳴り響いてから、どれほどの時が過ぎただろうか。
森の奥深く、草の匂いと朝露に包まれながら、伽耶は一心に身を潜めていた。
(誠なら、すぐに見つけてくれるはず……)
そう信じながらも、少しずつ心細さが募っていく。
と、不意に――。
風と共に、馬の蹄音が地を打つ音が聞こえた。
重くなく、軽やかで、けれど速い。
(来た……?)
ごそ、と葉を押しのけて伽耶がそっと顔をのぞかせた瞬間だった。
「見つけましたよ、お姫様」
すぐそばに並ぶ、黒馬の前脚。
驚いて顔を上げると、そこには、柔らかな笑みを浮かべる陽珀の姿があった。
「え……っ!?」
声にならぬ声を漏らす伽耶の前で、彼は優雅に馬を降りる。
「それでは、攫わせていただきましょうか。ご安心を。かくれんぼ、ですから」
まるで儀式のように、陽珀はその手を差し伸べた。
しかし、次の瞬間にはその手が伽耶の細い手首をとらえ、軽やかに引き寄せられていた。
「きゃ……っ!」
一歩も踏み出す間もなく、伽耶の体は宙を舞う。
小脇に抱えられ、まるで羽のように軽く運ばれていく。
「ちょっ……ちょっと……!?」
抗議もむなしく、陽珀はそのまま軽やかに馬にまたがると、勢いよく馬の腹を蹴った。
「では、失礼。姫様には、特別な景色をご覧に入れましょう」
ひゅうっと風が抜ける。
視界がぐんと高くなり、背後へとすさまじい速さで流れ去っていく木々や草の匂いに、伽耶の瞳が丸く見開かれた。
「あ、あ、あの、う、馬って、こんな風にのるものじゃ、ないと思うんですけど…!?」
揺れる視界に、必死で抗議の声を上げるが、陽珀はどこ吹く風といった様子で、涼やかに笑うばかりだった。
(ま、また……この感じ……)
伽耶は行きの馬車で感じた、あの“ぐるぐる”を思い出していた。
「うぅ、あの……なんだか、少し、気持ちが……!」
「おや、まさか、酔われましたか?」
「す、すこし……いえ、けっこう……」
陽珀はちらりと伽耶の顔を見下ろし、ふっと笑った。
「これは失礼。では、これならどうでしょう」
そう言って、するりと体勢を変えたかと思えば、今度は伽耶を前に座らせ、自分の胸元に背を預けるようにして座らせ直す。
「……えっ、えっ……な、なにして……」
「前を向いて乗れば、酔いもやわらぐかと」
「まえ……?」
伽耶の視界に広がるのは、朝露に濡れた草原。
風を切って走る馬の背は恐ろしいほど速いけれど、それでもさっきまでの“後ろ向き絶叫乗馬”よりは、だいぶマシだった。
背後から返る声音は、相変わらず涼やかで、どこか上機嫌だった。
「いかがです?この速度。季国ではなかなか体験できないでしょう」
耳元で響く声。
風を切り裂くように駆ける馬の背、どんどん後方へ流れ去っていく木々の緑と、点々と咲く色とりどりの花々。
まるで風そのものになったような感覚に、伽耶の瞳が驚きと喜びに輝いた。
「すごい……!」
思わず洩れた声に、陽珀が小さく笑う。
その瞬間。
ひゅん、と風を裂く音が上空を走った。
「……矢?」
伽耶が見上げた先には、空を切って飛んでいく一本の矢。
その矢には、赤い布が結びつけられている。
「ふむ……合図、か」
陽珀が一瞥するや、手綱を軽く引いた。
馬が前脚を返し、ぐんと進行方向を変える。
だが。
今度は別の方角から、再び赤い布を巻いた矢が飛来する。
矢の軌道を見た陽珀の瞳に、ふと一瞬の警戒が宿った。
「……またか」
低く呟く。
伽耶が不思議そうに見上げるより早く、陽珀は手綱を引き絞り、馬の腹を蹴った。
駆ける音が再び強まった、ちょうどその時だった。
──どんっ。
前方の木立を抜けた先。
突如、ずらりと並ぶ巨大な盾の壁が道を塞いだ。
「……っ!」
馬はいななき、その足は土を蹴り高く跳ねる。
目の前に現れたのは、数人の兵たちが横一列に構えた、飛び越えるには高すぎる長盾。
それを見た瞬間、陽珀はすぐさま手綱を引いて馬を後退させ、鋭く周囲を見渡した。
次の瞬間、木立の向こうから馬を駆る姿が現れた。
「そこまでよ、翡 陽珀!」
剣を携え、堂々と駆けてきたのは、紅の外套をなびかせた華蘭だった。
瞳に宿るのは、笑みにも似た鋭い光。
「うちの可愛い伽耶を、返してもらうわ!」
「姉様!」
伽耶の声が跳ね、ぱっと顔を明るくした。
だが、次の瞬間。
「はっ!」
華蘭が馬の腹を勢いよく蹴り、鋭く剣を陽珀へと振り下ろす。
陽珀は咄嗟に伽耶を庇うように身体を傾け、刃の軌道をかわすと、
「……なかなか、容赦がない」
ひと息で鞘から剣を引き抜き、ひるむことなく華蘭の一太刀を受ける。
剣と剣が打ち合い、火花が散った。
「ひっ…!」
伽耶の耳元で、鋭く風を裂く音。
恐怖に目を見開いたその横顔に、一瞬だけ陽珀の横顔がよぎる。
「少しだけ、暴れます。しっかり掴まっていてくださいね、姫様」
声はあくまで穏やかだったが、その背には確かな緊張と、戦の気迫が滲んでいた。
伽耶が恐怖に息を呑み、陽珀の胸元の装束をぎゅっと掴んだ、その刹那。
「前方より、一騎接近中!敵将、司鷹真接近!」
季国兵の鋭い声が空気を切り裂く。
「2対1ってわけ?」
華蘭が剣を構えたまま、馬上で軽く嘲るように笑う。
その双眸は、陽珀から一瞬も視線を逸らさない。
「それも良いですが…」
陽珀の瞳がふっと細まり、伽耶の腰に手をかけた、その瞬間。
「私は、この勝負……勝ちたいので」
――ひょい。
なんのためらいもなく、彼は伽耶の身体を宙へと放り上げた。
0
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
置き去りにされた聖女様
青の雀
恋愛
置き去り作品第5弾
孤児のミカエルは、教会に下男として雇われているうちに、子供のいない公爵夫妻に引き取られてしまう
公爵がミカエルの美しい姿に心を奪われ、ミカエルなら良き婿殿を迎えることができるかもしれないという一縷の望みを託したからだ
ある日、お屋敷見物をしているとき、公爵夫人と庭師が乳くりあっているところに偶然、通りがかってしまう
ミカエルは、二人に気づかなかったが、二人は違う!見られたと勘違いしてしまい、ミカエルを連れ去り、どこかの廃屋に置き去りにする
最近、体調が悪くて、インフルの予防注射もまだ予約だけで……
それで昔、書いた作品を手直しして、短編を書いています。
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
はぎわら歓
恋愛
国家占い師である胡晶鈴は、この中華・曹王朝の王となる曹隆明と結ばれる。子を宿した晶鈴は占術の能力を失い都を去ることになった。
国境付近の町で異民族の若い陶工夫婦と知り合う。同じく母になる朱京湖とは、気が合い親友となった。
友人になった夫婦と穏やかな生活を送るはずだったが、事情のある朱京湖と間違えられ、晶鈴は異国へと連れ去られてしまった。京湖と家族の身を案じ、晶鈴はそのまま身代わりとなる。
朱彰浩と京湖は、晶鈴の友人である、陸慶明に助けを求めるべく都へ行く。晶鈴の行方はずっと掴めないままではあるが、朱家は穏やかな生活を営むことができた。
12年たち、晶鈴の娘、星羅は才覚を現し始める。それと同時に、双子のように育った兄・朱京樹、胡晶鈴との恋に破れた医局長・陸慶明とその息子・陸明樹、そして実の娘と知らない王・曹隆明が星羅に魅了されていく。
【完結】どくはく
春風由実
恋愛
捨てたつもりが捨てられてしまった家族たちは語る。
あなたのためだったの。
そんなつもりはなかった。
だってみんながそう言うから。
言ってくれたら良かったのに。
話せば分かる。
あなたも覚えているでしょう?
好き勝手なことを言うのね。
それなら私も語るわ。
私も語っていいだろうか?
君が大好きだ。
※2025.09.22完結
※小説家になろうにも掲載中です。
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる