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七章 紅に咲く
第七話 あなたまで
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伽耶は足早に宮へと戻った。
部屋で待っていた女官たちは、真っ青な顔をした伽耶をひと目見るなり、はっと息を呑む。
「姫様、お気を確かに……」
「姫様……」
次々に声がかかる。
(みんな、知っていたのね…)
最も近くにいたはずの女官たちでさえ、いまは遠い存在に思えた。伽耶は、小さく首を振った。
「……しばらく、ひとりにして」
その声がかすかに震えていたことを、伽耶自身も感じていた。
女官たちはしばし顔を見合わせたが、やがて何も言わず、静かに部屋をあとにした。
静まり返った室内。
伽耶の視線は、机の上に置かれた一冊の本に落ちる。
翡 陽珀から贈られた恋愛小説。
昨日までは、どの頁をめくっても心が踊った。
けれど今は、その表紙すら目にしたくなかった。
伽耶はそれを手に取り、大きく振り上げ――
……だが、投げることも、壊すこともできなかった。
ただそっと、本を元の場所に戻す。
そして机に両手をつき、視線を落とす。
思考が止まり、体の力が抜けていく。
(……もう、なにも考えたくない)
ぽっかりと胸の奥に空いた穴。
冷たい風が、そこに吹き込むようだった。
窓の外では、絶え間なく雨が降っていた。
その雨音だけが、部屋の中を満たしている。
陽が落ち始め、部屋はゆっくりと暗くなっていった。
そんな中――
何度目かわからない、また、扉が叩かれる音が響く。
「……あとにして」
伽耶は長椅子に横たわったまま、かすかに呟いた。
誰の声も、もう聞きたくなかった。
だが。
「……姫様、陸誠です。少し、よろしいでしょうか」
聞き慣れた声。
あまりに懐かしく、そして痛いほど優しい声に――
伽耶はそっと瞼を開いた。
けれどその動作すら、今の彼女には重たかった。
答えられずにいると、扉が、そっと、静かに開かれる。
雨の匂いを含んだ風が、廊下からふわりと流れ込む。
その奥に誠の姿が、仄暗い灯りに浮かび上がった。
手には浅い黒盆。
蓋付きの椀と、陶器の小瓶、そして――小さな火皿がひとつ、載せられている。
伽耶は視線だけでそれらを追った。
火皿の灯芯には火がともされ、細く頼りない炎が、わずかに揺れていた。
誠はそっと部屋へ入り、音を立てぬよう気をつけながら、長椅子の脇の丸机に盆を置いた。
「……行燈に、火を入れても?」
小さく問う声に、伽耶は返事をしなかった。
けれど、それが拒絶ではないことを、誠は悟った。
火皿の灯を行燈へと移すと、ぼんやりとした橙の光が、闇に沈んだ部屋をゆっくりと照らしはじめる。
暗がりに浮かぶ伽耶の横顔が、やわらかな明かりにふわりと照らされる。けれど彼女は、何も言わず、ただ伏せた瞳のまま、身じろぎひとつしなかった。
「お腹、空いていませんか?お昼から、なにも召し上がっておられないと聞きました」
誠は静かに近づき、丸机のそばに膝をついて椀の蓋をとる。湯気がふわりと立ち上り、鶏だしの香りが室内に広がった。
「……いらない。そんな気分じゃないの」
伽耶はぽつりと、横になったまま呟く。
「一口だけでも、どうですか。料理長に腕によりをかけて作ってもらったんです」
その声は、行燈の炎のように淡く、穏やかだった。
しばらく沈黙が流れたのち、伽耶は静かに身を起こし、丸机のそばに腰を寄せる。誠は机をそっと引き寄せた。
匙を手に取ると、伽耶はためらいがちに粥をすくい、口に運ぶ。
柔らかく、温かい。喉を通るたび、乾いた身体の芯が、じんわりと満たされていく気がした。
「……おいしい」
かすかな声に、誠はふっと微笑んだ。
「それは、よかったです」
雨音にも似た静かな声だった。
伽耶は、ひと匙ずつ、ゆっくりと粥を口に運んだ。
部屋には雨音だけが響き、行燈の明かりが、ふたりの影を揺らしていた。
半分ほど椀を進めたところで、伽耶は静かに椀を置いた。
「どうして、教えてくれなかったの?……知っていたんでしょう」
その言葉に、誠は目を伏せたまま答えた。
「陛下に、口止めされておりました。ご自分の口でお伝えしたいと……私も、女官たちも、そのお言葉に従いました」
誠が茶を注ぐ音だけが、返答の間をつないだ。
「……そう」
伽耶は、ぽつりと呟くと唇を引き結び、そっと膝の上で手を組む。
そして、視線を上げた。
「あなたは、どう思ってるの?」
その問いは、まっすぐだった。けれどその瞳は、どこか揺れていた。
期待とも、恐れともつかぬ光がわずかににじむ。
ほんの少しでいい。
誰かに、自分の味方でいてほしかった。
たとえこの世界のすべてが背いても――
この人だけは、きっと…
まっすぐに向けられた問いに、誠はわずかに肩を揺らし、答えを探すように沈黙し、目を閉じる。
やがて、ゆっくりと瞼を開ける。
「……紫宸殿よりは、翡陽珀殿下の方が、誠実であり……姫様を、大切にしてくださる、でしょう……」
淡々と告げられる言葉は、軍師としての正しさだった。
だが――
ぽたり、と、伽耶の手に涙が落ちた。
「……あなたまで、そんなことを言うのね……」
俯いた誠が顔を上げると、伽耶はかすかに笑っていた。
何かを隠すような、ひどく寂しい笑みだった。
その瞳は、涙でにじんでいた。
「姫様――」
「出ていって」
その声は、静かだった。
けれど、誠の胸に鋭く突き刺さる。
「……姫様……」
「……誰にも、会いたくないの」
伏せられた肩が、かすかに震える。
誠は、言葉を探して手を伸ばしかけた、その瞬間。
「出てってって言ってるの!!!」
張り詰めた声が、室内を切り裂いた。
伽耶はそのまま膝に顔を伏せ、ぎゅっと両腕を抱くようにして震えた。
誠は、何も言えなかった。
何ひとつ、言えなかった。
ただ、深く頭を下げ、静かに扉の向こうへと下がっていく。
扉が閉まる音が、ひときわ強く響いた。
その衝撃が、まるで胸の奥に冷たい刃を打ち込むように、誠の心を打ち据えた。
廊下には誰もいない。
灯りの影だけが揺れている。
遠く、淡く、手が届かないほどに。
そして。
「……っ……う……う……っ……」
それは、扉の向こうから聞こえてきた。
伽耶の、泣き声。
声を殺しながらも、嗚咽が漏れ、顔を伏せて泣いているのがわかる。
誠は、動けなかった。
一歩、足を出せば――その声が、背にまとわりつく。
(……わたしの言葉が……)
もう一歩。
胸の奥が、痛みに引き裂かれる。
(……姫様の心を、砕いたのだ……)
――あなたまで、そんなことを言うのね…
その言葉が、何度も、何度も、胸の奥でこだまする。
――出てってって言ってるの!!!
あの声が、まだ耳の奥に残っている。
そしてその叫びが、ずっと胸の奥で燃え続けている。
「.....姫様......申し訳ありません......」
言葉にならない声で、そうつぶやいた。
そのまま、誠は廊下を歩き続けた。
泣き声は、遠ざかるどころか、ずっと、ずっと、心の中で響いていた。
部屋で待っていた女官たちは、真っ青な顔をした伽耶をひと目見るなり、はっと息を呑む。
「姫様、お気を確かに……」
「姫様……」
次々に声がかかる。
(みんな、知っていたのね…)
最も近くにいたはずの女官たちでさえ、いまは遠い存在に思えた。伽耶は、小さく首を振った。
「……しばらく、ひとりにして」
その声がかすかに震えていたことを、伽耶自身も感じていた。
女官たちはしばし顔を見合わせたが、やがて何も言わず、静かに部屋をあとにした。
静まり返った室内。
伽耶の視線は、机の上に置かれた一冊の本に落ちる。
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昨日までは、どの頁をめくっても心が踊った。
けれど今は、その表紙すら目にしたくなかった。
伽耶はそれを手に取り、大きく振り上げ――
……だが、投げることも、壊すこともできなかった。
ただそっと、本を元の場所に戻す。
そして机に両手をつき、視線を落とす。
思考が止まり、体の力が抜けていく。
(……もう、なにも考えたくない)
ぽっかりと胸の奥に空いた穴。
冷たい風が、そこに吹き込むようだった。
窓の外では、絶え間なく雨が降っていた。
その雨音だけが、部屋の中を満たしている。
陽が落ち始め、部屋はゆっくりと暗くなっていった。
そんな中――
何度目かわからない、また、扉が叩かれる音が響く。
「……あとにして」
伽耶は長椅子に横たわったまま、かすかに呟いた。
誰の声も、もう聞きたくなかった。
だが。
「……姫様、陸誠です。少し、よろしいでしょうか」
聞き慣れた声。
あまりに懐かしく、そして痛いほど優しい声に――
伽耶はそっと瞼を開いた。
けれどその動作すら、今の彼女には重たかった。
答えられずにいると、扉が、そっと、静かに開かれる。
雨の匂いを含んだ風が、廊下からふわりと流れ込む。
その奥に誠の姿が、仄暗い灯りに浮かび上がった。
手には浅い黒盆。
蓋付きの椀と、陶器の小瓶、そして――小さな火皿がひとつ、載せられている。
伽耶は視線だけでそれらを追った。
火皿の灯芯には火がともされ、細く頼りない炎が、わずかに揺れていた。
誠はそっと部屋へ入り、音を立てぬよう気をつけながら、長椅子の脇の丸机に盆を置いた。
「……行燈に、火を入れても?」
小さく問う声に、伽耶は返事をしなかった。
けれど、それが拒絶ではないことを、誠は悟った。
火皿の灯を行燈へと移すと、ぼんやりとした橙の光が、闇に沈んだ部屋をゆっくりと照らしはじめる。
暗がりに浮かぶ伽耶の横顔が、やわらかな明かりにふわりと照らされる。けれど彼女は、何も言わず、ただ伏せた瞳のまま、身じろぎひとつしなかった。
「お腹、空いていませんか?お昼から、なにも召し上がっておられないと聞きました」
誠は静かに近づき、丸机のそばに膝をついて椀の蓋をとる。湯気がふわりと立ち上り、鶏だしの香りが室内に広がった。
「……いらない。そんな気分じゃないの」
伽耶はぽつりと、横になったまま呟く。
「一口だけでも、どうですか。料理長に腕によりをかけて作ってもらったんです」
その声は、行燈の炎のように淡く、穏やかだった。
しばらく沈黙が流れたのち、伽耶は静かに身を起こし、丸机のそばに腰を寄せる。誠は机をそっと引き寄せた。
匙を手に取ると、伽耶はためらいがちに粥をすくい、口に運ぶ。
柔らかく、温かい。喉を通るたび、乾いた身体の芯が、じんわりと満たされていく気がした。
「……おいしい」
かすかな声に、誠はふっと微笑んだ。
「それは、よかったです」
雨音にも似た静かな声だった。
伽耶は、ひと匙ずつ、ゆっくりと粥を口に運んだ。
部屋には雨音だけが響き、行燈の明かりが、ふたりの影を揺らしていた。
半分ほど椀を進めたところで、伽耶は静かに椀を置いた。
「どうして、教えてくれなかったの?……知っていたんでしょう」
その言葉に、誠は目を伏せたまま答えた。
「陛下に、口止めされておりました。ご自分の口でお伝えしたいと……私も、女官たちも、そのお言葉に従いました」
誠が茶を注ぐ音だけが、返答の間をつないだ。
「……そう」
伽耶は、ぽつりと呟くと唇を引き結び、そっと膝の上で手を組む。
そして、視線を上げた。
「あなたは、どう思ってるの?」
その問いは、まっすぐだった。けれどその瞳は、どこか揺れていた。
期待とも、恐れともつかぬ光がわずかににじむ。
ほんの少しでいい。
誰かに、自分の味方でいてほしかった。
たとえこの世界のすべてが背いても――
この人だけは、きっと…
まっすぐに向けられた問いに、誠はわずかに肩を揺らし、答えを探すように沈黙し、目を閉じる。
やがて、ゆっくりと瞼を開ける。
「……紫宸殿よりは、翡陽珀殿下の方が、誠実であり……姫様を、大切にしてくださる、でしょう……」
淡々と告げられる言葉は、軍師としての正しさだった。
だが――
ぽたり、と、伽耶の手に涙が落ちた。
「……あなたまで、そんなことを言うのね……」
俯いた誠が顔を上げると、伽耶はかすかに笑っていた。
何かを隠すような、ひどく寂しい笑みだった。
その瞳は、涙でにじんでいた。
「姫様――」
「出ていって」
その声は、静かだった。
けれど、誠の胸に鋭く突き刺さる。
「……姫様……」
「……誰にも、会いたくないの」
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誠は、言葉を探して手を伸ばしかけた、その瞬間。
「出てってって言ってるの!!!」
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誠は、何も言えなかった。
何ひとつ、言えなかった。
ただ、深く頭を下げ、静かに扉の向こうへと下がっていく。
扉が閉まる音が、ひときわ強く響いた。
その衝撃が、まるで胸の奥に冷たい刃を打ち込むように、誠の心を打ち据えた。
廊下には誰もいない。
灯りの影だけが揺れている。
遠く、淡く、手が届かないほどに。
そして。
「……っ……う……う……っ……」
それは、扉の向こうから聞こえてきた。
伽耶の、泣き声。
声を殺しながらも、嗚咽が漏れ、顔を伏せて泣いているのがわかる。
誠は、動けなかった。
一歩、足を出せば――その声が、背にまとわりつく。
(……わたしの言葉が……)
もう一歩。
胸の奥が、痛みに引き裂かれる。
(……姫様の心を、砕いたのだ……)
――あなたまで、そんなことを言うのね…
その言葉が、何度も、何度も、胸の奥でこだまする。
――出てってって言ってるの!!!
あの声が、まだ耳の奥に残っている。
そしてその叫びが、ずっと胸の奥で燃え続けている。
「.....姫様......申し訳ありません......」
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