素晴らしい世界から脱却を

秋霧ゆう

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第2話 社畜業務へ

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 「Beautiful World Online」略してBWOに入ってから拓海は、走っていた。周りを気にせず、1人で走り続けていた。

「はっ、ははは。最っ高だ~!!俺は自由だ!!」

 周りからは憐れみの目で見られていた。
 だが、そんなことは気にしなかった。

「今は現実世界じゃない。俺のことを知ってる奴は誰も居ない!俺は自由だー!!」

 草っ原に寝っ転がり、空を見ると一面綺麗な星空が広がっていた。東京だとビルの明かりで見えないがここでは見えた。

「あぁ。星を見なくなったのは、上京してからだから7年は見てねぇな。こんなに綺麗だったこと忘れてたな」

 感傷に浸りながら時計を見ると時刻は23時。

「はっ!?嘘だろ」

 思っていた以上に時間は過ぎていて驚きを隠せなかった。
 拓海は16時に起きたせいで1日何もしていない。風呂に入ってなければご飯も食べていない。

「掃除も洗濯も。久しぶりの休みなのに。次はいつ休みになるかも分からないというのに!やらかした…これはやらかし…」

 だが、久しぶりに走って星を見て、疲れが吹っ飛んだのも事実。

「こんな1日もまぁ良いか」

 そうして、BWO1日目は終わった。

 次の日は朝5時に起き、美しい世界で気持ちが浄化された拓海は普段より元気に出社した。だが、会社に一歩入った瞬間、絶望が待ち受けていた。

 同期がぶっ倒れたらしい。

「おいおい!さっさと仕事しろ!」

 この声の主は、会社の部長。この部長、仕事をする姿を見たことがない。
 拓海達はどんなに頑張っても部長に手柄を持っていかれる運命にある。
 会社は辞めたくても辞められなかった。
 何故かと言うと、労働時間は最悪な状態だったが、給料だけは良かった。使う時間は無いが。

「はぁ。全く、クズ共が」

 ぶっ○してやろうかと皆、常々心の中で思っている。
 あともう1つ、良い点がある。全員の仲間意識の高さだ。1人でも時間内に仕事を終わらすことが出来なければ全員で残って終わらせる。失敗をしたら、何がダメだったのか全員で話し合い次に活かす。
 その場に部長は居ないが。
 それをルールとし働いているのだ。

 そして、今日は全員定時から4時間で仕事が終わり21時には帰ることに成功した。
 ここでもルールが1つ。すぐに帰ること。ここでうだうだしてると部長が新しい仕事を持ってくる。酷い日には定時過ぎてるのに今日中に提出と言ってくる時がある。

 だが、今日は何としてでも帰る。
 あの世界に帰る。それを目標とし今日は働いていたのだ。

「おーぃ」

 部長の声が聞こえた。全員即座に荷物を持ち、会社を出た。

「お疲れ様です」「お疲れ様でした」
「また明日です」

 とそそくさと帰路に着いた。

「平君、今日ちょっと楽しそうじゃない?」
「先輩。ゲームを始めたんです。Beautiful World Onlineっていう…」
「平君もやってるの!?」
「も、ってことは先輩も?」
「うん。ギルドには入った?」
「いえ、まだです…」
「そっか~」

 この先輩こと、柴田芽衣。
 拓海がこっそり恋をしている先輩である。

「あ、じゃあ私こっちだから。ギルド、気をつけてね」
「え、は、はい」
「じゃ、お疲れ様」
「お疲れ様でした」

 柴田から言われた言葉がどうにも引っかかった。

「ギルド…気をつけて?どういう意味だ?」

 今日は町に行くことにした。


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